『アマルガム・ハウンド』駒居未鳥先生が人型兵器少女・イレブンを描くのに悩んだこととは?
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電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。今回は、『アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班』を執筆した駒居未鳥先生のインタビューを掲載します。
捜査官の青年“テオ”と人型の自律型魔導兵器アマルガム“イレブン”がチームを組み、国を揺るがすテロリストに立ち向かうことになります。
第28回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》を受賞した、捜査官の青年テオと人型兵器少女・イレブンによるバディ小説『アマルガム・ハウンド』が文庫になって登場!
インタビューでは駒居先生いわく、どちらがヒロインかはお好みで…と気になるコメントが?
──この作品を書いたキッカケを教えてください。
2019年の正月に「今年こそ新人賞に挑戦しよう、今から間に合う電撃大賞だ」と決めて、元々頭にあったアイデアを形にしました。
2020年に新作で落選したのを機に「どうしてもこの2人の物語を諦めたくないな」と改稿を選びました。元の作品要素は骨髄程度しか残らなかったですが、結果的により良い作品になったと感じています。
──作品の特徴やセールスポイントを教えてください。
異種バディとクライムサスペンスとファンタジーの闇鍋です。現代的な文明とファンタジー要素の絡み合う世界で、読んでいる方も一緒に捜査していただけると幸いです。
捜査官、魔導士、人型兵器がチームとなって捜査を進めていくので、それぞれの関係や距離感にも注目していただけると嬉しいです。
──作品を書くうえで悩んだところは?
構成の点では、読んでいる方が捜査に振り落とされないか悩みました。映像作品なら何となくついていけても、文章だと目が滑るのではないかと心配で、情報の出る順番や捜査状況の振り返り頻度に気を遣いましたが、上手くいったか分からないので早く読んだ方の感想を聞きたいです。
人物描写の点では、人型兵器であるイレブンの無機質さを文章でどう表現しようか悩みました。イレブンの言動には一定のルールを設けて、他の人物と差別化を図りましたが、上手く伝わるかいつも心配しています。
──執筆にかかった期間はどれくらいですか?
合計で半年ぐらいです。2019年応募のために3か月、2021年応募のために3か月かかりました。
──執筆中のエピソードはありますか?
ノートパソコンからデスクトップパソコンに買い換えました。前のノートパソコンはWキーが壊れた上に、OfficeWordが5分に1回応答停止する状態でしたので、今思うと原稿データが吹っ飛ばなくて幸運でした。
──本作の主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
テオは「堅物捜査官」として生まれ、構想段階から出版に至るまで、一番設定が変わった人物です。色々と苦労をかけているので、読んだ方に親しみを持ってもらえたらいいな、と親心が出ています。
イレブンは「とにかく命令に忠実な、人間ではない相棒」として生まれました。私の中では不定形で、言動以外はっきり決まっていなかった子ですが、イラストを担当してくださった尾崎ドミノ様のおかげで、とても可愛らしい子になりました。皆さんにも愛でてもらえたら嬉しいです。
私個人としては、どちらが主人公で、どちらがヒロインか、ふわっとしています。お好みの方をヒロインにしてもらえたらと思います。
──特にお気に入りのシーンはどこですか?
物語のクライマックスになるシーンです。そのシーンの描写と台詞は、この作品の構想段階から決めていたので、一番のお気に入りシーンになりました。
──今後の予定について簡単に教えてください。
今年9月に2巻が刊行予定なので、皆さんに9月まで『アマルガム・ハウンド』を覚えていてもらえるように頑張りたいと思います。
──小説を書く時に、特にこだわっているところは?
さっぱりとした読後感です。読み終えた時に「あー面白かった。あのシーンよかったから、もう1回そこだけ読もうかな」と再び本編に戻ってもらえたら、この上ない幸せです。
──アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
アイデアを出す時は、箇条書きで書きたい要素を思いつく限り並べています。そのうち良さそうな組み合わせを思いつくので。
執筆の合間にジグソーパズルをやって集中力を取り戻していました。それでもだめな時は飼い猫の相手をして癒されています。
──学生時代に影響を受けた人物・作品は?
甲田学人先生の『Missing』『断章のグリム』に衝撃を受けました。視覚的に描写が迫ってくるような文章を読んで、私もこんな文章が書きたいと思いました。先生の作品を機に試行錯誤して、頭の中で作った映像を文章化する書き方で落ち着きました。
──今現在注目している作家・作品は?
『死者殺しのメメント・モリア』を書かれた夢見里龍先生です。流麗な文体は美しい情景が目に浮かぶようで、思わず溜息が出るほどです。第26回電撃大賞を機に知った方で、勝手ながら同期のような気持ちで応援しています。ファンタジー小説がどれも素晴らしいです。
──その他に今熱中しているものはありますか?
昔からゲームが好きで、今はYouTubeでインディーズゲーム中心にプレイ配信をしています。まだまだ登録者も少なくて細々としていますが、楽しくやらせていただいています。ゲーム配信を見るのも好きです。
──最近熱中しているゲームはありますか?
『Cooking Simulator』や『PowerWash Simulator』といったシミュレーションゲームにハマっています。物理演算と喧嘩することも多いですが、色んな体験ができて楽しいです。
──それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
もし自分にもハウンドがいたらどんな相棒になっていたか、想像しながら物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。本作が、あなたの良き友になりますように。
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『アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班』
- 著者:駒居未鳥
- イラスト:尾崎ドミノ
- 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
- 発売日:2022年7月8日
- ページ数:296ページ
- 定価:704円(税込)