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プロゲーマー・りゅうせいさんが語る格ゲー人生と休養について。『スト6』で競技シーンへの復帰を熱望!

たく坊kbj
公開日時

 FAV gamingに所属しているプロゲーマー・りゅうせいさんに、インタビューを実施しました。

 りゅうせいさんは、若手のプロゲーマーとして注目の選手。プロゲーマーになった経緯から始まり、ゲームとの向き合い方や2021年を振り返っての感想、そして休養理由などをお伺いしました。

 なお、収録は6月23日に実施。

起きている時間はすべてゲーム。プロ以前の生活スタイルを告白

――まずは、プロゲーマーになった経緯についてお聞かせください。

 僕は『BLAZBLUE(ブレイブルー)』というタイトルをプレイしていました。アメリカで開催された世界的な格闘ゲームの大会“Evolution Championship series 2017(以下、EVO2017)”で優勝したのがきっかけで、プロになりました。

――以前からプロゲーマーになって、ゲームで食べていく気持ちはあったのでしょうか?

 現在に至るまで、ゲーム以外のことをまったくやらないで生きてきました。自身のステータスを“ゲーム”に全振りしているようなものです。そのため、プロゲーマーに対しての憧れは当然ありました。

 FAV gaming格闘ゲーム部門の豊泉さん(豊泉三兄弟)から、「EVOという大会は、とても価値がある大会だ」と教えてもらいました。それは賞金だけではなく、注目度を含めてです。

 そのため「絶対にEVOで勝って、プロゲーマーになるぞ」という強い気持ちをもって大会に臨んだ記憶があります。

――“EVO2017”では、プロゲーマーとして活躍されている“フェンリっち”選手と笑顔で対戦されていたのが印象的でした。

 懐かしいですね! 大会という場所に関係なく、強いプレイヤーと対戦するのが楽しかったんですよね。EVOという大舞台の、しかも決勝なのに、家で友だちとゲームを遊んでいる感覚に近かったです。大会の決勝であんな感覚になったのは初めてで、笑ってしまいました。

 実はEVOに行く前は、プレッシャーをすごく感じていたんですよ。自分の使っているカルルというキャラクターが強かったので、またとないチャンスだと思っていました。「このバージョンなら勝てる、ここで勝たないといけないんだ」と。それどころか、これだけのチャンスを生かせないなら、この先で自分は成果を出せないんじゃないかという不安もありました。ただ、決勝まで行ったら、先ほどのような別の感情が湧きあがりましたね。

 フェンリっちは他のタイトルをプレイしても絶対に強いと確信していましたし、ゲームが好きなことも伝わってきたので、『ドラゴンボール ファイターズ』の世界大会で活躍したのを聞いて、うれしい気持ちになりました。

――それほどまでに『ブレイブルー』にハマり込んでいたのですね。遊んだきっかけは何だったのでしょうか?

 中学生ぐらいの時に、ゲームセンターで1作目の『コンティニュアムシフト』が稼働していて、それを遊んだことがきっかけです。やり込むきっかけは、高校生になってアルバイトをして家庭用ハードとソフトを買ったことですね。

  • ▲画像は『ブレイブルー コンティニュアムシフト』のもの。

――『ブレイブルー』の好きなところはどこでしょう。

 好きなところがありすぎますね(笑)。まず前提として、『ブレイブルー』はキャラクターの個性がかなり強いゲームです。『ブレイブルー』でないとできない動きがたくさんあるんですよ。そのため、どれだけ対戦しても、楽しくてしょうがなかったです。

――『ブレイブルー』は、キャラクターやストーリーにも力を入れている印象があります。

 そうですね。ソフトを手掛けているアークシステムワークスさんが、格闘ゲームで対戦することは得意ではないけど、キャラクターが好き、ストーリーが好きといった人のためのコンテンツをたくさん用意していました。開発の努力は当時から伝わっていましたね。

  • ▲画像は『ブレイブルー セントラルフィクション』のもの。

――当時、『ブレイブルー』はどれくらいプレイされていましたか?

 どれくらいと聞かれると、「遊べる時間は全部」と答えますね(笑)。朝からアルバイトに行って、終わったらゲームセンターに直行し、終わったら寝てアルバイトに向かって……を繰り返していました。ゲームが楽しすぎて、他のことをまったく考えなくなる。それでもまったく苦に感じなかったですね。

――ちなみに、どんなアルバイトをされていたのでしょう。

 ネットカフェですね。自由にシフトの調整ができたので、格闘ゲームをプレイするうえで相性がよかったんです。

――数あるゲームジャンルの中で、格闘ゲームを選んだ理由は?

 もともと1人用ゲームを遊んでいましたが、格闘ゲームは対人戦で、自分だけではなく相手も強くなっていくので、無限にやり込めると感じたことが理由です。同じことをひたすら繰り返すのではなく、ゲームの風景がいつも変わっていくのがとても魅力的でした。

――初めて格闘ゲームに触れたのはいつごろだったのでしょうか?

 初めての格闘ゲームは、同じくアークシステムワークスさんの『GUILTY GEAR XX(ギルティギア イグゼクス)』でした。いくつか調整版が出ていますが、その時に遊んでのはいわゆる“無印版”です。

 友だちの家で遊ばせてもらって「こんなにおもしろいゲームジャンルがあるのか。他にもあるならやってみたい」と思ったのが、最初の出会いですね。

不器用な部分を練習量でカバー

――プロになった前後で、プレイ時間や気持ちの変化はありましたか?

 かなりありました。

 もともとバイトをしている最中も、ゲームのことばかり考えていましたし、休憩時間に対戦動画を見るくらい、格闘ゲームにのめり込んでいました。そのため、バイトしていた時間がゲームに練習時間にあてられることが、自分にとってすごくうれしいことでした。

 気持ちの変化で言うと、趣味から仕事に変わったので、結果を求められるようになり、意識が変わりました。“勝たないといけない”が付いて回るようになりましたから。

 ただ、うれしいことももちろんあります。以前の自分にとってプロゲーマーは夢物語で、ゲームで生活できるなんて考えられませんでした。それが、今ではゲームで勝つことが評価されて、ゲームがうまくなることがメリットになります。「ひたすらゲームをやっていいんだな」と前向きになれたのは、すごくいいことだと思います。

――まだ当時、プロゲーマーはそこまで世間に浸透していなかったと思いますが、周りの人からの反対などはありませんでしたか?

 うちは放任主義ということもあって、「好きでやってることだから、全力でやってみなよ」という反応でしたね。そもそも母親がプロゲーマーという職業を知っていたんです。「それだけゲームに打ち込めるなら、才能があるんじゃない?」と前向きな反応で、背中を押してくれました。

――本人からするとうれしい反応ですね。

 それまで僕が、1つのことに熱中して続けることがなかったことが関係していると思います。そんな自分が四六時中ゲームをプレイしているのを見た母親が、応援してみようと考えたのではないかなと。

 親は自分が不器用であることを把握していたと思うので、それも関係していたのだと思います。

――ご自身が不器用であるのは、どのようなところから感じますか?

 常日頃から感じています(笑)。要領が悪かったり、人がすぐに理解できることに時間を要したり……自己嫌悪になることもあるほどです。ゲームの攻略面でも不器用さを感じていて、他のプレイヤーが10分で気が付くことに、自分は1日かけないと理解できない、そういうこともあります。

 とはいえ、遠回りになってしまうけれど、答えにたどり着くことができると思っているので、練習量でカバーするつもりでゲームと向き合っています。

――お話を伺っていると、すごくマジメな性格であることが伝わってきます。

 こういう性格が、いい方向に転んでくれたらいいと思いますね。考えすぎて悪い方に気持ちが向いてしまうこともあるのですが、うまく付き合っていきたいです。

――SNSで投稿している、コスプレについても伺いたいです。なにがきっかけで始められたのでしょうか?

 プロゲーマーのウメハラさん、ときどさん、ボンちゃんさんらが「プロとして人前に出る仕事をやらなければいけない」と話しているのを見て、見られ方に気を付けなければいけないと思ったのがそもそものきっかけです。

 ゲームセンターに通っていたころは、外見に無頓着というか、まったく気にしていませんでした。そのためプロになってから、美容が趣味になった流れですね。

 見た目が磨かれていくのを感じるのが性格的に好きでした。そこから「女装したら似合うんじゃないかな?」と思ったのがきっかけですね(笑)。

――それは、誰かに言われたわけではなく、ご自身でそう思った?

 そうですね。これだけ美容に気を使ったのであれば、化粧をしても似合うんじゃないかと考えてチャレンジしました。ゲーマーは変わっている人が多いと思うのですが、自分もやはりゲーマーであることを再認識しましたね。

 もともと本当に地味だったので、当時を知っている人からすると、今の自分を想像できないかもしれませんが、美容について攻略した結果が現在の自分です。自分磨きが楽しいこともあって、続けられてるんじゃないかと思います。

――ペットを飼われているとのことですが、カワイイものが全体的に好きなのでしょうか?


 カワイイものは大好きですね。昔から変わらず動物が好きです。

――今後、やってみたいコスプレはありますか?

 これは最近考えたのですが、ゴスロリを着てみたいです。真っ赤なゴスロリ。

 やってみたいことで言うと、スタジオを借りて、カメラマンを用意して、撮影してもらうのをいつか実現したいです。いや、はっきり言います。実現させます!

――言い切りましたね(笑)。

 強い気持ちがあるので、あえてここで言っておきます(笑)。

 可能ならば撮影会もやってみたいですね。FAV gamingさん、ぜひよろしくお願いします!

『ストV』移行後、いきなりプロと練習。勝つまでにかかった時間は“2年”

――プロになったことで、『ストリートファイター』シリーズに移行したのでしょうか?

 もともと『ブレイブルー』をやっていて、大会に勝つことを1番の目標としていました。国内の全国大会で何度も優勝しましたし、EVOでも優勝できて、多くの『ブレイブルー』のプレイヤーとたくさん遊べました。次は、カプコンのタイトルをプレイしている人とゲームを遊びたかったんです。

 多数のプロ選手が活躍されている場所で、真剣勝負がしたいという気持ちで『ストリートファイターV』に取り組みました。

――移行する以前に『ストリートファイター』シリーズは遊んだことはありましたか?

 1、2週間、遊んだことがあるくらいですね。メインでプレイしていたのはずっと『ブレイブルー』でした。

――『ブレイブルー』時代の経験は、『ストリートファイター』シリーズに生きていますか?

 とても生きています。『ストV』に移行してから、最初は負け続けていたんです。ただ、『ブレイブルー』でも、最初は勝てなかったものの、折れずにゲームを続けて大会で勝てるようになったわけです。

 どれだけ負け続けても最終的には勝てるだろうと考えて、とにかく練習するために、相手を選ばずに対戦していました。

――具体的に『ストV』に移行したタイミングは?

 シーズン2の終盤くらいですね。自分がプロになったころは、シーズン1を経て練習部屋の環境が整ってきた時期でした。

 半年もしないうちに、FAV gamingのトレーニングルームが設立されました。秋葉原の“e-sports SQUARE”などを含めて、ウメハラさんやときどさん、藤村さんなど、トップクラスのプレイヤーと一緒にプレイをしたこともありましたね。

――どれくらいの練習期間を経て、勝てるようになってきたのでしょうか?

 それこそ練習部屋に行っては負け続ける日々を続けていました。おそらく、2年くらいかかった気がしますね。1年間練習を続けていても、まだまだ差を感じていました。大会で強い人に勝てるようになったのは、2年目くらいの時期です。

 それでも、2本先取の勝負に勝てるようになったくらいで、勝ち続けることができませんでした。トップの実力に追いついたとは思っていませんでしたし、プレイ内容を見直しても実力が足りていなかったことを痛感していました。

――“ユリアン”を使用していましたが、選んだ理由はなんでしょうか?

 自分のプレイスタイルが、攻めが得意なキャラでセットプレイをするものでした。そこでそのようなプレイをできる、ユリアンを選びました。他の選択肢としては、“いぶき”や大会で活躍している“ラシード”が候補でしたね。

 決め手となったのは、プロゲーマーのネモさんがユリアンで活躍されていることに影響されたためです。

――“ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021”(以下、SFL2021)では、ときどさん、ボンちゃんさん、sakoさんとチーム“v6プラス FAV Rohto Z!”を組んでいました。チームの印象はいかがでしたか?

 プレッシャーが半端じゃなかったですね。僕以外のメンバーは実力、知名度ともにケタ違いで、トップクラスの人です。その中に、そこまで大きい実績がない、実力で見ても見劣りしてしまう自分が入ったプレッシャーを感じていました。このチームが負ける時は、自分が負けた時なんだろう、と。

――チームに加入して、よかったところはどちらでしょう。

 ときどさんもユリアンを使っていたので、ほとんど毎日一緒に練習していました。同じキャラクターの使い手だと攻略情報を共有できるうえに、キャラクターの強さを伸ばしやすいためです。

 ときどさんと一緒に練習して、最上位になる人の取り組み方や、尋常じゃないほどの努力を積み重ねていることを間近で見られました。とても貴重な経験だったと感じています。

 “SFL2021”に向けてすごい量の練習をしたのですが、そこで積み重ねた練習は今後のゲーマー人生にいきていくと思います。この先、一生使えるものを得られたと。

――どのような状況でも「対戦したい」とポジティブな声をあげるりゅうせいさんですが、プレッシャーというネガティブな感情をどのようにコントロールしているのでしょうか?

 基本的には、緊張や不安込みで楽しんでいました。

 大会のような大舞台だと、緊張しますし、勝ちたい気持ちが強くなり、お互いに極限状況になります。それだけ気持ちが入っている中で、勝ち負けを決める。真剣勝負として質が高い場所で勝つことが、ものすごく価値があることだと自分は思っています。

 日常生活で、ここまで追い込まれることはなかなかないので、コントロールするというよりは、ネガティブな感情を受け入れて、もろもろを含めて楽しんでいます。こういう状況も格闘ゲームならではの特徴だと思います。

――見事優勝を果たした“v6プラス FAV Rohto Z!”でしたが、大会全体を通していかがでしたか?

 先ほど言ったようにリーグ期間中は「自分が負けてチームに貢献できなかったらどうしよう」と、つねにプレッシャーを感じていましたが、毎日のように練習を続けて、少しはチームに貢献できたかなと感じられました。不器用でも、毎日練習を続けていれば、いい結果につながるんだなという成功体験を積めたと思います。

 もちろん、チームメイトにはすごく助けてもらいましたが、続けてこられてよかったと思っています。

――惜しくも辞退となってしまった“第4期 TOPANGA CHAMPIONSHIP”は、御覧になられましたか?

 見ていました。熱い試合の連続でしたね。

――注目していた試合はありましたか?

 sakoさんの試合ですね。“影ナル者(通称:KAGE)”は、アップデートでさまざまな調整が行われました。sakoさんはもともと好きでKAGEを使っていましたし、「今のバージョンだったら、いける」と判断したんだと思います。

 チームメイトということもあって、sakoさんの試合は熱を入れて観戦していました。

 戦績はもちろんですが、人気のキャラクターと対戦した時にどういう内容になるのかが気になりました。正直、ちょっときつそうな部分が見えて、「本当にやれるの!?」と(笑)。

 ただ、アップデートからそこまで時間がたっているわけではないので、動きやプレイはここから洗練されていくと思います。今後は、そこに注目したいですね。

――『ストリートファイター6(以下、スト6)』の情報はご覧になられていますか?

 もちろん、しっかり見ていますよ。PVやシステムを見た感想としては、カプコンさんがかなり気合を入れて作っていると感じました。メーカーがゲームを作ってくれるからプロゲーマーは続けられます。熱を入れて作ってくれているのが、本当にうれしいです。

 『ストV』に比べてシステムが増えているので、使い方次第で戦略の幅が広がり、実力が出やすいゲームになるんじゃないかと。個人的にはすごく期待しています。早く遊びたいです!

――開発の熱量を、特に感じたのはどちらですか?

 グラフィックはもちろん、1人用モード“ワールドツアー”の熱量がすごいと思いました。

 ゲームソフトを買って、「さっそく対人戦を始めてください」というのは、初心者にとってハードルが高いです。もし1人用のモードがあれば、対人戦をせずともゲームを楽しめるので、プレイヤーの遊び方や層を広げてくれることを期待できます。

 ゲームにふれて、何をしたらいいかわからない、練習するにもどうしたらいいのかわからないということは、当然あると思います。初心者が入りやすいモードがあるのは、いい試みではないかと。

――実況の実装をはじめ、プレイヤー層を広げてようとしているのを感じました。


 他に、入力方法が簡単になる“モダンタイプ”が発表されました。ゲームをプレイしたてのころは、必殺技コマンドをしっかり出すことがそもそも難しい。簡単な操作で必殺技を出してくれる要素を入れてくれたのは、ありがたいです。

 ゲームに慣れるまではコンボを覚えることも大変だと思いますが、ボタン連打でコンボを出せるならば、初心者プレイヤーでも対戦を楽しめると思いますし、いいですよね。

身体が動くのは本当に幸せなこと……ドクターストップの原因とは?

――りゅうせいさんご自身は、2022年の“SFL”を辞退されると発表していました。ドクターストップは、なにが原因だったのでしょうか。

 おそらくは鬱に近い状態でした。精神的疲労やストレスなどが溜まっていき、ある日、それが爆発してしまった。リーグ期間中は毎日練習して、「勝てなかったらどうしよう」という不安と隣り合わせでゲームをやり続けていました。また、詳細は言えませんが、去年の“SFL”期間中はプレイベートでもつらい状況になっていました。その結果、疲れがたまり、爆発してしまったんです。

 疲れや疲労に対して、そこまで自覚はなく、ゲームを続けられると思っていましたが、それがある日、表面に出てしまったのです。

 不眠気味になり、夜は寝られない。朝は朝で、起きてもやる気が起きない。大会が近いのに、練習すらできない。このままではいけないと思って、運動して身体を動かしてみましたが、改善する気配はありませんでした。

 いよいよもってまずいと思ったので、病院で診てもらいました。緊張状態が続いてしまうため、医者からは「モニターを見るのを休んでください」という診断を受けました。このままだと、将来的にゲームができなくなったり、後遺症が残って人生に影響があったりする可能性があるとのことでした。

――現在の症状はいかがでしょうか?

 不眠症と倦怠感については、回復に近づいていると思います。頭痛は完治するかわからないですが、痛み自体は引いてきています。この調子なら、前の生活に近づけるのではないかと。

 整体を週2回ほど通っていて、先生からは、身体を健康にするための食事、ストレッチの方法を聞いて実践しています。健康に関して、とにかく気を使うようになりました。

――sakoさんは長時間ゲームをするために、姿勢がすごくよく、ボタンを押す力も脱力していると伺いました。プロゲーマーの方々は、身体の負担とも戦わなければいけないのですね。

 病院の先生には、姿勢が悪いことを指摘されました。首の負担が関係しているかもしれないとも、言われていました。

――休業中に変わったことはありましたか?

 自分が休んでいる間に、他の競技選手は強くなっていくことで、取り残されていく……そんな不安と恐怖が、休んでいる間ずっとありました。大会で勝つことを目標としているので、差が開いてしまうのが怖かったのです。

 ただ、大変な状態を経験して「身体が動くというのは本当に幸せなことなんだな」と改めて思いました。10年ほど格闘ゲームを遊んでいますが、本当に好きで毎日楽しくやっていたんです。それはプロになる前も後も変わりません。それが、いきなり身体が動かなくなり、ゲームができなくなる。普段通りにすごせるということは、幸せなことなわけです。

 これまで、健康面に気を使っていなかったことは事実です。今後もプロゲーマーを続けていきたいと思っていますし、やれるなら生涯現役、競技プレイヤーをやり続けたいので、ちゃんと健康管理していきたいと強く思いました。

 “SFL”はお休みはしますが、『スト6』に向けての充電期間だと思っていただければいいなと思っています。今無理をして、『スト6』に回復が間に合わなかったら、それこそ今後の活動に影響が出てしまいます。しっかり休んで、『スト6』では最前線で戦っていくつもりです。

――りゅうせいさんはゲームのプレイ時間がとにかく多いと聞きますから、負担が大きいのかもしれませんね。

 ゲームプレイが解禁されたら、朝から晩までプレイしてしまいますからね(笑)。他のプロゲーマーからも「練習しすぎ」と言われたことがあります。“SFL”に出てしまうと、練習量が多くなることは明白です。また再発してしまう可能性があるので、今は休ませていただくことにしました。

――できるなら、とにかく練習したいと。

 仕事にしてしまったからこそ、妥協することをサボりに感じて、手が抜けないのです。ただ、『スト6』に備えて練習は控えるようにしています。

――ちなみに、プロになって思い出の一戦はありますか?

 FAVCUP2021決勝で対戦した板橋ザンギエフさん戦です。プロゲーマーになって3年目でようやくの個人戦初優勝だったので、優勝を決めることができたこの試合は印象深いですね。

――今後、練習の頻度を控えてお休みするとのことでしたが、その間にやっていきたいことはありますか?

 YouTube活動や個人配信に力を入れていこうと考えています。コスプレもガチで仕上げていきたいです。メイクしてくれる方、募集してます!

――最近、遊んでいるゲームはありますか?

 『ペルソナ』シリーズを初めて遊びましたが、かなりハマりました。格闘ゲーム以外でそこまで夢中になったゲームは久々ですが、『ペルソナ』シリーズは、ずっと遊んでいたいという気持ちにさせてくれました。

 最初に『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』を遊んで、楽しくてそのまま『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』を買って、毎日遊んでいました。クリアする時に「あ……もう終わっちゃうんだな」、「この世界から離れなければいけないんだな」と悲しい気持ちになったことが記憶に新しいです。

▲画像は『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』のもの。
▲画像は『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』のもの。

――これからの意気込み、今年度の目標をお聞かせください。

 身体を壊し、ゲームができない期間を経験して、感じたことがあります。昔は職業になかったプロゲーマーとして、ゲームを仕事にして生活できるのが幸せだということです。また、プロゲーマーとして、できることをやらなかったという後悔を抱かないようにしたいとも感じました。

 『スト6』で競技シーンに復帰できるように、今は回復に専念したいと思います。みなさま、今後とも応援のほど、よろしくお願いします。

――ありがとうございました。


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