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まさかの火星人が三国志に襲来。驚くべき予言内容は?【三国志 英傑群像出張版#9-3】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 今回も三国時代ごろの怪談話・妖怪話・オカルト話を「捜神記」という晋の時代(三国時代の次)の書物よりピックアップして紹介したいと思います。

夜、追って来る女

 呉郡の無錫(むしゃく)に上湖という湖がある。そこに大きな堤防があり番人が配置されていた。

 番人の丁初(ていしょ)は大雨が降ってくると必ず堤防を見回る。ある春の夜、雨がひどく降るので丁初は堤防の見回りに出かけた。

 歩いていると気配を感じ、ふと後ろをふり向くと一人の上下緑の服を着て、緑の傘をさしてる女性が「丁初さん待ってください!」と、声をかけながら追いかけてくる。

 最初は待とうかと思った丁初だが、日暮れの雨の中を一人の見知らぬ女性が自分の名前を呼びながら歩いてくる事がどうにも怪しい。

 きっと幽霊か妖怪なのではと思い、一目散に逃げだした。女も足ばやに追いかけて来る。

 丁初も死に物狂いで逃げて速度を早めた、そして女との距離はしだいに遠ざかっていった。距離が離れ女の様子を見ると、なんと湖の中へ身を投げた。

 そして、女が変化し大きな獺(かわうそ)に変わる姿を目撃する。服や傘は葉っぱだったのだ。ここではときどき人間に化けた獺が人を惑わしていたのである。

透明人間? 謎の老人あらわる

 後漢・献帝(建安)の頃、東郡の民家で音がなったり怪しいことが頻発した(いわゆるポルターガイスト現象)。そんな事が数年も続き、家人もたいそう怖がった。

 そこで勇気を出して原因を調べるべく家人がご馳走をいっぱい作っておき、戸の影に隠れながら何者かが現れないかとこっそりとのぞいていた。

 すると予想どおり怪異が起こりはじめ、音が鳴り出す。それを聞いて部屋の中を見まわしたがやはりなにも見えない。

 そこで杖をもって色んな所を叩きまわってみた。しばらくしてから部屋の隅のところで手ごたえがあった! さらにうめき声も聞こえた。

 退治しようと追いかけてみると一人の老人が現れた。百歳を越えた様子で、言葉はさっぱり通じず、顔は獣に似ている。

 調べてみると、何里か離れたあたりに老人の家が見つかった。家に帰したが、その家人の言うには失踪してから十年あまりになるという。その後、また1年後に老人の行方がわからなくなった。

 そして陳留(河南省)のあたりでまた前と同じような怪異が起こったという評判が伝わってきた。当時の人は皆、この老人のしわざだと噂しあったのだとか。

初の宇宙人の記録か?! 火星人現る

 呉王朝が国を建てたばかりの頃。臣君のあいだの信義も薄かったため、将校はみな妻子を人質として出した。これを「保質」という。

 その子供たちが連れだって遊んでいた時のことだ。孫休の永安三年(260年2月)、そのなかに異様な姿をした子供が現われた。

 背の高さは四尺(約1m)あまり、年は六、七歳にみえる、緑の着物を着て、子供たちの遊びに仲間入りをした。

 どの子供も見覚えがなく、「君はどこの子供だい?」と尋ねると、「君たちが楽しそうに遊んでるんで来ただけさ」と答える。

 よくよく見ると、眼は鋭く光っている。子供たちは怖くなったので、もう一度同じことを尋ねると、「君たちは僕がこわいのかい? 僕は人間じゃあなくて火星人なんだよ。実は君たちに知らせることがあるんだ。三国は司馬氏のものになるぞ」と言った。

 子供たちは肝をつぶし一人が走って行って大人に知らせた。大人が大急ぎで来てその子供を見つめると、「さよなら」と言うなり身を縮め、躍りあがったかと思うと、姿を変えた。

 ふり仰いで見れば、白い布が長く尾をひいて天へのぼって行くように見えた。目撃者も多数いる中、次第にのぼって行ってやがて姿を消した。

 当時、呉の政治は非常に厳しかったので、このことを表沙汰にしようとする者はいなかった。

 その四年後、蜀が亡び、六年後、魏が帝位をあけ渡し、二十一年後、呉が平定された。火星人の言葉通り司馬氏が天下を取った。

 いつの時代もこういう話はあるんですね。

 最初の話は、幽霊というよりUMA(未確認動物)の話なのか?! と思ってしまいました。UMA話はこれ以外にもあり、UMAが蜀の山奥にいて、その子孫が当時も生きているとあったりします。

 火星人の話は特に衝撃的ですね。呉の時代にこんな話があったなんて。日本では、かぐや姫が最初でしょうか。

 こういう怪現象をまとめた書物の元祖はやはり三国時代前後。曹丕が怪異を集めた本を作ったのがおそらく最初(異説あり)。少なくともその次の時代の晋が最初です。

 三国志演義に左慈や于吉などの仙人がでるのもこの影響ですね。こういう人知を超えた話がエッセンスとして入ることで、三国志演義が面白くなったのではないかと思います。

 今回は三国武将も出てきませんでしたが、選りすぐりの三国志オカルト話をご紹介しました!

 来月は通常に戻って、また三国志の民間伝承をお伝えしていく予定です!


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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