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Switch版『紅魔城レミリア』レビュー。自由に飛べる爽快感が光る良作でフルボイス化も◎!【電撃インディー#305】

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は7月28日に発売の『東方Project』二次創作2Dアクションゲーム『紅魔城レミリア 緋色の交響曲』のNintendo Switch版をプレイした感想をお届けします。

 Switch版『紅魔城レミリア 緋色の交響曲』は、グラフィックのHD化やシナリオの追加など、さらにバージョンアップしたもの。

 オリジナル版になかった要素として、豪華声優陣によるフルボイス化も実現しています。

 また、追加要素として“伊吹萃香”がパートナーとして仲間に加わり、“エクストライージー”モードが追加されています。

 なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

スタンダードなアクションに“飛翔”がスパイスとして加わる

 本作は『東方Project』の二次創作であるステージクリア型のアクション。

 メインとなる武器は、ムチのように振ってほぼ真横を攻撃できる“おおぬさ”。そして、敵を倒したり、ステージ内のオブジェクトを壊したりすると“御霊”を獲得でき、御霊を消費して飛び道具の“御札”を放てます。

 また、ステージが進んでいくと御霊を消費して“霧雨魔理沙”をはじめとしたパートナーを呼び出して弾幕を繰り出してもらうことが可能です。

 御札やパートナーの弾幕はおおぬさと比べて極端に強力なものではなく、後述の“飛翔”中でも使えたり下の敵を攻撃しやすかったりといった便利な攻撃手段という位置づけ。つまり、おおぬさを主体に、要所で御札やパートナーを活用しながらステージを攻略していくこととなります。

 昨今の2Dアクションは、使える攻撃の豊富さを重視したり“メトロイドヴァニア”と呼ばれる探索型のものがよく見られる中、本作はあくまでスタンダードな2Dアクションを踏襲している印象です。

 そんな中で本作の大きな特徴と感じたところは、ジャンプ中にジャンプボタンを押すと行える“飛翔”です。

 飛翔中は文字通り、上下左右に自由に飛び回ることが可能。敵の攻撃を受けると解除されますが時間制限はなく、どこまででも飛び続けることができます。

 さらに、空中で敵の攻撃にあたって吹き飛ばされたときにも飛翔は可能。吹き飛ばされた先に穴やトラップがあって、そのまま力尽きるという2Dアクションのあるあるを、反応と判断力で回避できるとちょっとうまいプレイができた気がしますね。

 ただ、無限に空を飛べるからといって、常に飛び続けて配置された敵やギミックが台無しにできるようなことはありません。

 ステージ内で飛翔でしか立ち入れない極端に高度の高い場所や低い場所には、飛翔では回避困難な速度で攻撃を仕掛けてくる敵が配置。さらに、後半のステージは建物内が主体となるので、飛べる高さ自体に制限のかかるシーンが増えてきます。

 また、一度のジャンプ中に飛翔を行えるのは一度きり。飛翔中に攻撃を受けたらあとは重力に身をゆだねるしかなくなるので、窮地を回避するために飛翔を使うならジャンプを主体に移動したほうがよいと、飛翔を使わないことに対するメリットも用意されている印象です。

 そして、飛翔が大きく影響するのが各ステージのラストに登場するボスとの戦い。本作の物語は『東方紅魔郷』をベースとしており、チルノや美鈴などがステージの節目に登場します。


 彼女たちボスの攻撃は、ジャンプやスライディングだけでは回避困難なものが多くあります。中には(少なくとも自分が考える範囲では)回避が難しいものも……。

 ただ、こういった攻撃には飛翔を使えばある程度避けられるものもあり、飛翔しながらボスの攻撃を回避するプレイは、アクションというよりも横スクロールのシューティングに近いと感じました。

 ボス戦では、相手の攻撃に応じて飛翔するか否かで“2Dアクションの避け方”をするか“シューティングの避け方”をするかをプレイヤー自らが選ぶ遊びが盛り込まれていると言えるでしょう。

 もちろん、地上で避けるか飛翔で避けるかはプレイヤー次第。同じ攻撃でも人によって、地上と空中のどちらのほうが避けやすいかが変わることもあるはず。

 いわば霊夢の“移動モード”的なものを切り替えながら立ち回れることが、飛翔の持つ最大の魅力だと感じます。

手ごたえはしっかりありつつクリア自体は簡単

 スタンダードな2Dアクションに飛翔が加わっている本作は、移動の自由度が高いものになっているぶん敵の動きやトラップの配置もひとくせあるものになっています。

 例えば、ただ敵を配置しただけでは飛翔で簡単に飛び越えられてしまいます。また、アクションゲームでは定番の上下に動く足場を本作にそのまま配置しては、そもそも足場に乗らずに飛翔すれば対処できるでしょう。


 そういった、飛翔があるからこその抜け道をふさぐように敵などが用意されているため、本作は手ごたえのある難易度になっています。

 ただ、手ごたえがある一方で、クリアをサポートする要素は豊富にあります。

 まず、個々のステージで力尽きた際のリスタート地点が細かく設定されています。ステージによっては20カ所近いリスタート地点が設定されていることも……!

 これはステージの画面が切り替わるポイントすべてがリスタート地点になっているためです。

 さらに、ステージセレクト機能は選んだステージをクリアすれば、そのまま次のステージに行ける仕組みになっています。ゲームクリアを目的にする場合、1ステージクリアごとにセーブされているようなものです。

 そして、オプションで残機は最大20機まで増やせ、難易度を“エクストライージー”にすればボスをごり押しで倒せるくらいに難易度が下がります。

 残機を20機に設定して、エクストライージーで、各残機ごとに画面が切り替わるポイントに到達することを目標にして、ゲームオーバーになったら進めたステージから再プレイ。と、とことんまでクリアが簡単になるようにして遊べば、プレイを開始して数時間でクリアするのも無理な話ではありません。

 プレイヤー全員がこういった極端な難易度の下げ方をする必要はありませんが、アクションの腕前が異なる幅広いプレイヤーが自分にあった難易度で遊べるのもまた本作の魅力でしょう。

超シリアスなビジュアルに反して物語は意外とゆるめ

 最後に少しだけ触れておきたいのが、本作の雰囲気について。

 キービジュアルや会話シーンなどで見られる本作のキャラクターイラストは、非常にシリアスな雰囲気が漂っています。

 これらを見て物語も非常にシリアスなものが展開されると思ってもおかしくはないでしょう。正直なところ、自分はゴシックホラーの王道をいくような物語が展開されると思っていました。

 ですが、本作の会話劇は東方二次創作として奇をてらったものではなく、ゆるめのやりとりの中、チルノがむきになってボス戦が始まったり、無理やり紅魔城に入ろうとする霊夢に対して仕方なく美鈴が相手をするといったもの。和気あいあいとしたやり取りとともにアクションが楽しめますよ。

 

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