『ディスコ エリジウム』プレイ日記その1。主人公の中にいる人格の解説もお届けします

信濃川あずき
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 8月25日にスパイク・チュンソフトから発売予定のNintendo Switch/PS5/PS4向けRPG『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』。そのプレイ日記をお届けします。

 『ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット』はRPGタイトルと表記されていますが、単に“RPG”と一口に言ってしまうのはためらわれます。まず、テキスト量が膨大。そして、登場人物が個性の塊で、ステレオタイプのキャラクターが見当たりません。カオスへようこそ。

 4回にわたって、本作の先行プレイ日記をお届け。独特なシステムを搭載しているので、あわせて解説も織り交ぜていきます。

 なお、このプレイ日記はエンディングまではプレイしませんのでご安心を。また、途中の展開はプレイヤーごとに変わっていくので、本稿を読んだあとで実際にプレイした場合でも筆者と異なるプレイ体験をするはずです。

酒と鏡と男と女

 プレイを開始すると、最初に“アーキタイプ”の選択を求められます。あらかじめ決められた3つのタイプに加えて、自由に能力を設定することもできます。

 今回は、あらかじめ用意されているタイプの中から選ぶことにします。筆者は、普段なら力を上げて物理で殴るプレイを好むので、説明文に「とてつもなく馬鹿」と書かれている“肉体派”に強く惹かれました。しかし、綿密な描写の文章が評判の本作をプレイするにあたり、“思想家”の「独創的なアイディア」を見てみたくなりました。よって、思想家を選択!

 プレイを開始すると、突然何者かに語りかけられます。

 ところどころ出現する選択肢を、直感で選んでいくようです。誰と対話しているのか、そもそも自分が誰なのかもわかりませんので、筆者自身が回答する感覚です。

 しばらく不思議な問答を繰り返し、どうやら対話は終わったようです。主人公と思われる男性が起き上がります。

 これはまたひどい状況ですね。ここがどこなのかも、この人が誰なのかもわかりませんが、あまりにも格好がだらしないのでまずは身支度をととのえたいところ。それにしても彼、ものすごく体調が悪そうですが、大丈夫でしょうか。おそらく主人公の顔と思われますが、左下の塗りつぶされたような肖像画が不気味。

 部屋のあちこちに、主人公のものと思われる衣類が落ちていますので、入手してちょっとずつ身につけていきます。ネクタイが天井のファンに引っかかっていますが、いったいどんな脱ぎ方をしたらそうなるんでしょう。

 室内には大量の酒瓶が残されていました。彼の体調不良は、ひょっとして飲み過ぎ? 画面を見ているだけなのに、なんだか酸っぱいにおいがただよってきそうです。

 主人公は、浴室の鏡を見て自問します。そして、一切の記憶がないことに気付くのです。飲み過ぎが原因なのかはわかりませんが、とにかくすべての記憶を失っているようです。名前すらわかりません。

 湯気で曇っていた鏡を拭くと、ようやく主人公の顔がはっきりとわかります。しかし、鏡さんも「とくと見よ!」って、けっこうもったいぶりますね。いや、そもそもなんで鏡と会話しているのでしょうか……。

 フラッフラの状態ながら、なんとか身支度を整えた主人公。いつまでも空気の悪そうな部屋にいたくなかったので、外に出てみました。部屋の外は案外きれいで、同じようなドアが並んでいることから宿泊施設と思われます。

 たばこを吸っていた女性から声をかけられます。主人公のことを「オフィサー」と呼んだ女性。この人と会話すれば、主人公が忘れてしまっている主人公自身のことを聞き出せるかもしれません!

 オフィサーという英単語には、警官という意味も含まれているようです。注釈が親切ですね。……あれっ、主人公は警察?

 親切なのか気が向いただけなのか、丁寧に対応してくれた女性のおかげで主人公のことがかなりわかってきました。

 主人公は刑事で、なんらかの任務により3日前から宿泊していたようです。隣室に宿泊する女性は前夜、主人公の部屋から大音量のディスコ音楽が聞こえてきたとのこと。途中で音楽が悲しげな曲に変わったかと思えば、主人公が突然叫んで大暴れする音がしたのだとか。

 とてつもなく迷惑なことですが、女性はそのあと出かけたらしく、さほど迷惑と思っていないと言います。うーん、本当に彼女に迷惑をかけていないのでしょうか。

頼れる相棒キツラギくん!

 客室エリアの階段を下りると、飲食店のようなエリアがありました。

 歌えそうなステージや飲食するテーブルなどが見えます。簡素なステージではありますが広さはあるし、ライブを見ながら一杯飲めるとしたらなかなかいい店ですね(笑)。

 ステージのマイクを見つめると、誰かが「ここで歌を歌うべきだ」と話しかけてきました。周囲に、話者の姿は見えません。まるで、主人公が自分ひとりふた役を演じて会話を成立させているかのようです。もしくは、頭の中に直接誰かが話しかけているか……。

 店の入り口に、主人公を待っている人がいました。彼の名はキム・キツラギ警部補。主人公とは別の管轄に属しており、この事件の捜査のため主人公と組む一時的な相棒です。

 キツラギくんとの会話から、主人公が捜査すべき事件というのは殺人で、木に死体が吊されている状態だということがわかりました。

 キツラギくんに「自分は記憶を失っている」と訴えますが、泥酔が原因の一時的なものだととらえられてしまいます。まあ……まさか一晩で本当にきれいさっぱり忘れてしまうとは思いませんよね。

 まだほんの数人しか出会っていませんが、登場人物みんなクセが強すぎで百鬼夜行状態の中にあって、キツラギくんは我々の感覚に比較的近い常識的な人物かもしれません。記憶喪失のまるごし刑事としては、キツラギくんを大切な相棒として頼るしかなさそう。彼の機嫌はできるだけ損ねないように行動するとしましょう。

 キツラギくんを伴って、記憶のないまま殺人事件の捜査を始めます。まずはこの店の店長に聞き込みです。

 店長は複数の店を経営しており、この店にもたまにしか来ないのだとか。店長というより実質オーナーですかね。このため、事件が起きた時はここにはおらず、通報したのは別の人なのだそうです。

 死体があることを警察に通報した女性店員は、店長からアプローチをかけられたのが原因で店をすでに辞めてしまっていました。近くで死体が出たっていうのに女性へのアプローチを忘れないあたり、この店長は大物ですね。通報者の電話番号はゲットしたので、あとで話をすることはできるかもしれません。

 話は聞けたし、じゃあまたね……というわけにはいきません。店長から、客室を破壊したことを指摘され、賠償金を請求されます。あれだけ派手に破壊したのですから、当然のこと。しかし、主人公には所持金がほとんどありません。というか、捜査に来ているっていうのになんでスッカラカンなんでしょう。全部お酒にしちゃった……?

 損害の弁償が、正式にタスクとして加わりました。現状途方もない金額のように思えます。事件の捜査をしながら、こんな大金を作ることができるのでしょうか。

 ホテルに泊まれないなら自宅で眠ればいいじゃない! というのが手っ取り早い対策ですが、主人公は自宅の場所すら思い出せません。いよいよ記憶喪失が深刻な問題になってきたので、改めてキツラギくんに相談してみることにします。

 キツラギくんに現状を一生懸命説明することにより、思ったよりも深刻だということがわかってもらえたようです。無線で署に連絡することをすすめられます。のちほどやってみることにしましょう。そして、ここでもうひとつ重要な会話が。

 主人公がキツラギくんに、「自分の脳みそを相手に会話をしたことがあるか?」と問いかけます。キツラギくんは、自分の考えごとのお供は手帳だと言ってこれを否定。つまり、主人公は自分の脳みそを相手に会話をしていたということです。いままで、思考を開始すると話しかけてきた“誰か”は、主人公の内面だったのです。

 さて。この主人公の男、お酒で記憶をなくすし、お金もぜーんぶなくすし、いまのところかなり情けなく映ります。ただ、それでも刑事なのです。こんなに堕落しているのも、記憶を失っているせいだとも考えられます。実はスゴ腕スーパー刑事だったかもしれないのです!

 詳しくは次回以降になりますが、今回のプレイでは盗みを働いたりよくないお金を受け取ったりするような、正義の刑事とは対極の行動は否定します。本作ではそういった悪い行動をやろうと思えばできてしまうのですが、可能な限り回避します。ノー汚職、ノー賄賂。今回のプレイスタイルは「汚れたことは大嫌い! 正義こそジャスティス!」でいこうと思います。

 次回、この店を出ていよいよ捜査を開始します! 主人公の記憶の行方、そしてホテルへの賠償金の準備と、殺人事件の捜査以外のこともずいぶんと忙しくなりそうです。

主人公の状況まとめ

・主人公は記憶喪失の刑事
・酔っ払って壊したホテルの賠償を抱えている
・主人公は内面の別人格とおしゃべりできる
・殺人事件の捜査をしなければならない
・被害者の遺体が木から吊されている
・捜査の相棒は別管轄から来たキツラギくん

主人公の目標……殺人事件の解決、記憶の回復、ホテルへの賠償

24人の記憶喪失警察

 ここからは、主人公が持つ能力について解説します。主人公が持っている能力は“知性”、“精神”、“肉体”、“運動能力”の4種類。さらに、それぞれ6種類ずつ細分化されており、合計24のスキルを持っていることになります。

 24のスキルには、それぞれ人格があります。それらの人格と主人公が会話をすることにより知識が引き出せたり、思考が進んだりするのです。

 スキルたちの性格は極端に異なります。また、あるスキルとの会話中に、別のスキルが割り込んでくることも。このため、登場人物が主人公とキツラギくんだけの場面も、いろんな会話が飛び交って実ににぎやかなのです。

 筆者のお気に入りは“内陸帝国”くんです。主人公のことを陛下と呼んで、おおげさな物言いで語りかけてくるあたりがかわいらしいんです。なお、内陸帝国くんの能力は、目には見えないものを察する直感力や予感、予測の力に関わります。

 あと“電気化学”くんは、グイグイくるしゃべり方が好き。ちなみに電気化学くんの能力は、飲酒や喫煙をした時のマイナス効果を軽めにしてくれます。本作の飲酒、喫煙はプラスとマイナス両方の効果があり、うまく使うとチェックの際に有効です。ただ、筆者はあまりそういうものに頼らないプレイ方針なので、今回に関しては電気化学くんの活躍が少なめかもしれません。

 皆さんもぜひ、24の人格たちの中から推しを探してみてください。

 スキルは、数字が大きいほど高い能力を発揮します。最初に選んだアーキタイプにより、初期にどの能力が高いのかが変化しています。能力を上げるには、レベルアップにより得られるスキルポイントを割り振ればOKです。

 主人公が捜査を進めると、ときどき経験値が手に入ります。経験値が100たまるごとに、スキルポイントが1得られるのです。このスキルポイントを割り振ることにより、能力をアップさせられます。

 スキルの数字の高さは、捜査の中で発生する“チェック”の成功率に関わります。チェックとは、思考や行動など少々難しい行動を起こそうとした際、成功するか失敗するかの判定です。テーブルトークRPGのようにダイスロールで判定するので、成功率がすごく高くても100%でない以上、失敗の可能性もあるのです。

 本作のチェックでは、その状況で求められているスキルの数値に、前後の選択肢や周囲の状況による補正が加わって判定が行われます。

 チェックに成功すれば、やろうとしていた行動または思考を実行することができます。

 失敗すると成果が得られません。ただし、チェックには2種類あり“ホワイトチェック”の場合は条件を満たせば再挑戦が可能。“レッドチェック”はチャンスが1回のみなので、再挑戦ができません。

 主人公が事件の捜査を進めるにあたり、全部のスキルを万能にしておく必要はありませんし、そこまで大量のスキルポイントを得ることも困難です。捜査の進め方はひとつではないので、得意なスキルを活かしていけばいいのです。特定のスキルを集中的にのばすか、全体的に当たり障りなくできるようスキルポイントを散らすかはプレイヤー次第。

 いっそ、推しの人格を集中的に育ててもいいかもしれません。それこそ「推しとともに事件を解決する」といった感じでしょうか。

 ホワイトチェック再挑戦の条件として、特定のスキルへのポイント割り振りを求められることがあります。気になるチェックにすぐ再挑戦できるよう、レベルアップで得たスキルポイントのうち1だけは使わずにとっておくのもおすすめです。

 人格たちとうまく付き合うことで、チェックを乗り越えて新たな証拠や証言が得られます。このダイスロール風の判定こそ、本作の醍醐味のひとつ。頭の中でダイスを転がしながら、じっくりと楽しんでください。

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