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蒋幹、蜀の軍師になる!? 【三国志 英傑群像出張版#10-3】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。


 魏の蒋幹(しょうかん)といえば、三国志演義では“赤壁の戦い”で周瑜(しゅうゆ)を説得しに向かう使者として登場し、逆に周瑜に騙されて曹軍敗退の原因を作ったように描かれる人物です。

 道化役として描かれるため彼を好きな人なんていないと思いますが、案外彼の民間伝承が残っているので紹介します。

蒋幹の墓

 蒋幹の墓がある場所は、許昌にある。伝説によると、赤壁の戦いの後、蒋幹は許昌に戻り自分を恥じて病んでしまい病床にあったという。

 その後、曹操が劉備を征伐(おそらく漢中の戦い)する準備をしているとき、蒋幹は病床から飛び起き、急いで曹操に会い、遠征に参加することを願い出た。曹操は、彼が病気であることを知り、同行を求めるのは忍びないと思った。

 蒋幹は涙を流しながら「私はここに戦うために来たのです!」と言った。曹操は深く感動し、承諾しようとしたところ、楊修が近づいてきて、蒋幹の鼻を指差して「蒋幹、あなたは赤壁の災いを忘れたのか?」と言った。

 あまりの怒りに蒋幹は気を失い、家に担ぎ込まれ、その夜、死んでしまった。曹操は動揺して、彼を許昌の東に彼を埋葬した。

蒋幹、蜀の軍師になる?!

 蜀の関羽と馬良は、荊州の城外で馬に乗り散歩をしていると、突然一群の子供たちがこのように歌っているのを耳にした。「関羽! 関羽! お前はこの上もなく勇ましい。しかし勇ましいだけでは、荊城は守れない。」関羽はとても腹を立ち子供たちを追い払った。

 しかし馬良は「この歌と詩は孔明軍師の考えと同じです。必ずここに、賢くて才智のある方が隠居しているはずです。私たちはその方を尋ねるべきです。」と言う。

 馬良は人々に聞いてみると、赤壁で外交交渉に失敗した蒋幹が荊州に隠居し住んで塾を開いており、子供たちに歌を教えたのも彼だということがわかった。

 蒋幹は自分自身が十分、関羽の助けが出来ると思い、民間の歌をアレンジし、子供に歌わせることによって、関羽の度量を試したのだ。

 馬良は諸葛孔明の依頼をうけ、関羽の傲慢さを押さえるように指示されていた。そこで彼は蒋幹がアレンジした童謡を聞き、蒋幹に策を考えてもらい、荊州を一緒に守ってもらうべきだと考えた。

 しかし関羽は蒋幹と聞くだけで、馬良がどのように説得しても、彼に教えを請うことを嫌がった。馬良は続けて何日も、関羽に蒋幹のもとに行くように説得したが、関羽は一言も聞き入れようとはしなかった。

 ある日、馬良は関羽と約束して城外へ散歩にでかけた。それを利用して関羽を蒋幹が住んでいる村へ連れて行って会わせようと心に決めていたのである。

 蒋幹の門の前に着くと、馬良は関羽に告白した。そしてその門には対聯(門の詩)が貼ってあった。

 “山頂は雲で覆いかぶさり、どの山も雲を越えることはできない。”

 “壁からもれた光の筋は、つかむことが出来ない”

 関羽は上聯(上の句)を見て、彼を誉めたものだと思い喜んだが、下聯(下の句)を見るとたちまち顔を曇らせた。

 馬良は、「さあ蒋幹の所へ行きましょう。彼が荊城を防守することについて、どのような考えを持っているか聞きましょう」と促したが、関羽は手を振って答えた。

 「こんな奴の所へ行って、何の役に立つのか! お前は“赤壁の戦い”のやつの失敗を忘れたのか! やつは歌を使って私を馬鹿にしたが、災厄をおこす者よりもましだ。」

 言い終わると、馬の手網を引いて行ってしまった。その後、関羽が荊州を失ったのち、当地の人々は「関羽はついてない。蒋幹に会わなかったのが原因だ!」と噂したものだ。

 いかがだったでしょうか?

 歴史書にある蒋幹は使者として赤壁の戦いで周瑜の説得に失敗しただけの人物です。大敗の原因を作っていません。そもそも、敵将を説得して寝返らせるなど到底できる事ではないミッションでした。

 2つのお話ともに、そのミスが響いた悲しい結末でした。

 関羽が蒋幹を軍師として招かなかった事がすごく残念でならない気がしてきました。

 この話を聞くとなんだか彼が本当は優秀な軍師だったのではないか? 蒋幹を見直してみようと思いませんか?

 歴史人物というのはやはり見方を変えれば良くも悪くもなるんだなあと思わされます。蒋幹という人物も見直してみてもらえるとうれしいです。

 魏の武将の民間伝承はここまでです。次回は三国に所属していなかった人物たちのお話をしたいと思っております。お楽しみに!

三国志祭 ゲーム『くにおくんの三国志だよ 全員集合!』開発ディレクターインタビュー実施!

日時:11月6日(日)13時30分~14時
場所:三国志祭会場 KOBE鉄人三国志ギャラリー 
料金:観覧無料(先着順)※施設外でも映像を閲覧できます。

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人数:限定20名、要事前予約(三国志ギャラリーまで)
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日時:11月6日(日)17時~20時

★ゲスト予定 (一部オンライン参加)
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研究家 一条さん
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進行:KOBE鉄人三国志ギャラリー館長岡本
主な内容(予定)
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岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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