『Wo Long(ウォーロン)』インタビュー。安田氏、山際氏両プロデューサーの考える新たなアクションとは⁉

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 コーエーテクモゲームスから2023年発売予定のアクションRPG『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』の体験版が、現在配信されています。

 これを機に本作の開発スタッフである、プロデューサーの安田文彦氏と、開発プロデューサーの山際眞晃氏にインタビューをしてきました。

  • ▲開発プロデューサーの山際眞晃氏(左)と、プロデューサーの安田文彦氏(右)

 インタビュー中は敬称略。

『ウォーロン』の名前の由来や物語について

――『ウォーロン』のタイトルに込められた意味を教えてください

安田:「臥龍」の中国読みになるのですが、三国志好きな方は孔明を想像される方が多いと思います。元々の意味は「眠っている龍」、「世に出てない英雄」などの意味を持っています。今回三国志の始まりを描くということで、名だたる英雄たちもまだ乱世の中で頭角を現し始めたくらいの時期です。そして主人公も義勇兵として第一歩を踏み出したまだまだ駆け出し状態。そういった「臥龍たちのお話」ということで、今回名付けています。

 孔明の登場に関してはお楽しみということで(笑)。孔明は若い頃の逸話が少なかったりするので、そういった謎もまた歴史物のテーマになったりしますね。

――『仁王』と『臥龍』で漢字二文字のタイトルで統一性もあったかと思いますが、あえて中国語読みのままにした理由は?

安田:『仁王』はワールドワイドなタイトルでしたが日本が舞台なので『仁王』としました。今回は中国を舞台にしているので中国の言葉でワールドワイドに統一させたほうが良いかなと思って付けました。日本人が『臥龍』というタイトル見ても、三国志詳しい方ならピンと来るでしょうが、一般的には「なんだろう?」と疑問に思うだけになってしまいます。ですが『ウォーロン』とすれば中国が舞台であることが伝わるかなと。

  • ▲作品のロゴには、漢字の臥龍の文字も読み取れる。

――ティザームービーだと呂布っぽい人物も出てきましたが、三国志のどの辺りの時代まで描くのでしょうか?

山際:史実を題材としている性質上、ネタバレでプレイヤーの楽しみを奪うのは避けたいので、具体的な言及は控えますが、物語は黄巾の乱から始まり、それ以降の戦乱も描く予定です。言える範囲ですと、虎牢関や雒陽(らくよう)などの舞台は登場します。

  • ▲三国志の物語の最初期、黄巾賊との戦いの一幕。
  • ▲この兜に矛……やはり呂布だと思われるが……。少なくとも董卓の時代までは描かれる可能性が高そうだ。

――メインビジュアルやティザームービーでも描かれていた黒い龍も『臥龍』のイメージなのでしょうか?

安田:あれ自体は「臥龍」ではありません。そもそも寝てませんでしたしね(笑)。今回はダークファンタジーということで麒麟や朱雀などの神獣を扱っていますが、中国でも象徴的な神獣と言えば龍ですから、お話の中でも重要な位置づけの神獣として描かれています。

――妖魔の立ち位置ってどんな存在なのでしょう?

山際:妖魔は強大で邪悪な氣を持つ存在あるいは象徴です。山海経をはじめとした中国の伝承の妖怪などや、物語の軸となる丹薬の悪しき影響を受けた存在たちです。

  • ▲丸薬っぽいものを飲もうとしているが? こちらは体験版をプレイすると見ることができる。

――体験版では趙雲が仲間として召兵できましたが、他の武将もいるのでしょうか?

山際:製品版では他の武将と行動することもできます。皆さんが期待するような有名武将は出るんじゃないかと。

安田:体験版の武器や防具の説明をみるとヒントがあったりするんじゃないかな~? と。その辺は想像して楽しんでいただけたら嬉しいです。ちなみに体験版では趙雲のみでしたが、製品版では最大2人まで援兵として呼ぶことができます。

  • ▲体験版では、援兵として趙雲を召兵することで一緒に戦ってもらうことが可能。

――体験版だと、青龍偃月刀や倚天の剣が出てきていたので、関羽や曹操の登場を期待してしまいます(笑)。この呼べる武将に縛りがあったりしますか? 例えば敵対している将軍同志を援兵として呼べるのでしょうか?

安田:その辺りはある程度ユーザーさんの自由にしたいなと考えています。ただ連れていく武将ごとに特殊効果があるので、自身の戦略や装備・五行との相性を考えたり、楽しんでいただけると思います。

  • ▲青龍偃月刀をGET。ということはやはり関羽が? なお、体験版は体験版用にアイテムが配置されていて製品版とは異なるとのこと。

――三国志の物語では、黄巾賊の時代にはこれと言って目立った女性は出てきませんが、女性武将も登場するのでしょうか?

安田:ここはTeamNINJAですし期待していただきたいです。こういった時代だからこそ鮮やかに描けるというのもありますし、決して史実を捻じ曲げたり、ハードな世界観を崩すような出方ではありませんが、世界観にあった形で登場するのを期待してもらいたいですね。

――今回の物語で注目して欲しい部分は?

安田:三国志という物語をどう解釈していくか。三国志を知っている人には、いろいろな武将の逸話を期待されるでしょうし、「こう解釈したのか」とか「こう展開するんだ」と楽しんでもらいたいです。もちろん三国志を知らない方にも伝わるようなストーリー展開にしています。

 Team NINJAとしては三国志ものは初めてですが、コーエーテクモゲームスとしては三国志を題材にしたゲームをたくさん作っているので、さすがだなと思ってもらえるものには仕上がってきていると思います。

中国武術の再現に注力したアクションについて

――アクションのコンセプトや注目のポイントを教えてください

安田:中国武術をアクションに落とし込もうということです。中国武術らしい有名なアクションだったり、攻守の入れ替えが頻繁に起こる剣戟だったりという駆け引きをコンセプトにしています。注目のポイントは"化剄(かけい)"という受け流しですね。いろんな攻撃をこの"化剄"を駆使して、プレイヤー側が自分の手で攻守を入れ替え、攻勢に転じる、逆転するという体験をして欲しかったので、そこの手触りを重要視しています。

 ワイヤーアクションのような大味なアクションではなく、あくまで至近距離での剣戟の面白さをボタンを通して体感し、「自分が失敗したからやられた」「成功したから逆転できた」という感情、達成感を持ってもらえることが、このタイトルでやりたかったことです。

  • ▲敵の攻撃を寸前でいなす、化勁というシステム。ここから形勢を大きく変えることも可能。相手の遠距離攻撃をいなして反射することもできる。

――"氣勢(きせい)"というゲージの発想はどう生まれたのでしょうか?

安田:『仁王』は侍と侍の戦いをテーマにしていたので静と動を意識させるために、気力やスタミナというリソースを意識させるように作っていました。今回はそれを撤廃して、より直感的なアクションにしようということでジャンプと併せてスタミナを撤廃しました。

 そこで「スタミナをなくしたぶん、攻守の駆け引きはどこで生まれるのか?」とい部分を支える要素として"氣勢"というシステムができました。そこから各アクションに紐づいていった感じですね。バトルとしても遊び方としても軸になるシステムになっています。

  • ▲攻撃や化勁を駆使して、敵の氣勢を下限値まで減らすことで、敵をよろめかせることができる。そこに絶脈という強力な一撃を加えるのが基本戦法となる。

――防御や回避一辺倒だと"氣勢"がマイナスになりがちなぶん、攻めている時が強い印象を受けましたが、意図して調整されたものでしょうか?

山際:敵も自分もよりアグレッシブに戦うデザインを念頭に置いています。中国映画の流れるように攻守が入れ替わる戦闘シーンが着想になっています。

安田:ガードや回避など、いろんな戦術を使って乗り越えていく部分のの塩梅を体験版で見ていこうと思っています。体験版はとくに"化剄"や"氣勢"などのコンセプトを表現するために調整している部分がありますが、それをユーザーの方が「押し付けられている」と感じると面白くならないので、それを確認したいというのが体験版配信の理由でもあります。そのため体験版プレイ後のみなさまのご意見を参考にさせていただきます。

――"士気ランク"と"不屈ランク"を取り入れた理由はありますか?

山際:"士気ランク"は、死にゲーのレベルデザインと三国志らしい戦場の戦略性を組み合わせることで新しい体験を目指したものになります。士気ランクは自分と敵の強さを表したもので、敵を倒すことで士気ランクは上がり、強くなります。自分より強い敵を倒すと大きく上がり、貴重なアイテムを入手しやすくなります。ただし、倒されると士気ランクはゼロになるのでそこに戦略性が生じます。あえてリスクを冒すことで強くなるか、慎重に立ち回るのか、プレイヤーそれぞれの遊び方ができます。

 "不屈ランク"は、士気ランクの管理をより幅広くしたかったことや、軍旗や標旗に機能を持たせることで探索のやりがいと戦場を制圧していくイメージを表現しています。

※プレイヤーが死ぬと士気ランクは本来0(ゼロ)になるが、不屈ランクが上がっていればその数値までしか下がらなくなっている。例えば士気ランク14、不屈ランク10で死んだとき、復活時には士気ランクは0ではなく10になる。

  • ▲自分よりも士気ランクが10高い敵が出現。これはちょっとヤバイ。戦うか、回避するかはプレイヤーの戦略次第。

 なお、アクションについては電撃オンラインで、体験版によるシステム解説や、ステージ攻略の動画を制作したので、こちらを見てみると理解しやすいと思います。

武器や神獣、オンライン要素、想定プレイ時間、そして今後の展開について

――体験版で確認できるのは直剣、直刀、曲刀、大刀、双剣と5種類ありますが、これで全部でしょうか?

山際:いえ、製品版では体験版の倍以上は用意しています。また有名武将の武器なども登場するのでご期待ください。

――『真・三國無双』シリーズには多彩な武器がありますが、あそこまでファンタジーに寄っていない感じでしょうか?

安田:そうですね。さすがに羽扇からビームは出たりしません(笑)。ダークな世界観の中、主人公や武将たちが邪悪さや強大さが人間離れした妖魔たちに必死に抗う姿を描いているので、ファンタジーに寄り過ぎないオーソドックスな武器を用意しています。シリーズ1作目ですしね。

――体験版では、麒麟、朱雀、青龍、白虎、玄武といましたが、神獣も今後増えていきますか?

山際:体験版では、一部の神獣のみとなっています。神獣は武将との絆の象徴で、物語を進めていくことで増えていきます。

  • ▲神獣は一緒に戦ってくれるだけでなく、加護によるバフなどで多彩にプレイヤーを強くしてくれる。

――『仁王』では拠点で装備品の調整や鍛冶屋がありましたが、本作でもそういったシステムはあるのでしょうか?

山際:『仁王』とまったく同じではありませんが、特殊効果の付け替えや装備調整の要素はあります。サブミッションなどは、軍旗から移動して選択することができます。

――オンラインプレイについて聞かせてください。救援によるお助け要素だったり、『仁王』シリーズであった”血刀塚”での危険地域の報せなど、オンラインならではの要素はありますか?

安田:まずは共闘として他プレイヤーの世界に行くことができることと、今回は"侵攻"として他プレイヤーの世界に入り込んでお邪魔することが可能です。それ以外ですと、他プレイヤーが死んだ痕跡が残るようになっています。そのため強敵がいる所には痕跡が大量に残るようになっていますね。プレイ人数は3人+侵攻者で最大5人を想定しています。

――侵攻側にメリットはあるのでしょうか?

山際:侵攻した側もされた側も倒すと報酬がありますし、侵攻専用のポイントを得ることができます。このポイントが何に使えるかはまだお楽しみにということで。

――クリアまでのプレイ時間はどのくらいを想定していますか?

安田:シングルだけだと40~50時間でしょうか。正直、プレイスキルやプレイスタイルにも寄るので、なんとも言えません(笑)。決してボリュームが少なかったなと思われる内容ではないので、たっぷりお楽しみいただけるかと。

――『仁王』はエンドコンテンツも豊富でしたが『ウォーロン』はいかがでしょうか。

山際:オンラインプレイのあるタイトルですし、ゲームパス展開でいろんな方に触れて頂く機会も増えると思うので、長く遊んでもらえるようにエンドコンテンツは用意したいと思っています。周回による難易度上昇なども検討しています。

――発売もまだ来年ですが、DLCの展開も考えておりますか? 『仁王』はDLCがかなり充実していました。

安田:アップデートは続けていきたいなと考えております。DLCに関しては、すごく武将が多いので製品版には間に合わなかったり、入れ込めなかった所を補填したいですね。今回XBOXのゲームパスに展開するのもこともあり、多くのユーザーさんに楽しんでいただけるようにオンライン要素の拡張も含めて、リリース後も中長期的に展開していきたいと考えています。

――ちなみに『仁王』の今後はあり得るのでしょうか?

安田:Team NINJAが色んなタイトルを発表しているのですが、新作を歓迎していただいている一方、発表のたびに『仁王』や『NINJA GAIDEN』の続編の待望の声も多くいただいていることはとても嬉しく感じでいます。今は『ウォーロン』に注力させてもらいつつですが、お待ちいただきたいなと。どのシリーズも可能性はゼロではありませんとだけ……。

――現在の開発状況はどれくらいでしょうか?

安田:60~70%といったところですね。まだまだ調整する部分も多いですし、体験版をプレイした方々からのご意見をどうするかなども考えなければなりません。もうしばらくお待ちください。

――最後に楽しみにしているユーザーに向けて一言お願いします。

山際:Team NINJAはユーザーの皆さんとのコミュニケーションを大切に考えているので、ぜひ体験版はをプレイしていただき、ご意見をいただけると嬉しいです。体験版はまだ荒い部分や調整し切れていない部分があると思ってますので、参考にして製品版に繋げていきたいと思います。

安田:体験版はまだ荒い所もありますが、ゲームとしての軸はできているかなと思っています。開発していると麻痺してくる部分もあるため、一度プレイヤーの皆さんに楽しんでいただけるのか、というのをしっかり見極めたうえで、製品版のブラッシュアップをしていきたいです。そのために遠慮なくご意見いただきたいですし、できる限り我々もご意見に応えていきますので、楽しみにしていただけたらと思います。

――ありがとうございました。

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