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『アライアンス・アライブ HDリマスター』レポ。ギルド員集めや細かな会話の分岐が楽しい王道RPG【電撃PS】

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 フリューが、10月10に発売するPS4/Nintendo Switch用ソフト『アライアンス・アライブ HDリマスター』。本作を先行して遊んだ担当ライターによるプレイレポートをお届けします。

 『アライアンス・アライブ HDリマスター』は、2017年にニンテンドー3DS用ソフトとして発売された『アライアンス・アライブ(以下、アラアラ)』をHDリマスター化したタイトルです。

 ゲーム中のグラフィックが高画質になっていることに加えて、UIをニンテンドー3DS版の2画面から1画面に合わせたものに変更。ゲーム中のシステムを解説したガイドブック機能を追加するなど、より遊びやすく改善された作品となっています。

 今回は、ニンテンドー3DS版から本作をプッシュしている担当ライターのまさんが、ひと足早く製品版相当のマスター版をプレイ。王道RPGとしての『アラアラ』のおもしろさと、HDリマスター版ならではの魅力を2回にわたってお届けしていきます。

 まずは、物語や仲間集めといったRPGとしての探索部分にスポットを当てた話から!

ワールドマップがある王道RPG『アラアラHD』

 みなさん、ついに! ついに『アラアラ』のHD版が出ますよ!! いや~待ってました。自分は、ニンテンドー3DS版から何度もレビューやプレイレポートを書いてきましたが、とてもいいRPGなんですよ。

 だから、今回HD版でより多くのユーザー広がるのは本当にうれしい! プレイ済みの自分でも、もう1回遊びたくなる作品なのでガリガリ推していきたいと思います。

 でも、HD版の話をする前に……そもそも3DS版の原典たる『アラアラ』とは、どのような作品だったのかを語らせてください。まず、このゲームはワールドマップがあって仲間を集めて、世界を歩いて冒険する王道のRPGです。

 巨大なワールドマップに町が点在しているという、いまとしてはめずらしくなっていたオールドスタイルのRPGなのですが、非常によくできていました。

 かつて『幻想水滸伝』シリーズで初期のシナリオを手掛けていた村山吉隆氏が描く群像劇のストーリー。『サガ』シリーズなどでバトルデザインを手掛けた小泉今日治氏による絶妙なバランスの戦闘。

 そのほか細かいやり込み要素と、往年のRPGを手掛けたスタッフが手を組んでいるだけあって、自分たちが欲しいものをハズさずに盛り込んでいます。

 とくに、自分は長年にわたる村山信者でもあるので、村山さんの描くシナリオと世界観は大好物。序盤は9人の主人公たちの視点がコロコロ変わるシナリオ重視で、各世界をそれぞれ冒険。仲間が合流してからは、ある程度自由に冒険できるという昔のRPGのような世界の広がり方も最高です。

 味方にだまされるようなイヤな展開もないですし、メタフィクション的な展開もない。本当に王道なRPGなんですよ。村山さんが手掛ける群像劇の冒険活劇は、こういうのが欲しかった自分にガッツリ刺さりました。

  • ▲立場も種族も違う主人公たちが、コミカルに冒険を繰り広げる。いろいろな人に受け入れられやすいストレートな物語が見どころです。
  • ▲群像劇なので、同じ場面を別の視点から見るイベントも。序盤は複数の視点で物語が進み、合流後から本格的に冒険が始まる感じです。

 王道なのは物語だけではなく、探索もそう。巨大なワールドマップがあって世界を冒険するRPGというのは昨今だと減ってしまいましたが、本作はSFC時代や初代PSのころにあったRPG同様に探索をガッツリ楽しめます。

 先頭に選んだキャラクターによって物を調べたときの反応が違ったり、選択肢によって細かい展開が変わったりと、細かい部分まで作り込まれているのも好きですね。

  • ▲助けるか、見捨てるかで、その後の展開に変化があるイベントも。会話や探索での細かい分岐が多く、周回して違いを見る楽しみもあります。
  • ▲サブイベントで、肉の値段を変えると……。今回はセーブデータが99個作れるので、事前にセーブしていろいろ試せますよ!

 あと、物語の大枠としては1本道のRPGなのですが、操作しているキャラで相手への反応が変わったり、選択肢が別のイベントに影響したり、訪れる順番で会話が変化したりと、細かいイベントの分岐がものすごく多いんですよ。

 だから、遊ぶ人によって印象が違ってくる場面も。ここも、昔のRPGっぽさがバリバリありますね。大きな世界のなかで物語を楽しみつつも、自分だけのパーティである程度好きなように冒険できます。

  • ▲ビビアンとティギーのボケボケなやり取り。これも、先に訪れた場所によってやり取りが変わります。こういう細かい違いがコダワリですね!

150人以上のNPCたちと冒険できる壮大な群像劇

 本作では、メインメンバーとして冒険する9人の主人公と、戦闘で使える3人のサブキャラクター(加入させるかどうかも自由)を合わせた12人の戦闘メンバーを組み替えて冒険を楽しめます。

 しかし、それだけではありません。戦闘で戦うメンバーは12人ですが、いわゆる“仲間”に当たるNPCはなんと150人以上! それが、このゲームで自分が一番大好きな"ギルドシステム"です。

  • ▲次々と仲間のリストが増えていくのは、単純に見ているだけでワクワクします。ちゃんと加入後にも会話があるのがうれしい。

 ギルドシステムは物語を進めて本拠地となる方舟を手に入れ、海をわたれるようになると解禁されます。とはいえ、ギルド自体は序盤から登場。

 図書ギルドや印術ギルドといった全部で5種類のギルドが存在しており、戦闘中に特殊な効果でサポートしてくれたり、各地にあるギルドに立ち寄るとアイテムを売ってくれたりするといった恩恵にあずかれます。

 そしてさらに! 方舟を手に入れると、ギルド員を集めてギルドの機能を拡張できるようになるのです。

  • ▲レベルが上がると恩恵がどんどん増えます。すべてのギルドをレベルマックスにすることはできないので、よく考えて上げていきましょう。

 町やダンジョンにいる人々に話しかけ、ギルドに勧誘すると方舟に人がどんどん増えていくんですよ。まさに、RPGの仲間集めと同じ。いや、もう実質的な意味でも仲間ですね。ちゃんと会話もあるし、最後まで方舟で一緒についてきてくれる仲間です。

 主人公たちの本拠地である方舟に、人が集まってにぎやかになっていく。自分のように本拠地のあるRPGが大好き人たちにはたまらない要素ですね。『アラアラ』は、本拠地のあるRPGなんですよ。村山さんのシナリオのゲームで、本拠地に人を集めていく過程が楽しめるんです。好きな人は絶対好きなやつ!

 人はもちろん、魔族やモンスター。種族を越えた仲間たちが方舟に集まってくるだけで楽しくなっちゃいます。もちろん、彼らはただ船で留守番をしているだけじゃありません。冒険中でも、ちゃんと会話が楽しめるんですよ。

 “テレグラフ”というSNSのようなシステムで、冒険中にメッセージや日常会話を送ってきてくれるんです。

 役に立つ情報から、本当にどうでもいい会話までいろいろな内容が飛び交うのですが、テレグラフのおかげで非戦闘員のギルド員たちも影が薄くなりません。むしろ、一緒に冒険している感覚が強いですね。冒険中に夕食の相談がテレグラフで飛び交ったり、クスっとしてしまうのも好きです。大所帯って感じがします。

 さらに、本作では自分で町を増やしていくような機能があります。それが“ギルドタワー”の建設。ギルドタワーはワールドマップから入れる建物なのですが、ギルド員を集めると自分で建設できるようになるのです。

 やり方は、ワールドマップで光っている場所を見つけたら、そこに派遣するギルド員を設定してギルドタワーを建設するだけ。一度建ててしまえば、拠点として自由に使えます。また、近くに別のギルドタワーがあれば、ギルド同士のネットワークがつながって支援効果の範囲が広がるという恩恵も。

 一見すると何もない島でも、ギルドタワーを建設すればちょうどいい場所にある拠点に早変わり。冒険しながらギルドタワーを建て、自分の手で世界を拡張していくのも本作の醍醐味ですね。

 もちろん、まったくギルドタワーを建てなくてもOK。本作は、メインストーリー以外でプレイヤーを強制する要素がほぼありません。ワールドマップにも、行かなくていい場所が大量にあります。

 完全に無視しても問題ないのですが、立ち寄ることでギルド員を勧誘できたり、強敵と戦えたりといったサブイベントが発生。世界をめぐって寄り道する楽しさが詰まったRPGです。

 正直なところ、メインストーリーを追いかけるだけの遊び方はもったいない! 強制はしませんが、本作は世界をめぐって寄り道し、探索しながらいろいろ考察していくのが楽しいゲームなんですよ。1周目からじっくりと世界をめぐったほうが、より楽しめると思います。

HD版はキャラもキレイで表情がわかりやすい!

 と、ここまでが『アラアラ』自体の魅力。この楽しさは、ニンテンドー3DS版の時点で十分堪能できました。では、HDリマスターならではの部分はどうなのかと言えば……結論から言うと、かなりパワーアップしています。やはり、なんといってもグラフィックの向上が大きい!

 HDリマスター版はグラフィックがキレイになっているので、3DS版では小さくて見えなかった建物の装飾や、ぼやけていた背景などもクッキリ見えます。自分は3DS版を3周以上遊んでいますが、HD版を初めて見たときは感動しました。水彩画風の淡い背景は、大画面のモニターで映しても耐えられる!

 もともと、水彩画風の淡くて雰囲気があるグラフィックだったので、今見ても古臭くないのですが、HD版だと建物の細部まで描き込まれているのがわかります。これは、携帯ハードの小さな画面では一生気づかなかったかも? いろいろな部分がクッキリ見えるので、冒険したことがある世界のはずなのにちょっと新鮮です。

 それから、キャラの表情まで見えやすくなってより感情移入できるようになったのもポイントです。こういう表情をしていたのかという場面もあって、3DS版のファンの人でも驚けると思います。もちろん、本作から遊ぶ人は単純に楽しめるはず。

 さて、ここまで探索や物語を中心に本作の魅力を語ってきましたが『アラアラ』はそれだけじゃありません。戦闘や育成。やり込み要素まで、システム面もよくできたRPGなのです。というわけで、後編ではシステムを中心に本作の魅力をひも解いていこうと思います!

(C) FURYU Corporation.

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アライアンス・アライブ HDリマスター

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2019年10月10日
  • 希望小売価格: 6,280円+税

アライアンス・アライブ HDリマスター

  • メーカー: フリュー
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2019年10月10日
  • 希望小売価格: 6,280円+税

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