プロe棋士が白熱バトル! 『リアルタイムバトル将棋』タイトル戦レポート

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 シルバースタージャパンに所属している、将棋プロ棋士の星野良生さんのコラム“将棋プロ棋士・星野良生五段のゲーム自戦記”連載第8回をお届けします。

 今回は『リアルタイムバトル将棋』3つ目のタイトル戦、挑神戦レポートをお届けいたします。


アットホームな雰囲気の中で白熱する将棋バトル!

 会場は、福岡天神にあるesports Challenger's Park。配信スペースをカフェスペースから観戦できる、アットホームな雰囲気が魅力的です。

 午前中は、予選上位4名から新たな2名のプロe棋士を決定する戦いが繰り広げられました。

 すでに1敗しており、あとがない公人直人選手と、まこと´選手の対戦。1本ずつ取り、3戦目の決着局です。

 お互い手が出しにくい局面になり、膠着状態が続くかと思われましたが、公人直人選手の方から角を使い、局面を動かしにいきました。

 ここからまこと´選手は▲4六金~▲4五歩と払いました。が、持ち駒の歩を温存するために、▲2五歩~▲3七桂~▲4六金として、△4五歩の金取りに対して桂馬で取れる形を作る方がよかったかもしれません。このあと▲4五歩を取られ、歩切れに悩まされる展開となります。

 4筋のと金攻めを成功させた公人直人選手が押し切り、リーグ戦は2勝1敗で3人が並びました。リアルタイムバトル将棋は実力差が出やすく、このように3つ巴の結果になることは珍しいです。

 勝率が高かったまこと´選手、公人直人選手が新たなプロe棋士となり、挑神戦は8人でのトーナメントとなります。

挑神戦の始まり

 午後からはいよいよ挑神戦。私の1回戦の相手は飛車ちゅう選手。将棋と操作力ともに高レベルの攻め将棋です。

 ここから▲8四角と歩を取り攻めこんでいきます。私は△8三歩からしばらく受けにまわる展開が続きます。

 ここで△8一飛と逃げてしまったのが痛恨。すかさず▲8二歩と打たれ、飛車をただで取られてしまいました。ここは△7四金~△7五角~△6四歩のように進めるべきでした。この失点が響き、1戦目は駒数で敗戦。

 2戦目。8六銀が取れるか際どい場面ですが、△7六歩~△5六歩と△8五歩のクールタイムを待たずに2つの垂れ歩を作ったのが勝因になったかなと思います。無事8六銀をそのあとに取ることができて攻め続けることができました。

 勝負の3戦目。今▲9九飛と馬を取られたところです。△9五歩▲同歩△9八歩と歩で取り返すことを狙っていましたが、間に合わないので△9八香と香で飛車を取りにいく方がよかったです。

 △9五香~△7七歩成~△7六歩と進めたかったのですが、

 先に▲7六歩を先着されてしまい、ひどい駒損に……。

 試合前、十分に体があったまっていなかったので、3試合目になると手が震え出し、思うようなパフォーマンスが出せなくなってしまいました。

 このあと玉頭戦となり、一方的な展開にはならず、接戦になります。

 お互い玉がすれ違いましたが、今大会は入玉禁止というルールが採用されていて、自玉が敵陣三段目に入れません。お互い玉が前に進めず、リアルタイムバトル将棋では珍しく詰みが発生しやすい状況です。

 ここで▲9七歩と打たれていたら厳しかったでしょう。あとから見れば、基本的な大駒を取る手筋ですが、実戦だとトッププレイヤーでも逃すこともありますし、こちらがすぐに△9七歩と先着して防ぐこともできます。

 しかしこの時は、お互いの玉が危なすぎて玉周辺のことしか考えられませんでした。

 最後は△8四金までで詰みとなりました。実は、入玉禁止だと△8四金の代わりに△9三歩でも詰みです。

 この辺りの入玉禁止独特の感覚を身につけられないまま本番になってしまったのは準備不足でした……。

 後編へ続きます!(後日公開予定です)



将棋プロ棋士・星野良生五段:シルバースタージャパンに所属しているサラリーマン棋士。2014年4月に棋士デビュー。2021年10月、eスポーツタイトル『リアルタイムバトル将棋』でプロ資格を獲得。


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