シリーズ最新作『仙剣奇侠伝 ー守り合いー』レビュー。RPG好きなら遊んでおきたい武侠ファンタジー【電撃インディー#318】

電撃オンライン
公開日時

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Softstar Technologyが開発するアクションRPG『仙剣奇侠伝 ー守り合いー』を紹介します。

 本作はPS5/PS4版のパッケージ版が8月25日に発売されたばかり。そのPS4版を使ってのレビューとなります。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

壮大な世界で展開する中華武侠ファンタジー!!

 本作は、人間と神、そして魔族が共存する中華風ファンタジー世界で、月清疎(ユェ・チンシュ)、修吾(シゥ・ウー)、白茉晴(バイ・ムォチン)、桑遊(サン・ヨウ)の4人が冒険を繰り広げていく本格武侠ファンタジーRPGです。

 広大な世界を舞台に、さまざまな幻想的なエリアを旅しながら壮大なストーリーを追って冒険を繰り広げていく、正統派スタイルのアクションRPGとなっています。フィールド探索、調理、御霊システムなど、やり込み要素もたっぷり詰まっており、まさに大作RPGと呼ぶに相応しい内容といえるでしょう。

 ちなみにあまり日本では知られていませんが、実は中国などでは90年代から続いている有名なシリーズで、本作は2021年に登場したその最新作(ナンバリングとしては7作目)です。

違和感なく入り込める世界観!!

 まず本作の世界観は、中華武侠ファンタジーとあるように、全編中華風の世界をベースに、さまざまなファンタジー要素を取り入れたものとなっています。

 風景やロケーション、地名は中国風ですが、ファンタジーの要素も強いので、日本人から見ても、ゲームの世界としてはそれほど違和感はありません。

 ゲーム自体は日本語字幕がありますし、システム的な用語もゲームではお馴染みのものが多いので、RPGに慣れた人なら問題なくプレイできると思います。

 ただ、萍溪村や、落袈山、峨眉山道などなど、地名や人名が日本人だとちょっと読みにくいところはあるかも。とはいえ、それぞれ特徴的なロケーションだったり、個性的なキャラクターだったりするので、覚えるのは簡単です。

序盤から目が離せない王道ファンタジー物語!

 本作の最大の魅力は、やはりそのストーリーにあると思いました。序盤から先が気になる展開で、ゲーム自体も物語を重視した作りになっているという印象。

 そんな物語は、メインキャラクターの1人、修吾(シゥ・ウー)が、謎のエリアから脱出するシーンから始まります。

 状況説明が少なく最初は混乱するかもしれませんが、このシーンはチュートリアルで、操作の説明がしっかり行われます。基本的にシステムはそう難しくないので、問題なくゲームに入って行けるはずです。

 このチュートリアルが終わると、画面は変わって“萍溪村”と呼ばれる村。仙人になるために修行をするメインキャラクターの1人、月清疎(ユェ・チンシュ)に操作が切り替わり、彼女が不思議な霊力を秘めた果実を見つける場面が描かれます。

 そして、彼女が明庶門という没落した門派の出身であることや、現在世界では凶獣が人界に猛威を振るっているなど、さまざまな情報が語られていくのです。

 さらに、魔物に襲われた子どもを助けた月清疎の元へ謎の魔族の進入。そこに先ほどの修吾が現れ……と、急展開で一気に物語に引き込んでくれます。

 謎めいたオープニングアクトからの流れがとても上手く、あっという間に物語に惹きつけられていました。

 また、全体的な物語の流れは、とにかくファンタジーの王道を突き進んでくれますし、冒険の主人公となる4人のキャラクターもしっかり立っています。

 こうした心地いいくらいの王道ストーリーは最近では珍しいこともあり、どこか懐かしさすら感じました。

 世界は中華風ですが、王道ファンタジーが好きなら、きっと気に入るはずです!

分かりやすいゲームシステムで遊びやすい!

 基本的なゲームサイクルは、オーソドックスで正統派のアクションRPGです。ストーリーを重視した構成で、次々に展開していく物語に沿って、さまざまなエリアを探索していくことになります。

 特筆すべきは、バトルを含めてテンポがよく、サクサク展開する気持ち良さです。移動はスピーディで快適ですし、バトルも軽快で、バンバン敵を倒していけるので、フィールド探索がより楽しくなります。

 エリア移動も全体マップから選ぶだけなので、とにかく余計な手間がかからない設計になっています。

軽快な動きでバトルの爽快感もマシマシ

 バトルはリアルタイムのアクション形式。□ボタンで攻撃し、コンボも可能。覚えたスキルをセットすれば、R2+セットしたボタンで使用できます。このほか、強力な覚醒技も使用できます。

 リアルタイムに敵をロックオンして、通常攻撃でコンボを決めて、スキルで回復や攻撃を行ってと、やることはそれなりに多いですが、システム自体はシンプルかつ王道なので、まったく問題なくプレイできます。

 なにより、サクサクとテンポよく展開するので、動かしていて気持ちいいのです! 仲間が増えれば、いつでも操作キャラクターを交代できますし、それぞれのキャラクターの役割もしっかり違っているので、さまざまな戦い方を楽しむことができます。

 また、ボス戦などでは、障害物を利用して相手の突進攻撃を止めるといったギミックも用意されているので、戦い方をあれこれ考えるのも面白いです。

 ちなみにバトルで個人的に気に入ったキャラクターは、やはりミニの衣装が可愛い月清疎ちゃん。攻撃にクセがなく使いやすいですし、最初から回復のスキルを持っているので長期戦になっても強いです。なにより後ろ姿が美しいので、ずっと見ていられます。こういうの、大事ですよね!

 なお、アクション性はかなり高いですが、最初に難易度を選択することができます。自分はアクションが苦手だったのでEASYを選んだのですが、実に気持ちよく、サクサク敵を倒せる爽快感を味わうことができました。なので、アクションは苦手という人も問題なく遊べるはずです!

さまざまなやり込み要素でボリュームもたっぷり!

 RPGには欠かせないやり込み要素も豊富です。個人的にとくに気になったシステムが、“御霊”と呼ばれる霊獣(ペット)の収集と育成です。

 ストーリーが進むにつれ、さまざまな御霊を入手でき、それぞれを育成・強化することができるのですが、これがとても可愛い!

 しかも彼らは戦闘で一緒に戦ってくれるので、もちろん戦力増強にもなります。キャラクターを育てるのと並行して、しっかり育てていきたいですね。

 そしてもう1つ、大作RPGらしくミニゲームがいくつか遊べるのですが、その1つであるカードゲーム“天地遊”がかなり本格的。

 多彩なカードを収集して、デッキを構築してと、しっかりしたカードゲームになっているので、緊迫ストーリーの合間にちょっと息抜きをしたいときに便利。システムはシンプルですし、カードも美しいので収集の意欲も沸きます。

 このほか、料理を作ってステータスを上げる料理システムや、フィールドの絶景ポイント探しなど、やり込み要素は豊富。また、キャラクターはスキルや装備品、その強化など、さまざまな方面から育成ができるので、育成の楽しさも存分に味わえます。

 総合してかなりのボリュームとなっているので、じっくり時間をかけて取り組める作品といえるでしょう。

 世界観は中華風ですが、ストーリーは王道ですし、システムも丁寧でわかりやすくなっており、どこかJ・RPG的な安心感を与えてくれる作品だと感じました。

 それでいて多くのやり込み要素も用意され、ボリュームもたっぷり。王道RPGを遊びたいという欲求を十分満たしてくれるので、RPGが好きなら、ぜひ遊んでおきたい一作となっています!


(C)2022 Softstar Technology (Beijing) Co., Ltd.. All Rights Reserved. Licensed to and published by Game Source Entertainment.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら