『バイオ ヴィレッジ GE』開発インタビュー。三人称視点やローズの物語、新キャラのポイントは?【TGS2022】
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カプコンが10月28日発売予定の新作『バイオハザード ヴィレッジ ゴールドエディション』の開発者インタビューを掲載します。
本作は、従来の『バイオハザード ヴィレッジ』に追加コンテンツ3つ内包した内容です。
本稿では、川田将央プロデューサー、木下研人ディレクターへのインタビューの模様をお届け。3つのコンテンツそれぞれの見どころや、コンテンツを追加するに至った経緯、シリーズの広がりなどを語っていただきました。
なお、インタビュー中は敬称略。
より多くの人に遊んでもらうさまざまな施策
――木下さんはいつから『バイオハザード ヴィレッジ』のチームに加わったのでしょうか?
木下:去年5月に『バイオハザード ヴィレッジ』が発売されましたが、その数カ月前に参加しました。統括の竹内潤から本作をプレイ欲しいと言われ、今後の構想について相談されたことがきっかけです。
――『バイオハザード ヴィレッジ』を遊ばれていかがでしたか?
木下:それはもう楽しかったですね。エンターテインメント尽くしですし、戦闘もおもしろいし、物語の展開もおもしろい。ボリュームもあり、世界観も今までの『バイオハザード』と比べてゴシックファンタジー感、ダークファンタジー感があり、驚きを感じました。
――加入後はどういった役割を担当されたのですか?
木下:僕は追加DLC“ウィンターズ エクスパンション”のディレクターとして入りました。これまで『モンスターハンター』や『ドラゴンズドグマ』などアクションが体験の中心の作品を作ってきましたが、ホラーゲームに関わるのは初めてだったので、ノウハウやツボを学習しながら取り組んできています。
“ウィンターズ エクスパンション”では、一人称から三人称への変更、“ザ・マーセナリーズ”のリファイン、“シャドウ オブ ローズ”の作成という3部隊のチームに分かれて、それぞれコンテンツを作ってきました。
――追加コンテンツの情報が徐々に公開されていますが、手ごたえはいかがでしょうか?
川田:三人称視点は期待いただいていると感じています。“シャドウ オブ ローズ”の神秘的な部分も非常に好評いただいている印象です。かなり新しい挑戦をしているコンテンツなので、ぜひ注目していただきたいです。
――その三人称視点を追加した経緯は?
川田:元々ホラーを突き詰めていった際に、一人称視点は非常に相性がいいシステムだと思っていました。一方で『バイオハザード』シリーズは三人称視点をウリにしていたので、そこを求めているお客様もいると感じました。
そういった声もいただいた結果、開発チームの中でも「三人称視点でも遊んでもらえたら」という想いが高まってきた、という流れが経緯になります。
そこで今回の“ウィンターズ エクスパンション”、『ゴールドエディション』を発売することになり、最優先事項として三人称視点の実装を考えていました。他にも、物語ではローズのその後を描き、“ザ・マーセナリーズ”をもっとおもしろくするためにキャラクターとステージの追加だけでなく、細かい部分のリファインを行いました。
――『バイオハザード7 レジデント イービル』から一人称視点に変更が行われましたが、ユーザーからの反響はいかがでしたか?
木下:一人称視点ならではの恐怖感は感じていただけていました。一方で、操作をしてプレイヤーの姿が見えない寂しさや、周囲に敵がいるのかわからないことへの意見もありました。そういった方に応えるため、今回三人称視点を追加することになりました。
どちらがいい、楽しいとは一概に言い切れないところ。ならば両方用意して満足していただければと思いました。
やはり一人称視点は怖すぎるという声や、画面酔いしてしまうという声もありました。確かに私目線でも三人称視点の方が遊びやすさがあると感じています。とはいえ、怖さの体験では一人称視点には捨てがたいよさがあります。同時にどちらも成立させることは難しく、今回の両方のモード実装でもその調整は大変なところでした。
――三人称視点を追加したことで何か発見はありましたか?
木下:予想以上に効果的だったのは、三人称は一人称視点と違う体験ができるところです。そういう意味では、とても価値のあるコンテンツに仕上がったのではないかと思います。
――今後のシリーズでは三人称視点と一人称視点、どちらを採用していくのでしょうか?
川田:今後の方向性については、現状いろいろな意見があり、検討中の状態です。
――ウィンターズ家の物語は“シャドウ オブ ローズ”で完結するのでしょうか?
木下:そうですね。ウィンターズ家の物語としてはこれが最後のエピソードになるように制作しています。
――本編をプレイした方は物語の中でまだ気になるところがあると思いますが、そこは“シャドウ オブ ローズ”で補完されるのでしょうか?
木下:今回の物語は、ローズが自信の忌まわしい力を捨てるため、見つかった菌根の一部の記憶に入っていく……というあらすじです。ユーザーによっては、それぞれ物語の中で気になっているところがあると思います。
その疑問の1つの解決として、イーサンが守ったローズがどういった成長を遂げたのかを描いていくので、ぜひ楽しみにしてください。
――本編から16年後の世界を描いていますが、時系列的には『バイオハザード』シリーズから独立した物語になっているのでしょうか?
木下:“シャドウ オブ ローズ”は“今後のバイオハザード”という枠組みでは作っていません。あくまでウィンターズ家の物語のフィナーレという形で楽しんでいただければと思います。
――最初に公開されたPVではデュークのような男が登場して話題を集めていました。
木下:今回ローズが入ったのは“意識の世界”という、菌根の記憶が生み出した歪な世界です。そのため、PVで登場した仮面をつけている大男はデュークではなく、菌根の記憶を元に生み出された存在になります。“意識の世界”は完全に別の世界線で、登場するキャラクターも別の存在として描いています。
――マップについても新要素が用意されているのでしょうか?
木下:マップのデザインは完全に作り直しているので、同じ場所でも本編とは進むルートが違いますし、黒い液体のようなものからモンスターも現れます。最初はドミトレスク城の中からのスタートですが、行き先がガラッと変わります。本編をプレイした方でも、緊張感を持って楽しんでもらえるかと。
――ローズが持つ不思議な力の使い方についてお聞かせください。
木下:ローズの能力はさまざまな効果があります。最初はギミックに対しての干渉になるのですが、次第に敵に対しても使えるようになり、段階的に幅が広がっていく仕組みです。
――“シャドウ オブ ローズ”のボリューム感はどのくらいになるのでしょうか?
木下:プレイ時間は初見プレイで4時間程度を想定しています。ローズが入ったことでモンスターが出たり、不思議な文字が現れたり、ローズに対して何かの意志が動き始めるところが物語の展開のポイントです。
プレイを終えれば、それらの正体が明かされ、ローズも成長した姿を見せてくれます。そこまで長い時間はかかりませんので、ぜひプレイして展開を楽しんでいただきたいです。
――試遊させていただきましたが、少し難易度が高いような印象を受けました。
川田:決して簡単ではありませんね。私もプレイしていてやられてしまうことがありました。
木下:難易度については、敵に対して必要な銃弾の数などは変化しておらず、むしろ本編のライカンよりも易しくしてあります。その代わり、動きが不規則で弾を当てにくくしています。
そうした理由は、物語を進めるとローズの能力によって敵の動きを封じられるようになるからです。能力が高まることで敵を倒しやすくなる体験をしていただきたかったので、物語を進めてアクションを使用する前提のバランス設定になっています。
――“ザ・マーセナリーズ アディショナルオーダーズ”の見どころをお聞かせください。
木下:まずはキャラクターの追加です。3キャラクターを追加することで、これまで『ザ・マーセナリーズ』で遊んでこなかった人にも興味を持ってもらいたいです。「え? ドミトレスク使えるの!?」と気になって、プレイするきっかけになればと思っています。
――具体的にどのような点が変更されているのでしょうか?
木下:追加キャラクターは、それぞれのユニークなアクションを楽しんでもらえるようにしました。他にも、敵が出現するタイミングを調整して、テンポよく出現させつつ、プレイヤーに近づいていくアクションを追加しています。
発売後のユーザーの声として、「もっと敵をテンポよく倒したい」というものがありましたので、そこを取り入れてリファインしました。ぜひ爽快感を楽しんでいただきたいです。
――追加で登場させるキャラクターの選定は行われたのでしょうか?
川田:「ドミトレスクは外せないよね」という話はありました。あの大きい身体を一人称視点にすることで、より新鮮な体験ができると思いました。
木下:技はテンションに応じて攻撃が変わる仕組みで、最初は爪による攻撃ですが、敵を倒してテンションを上げることで、化粧台を投げつけたり、娘たちを呼び出したり、豪快なアクションができるようになっていきます。
テンションは敵を倒すだけでなく、アイテムとして登場する口紅を塗ることでも上昇します。体力の回復はワインで行いますし、ドミトレスクらしさを引き出せるようになっています。
――クリスはいかがでしょうか?
木下:クリスは体術を使って敵を吹き飛ばしながら戦います。銃ももちろん使いますが、体術を使うことで“闘志”が高まっていき、マックスまで上がると銃を撃つスピードや移動速度が高まり、達人のような動きを味わえます。
――本編で操作できたクリスとは異なるアクションが楽しめるのですね。
木下:はい。“ザ・マーセナリーズ”のクリスはワンボタンごとに体術が割り振られており、異なるアクションを楽しめます。もちろん体術だけではなく、クリスが本編でも使用していた武器を使用して敵を一網打尽にすることも可能です。
クリスは初期から解放されていますし、緻密に戦うよりはラフに敵を倒して遊びたい人にオススメですね。
――ハイゼンベルクはいかがでしょうか?
木下:ハイゼンベルクは磁力を扱うキャラクターです。普段はハンマーを振り回していますが、好きなタイミングで磁力モードに切り替えができます。
磁力モードは動きが遅いですが、離れた場所にいる敵を引き寄せられるようになり、遠距離の敵に対して有効です。ただし、素早い動きが求められる場合は、ガードなどが行えるハンマーモードにする必要もあります。その切り替えを楽しむキャラクターです。
――新ステージも登場するとのことですね。
木下:はい。キャラクターだけでなく2つの新しいステージも登場するので、そちらも楽しみにしていただければと思います。
――先日発表されたMAC版はどのような意図で発売されるのでしょうか?
川田:我々の狙いとして、『バイオハザード ヴィレッジ』の世界をより深掘りしたものが“ウィンターズ エクスパンション”、『ゴールドエディション』。さらに多くの人に触れてもらうことで横に広げていくものがMAC版、Nintendo Switch版、PlayStation VR2版になります。1人でも多くの人に『バイオハザード ヴィレッジ』に触れてもらうため、今後も幅を広げていきたいと思っています。
――Nintendo Switchのクラウド版はアップロードされたゲームにプレイヤーがアクセスする仕組みでしょうか?
川田:はい。任天堂さまが業務提携している会社のサーバーを利用する形です。我々はそのサーバーにクライアントを乗せて、そこにユーザーの方がアクセスいただく形になります。
――そうなるとインターネット環境は確認が必要になりそうですね。
川田:そうですね。現在はプレイできるネットワーク環境の確認するための、体験版をリリース中です。ご自身の環境が問題なくプレイできるか体験版でご確認したうえで、購入を検討していただければと思います。
――最後に発売を楽しみにしているユーザーにメッセージをお願いします。
木下:『ゴールドエディション』に内包された3つのコンテンツは、どれも楽しんでもらえる内容になっています。お値段もお求めやすい価格ですので、ぜひ手に取っていただければと思います。
川田:『バイオハザード ヴィレッジ』は発売して2年目に突入していますが、ファンの方にまだまだ提供できるバリエーションの幅があります。今回を機に、まだ遊んでいない方にも手に取っていただきたいです。よろしくお願いいたします。
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