アニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』レビュー。退廃的で魅力的な世界をどう映像化した?【電撃秋アニメ×ゲーム】

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 Netflixで9月13日より配信開始となったアニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』(以下、『エッジランナーズ』)。そのレビューをお届けする。

 原作となるのは、2020年に発売された『サイバーパンク2077』というゲームだ。この作品はポーランドの会社が手がけたものだが、本アニメの制作は日本のアニメスタジオ・TRIGGERが担当をしている。

 TRIGGERと言えば『キルラキル』や『プロメア』といった、ポップでデフォルメの効いたキャラクターが、所せましと動き回るダイナミックな絵作りが特徴的だ。

 一方で原作となった『サイバーパンク2077』は、肉と機械が入り混じり、薬物中毒者やそれに類するものに依存する人々や、激しい貧富の差などが蔓延(まんえん)するディストピア世界を描いたもの。

 この退廃的かつ混沌とした世界を、TRIGGERがどう料理するのか……気になっていた人は自分だけではないだろう。

 結論から言えば、TRIGGERが描き出したサイバーパンクの世界は、その魅力を十二分に表現しており、『サイバーパンク2077』をプレイした人であれば、すんなりと物語に入り込めるはずだ。

 むしろ独自の用語などが多いため、原作(または原典となっているTRPGシリーズ)を未プレイの場合は注意が必要かもしれない。話の流れでなんとなく起きている事象を把握することはできるかもしれないが、それが意味するところをしっかりと理解するには、やはり『サイバーパンク2077』をプレイしておいたほうがいいと感じた。

 逆に言えば、原作のプレイヤーにとっては興奮してしまう要素がてんこ盛りであり、視聴後はナイトシティにすぐにでも戻りたくなるだろう。

 ちなみにアニメ公式サイトでは、ゲーム未プレイの方向けの簡単な用語集も公開中だ。アニメから見ようという人は、こちらだけでも見ておくと、作品理解の助けになるはずだ。

『サイバーパンク2077』世界についての前知識

 アニメの話をする前に、まず原作であるゲーム『サイバーパンク2077』の世界観について簡単に説明しておきたい。

 その名の通り、サイバーパンク……いわゆる肉体を機械化したり、意識をネットにつないだりといった、近未来的な世界を描いたジャンルの作品だが、こと『サイバーパンク2077』の世界において特徴的なのは、世界の支配権をいくつかの巨大企業が握っているということだろう。

 とりわけ日系企業の“アラサカ社”と米国企業の“ミリテク”の二台巨頭は、『エッジランナーズ』においても重要な役どころを担っている。

 ゲームの舞台となるナイトシティは、さまざまな企業が入り込み、さらには無数のギャングたちが権力争いを繰り返しているような無法地帯だが、それゆえにこの世界でのし上がろうとする者たちの心をつかんで離さない。

 プレイヤーの分身たる主人公・V(ヴィー)も、そんなのし上がりを夢見てナイトシティで生きるひとりであり、さまざまな依頼をこなして自分の名声を高めていく。

 彼のように、自分の名声を高めるために命を賭けた仕事を請け負う者たちは、“サイバーパンク”や“エッジランナー”と呼ばれている。

 彼らにとって報酬や名声は高いほどよく、リターンが大きいならばリスクが高くとも手を伸ばす。成功をつかむためならば、エッジ(境界)を越えることすらいとわない。それが彼らの生きざまなのだ。

 そして彼らの多くは、体の大部分を機械化することに積極的だ(こういった置換した機械のことをクロームと呼ぶこともある)。機械は生身の肉体では持ちえないほどの力や能力を授けてくれる。彼らが成り上がるには力が必要であり、そのためにはより良いクロームを手に入れるのが近道だ。

 しかし過度な体の機械化は、人間性を失ってサイバーサイコシス(サイバーサイコ)と呼ばれる暴走状態になってしまう危険性を孕んでいる。

 一線を越えてしまうと取り返しのつかなくなることを知ってなお、力を求めて機械化を進める者たち。そんな彼らの危うい生きざまこそ、『サイバーパンク』世界の魅力といえる。

 そして『エッジランナーズ』の主人公であるデイビッドも、成り行きではあるがサイバーパンクの生き方を選択することになる。

 デイビッドがサイバーパンクとして成長し、何をつかみ取るのか。それが描かれるのが『エッジランナーズ』という物語だ。

“サイバーパンク”として生きるということは、どういうことか

 ここからは『エッジランナーズ』本編の話に入ろう。まず目に入ってくるのは、サイバーサイコとなった男と、NCPD(ナイトシティの警察的な組織)との銃撃戦だ。

 NCPDからの銃撃をものともせず、体に無数の武器を仕込んだ男が、敵を蹂躙していく。TRIGGERらしいダイナミックなアクションシーンは観る者をグッと惹き込んでいくだろう。同時に、全身をクローム化した人間がどの程度の脅威なのかもわかるはずだ。

 しかしその後、マックスタックと呼ばれる対サイバーサイコ部隊により、男は鎮圧されてしまう。いかに強力なサイバーパンクであろうとも、正気を失ったサイバーサイコは、精鋭のマックスタックに駆除されるさだめにある。

 冒頭ならではのキャッチーなシーンだが、“エッジを越える”ことの意味を伝えている重要なシーンでもあると感じた。

 さて、この物語の主人公は、ナイトシティで暮らす青年・デイビッドだ。アラサカアカデミーの学生であるが、貧困家庭なこともあってか、エリート志向の他の学生からは浮いた存在として描かれている。

 貧富の差は、ナイトシティにおいてはそのまま己の価値になってしまうし、それが自然であることが1話からまざまざと描かれていく。

 もうひとつ、力の象徴となるのがクロームだ。貧困家庭のデイビッドは、クロームやインプラントは必要最低限でしかない。一方で、アカデミーのクラスメイト、カツオは親がアラサカ社の重役だけあって、良質なクロームやインプラントを所持している。格闘チップの力もあり、デイビッドは格闘戦で手も足もでない。

 当然ながらクロームやインプラントは金で買うものなので、金があれば荒事でも有利に立ちやすい。それがナイトシティの真理だ。実際、(買ったものではないが)軍用インプラントをインストールしたデイビッドは、カツオを一方的に叩きのめすことに成功している。

 金がものを言うシーンとして印象的だったのが、トラウマチームだ。トラウマチームは、簡単に言えば武装したレスキュー隊のようなもので、事故現場に急行し、契約者を素早く確保して救命措置を行う。

 重要なのが“契約者を”という部分で、未契約者にはどれだけ重傷者であろうとも、何も処置を施さない。デイビッドが事故にあった際も、彼の契約の有無を確認し、契約者でないとわかった途端、置き去りにしている。

 トラウマチームはゲーム『サイバーパンク2077』にも登場しているが、契約者以外への反応は横暴そのもの。『エッジランナーズ』でも彼らの態度が再現されていたのはファンにとっては嬉しい要素だったが、現場に残されたデイビッドにとっては地獄以外の何物でもないだろう。

 やがてデイビッドは、偶然手に入れた軍用インプラント“サンデヴィスタン”を埋め込み、サイバーパンクとなって成り上がりを目指すようになる。

 日常的な冒頭から一転し、危険な死と隣り合わせの世界へ踏み入れていくのは、まるでゲームの序盤をプレイしているかのようだ。(ゲームのほうはもう少し大人で、最初から闇社会に半分足を踏み入れているところはあるが……)

 また、デイビッドがサイバーパンクとして活動するにあたり、彼の仲間となる人物たちも数多く登場する。とりわけ重要な位置を占めるのは、彼をサイバーパンクへと導くきっかけとなったネットランナー(ハッカー的な存在)のルーシーと、デイビッドの師とも呼べる存在となるメインだ。この2人の存在はデイビッドにとって特別なものとなり、彼の行動指針へとつながっていく。

 特に2話の、デイビッドがルーシーに“母親の夢のために生きている”ことについて指摘される場面は印象的だ。“自分のために生きる”のがサイバーパンクであり、これは『サイバーパンク2077』より前の時代を舞台にしたTRPG『サイバーパンクRED』のルールブックにも明記されている。

 つまりこの時点では、デイビッドはまだサイバーパンクとしての心構えは持っていないということでもある。そんな彼が、どのようにサイバーパンクとして成長していくのかにも注目してほしい。

 もちろんほかの仲間たちも全員サイバーパンクであり、独自の信念を持っている。彼らがナイトシティでどのように生きているのか、サイバーパンクとして生きるということはどういうことなのかが、これでもかというほど描かれていく。


 一方で、行き過ぎてエッジを越えてしまったサイバーサイコの描写も素晴らしく感じた。ゲームでは、基本的にサイバーサイコは強力な敵として描かれるため、彼らの心情や見ている景色はうかがい知れない。

 しかし『エッジランナーズ』では、そんなサイバーサイコ側の視点も描かれる。人間性が失われていく感覚、正気を失っていく過程は新鮮で、この状態をゲーム側に逆輸入してみてほしいと思ったほどだ。

 というように、見どころをあげだしたらキリはないが、感想を一言で表すなら、「これが“サイバーパンク”だ!」とブン殴られるような、そんな錯覚。まさに命を賭して境界ギリギリを走り続ける……そんな刹那的な生き方に魅力を感じてしまう。それが『エッジランナーズ』という作品だった。

「ここ知ってる!」の大洪水! ゲームとのシンクロ率の高さ

 『サイバーパンク2077』をプレイした人は、覚悟してほしい。『エッジランナーズ』では、最初から最後まで「これ知ってるぞ!」が連続する。

 ゲームと同じナイトシティを舞台にしているから当然といえば当然なのだが、アニメの中で描かれる風景、組織、小物など、あらゆるものがゲームとリンクしているのだ。

 わかりやすいところで言えば、デイビッドが暮らすアパートは、ゲームの主人公・Vのアパートと同じ構造のビル、同じ間取りだし、リパードクの店のドアからは、ゲームで登場したギャングのひとつ、シックス・ストリートのシンボルが見える。

 ゲームのストーリーで足を運ぶことになるアフターライフや、“KIROSHI”や“HOテル”といった看板、ゴロー・タケムラとの会話で使ったダイナーなど、見たことがある風景が次々と映し出され、「ああ、本当にナイトシティの話なんだな」と実感させてくれる。

 デイビッドが通学時に通う道のりや、依頼を受けて赴いた先の建物でも、「具体的にどこかは覚えていないけど、見覚えがあるな……」と感じるはず。

 また、デイビッドが手に入れたインプラント“サンデヴィスタン”や腕に格納されている刃物“マンティス・ブレード”も、ゲームに登場するものだ。

 ネットを介したコール音や、ハッキング中の表示など、ゲームのSEやUIを踏襲しているものも多く、細かい部分まで見れば見るほど、“ゲームと同じ世界”を感じて嬉しくなる。


 ヒロインのルーシーはパンキッシュな見た目で、ゲームに登場したジュディを連想するし、仲間のキーウィはどこかT-バグを思わせる雰囲気がある。こういった人物を要所要所に配置することでも、『サイバーパンク』の世界であるという感覚を得やすくなっていると感じた。


 タイガークロウズやメイルストロームといったギャングに加え、ゲームに登場したキャラクターたちがカメオ的に出演しているなども嬉しい。これはファンサービスだけではなく、デイビッドがサイバーパンクとしての名声を得てきたということの描写でもあると思う。それこそアフターライフなんて、新米には入ることすら許されないのだから。


 ちなみに、『サイバーパンク2077』のジョブ(ミッション)名は、さまざまな楽曲のタイトルが付けられていたが、『エッジランナーズ』もその流儀に則って、各話のサブタイトルが楽曲から付けているようだ。

 最初に述べたとおり、『エッジランナーズ』の内容をしっかり理解するには、『サイバーパンク2077』をプレイしていたほうが絶対に楽しめる。視聴後は『サイバーパンク2077』を起動し、いわゆる聖地巡礼としゃれこみたくなるだろう。

 では未プレイではまったく楽しめないのか、というとそんなことはないだろう。もし原作を未プレイであったとしても、まず1話を見てみてほしい。怒涛の展開の連続で、きっと目を離せなくなるだろうから。

 そして『エッジランナーズ』でこの世界に興味を持ったなら、ぜひ『サイバーパンク2077』をプレイしてみるのもオススメだ。ちょうどいいことに、つい先日大型ダウンロードコンテンツの情報も発表されたばかりだ。今から始めても遅くはない。

 さあ、おまえもサイバーパンクになろうぜ。



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