呂蒙、泣いて同郷を斬る。理由はなんと…【三国志 英傑群像出張版#8-1】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 今回のテーマは[呉]の人物から、呉の四大都督(よんだいととく)3番手の呂蒙(りょもう)を紹介していきたいとおもいます。

 「呉下の阿蒙に非ず(呉の阿蒙ちゃんとはもはやいえない)」と魯粛(ろしゅく)に言わしめた大器晩成型の人物。

 対劉備・穏健派の魯粛と対比的に、対劉備・強硬派の彼。関羽を倒したことで、あまりいい印象を持つ人は少ないかもしれませんが、文武両道の名将といえるかと思います。

 まずは優秀な彼の民間伝承をご紹介します。

呂蒙、泣いて同郷を斬る

 呉の名将・呂蒙は、軍都の陸口(現・嘉峪県呂西郷)に長く駐屯していた。陸口は長江に近く、毎年夏になると川の水かさが増して、軍の兵舎や農家の建物が危険にさらされた。

 呂蒙が陸口に来たとき、兵士に命じて川沿いに堤防を築かせて洪水を止めさせ、城壁も築かせた。

 作業中、呂蒙は民衆に迷惑をかけないよう、兵士に民衆の財産を勝手に持ち出した者は処罰すると命じた。

 軍隊の中に小隊長がいた。呂蒙の同郷者であった。(中国において同郷同士の絆は強い)

 ある日、暑い日が続き、兵士たちは外衣を脱いでまとめたが、雨が降ってきた。男たちは作業を続けたがその小隊長は兵士の服が濡れると、それを覆うために、道ばたの農家から帽子を借りて、それを被せようとした。

 その帽子を持っていこうとすると子供が返せと叫んだ。堤防の上を巡回していた呂蒙はその声を聞きやって来て理由を聞いた。

 呂蒙は帽子を盗もうとしたとして小隊長を捕まえ公開の場で首をはねさせようとした。

 その時、その子の親が帰ってきた。自分の子供のせいで小隊長が殺されそうだと知るとそれを止めようと「私の子どもの教え方が悪いだけなんです。」と言った。

 小隊長もひざまずいて詫びた。「二度とやりません。同郷の情けで助けてください」と。

 呂蒙はそれを聞いて心ゆれ、涙が流れ落ちるのを感じた。

 しかし昔から言われているように「千里の堤(つつみ)もアリの穴から崩れる。帽子を取ることは、些細なことのように思える。しかし法律が守られないとどうして国民が信頼できるのか?」と小隊長に呂蒙は言った。

 「同郷のために法を曲げる事になると、士気が損なわれる。あなたが死んだら、私はあなたを丁重に葬りましょう。あなたの死後、私は儀式に従ってあなたを埋葬しあなたの家族を養いましょう。安心するように!」と言って、命じて処刑を行わせた。

 民衆と兵士は大きく心揺さぶられた。それ以来、軍規が厳しくなった。村人たちはとても協力的で、各地から屈強な男たちを新兵として送り込んできた。

 そして、呂蒙はすべての村々から選ばれた新兵たちとともに、堤防を築いていったのである。

 そしてすぐにそれは完成した。民衆は、将軍が自分たちのためによくしてくれたことに感謝しその地を“呂蒙城”と呼んだ。

魯粛と呂蒙の友情

 魯粛(ろしゅく)が重い病気になったとき、息子の鲁淑(ろしゅく)を呂蒙に託した。(※鲁淑は魯粛死後に生まれた)「私の息子にもあなたのようになるよう勉強を教えてください、そうすれば息子は成長しますから。」と。

 呂蒙は魯粛の息子鲁淑と自分の息子吕霸(りょは)を陸口の呂蒙城“蔵書閣”へ連れて行った。そして、自分が若い頃に読んだ経典、歴史書、聖典をもう一度読むようにと教えた。

 ある時、呂蒙が兵役のため陸口を離れることになったとき、二人の若い子に“孫子の兵法”を読んでから出立するように指示した。

 1カ月後、呂蒙は彼らを試験するために戻ってきたが、彼らは若く遊び好きであったため、答えることができなかった。

 息子たちには“蔵書閣”の扉の前にひざまずかせ、「“兵法”13冊を暗記するまで立ち上がってはいけない」と言った。

 呂覇はあえて何も言わず、言われたとおりにした。鲁淑はひざまずいて、慈悲を乞うた。「おじさん、お願いだから彼を罰しないでください! 勉強がつまらないからと遊びに引っ張り出したのは私です。罰するなら私だけを罰してください!」と。

 呂蒙は言った。「私が残酷すぎると思っているのかな。罪は一緒にいた以上、同罪だ。私も子どもの頃は勉強しなかったが、大人になってから勉強の大事さを実感したのだ。あなたの父(魯粛)は死の床で私にあなたを託した。私が厳しく接し、しっかり教えなければ、君は一人前にならない。あなたの父の精神にふさわしい人間になってもらいたい。」と。

 彼らは反省して、それ以来勉強するようになった。呂蒙の指導のもと、二人は文武の才能を発揮し、後に東呉の将軍となった。

 いかがだったでしょうか?

 名将・呂蒙のすごさを改めて気付かされるお話でした。

 1つ目、やはり名将という人に共通するのは、たとえ愛する者であっても、違反者は厳しく処分するという事。規律を保ってこそ軍は優秀に運用できるという事を教えてくれます。

 2つ目、魯粛と呂蒙の絆が知れて幸せな気持ちにさせてもらえました。

 大都督たちの絆が呉を守ってきた原動力だったのかもしれないなと思わせてもらえました。

 次回も呉の人物を紹介していきたいと思います。

三国志交流会 第2回「桃園の智会」8/14(日)開催決定!

 第1回をゴールデンウィークにおこない、大好評だった交流会「桃園の智会」を、お盆にも開催します!

 主な内容や、参加は下記を参照のこと。ぜひご参加ください!

「桃園の智会」の主な内容
★小テーマをどんどんあげてそれについて一言ずつ発言していきます。
★フリートークでは”ない”ので、おしゃべりだけが沢山話すとか、はずかしがり屋が発言できないとかはないです。
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場所KOBE鉄人三国志ギャラリー
日時:8月14日(日)17時~19時頃
要予約:予約、お問い合わせはTEL(078-641-3594)かこちらのページから

8月、孔明の北伐陣没を偲んで「竹簡一筆箋」を新発売

 孔明の最期の北伐 五丈原の戦いで惜しくも8月陣没しました。(三国志演義では8/23)

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 英傑群像通販サイトやKOBE三国志ギャラリーなどで680円(税込)で販売していますので、チェックしてみてくださいね。 

概要
商品名:竹簡一筆箋
販売場所:英傑群像通販サイト、KOBE三国志ギャラリーなど
価格:680円(税込)


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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