『ヴァルキリーエリュシオン』体験版レビュー。シリーズへのリスペクトを盛り込みながらも挑戦した野心作

タダツグ
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 9月29日に発売となるスクウェア・エニックスのPS5/PS4/Steam用アクションRPG『ヴァルキリーエリュシオン』(※Steam版は11月12日発売)。

 『ヴァルキリー』シリーズとしては14年ぶりのコンシューマ新作となる本作。その体験版が配信されることが決定し、今回はその内容を事前にプレイさせていただく機会に恵まれました。ここではシリーズすべてをプレイしてきたライターのタダツグが、遊んでわかった触感をレビューしていきたいと思います。プレイに関してネタバレ情報も含まれますので、気になる方はご注意ください。

14年ぶりの新しい『ヴァルキリー』にプレイヤーが求めるものとは……?

 先にも書いたとおり、本作は『ヴァルキリー』シリーズとしては14年ぶりのコンシューマ新作。満を持してと言えば聞こえはいいですが、実際はあまりに時が流れ過ぎていて、IPが復活するという事実に期待と同じくらいの不安を覚えた人もいるのでは?

 かく言う自分もその1人。14年前とは市場規模、求められるクオリティ、プレイヤーの嗜好まで、何もかも大きく変化しているだけに「本当に大丈夫か?」という気持ちが消せませんでした。結果として、体験版をプレイすることでその不安は氷塊しましたけどね。

 おそらくですが、『ヴァルキリー』シリーズのファンの多くがシリーズ最新作に求めているのは

1:神々と人間が織りなす生と死に焦点を当てたヘビーなストーリー
2:爽快感と緊張感が味わえるバトルシーン
3:ヴァルキリーの特殊な力を用いて挑むパズルギミック
4:桜庭統氏による神々しいサウンドと荘厳で美麗なグラフィック

 ……ここらへんだと僕は思っています。今回の体験版は物語の冒頭からスタートし、ストーリーが大きく進むことはないため、“1”にかんしては判断できる段階ではないというのが正直なところ。壮大なダークファンタジーの片鱗はビンビンに感じられたので、先が気になっているのは間違いないところですけどね。

 前作『ヴァルキリープロファイル』とは明確に異なる“新しい『ヴァルキリー』シリーズ”として打ち立てられた本作。とはいえ、主神オーディンに仕える戦乙女ヴァルキリーが神々の争いによって混乱した地上界に降り立ち、世界を浄化しつつエインフェリアたちの魂を探していくというストーリーラインには懐かしいものが感じられ、どうしたって魂が震えました。

 神界に一人座したままのオーディン。彼に牙を剝く神狼フェンリル。ひとクセもふたクセもありそうなエインフェリアたち。そしてヴァルキリーの前に立ちはだかる黒い鎧の戦乙女(?)らしき女性(※残念ながら体験版の範囲では未登場)。はっきり言ってつかみはバッチリなんですよね……。ここらへんは製品版がリリースされ、物語にじっくり触れたあとにでも記事を執筆したいなと考えています。

 一方、“2”のバトルシーンや“3”のパズルギミックにかんしては、この体験版でかなりハッキリと輪郭をつかめましたので、今回のレビューはこちらに主眼を置いて書いていきたい所存です。

プレイ感はバリバリのアクション! ヴァルキリーを操作する気持ちよさが止まらない

 前置きがずいぶん長くなりましたが、ここからが記事の核心。体験版をプレイして真っ先に感じたのは“アクションRPGとしてのクオリティの高さ”、これに尽きます。

 これまでの『ヴァルキリー』シリーズにもアクション要素はありましたが、そこだけにフォーカスすると、本作ははっきりいってまったくの別物。バリバリのアクションゲームに仕上がっています。

 戦闘はフィールドからシームレスで進行。視界に敵をとらえたら、□ボタンと△ボタンの連打でコンボを繰り出し、敵に攻撃を加えていきます。

  • ▲各武器ごとに多彩な攻撃技が設定されています。これらは押すボタンの種類と順番で変化しますので、周囲の状況や敵の状態に応じて使い分けるとイイ感じです。

 攻撃にかんしてはあまり難しく考えなくても、ボタンの連打でコンボが繋がっていくので爽快感は高め。ただし、多数の敵に囲まれたイベントバトルやボス敵との戦いでは、ゴリ押し一辺倒では技を繰り出し終えたスキに反撃をくらうので、○ボタンによる回避アクションやL1ボタンによるガードもしっかり絡めていきたいところ。

 敵の攻撃をジャストガードやジャスト回避でいなすことができれば、その後の局面がこちらの有利になるほか、特定の技を習得していればそのまま反撃につなげることも可能。テクニックさえ磨けば、コンボによって先手を取りながら相手の攻撃をジャスト回避して後の先も狙う……なんて戦略もとれちゃいます。これらを駆使して強敵とのバトルに勝利した瞬間は、これまでの『ヴァルキリー』とはひと味違った興奮を味わえました。

  • ▲×ボタンを押せばジャンプが、○ボタンを押せば緊急回避が可能。これらはヴァルキリーを成長させることで2回連続で繰り出すことも可能となります。

 ヴァルキリーはL2ボタンを押すことでソウルの糸を発し、これが命中した対象のそばまで素早く移動する“ソウルチェイン”も使用できます。フィールド移動中に建物の屋根や崖の上といった高所へ進みたいときに使えるほか、戦闘中に敵との距離を一気に詰めたいときにも大活躍。

  • ▲ソウルの糸を対象に命中させることで、距離を一気に縮めることが可能。糸は敵にも当たり判定があるため、うまく使いこなせば戦場を縦横無尽に駆け回ることが可能です。

 ボス敵のような巨大な躰を持つ敵のなかには、弱点部位が存在するものも。うまく狙っていくことで大ダメージを与えることも可能となります。Rスティックの押し込みで特定の敵や部位をロックオンできるので、これで弱点部位に狙いを定め、ソウルチェインで近づいてコンボを狙うのが強敵とのバトルの基本といえるでしょう。……というか、僕はこのソウルチェインがあまりにも気持ちよすぎて、無駄に多用してしまったほどです(笑)。間違いなく、本作のアクションのキモになってくる要素ですね。

  • ▲強敵との戦いでは、ロックオンの切り替えは重要! ロックオンカーソルが黄色に光る部位は破壊可能な弱点となっています。

エインフェリアとの共闘と“ディバインアーツ”が戦略の要に!

 本作ではR1ボタン+特定のボタンでディバインアーツの使用が、R2ボタン+特定のボタンでエインフェリアの召喚が可能。この特殊アクションをうまく使いこなせるかも“敵に気持ちよく勝つ”ためのカギを握ります。

  • ▲特定のボタンとは、○、△、□、×の4つ。これらのボタンにメニュー画面で事前にエインフェリア、およびディバインアーツをセッティングできる仕様です。

 ディバインアーツはアーツゲージを消費することで使用可能な特殊技。技ごとに属性が存在し、相手の弱点属性で攻撃して属性ゲージを蓄積させれば、一定時間相手を行動不能にすることが可能です。アーツゲージは敵に攻撃をヒットさせることでたまっていくので、通常攻撃にうまくディバインアーツを絡めつつ敵をせん滅していきましょう。

  • ▲相手の頭上に現れるゲージのうち、右が残りHPを、左が属性ゲージの蓄積具合を示してしています。相手の弱点にあったディバインアーツを繰り出し、敵を行動不能に追い込みましょう。
  • ▲この戦術はもちろんボス敵にも有効! 行動不能に陥ったボスに対し、さらに弱点属性の攻撃をたたきこめば、属性ブレイクでより長い時間相手を拘束することも可能に。ただしこの状態から復帰した後は、一定時間弱点属性にロックがかかり、ゲージが蓄積できなくなるのでご注意あれ。

 エインフェリアを召喚すると、一定時間ヴァルキリーと行動を共にし、敵と戦ってくれます。時間経過で戦場から離脱するものの、すぐに再召喚することも可能。自分で操作できないのはちょっと残念ですが、ダメージソースとしてはもちろん、敵の注意を引いてくれたりコンボの継続にひと役買ってくれたりと、ものすごく頼れる存在なのは過去作と同様です。

 召喚にはソウルゲージを消費するのですが、ゲージは敵を撃破すると入手できるブルーソウルや特定のアイテムで回復できるので、積極的に召喚してOK。

 エインフェリアは各自で攻撃アクションが異なるほか、召喚時にそれぞれが得意とする属性をヴァルキリーに付与してくれるのもポイントです。この属性付与(レインフォース)をうまく活用し、相手の苦手属性のディバインアーツをぶち込んでいけば一気に大ダメージを与えられるため、爽快感バツグンですよ!

  • ▲エインフェリアは最大で2人まで同時召喚も可能。積極的に力を借りましょう。

 なお、フィールドによってはエインフェリアの力を借りてギミックをクリアする仕掛けも存在しました。たとえば今回の範囲では、エインフェリアの力で空中に氷の足場を作ってもらったり、巨大な岩を剣で破壊して道を切り開いてもらったり……といった感じ。

 こうした“共闘感”もエインフェリアたちに感情移入し、神と人との物語に没頭するための大切な導線に思えます。体験版の範囲では冒頭のチュートリアルでしかエインフェリアたちが登場しなかったので、ここからの物語展開に期待ですね。

現時点で気になるところもあるけれど、慣れが解決してくれそう?

 ここまで褒めまくってきたものの、気になるところがないかといえば……実際はいくつかあったりもします。いずれも主観的なものであったり、細かい部分だったりもするのですが。公平性を期すため、それらも列挙しておきたいと思います。

 まずは操作性について。記事をお読みいただくとわかるとおり、本作はヴァルキリーのアクションが豊富なぶん、使うボタンが多めです。上記のアクション以外にも、十キーそれぞれにアイテムや武器の交換機能を設定できるなど、ぶっちゃけコントローラのすべてを駆使して戦うといっても過言ではないレベル。アクションゲーム初心者は、操作に慣れるまで結構苦労するかもしれません。

  • ▲操作の初期設定はこんな感じ。使うボタンは多い……というか全部使う!

 裏を返せばかなり本格的なアクションを楽しめるということでもあるので、単純にマイナス部分とはいえない気もしますけどね。ゲーム冒頭で3段階の難易度設定もできますし。一度選んだ難易度は途中で変更できないので、体験版の範囲で難しいと感じた場合は、最初は難易度イージーでプレイするのもアリかも。

 ちなみに自分もアクションゲームはさほど得意ではありませんが、体験版のボスは問題なく撃破出来ました。本作はRPGでもあるので、ヴァルキリーをしっかり育成してからボスに挑めば、戦いが格段に有利になるのも覚えておいてほしいです。

  • ▲難しいと感じた場合は、敵を撃破したりフィールドオブジェを破壊したりすることで手に入る魔晶石などのアイテムを使用し、ヴァルキリーのスキルを上げて強化することも重要です。

 次に3D酔いについて。これは主観でしかありませんが、自分はちょっとだけ3D酔いした感覚がありました。人によっては全然大丈夫なレベルかもしれませんし、ゲームを止めなければいけないってほどではありませんでしたけどね。

 思うに本作はハイスピードでバトルが展開するぶん、狭い場所でロックオンを切り替えながら戦うとカメラが忙しく移動するため、それで酔ってしまったのかな、と。そういう局面ではロックオンを多用しないようにするなど、解決案も想い浮かびますけど……。

 あと、本当に重箱のスミをつつくレベルなのですが、コントローラ設定はプリセットから選ぶタイプではなく、自分好みにレイアウトさせてほしかったなあというのも本音。まあ、これは完全に慣れの問題もあるのでなんともいえませんが(苦笑)。

 でも、今のところシステム面や環境面で気になったのはそれくらい。爽快感の高いハイスピードバトルはクセになりますし、謎めいたストーリーにもグッと引き込まれています。何より、14年ぶりの『ヴァルキリー』シリーズ最新作に、胸がときめいて仕方がありません。多大なプレッシャーがのしかかったであろうなか、よくぞここまでのクオリティに仕上げてくれたものだと、スタッフさんには感謝の言葉しかないです。

  • ▲ストーリーも先が気になる内容。個人的に、オーディンとやり取りをするときヴァルキリーがいっさい顔を上げない(オーディンと目を合わせない)のは何か理由があるのかな、と踏んでいるのですが……はたして?

 マップ内に隠された欠魂花を見つけたり、サブクエストを引き受けたりといったやり込み要素も存在。さらにはマルチエンディングということもあり、ゲームボリュームにも期待できそうです。

 桜庭統さんによるサウンドも重厚で素晴らしく、『ヴァルキリー』にふさわしい内容。いきなりフルプライスで購入するのは勇気がいるな……って人は、まずはこの無料体験版でぜひ新しい『ヴァルキリー』の世界に触れてみてはいかがでしょう? 

 それでは、今回はこのへんで。

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