植物鑑定アドベンチャーゲーム『Strange Horticulture』は謎解きが秀逸な傑作!【電撃インディー#330】

柏又
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Iceberg Interactiveより発売中のNintendo Switch/PC(Steam)用ソフト『Strange Horticulture -幻想植物店-』のレビューをSteam版をもとにお届けします。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

植物を鑑定して正しいものをお客に渡すシステムがユニーク

 本作は、おじさんのやっていたお店“幻想植物店”の経営を継いだ主人公が、やってくるお客の要望に沿った薬草を処方するアドベンチャーゲームです。

 お店にはおじさんが集めた植物と植物図鑑こそありますが、継いだばかりの主人公は持っている植物が図鑑のどれなのかをしりません。お客が要求する植物の名前はわかるので、図鑑で対応する植物のページを開き、そこに書かれた内容から棚に置かれた植物の名前を当て、お客に渡すのがこのゲームの基本システムです。植物の特徴は、左の“詳しく観察”へ植物をドラッグするとある程度わかります。

 間違った植物を渡すと画面左下の“湧き上がる恐怖”ゲージが上昇。フルになると主人公の心は砕けてしまいますが、ジグソーパズルの要領でつなぎ合わせれば再開できます。

 Windows版はすべてマウスで操作しますが、Switch版はタッチスクリーン対応とのことなので、より直感的な操作ができそうですね。

 花の付き方や葉の形、においなどをもとに植物の名前を当てていく過程は一種の推理ゲームのような頭の使い方をさせてくれてなかなかユニークなプレイ感がありますね。

 植物の名前を当てる難易度は、筆者的にはほどよく高いという印象。なお、後で述べるヒントシステムの優秀さもあって、基本的には必ずクリアできる内容になっているのもうれしいところだと思います。

 さらに、名前が分かった植物には後で使うときのためにラベルを付けることもできます。初期設定だと名前は自分で入力しますが、オプションのゲームプレイの項目で植物のラベルを自動にすると、確定した時点でラベルが自動でつくので便利です。

鑑定以外にも用意された謎解き要素がとにかくおもしろい!

 本作はお客のリクエストに応じて正しい植物を処方していけばストーリーが進行します。ただし、主人公のお店は薬草のバリエーションも図鑑の内容も完ぺきではありません。これを解決してお店を充実させるのがここで紹介する謎解き要素です。

 主人公の店には、郵便配達員がときおり届ける手紙のほか、1日の営業が終了後に引けるカードなどの書類に新たな植物を入手する手がかりが隠されています。

 主人公は、“探索意欲”のゲージがフルになっている状態のみ、地図のグリッドをクリックした場所へ探索の旅に出られます。その際に書類に書かれていた手がかりと座標が合致していれば、書類や図鑑のページを入手できるというわけです。

 謎解きのロジックは非常に多彩で、読解力が必要なものから絵合わせを利用するものなど、なかなかに頭を使わせてくれますし、解いていて非常に楽しいです。謎解きに成功すると対象の書類はチェックマークがつくほかカードなら消滅するので、どの謎が解けたのか分かりやすいところも親切にできています。

鑑定で進んでいくオカルティックなストーリーが興味深い

 植物を鑑定するごとに進んでいくミステリアスなストーリーも本作の魅力です。何人ものお客と会話をやり取りしていくと“森の魔女”や“カルト教団”といった謎めいたキーワードが登場してきます。

 本作は、やがてお客として店にやって来る彼らの言葉などを集めることで一本の物語が出来上がるという構成となっていて、薬草の知識と豊富な在庫を持つ主人公の店はこの物語に大きく巻き込まれていく過程がなかなかに見事ですね。

 また、物語の重要人物には2種類のうちどちらの植物を処方するかでのちの展開が変化することも。ストーリーはマルチエンディングとなっていてこういった岐路となるポイントで主人公がどう振舞うかでラストが変化するのです。

 本作のエンディングまでのプレイ時間はわりと短めですが、ほかのエンディングが気になるのであればそれなりのボリュームでゲームを楽しめるでしょう。

プレイヤーから“考える楽しさ”を奪わない優秀なヒント機能

 本作はプレイヤーが思考してゲームを進める要素が大きいだけに、段階的に解き方を教えてくれる丁寧なヒント機能が備わっています。ヒントは画面右のアイコンをクリックすればOKです。

 たとえば、お客に処方する薬草が分からない場合にヒントボタンを押すと、まず対象の薬草が店の在庫にあるかどうかを確認してあるならその旨を、なければ探しに行くよう促してくれます。

 そこからさらに“次のヒント”ボタンを押すと、対象を含むいくつかの薬草を手前にだして“このなかにあるはずだ”と教えてくれます。完全な答えを教えてはくれませんが、図鑑の表記や“詳しく観察”を駆使すれば解ける程度には簡単になっていますね。

 植物の鑑定以外のすべての謎解きにはしっかりとしたヒントが用意されていて、プレイヤーが考える余地をなるべく残しつつ解決へのヒントを与えてくれます。本作のプレイヤーに寄り添うような親切さは非常にうれしいところですね。

作りの丁寧な傑作アドベンチャー! ミステリーやオカルト好きにもオススメ!

 ここまで紹介してきた『Strange Horticulture -幻想植物店-』1回のプレイ時間はわりと短いものの内容は非常に充実していてクリアまでしっかりと遊べます。謎解き要素の多彩さと解けたときのすっきりした感じはたまらないですし、ヒント機能もかなり丁寧なので初見でも最後まで進める人はかなりいるのではと思います。

 発売自体は昨年のタイトルですが、7月28日のSwitch版発売に合わせてWindows版も日本語ローカライズがなされています。文章的におかしなところはなく、謎解き要素もしっかりと楽しめます。 優秀なアドベンチャーゲームを求めている人、とくにオカルトやミステリーな内容を求めている人にオススメしたいですね。


Strange Horticulture © 2017-2022 Bad Viking Games. Developed by Bad Viking Games. Licensed exclusively worldwide to and published by Iceberg Interactive B.V. All brands, product names, and logos are trademarks or registered trademarks of their respective owners. All rights reserved. Made in the UK.

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