令和に味わう“死んで覚える”レトロアクション『ティモシーとムーの塔』レビュー【電撃インディー#314】
- 文
- スズタク
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はPLAYISMより配信中の高難度2Dアクション『ティモシーとムーの塔』のレビューをお届けします。
なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
3つのアクションを駆使して塔の頂上を目指せ!
本作は、主人公・ティモシーがムーと呼ばれる地に建てられた塔の頂上を目指すアクションゲームです。
おじいさんと2人で暮らすティモシーは、ある日病に倒れたおじいさんのために魔法のキノコを手に入れます。そのおかげでおじいさんの病気は直りますが、なんと魔法のキノコには呪いがかかっており、一年後におじいさんは帰らぬ人となってしまいます。
悲しみに暮れるティモシーは、おじいさんから聞いた“頂上にたどり着けたらどんな願いも叶う”と言われる塔を思い出します。おじいさんを生き返らせるため、ティモシーは遠き地にそびえ立つムーの塔を目指す……というのが本作のストーリーです。
アクション主体の作品ではありますが、意外と世界観や設定が凝っており、ストーリーやキャラクター間のやり取りにも注目です。プロローグで描かれる一枚絵もバラエティに富んでいて、スタートからユーザーの心をつかんできます。
さて、肝心のアクションについてですが、基本となるのはジャンプ、ショット、ダッシュの3つ。ほかにもしゃがんだり壁につかまったりといった操作もありますが、ステージの大部分は3種類のアクションを駆使して攻略していきます。
塔の頂上を目指すゲームだけあって、ステージ道中は上へ上へと登っていく動きが多め。となるとジャンプの使用頻度が自然と多くなりますが、本作のジャンプはふんわりと大きく飛ぶ挙動で、個人的に使いやすいものでした。床が飛び石的な配置になっている場面でも、狙った地点に着地しやすい操作性ですね。
地上と空中の両方で繰り出せるダッシュも、移動距離が長くて扱いやすいです。一見するとかなり離れた距離でも、ジャンプ+ダッシュでだいたい到達することができ、機動性の高さがステージ攻略の爽快感につながっています。
一方で、ティモシーの攻撃性能はだいぶ低め。パチンコから弾を飛ばすショットは、連射がほぼできず、弾のサイズも小さめです。
当初、自分は本作をよくある2Dアクションだと勝手に思い込んでいましたが、実際に遊んでみるとゲーム性は異なりました。弱い敵を積極的に倒すよりも、機動力を生かして敵を振り切ったほうがラクに進める場面もあります。
容赦なく心を折りにくる高難易度のステージ設計
塔のなかには要所ごとにセーブポイントがあり、次のセーブポイントまでの区間が、ひとつのステージとして攻略対象になります。序盤こそサクサク進められる本作ですが、公式で“高難度アクション”と謳われるとおり、すぐに牙をむき出し始めます……。
高い難易度の主な要因は、やはり即死ギミックの存在。奈落への落下はもちろん、トゲや刃物に触れるともれなく天国行きです。ステージを進めるごとに嫌らしい位置に即死ギミックが登場するようになり、ジャンプやダッシュの繊細な動きが求められます。
ティモシーはライフを3つ持っており、敵の攻撃でライフが0になっても死亡。被弾による死亡は即死ギミックに比べると少なめですが、前述のように本作は弱い敵ですら倒すことが難しいため、やっかいな敵が多いステージはそれだけで難易度爆上がりします。
ゲームオーバーになるとセーブポイントからリトライできますが、この際に減ったライフが全回復する……なんて機能はもちろんなく、減ったぶんはそのままです。ライフ1でセーブすると、リトライしても常に即死と隣り合わせというデンジャラスな状態に!
個人的にアクションは得意ですし、ファミコン時代のアクションも経験しているので自信はそこそこあったのですが、いざプレイすると何度もリトライすることに……。とくに、“刃の穴”と呼ばれるステージから難易度が急激に上がり、本気で心が折れそうになりましたね。
“死んで覚える”レトロアクションそのものであり、少しずつパターンを覚えて突破できたときのよろこびは筆舌に尽くしがたいです。
硬派なアクションが味わえる本作ですが、お金を集めて回復アイテムを買うといった救済的な要素も用意されています。また、敵から素材を集めて料理を作る寄り道要素もあり、やり込めばかなりのボリュームがありそうです。
古き良きアクションの難しさと魅力が詰まった『ティモシーとムーの塔』。心地いいBGMも含め、レトロな2Dアクションを存分に満喫できる一作です!
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