蝶がいざなう幻想の館。『夢見館の物語』が約30年前に発売されていた奇跡
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10月27日に発売される『メガドライブミニ2』に収録されているタイトルについてレビューしていきます。
『メガドライブミニ2』は、令和初のゲーム機として話題を呼んだ、ミニハードの決定版『メガドライブミニ』から、内容を一新し、『メガドライブ2』を再現した新デザインでさらなる小型化を実現しつつ、大きくパワーアップした新ハードです。
特別企画では、さまざまなライターがソフトの特徴や魅力を語っていきます。今回掲載するのは『夢見館の物語』です。
『夢見館の物語』 文:そみん
『ナイトトラップ』に続くバーチャルシネマシリーズの2作目として、1993年12月10日にメガCDで発売された『夢見館の物語』。実写動画を思わせるようなフルCGのゲーム画面で、動画を見るだけではないインタラクティブ性を持ち込み、多くのゲーマーに大きな衝撃を与えた作品です。
これ、ざっくり30年前の作品ですが、そんな昔にこんなゲームを作り出しているところがセガの底力というか、僕らが熱狂した「セガってすげえ!」を体現したゲームの1つじゃないかと思っています、オレ的には。
ゲーム的には、蝶にされてしまった兄妹が館からの脱出を目指すという王道的な物語ですが、ほんともう、幻想的な空間への没入感がすごいんですよね。よくも悪くもそこまで長い物語ではないので、忙しい社会人の方でも、土日に遊んでクリアできるはず。映画……とはかなり異なる体験ですが、映画1本を見る感覚でぜひ楽しんでほしいです。
自分はセガサターン版『真説・夢見館』も好きですが、人によってはメガCD版のほうが好きという声も多く聞きます。まあ、気持ちはわかります。実写ならではの雰囲気が、より妖しいんですよね。
めちゃくちゃ余談ですが、1995年にはセガサターン版をもとに『異説 夢見館』という小説が刊行されたのですが……その作者の霞田志郎は、僕の好きな推理小説家・太田忠司先生の小説に出てくる小説家でして。小説内の人物がゲームの小説を書くという構造も衒学的で、夢見館を思い出すと『上海香炉の謎』など霞田兄妹シリーズも思い出しちゃいます!
タイトル説明(公式サイトより)
はかなく彷徨う蝶たちの館には、静かな恐怖が息を潜めている……。見知らぬ館の中に消えた妹。そして、その姿を追い求める一人の少年。夢見館という閉鎖された空間で展開される、静寂のファンタジックホラー・アドベンチャーゲーム。
(C)SEGA
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