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『FORSPOKEN』インタビュー。オープンワールド作りで基準となったのは“魔法パルクール”!【TGS2022】

スズタク
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 スクウェア・エニックスから2023年1月24日発売予定のPS5/Steam/Epic Games Store/Microsoft Store向け用アクションRPG『FORSPOKEN(フォースポークン)』。その開発者インタビューをお届けします。

 本作は、Luminous Productions発の第1作となるアクションRPG。謎の異世界“アーシア”へと飛ばされた主人公フレイ・ホーランドが、意思を持つ魔法のブレスレット“カフ”とともに、美しくも残酷な世界で旅を繰り広げます。

 インタビューのお相手は、Coディレクターである寺田武史氏とクリエイティブプロデューサーである光野雷生氏。東京ゲームショウ2022に出展された試遊版を踏まえて、本作の魅力をうかがいました。

  • ▲Coディレクターの寺田武史(てらだ たけふみ)氏。

  • ▲クリエイティブプロデューサーの光野雷生(みつの らいお)氏。

“魔法パルクールをもっとも体感できるオープンワールド”を目指す

――TGSで試遊もでき、発売まで期待が高まる『FORSPOKEN』ですが、そもそも魔法主体のオープンワールドゲームを作りたいと思ったきっかけは? あらためてお聞かせください。

寺田武史氏(以下、敬称略)::企画立ち上げ時から、魔法をキーワードにした新規IPを作りたいという思いがありました。ゲームにおける“魔法”は我々の得意分野でもあったので、剣などの武器ではなく、あくまで魔法を使ったオープンワールドにしようと。

光野雷生氏(以下、敬称略)::世界観的な観点でいうと、主人公が現代人の女性キャラクターなので、ごつい武器を抱えて戦うよりも多種多彩な魔法を操るほうがしっくりくるというのもありました。

――魔法とパルクールはどのような流れで結びついたのでしょうか?

寺田::ゲームとしてダッシュ要素を入れることは決まっていたのですが、フィールド上でダッシュができるだけだとあまりにも普通の内容でした。そこで、魔法を駆使したパルクールという仕様にして、フィールド移動自体を遊び要素としてふくらませていきました。

 最初から魔法とパルクールを結びつけて制作していたわけではなく、フィールドアクションを作っていくなかで魔法パルクールが生まれたという流れです。

――魔法パルクールは『FORSPOKEN』の大きな目玉だと思いますが、制作するうえでこだわったポイントは?

寺田::例えば魔法パルクールのスピード感、高低差のジャンプ力、落下した際の感触などですね。これらを軸に、アーシアというファンタジー世界を構築しました。とくにスピード感に合わせて、コンテンツの配置や広さを決めていったところがあります。

 魔法パルクールは本作の一番の特徴でしたので、“魔法パルクールをもっとも体感できるオープンワールド”を意識して制作しました。

――バトルにおける魔法の特徴は?

寺田::バトルのコンセプトは“100個の魔法を使ったバトル”で、攻撃魔法は近距離・中距離・遠距離用など多彩に用意されています。これらを組み合わせた無限大の戦術のバトルと、魔法パルクールをとくにユーザーさんに味わってもらいたいです。

――魔法パルクールはバトル中も使用できますが、高機動力ゆえにアクションとしてのバランス調整が難しかったのでは?

寺田::そうですね。とくに開発初期は今よりもっとシューティング色の強いバトルでして、それと高速移動の魔法パルクールの組み合わせのバランスが悪くて苦労しました。移動時はオープンワールドを高速で駆け抜けているのに、バトルになるとシューティングでチマチマ攻撃するような内容で……。

 そのあたりを見つめ直し、魔法パルクールも戦闘システムに融合させて昇華させるのはなかなか難儀でした。

――試遊版ではシステムを覚えきるのがたいへんな印象でしたが、製品版では順を追って各要素が解放されていくのでしょうか?

寺田::はい。今回はデモ版ということもあって、最初から多くの要素が解放済みの状態で「さあ、好きに遊んでください」というデザインになっています。

 製品版ではまずニューヨークのシーンから始まって、そこからフレイがアーシアに飛ばされて魔法やアクションなどのシステムを少しずつ覚えていく流れです。

――アクションが得意でない人に向けた救済措置などはありますか?

寺田::今回とくに意識して作ったポイントとして、アクセシビリティの充実というのがあります。難易度に関してもそうですし、色の見え方やキーコンフィグなど、世界中の幅広い方々が遊ぶことを考慮した設計にしています。そのなかで、魔法パルクールや魔法バトルをシンプルに遊ぶための設定というのも可能です。

――本作の方向性としては、いわゆる高難度の“死にゲー”ではなく、カジュアルにスタイリッシュなアクションを楽しめるという感じでしょうか?

寺田::そうですね。今回のデモ版に関しては、初めて本作に触れる方でも遊びやすいように意図的に難易度をイージーにして、バトルを簡単にしています。ただ、オープンワールドのゲームなので、不意に強い敵が出現するシチュエーションもありますが……。方向性としては、遊んだ人全員にカッコいいアクションを楽んでもらえるアクションRPGです。もちろん、歯ごたえのあるコンテンツもいろいろ用意しているので、あわせて楽しんでもらいたいと思います。

――バトルで使うメイン魔法がR2やL2ボタンに割り振られているのが、アクションRPGとしては珍しいと感じました。

寺田::そこは自分が一番頭を抱えたところでして、どちらかというとまず「○ボタンを何に割り当てるか?」に一番悩みました。○ボタンっておそらくプレイヤーが一番押しやすいボタンなので、本作で最重要の魔法パルクールをここに当てはめました。

 そして、バトルで魔法をもっとも体感するにはどのボタンがいいか考え、PS5のコントローラーということも考慮してR2ボタンにしました。“魔法を撃つ”という感触を的確に味わえるのは、やはりトリガーかなと。

――本作はアクションRPGということで、戦えば戦うほどに成長していくのでしょうか?

寺田::成長要素はありますが、バトルを通じてというより探索にひもづいています。ワールドをめぐるほど、クラフトの素材や新しい装備品などが手に入り、それらでカスタマイズしてフレイを強化していくというサイクルです。

フレイのイメージにカッチリはまったエラ・バリンスカさん

――物語の舞台となるアーシアは、全体で見るとどれくらいの広さなのでしょうか?

寺田::具体的な広さを数字などでは表せませんが、魔法パルクールを存分に体感できる広さなのは間違いありません。試遊版で体験できるのは本当にごく一部で、全体はもっともっと広いです。

――公式のゲームプレイ紹介トレーラーでは地域が判明しましたが、いくつくらいの地域がありますか?

光野::トレーラーではプレイノスト(PRAENOST)、アーヴォアレット(AVOALET)、そして拠点となるシパール(CIPAL)が紹介されていましたが、大きくはプレイノストのような地域が4つ存在しています。

 試遊版で探索できたのはアーヴォアレットのごく一端で、この地域は重力の魔法が狂ってしまったがゆえに浮島があったり、水辺があったりするのが特徴です。このように地域ごとに地形に特色があり、それに合わせてパルクールの遊びも用意しています。

――トレーラーでは水で作ったサーフボードのようなもので移動する様子もありましたが、あれも魔法パルクールですか?

寺田::はい。魔法パルクール自体がシナリオの進行などに応じて増えていくので、ゲームを進めるほどいろいろな魔法パルクールが入手できます。

――世界観やイベントシーンなどを見ると、『FORSPOKEN』は全体的に洋画のような雰囲気がありますが、これは意識してのことでしょうか?

寺田::とくに洋画チックにしたかったわけではありませんが、新規IPを立ち上げるということで、全世界のユーザーさんに届く作品にしたいという気持ちはありました。ライターが海外のスタッフということもあって、そういうテイストが感じられたのかと。

――主人公のフレイ役にエラ・バリンスカさんを選んだ理由とは?

光野::フレイというキャラクターを生み出すうえで、まず性格などを固めてからアクターさんの候補を探しました。そのなかで、エラさんはまさに我々がイメージするフレイ像にカチッとはまる方でしたね。

 フレイは根はいい子だけど、仮面をかぶって本音を隠す繊細な部分もあります。そのあたりのニュアンスもエラさんはとても上手に表現できて、さりげない演技も魅力的だったので彼女にお願いすることにしました。試遊版は日本語でしたけど、もちろん言語切り替えはできるので、ぜひエラさんの演技も堪能してください。

――キャラクターのなかにはタンタという魔女も登場しますが、彼女たちは敵対する存在なのでしょうか?

光野::タンタたちはもともとアーシアを統治していた善意の魔女だったのですが、ブレイクの影響もあって今は狂気に侵された状態になり、人々に害を与える存在になっています。フレイが元の世界に戻るためにも彼女たちとの対峙は避けられないので、まあ、はっきり言ってしまうと敵です(笑)。

――フィールド上には拠点となる“巡礼者の宿”があるようですが、エリアごとにどれくらいの数がありますか?

寺田::各エリアに数個ほど配置されています。巡礼者の宿はファストトラベルポイントにもなっていて、ここを休憩所にして各地を探索するのが基本となります。

――街などの建物を制作する際に、現実の建築物やファンタジー題材から影響を受けたものはありますか?

光野::アーシアは、中世ファンタジーというざっくりしたテーマに沿って世界観が作られています。細部を作り込むうえで、アートチームが実際にクロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナなどのヨーロッパ諸国を回って、昔の建築物などを資料にしています。

デザインコンセプトは“現代とファンタジー”と“美と残酷”

――TGS2022には本作の試遊が出展されていますが、プレイするユーザーに一番注目してほしいポイントは?

寺田::『FORSPOKEN』のウリである、魔法パルクールと100個の魔法によるバトルですね。加えて、ルミナスエンジンが生み出す圧倒的なグラフィックも魅力のひとつなので、ぜひ注目してください!

――ルミナスエンジンといえば『FFXV』が思い出されますが、『FFXV』から本作に引き継がれた部分や生かされた部分はありますか?

寺田::自分も『FFXV』の制作に参加していたのでわかるのですが、一番受け継いだと感じるのは“わかりやすさ”だと思います。

 『FFXV』制作時、『FF』を知らない人も含め全世界の人に向けて伝わるゲームを作ろうと強く意識していて、その精神は『FORSPOKEN』にも引き継がれています。ただ、『FORSPOKEN』は新規IPなので、『FF』ではできなかったことにもいろいろと挑戦しています。

――美麗なグラフィックはマップだけでなくエネミーにもいえることですが、敵のデザインでこだわったことは?

光野::『FORSPOKEN』のデザインでとくに大事にしていたコンセプトが2つありまして、1つが“現代とファンタジー”、もう1つが“美と残酷”です。

 前者は現代人のフレイがファンタジー世界に飛ばされるというのが一番わかりやすい部分ですし、それ以外にも、モンスターが現代の動物をベースにしているのも重要な点です。現代で見られる動物がブレイクによってモンスター化している、といった設定がデザイン面で伝わるよう意識しています。


 後者はどのエネミーにもいえることですが、恐ろしさと同時に美しさも感じられるデザインを目指しています。1つひとつのディティールを眺めると、その意味もわかっていただけるかと。

――ゲーム中にはギャラリーモードなどもあるのでしょうか?

寺田::ギャラリーモードという形ではありませんが、アーカイブが豊富にあって、それが世界観を掘り下げる手掛かりになっています。

――試遊しているとフレイとカフの軽快な会話も魅力的でしたが、あの2人の会話はどれくらい用意されていますか?

光野::ボリュームとしてはメチャクチャあります(笑)。ストーリー進行に応じても会話しますし、探索でもシチュエーションでもバリエーション豊富です。旅を通じてフレイ自身だけでなく、2人の関係性も変わっていくのでそのあたりも見どころです。

――いよいよ来年1月には発売ですが、現時点で取り掛かっている作業というのは?

寺田::ゲーム部分で必要な作業はおおむね終了しています。ここから発売までは、不具合を潰していくフェーズですね。オープンワールドというゲーム上、膨大なユーザーが自由な遊び方をして、結果いろいろな症状や不具合が発生してしまいますので。あとは、最適化をひたすらがんばることです(笑)。

――楽しみにしているユーザーに向けてメッセージをお願いします。

寺田::TGSでついに、世界で初めてユーザーさんが初めて遊べる機会を作れたことをうれしく思っています。でも、それと同時にとても緊張もしています。魔法パルクールやバトル、グラフィックなどがきちんとユーザーさんに響いてくれるかどうか。TGS当日は僕も会場に行ってみなさんの反応を見たいと思いますので、よろしくお願いします。!

光野::このゲームは多彩な魔法や魔法パルクールなど、魅力的な要素はそろえられたと自負していますが、やはり説明だけでは伝わらないものです。実際に触れて味わうものはやっぱり違うので、ユーザーさんが実際に遊んでどのようなリアクションしてくれるのか楽しみにしています。


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