『夜廻 公式アートワークス』収録のディレクター溝上氏へのインタビューを一部公開。制作のきっかけとは?

電撃オンライン
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 『夜廻』『深夜廻』『夜廻三』のビジュアルを収録した決定版画集『夜廻 公式アートワークス』が現在発売中です。

 本書は『夜廻』シリーズ3作のアートワークを1冊にまとめたファン必携の画集。キャラクターやお化けのイラストはもちろん、『夜廻』世界を語るうえで欠かせない背景画も多数収録。ノベライズやタイアップで描かれたイラストなどももちろん掲載しています。

 さらに、シリーズの生みの親である溝上侑氏によるデザインコメントやインタビュー、絵コンテやお化けデザイン案など、本書でしか見られない初公開資料も掲載した一冊です。

 今回はご好評を記念して、本書に収録されているインタビュー冒頭をご紹介します。

ディレクター溝上氏へのインタビュー

――本日はお時間をいただきありがとうございます。デザイナー、ディレクターとゲームクリエイターとして複数の顔を持つ溝上さんですが、今回はいろいろな角度からお話を聞くことで、人間“溝上 侑”の魅力も浮き彫りにできればと考えています。

 そう言われると緊張しますね(笑)。大丈夫かな……。

――ちょっと格好をつけすぎたかもしれません(笑)。ざっくばらんに、どうぞよろしくお願いいたします。

『夜廻』前夜、そしてディレクターデビュー

――もともと『夜廻』は日本一企画祭(※)に企画を提出することで制作が始まったわけですが、企画祭に参加すると決める前から、『夜廻』の構想はあったのでしょうか?

※日本一企画祭…日本一ソフトウェアが定期的に開催している、全社員を対象にしたゲーム企画のコンペ。最終審査を通過すると、正式な開発に向け試作環境が用意される。

 そうですね。ただ学生時代からではなくて、日本一ソフトウェアに入社してから、になります。これは私だけなのか“開発者あるある”なのか、ちょっとわからないのですが、ゲーム開発が佳境になってくると、半ば逃避するように別のゲームのことを考えてしまうんですよ。

 その流れで『夜廻』の原型が生まれました。日本一企画祭に参加するかどうかは、締め切りの2日ぐらい前まで迷っていたんです。「出したら通っちゃうな~」と思って。ちなみに、通過後の夜は「やべえ……マジで通っちゃった……」と焦ってほとんど寝れませんでした。

――すみません、ちょっとざっくばらん過ぎる気がします(笑)。

 話を戻しますと、当時は『htoL#NiQ-ホタルノニッキ-』の制作が山場で、古谷(古谷優幸氏。日本一ソフトウェアで『ホタルノニッキ』や『ロゼと黄昏の古城』、『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』などのディレクターを務める)の大量の指示に埋もれる日々を過ごしていたんです。

 そんな折、車を運転していた深夜の帰り道で“現代を舞台にしたホラーゲーム”というコンセプトを思いついて、そこからゲームとして成立させるにはどうすればいいかを考え始めました。

 そこでやりたかったこととしては“2Dマップをシームレスにプレイヤーが探索できるゲーム”でした。当時はオープンワールドのゲームがメジャーになってたくさん出ていた頃だったから、というのも影響していたかもしれません。

 なので、そのときは現在の『夜廻』のゲーム性とは若干違いがありますね。“トップビュー”の視点もファミコンやスーパーファミコンのゲームによくある、真上から見下ろす形を考えていました。

――『夜廻』のトップビューの視点は『MOTHER』(任天堂)のような、真上からではなく斜め上から見下ろす形式ですね。

 はい。『夜廻』はいろいろなゲームの影響を受けていると思いますが、私の好きなゲームである『MOTHER』もその1つだと思います。

 もともと高校、大学では広告系の勉強をしていて、『MOTHER』を作られた糸井重里さんや、『俺の屍を越えてゆけ』(SIE)を作られた桝田省治さんは、広告業界からゲーム業界に関わった方として、当時から尊敬するゲームクリエイターさんでした。

――その頃から、将来はゲーム業界で働きたいと考えておられたのでしょうか。

 高校の頃から、「ゲーム業界で働くのもアリなんじゃないか」となんとなく考えてはいました。画塾の先生からは「広告業界のほうがいいんじゃない?」と言われていたので、そのアドバイスを聞いて大学では広告の勉強をしていたのですが……結局はゲーム業界に入ってしまいましたね(笑)。

 私は岐阜で育ったので、岐阜に本社がある日本一ソフトウェアのインターンにも参加していて、就職活動のときにも改めて採用試験を受けたらご縁があって今に至る……という感じです。ただ、都会に行きたいという思いも同時に持っていたので、そういう屈折した田舎者のひがみみたいなものが『夜廻』を形作ったんじゃないかなと思います(笑)。

――日本一ソフトウェアにはデザイナーとして入社されたのですか?

 そうですね。大学で学んだスキルが活かせるということもあって、デザイナーとしての入社でした。

 その頃はゲームの勉強をせずにゲーム会社に入社したことにちょっと劣等感があって、「とにかく絵をがんばって描こう!」みたいな気持ちが強くて、自分でゲームをディレクションしたい、みたいなことは思っていなかったです。『ホタルノニッキ』で古谷にプランナーの仕事を教えてもらったりして、だんだん自分でもゲームを作ってみたいと思うようになったんです。

 この続きは、ぜひ『夜廻 公式アートワークス』でお楽しみください。

夜廻 公式アートワークス 詳細情報

定価 :3,000円(税込 3,300円)
仕様 :A4判、176ページ、左開き
発行 :株式会社KADOKAWA Game Linkage
発売 :株式会社KADOKAWA

ページサンプル

ebtenDXパック グッズ情報

・A3タペストリー
『夜廻』シリーズの生みの親である溝上侑氏による描き下ろしカバーイラストを配したA3タペストリー。
サイズ:約420×297mm

・アクリルジオラマ
『夜廻』シリーズに登場した主人公たち、ポロ、チャコ、ムギ、そしてお化けたちのゲームグラフィクスで作るアクリルジオラマ。箱庭のように好きなところに挿して楽しめます。
サイズ:台座…約60×150mm予定

・こいし(無償特典)
日本一ソフトウェア公認の、あの"こいし"をそっとお届け。

※“夜廻 公式アートワークス”とのセット価格となります。グッズ単品での発売はございません。
※限定商品のため、なくなり次第販売終了となります。
※“こいし”は自然物のため、大きさや形状に個体差があります。

(C)Nippon Ichi Software, Inc.
※グッズの画像はイメージです。

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