『グリム・ガーディアンズ』想定以上の反響に困惑!? アクションのこだわりやキャラ設定などを明かす
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インティ・クリエイツが発売予定の『グリム・ガーディアンズ デーモンパージ』の開発者インタビューをお届けします。
本作は、個性が異なる、“神園しのぶ”と“神園真夜”という姉妹を使い分けながら、ステージを進んでいくというステージクリア型の8ビット風ゴシックホラーアクション。“悪魔ハンター”を生業とする二人の女子高生が、悪魔の城になってしまった学校を元に戻すために戦うという内容になっています。
プロデューサー・會津卓也さん、ディレクター・伊東大典さんと小林響さんへのインタビューを実施。現在の開発状況やキャラクターデザインについてお聞きしました。
プロデューサーが作りたいと思っていたタイトル
――自己紹介と本作における担当、これまでに携わったタイトルについてお話ください。
小林:ディレクターの小林です。主にゲーム内アクションのディレクションを担当しています。これまでに『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』を始め、アクション系の作品に携わってきました。
伊東:同じくディレクターの伊東です。シナリオ関連、デザイン関連のディレクションを行っています。主に『ぎゃる☆がん』シリーズに携わっています。あとは、『Bloodstained: Curse of the Moon』のタイトルロゴなども制作しています。
會津:プロデューサーの會津です。よろしくお願いします。
――本作が開発された経緯は?
會津:今回は私のわがままで作り始めた部分が大きいです。本作には、“しのぶ”と“真夜”というキャラクターが登場するんですが……何かのタイトルに登場するこの2人が好きなんですよね(笑)。そのためこの2人のアクションゲームをいつか作りたいと前々から言っていました。ついに今回作ってみようとなったのがきっかけですね。
そこからは、小林に「この2人でアクションゲーム作れないか?」と話を持ちかけて、伊東も巻き込んだ感じです。
伊東:僕の方にも、かなり前に「この2人でアクションゲームを作りたい!」と言われていたので、何回か企画は出したんですけど……。
會津:すみません。全部ボツにさせていただきました……。本当に申し訳ないと思っています。
(一同笑)
――ということは、しのぶと真夜のアクション企画が満を持して始動したわけですね。
會津:私と伊東の間ではそうなんですけど、小林からしたらいきなり降って湧いてきた話でビックリしたと思います。
伊東:実は僕もしばらく間が空いていたので忘れていました。だから同じく降って湧いた感じでした(笑)。
――企画はスムーズに進んだのでしょうか?
會津:実は社内でコンペ的な流れがあったんですよね。「この2人でアクション企画を書きたい!」という人を開発部長から募集してもらって、その中から「これが一番いいんじゃないか?」と開発部長から渡されたのが小林の企画書だったんです。
――企画書の時点で原型はでき上がっていた?
小林:最初に出した企画書は基本的なベースこそ同じ2Dアクションですが、全然違うものですね。そこから、どうしていくのかを練って固まったのが今のタイトルのひな型になります。
そのため、今の形になるとは全然思ってもいませんでした。
會津:「ちょっと芽が出そうだな」という企画書だったので、一緒に打ち合わせしつつ今の形を作り上げていきました。
――伊東さんはどのタイミングから参加されたのですか?
會津:ちょうど本作の企画が立ち上がる時、伊東は他のタイトルに没頭している最中で忙しかったんですよ。そのため、私と小林の2人でやろうとなりました。一応、伊東にもやることになったことを報告しに行ったら……。
伊東:えっ!? 今ですか?
會津:って感じで、驚いてましたね。
(一同笑)
伊東:企画が動いていたことも知らなかったので驚きました。
會津:そんな感じでそのタイトルが一区切りしてから合流してもらっていますね。
――そもそも、しのぶと真夜を主人公にしたかった理由は?
會津:『ぎゃる☆がん』のプロモーション活動で台湾に行った時に、客観的にいいキャラだと感じたことと、海外でのウケがかなりよかった。プロデューサーとして、海外でもウケているキャラを使ってゲームを作ってみたいとその出張時に思いました。
同じ名前のキャラを出す際のルールとは?
――本作のタイトルはどのように決まったのでしょうか?
小林:タイトルは実はいろいろなアイディアが出ました。また、「国内と海外でタイトルを一緒にするのか? 別々にするのか?」といった話題もありました。
會津:最終的には、ローカライズなど行ってる海外担当のプロデューサーであるアンドリューが、海外用のタイトルをいくつか挙げてくれて、それをチーム内チャット上にて決めました。
伊東:もっとも語呂がよかったと言いますか、「グリムってなんかカッコイイよね!」って感じで決めました。意味は分かっていなかったですけど。
(一同笑)
――国内向けのタイトル案はあったのでしょうか?
會津:私が勝手に決めた『デーモンパニッシャー』という仮タイトルがありました。
――“デーモンパージ”には、“デーモンパニッシャー”の名残を感じられますが、意識的に残した部分になるのでしょうか?
會津:作った本人に聞いてみないと分からないのですが、実際に決めた時には私の意見を出していなく、チームメンバーが決めたものをそのまま受け取っていたので、引っ張られた訳ではないと思います。
タイトルが決まった時に「日本語のタイトルもこれでいい?」と聞いたところ、「日本語もこれでいいでしょ!」とチームに言われたため、一緒のタイトル名になりました。
伊東:個人的にはロゴを国内版と海外版の2パターン描きたくなかっただけなんですけど……。
(一同笑)
――タイトルの響きがカッコいいですね。
會津:“グリム・ガーディアンズ”ってカッコよくていいんですけど、“デーモンパージ”の方が日本人にあまりなじみがないワードなので迷いもありましたね。
ただ、このタイトルを発表したら本作を「『グリム・ガーディアンズ』としか呼ばない」という説がありまして……それはそれでいいかなと思っています。
――『白き鋼鉄のX(イクス) THE OUT OF GUNVOLT』の“THE OUT OF GUNVOLT”の部分のような感じですね。
會津:そうそう! 誰も言っていないという(笑)。
――ストーリーを簡単にご説明いただけますか。
伊東:“神園しのぶ”と“神園真夜”という“悪魔ハンター”を生業とする2人が、悪魔ハンターの仕事を終えて久しぶりに学校に帰ってきたら、目の前で学校が悪魔の城に姿を変えてしまいます。「なぜ学校は悪魔の城になってしまったのか?」、「悪魔の仕業なのか?」ということを解決していく話になっています。
――キービジュアルにどこかで見たことのある悪魔のようなキャラが映っている気がするのですが……。
伊東:あ~~……。あのキャラクターが見えてしまっているんですね(笑)。
會津:そういう反応ですよね。
(一同笑)
伊東:ちなみに僕的には、ちょっと違う感じで描いたんですよ。
――ということは皆が思っているキャラクターとは別のキャラになるのでしょうか?
會津:ノーコメントでお願いします!!!
――しのぶと真夜の設定についてもお伺いしたいのですが……。
會津:しのぶと真夜もそうですが、「同一人物なの?」という部分に関しては弊社のポリシーがあります。シリーズをまたいで他の作品に出演した場合には、キャラ性を明確にしないようにするルールがあるんですよ。
例えば、同じシリーズの1、2、3であれば同一人物で間違いないんですけど、『B』というタイトルに『A』のタイトルのキャラクターが出てきた場合、それは本当に『A』のキャラなのかは曖昧にしているわけです。
そのため、本作でもあまり明確にはしたくないなと思っています。あくまで、神園しのぶと神園真夜というキャラのビジュアルと名前、設定は、非常に気に入っているので、それを引き継いで開発している流れです。
とはいえ設定を引き継いでいるので、そのキャラクターが好きな人がプレイした時に「これは俺の知っているキャラじゃない」みたいにならないように配慮しています。そのために伊東がチームにいるのです。
苦手な場所は無理せず切り替えるのが肝
――ゲームシステムで注目点をお教えください。
小林:注目点は、性能がまったく異なる2人の主人公です。得意・不得意がはっきりしているので、好きなキャラクターだけを使い続けるというプレイではなく、得手不得手を見極めて、いかに切り替えて攻略するのかというプレイに注目してほしいです。
あとは、“姉妹レスキュー”というシステムです。例え片方のキャラが倒れてしまっても、その場所まで行くことができれば救出させて復活できる、このシステムにも注目してもらいたいです。
――神園しのぶと神園真夜、それぞれのアクションの特徴は?
小林:しのぶは、遠距離から安全に戦えるというデザインを意識して作られたキャラクターになっています。連射力の高いサブマシンガンや、投擲物をうまく使いながら射程外から悪魔を倒していきます。
ただその反面、近づかれると対抗手段に乏しかったり、銃のリロードが必要で隙が大きかったりという欠点があります。ここが駆け引きのポイントになっています。
体力は高く設定されているのでアクションゲームが苦手な人でも、うまく楽しんでいただけるだろうという意図で作っています。
會津:このマシンガンは連射できるから撃っていて気持ちいいんですが、1発1発が弱いので、いきなり目の前に現れた悪魔を撃ち続けても倒しきれないぐらいの強さになっています。
小林:そうですね。近距離は弱点になっていますが、その代わりにサブウェポンが優秀なので、そこに気づくことができるとキャラクターの印象が変わると思っています。
――先ほどプレイさせてもらった時にも、撃つことが楽しいのですが倒しきれない場面がありました。
小林:真夜は、安全な位置から戦えるしのぶと対になるようにデザインされていて、近接特化の戦闘スタイルです。多くのゲームの場合、近接担当はHPが多いのが定番でしたが、真夜はHPが低く、その代わり“三段斬り”など近接攻撃で高火力を出せるキャラになっています。
ダメージを出せるけど倒れやすいキャラになっていて、アクションが得意な人がハイリスクハイリターンなプレイを楽しめるのがキャラの軸になっています。
他にも、独自のアクション“しゃがみ歩き”で狭い通路を通れたり、サブウェポンが高台に登れるものや、近接攻撃をサポートするものになっていたりするので、プレイヤースキルが問われる上級者向けのキャラだと思っています。
基本的には、「この場所は苦手かも!?」と思ったらキャラを切り替えてプレイするのが肝となります。
會津:しのぶは、狭い通路を通ろうとするとお尻が引っ掛かっちゃうんでね(笑)。
――何か、明確にビジュアルが思い浮かぶんですが……。
會津:なんですかね? 記憶違いじゃないですかね?
(一同笑)
――キャラクターデザインをするうえで意識された部分は?
伊東:この服は悪魔ハンター時の仕事着というコンセプトです。切り替えた時に判別しやすいように、ベースの色をしのぶは青、真夜は赤にしています。
またアクションゲームなので、長めの髪の毛やマントなど揺れるものを入れているうえに、悪魔の城で戦うので、ちょっとだけゴシック調のドレスをイメージしたデザインになっています。
小林:ドットを描いてくれる担当者が、こちらが伝えていないような部分を読み取って細かいアクションを描いてくれています。しのぶがリロードするシーンもそこまで描いてくれとは伝えていないんですけど、かなり細かく描いてくれているので注目してほしいですね。
――キャラクターデザインに関して、もっとこうして欲しいなどの意見はあったのでしょうか?
會津:伊東の方がいくつかパターンを制作して、それを開発用チームチャットに貼るんですよ。チャット内には数十人のスタッフがいるので、人気投票的な感じでどれがいいかを話して、最終的に各セクションのリーダーが「これがいいんじゃないですか?」や「あれがいいんじゃない?」みたいな感じで決めていきます。
そのため、1つのイラストを修正していくのではなく、多くのデザインから皆で選びつつ、方向を定めていく感じでした。
伊東:僕が推していたデザインは落選しちゃいましたね……。
(一同笑)
――ボスデザインも伊東さんが担当されているのでしょうか?
伊東:僕が担当していて、基本的には魔物というより、作品に合ったホラーテイスト感のあるボスデザインにしています。
小林:人型のボスはほとんど出てこないため、全部のボスがクリーチャーです。
――先行プレイでは、コウモリのようなボスと、触手を使う巨大植物のようなボスと戦うことができましたが、このボスをデザインするうえで心掛けたところはどこになりますか。
伊東:何人かでデザインしたものを僕がブラッシュアップして、最終的に決める流れになっています。コウモリは、怖さの中にもカッコよさがあるようにデザインしています。よく見るとドラゴン感があるようなデザインにしてあるので、そこに注目してほしいです。
小林:巨大植物の方は、仕様が先に決まっていたんですよ。
伊東:形や動きの仕様が先に決まっている場合、その決められたベースに沿って制作していく感じとなります。ただ、仕様に縛られてしまうので、そこまで幅を出すことはできない印象です。
メインは1人プレイ! 2人同時プレイではズルができる!?
――1人プレイと2人同時プレイで、どちらも違った楽しみが得られると感じられました。ゲームデザインはどちらをメインで制作されているのでしょうか?
小林:基本的には1人プレイの方をメインで考えています。1人プレイならではの切り替えプレイで上達していく、解法を見つけていく、攻略していく流れを体感できるように作っています。
2人同時プレイの時は、「ありとあらゆるズルができるぞ!」といった感じで制作しています。
――“あらゆるズル”というのは?
小林:2人同時プレイ時は仲間の上に立つことができるんです。それを利用したルートのショートカットが可能だったり、2人同時に攻撃することで瞬間火力が出るだったりという、1人プレイではできない攻略方法を楽しめる作りになっています。
會津:複数人同時プレイをする際に、ズルをできないようにシステム的に抑制をかけることが多いと思いますが、そこをあえて何もしないというのが本作の特徴になります。
1人プレイをしている時に、「あぁー、これ2人いたら〇〇できるなぁ」みたいな発想が出てきた時に、実際2人でやったら「発想通りのプレイができた! ヤッター!」みたいな達成感もあるので、そこは残していった方がいいだろうと思っています。
――先ほど“姉妹レスキュー”が注目点だと話されていましたが、このシステムは最初から構想されていたのでしょうか?
小林:仕様が固まっていない時期から構想していたシステムになるので、最初の方から構想していました。
仲間がたくさんいて切り替えて進んでいくという……弊社のゲームがあるんですが、その作品と比べた時に2人しかいないのが最初からデザイン上の課題になっていました。それを解決するためのシステムが“姉妹レスキュー”になりますね。
會津:『Bloodstained: Curse of the Moon 2』だけでなく、弊社から最近発売された『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』も2人のキャラクターを切り替えて遊ぶ作品なので、そちらと同じような形になってもいけないという課題があったんですが、“姉妹レスキュー”というシステムがいい落としどころになったと、プロデューサー視点で感じています。
小林:BitSummit(ビットサミット)に出した際、ウケがよかったシステムなのでホッとしています。
――ゲーム難易度はどれくらいのイメージで設計されていますか。
小林:本作のゲーム難易度は、弊社の『Bloodstained: Curse of the Moon』シリーズをプレイしたことある方ならなじみのあるものを想定しています。アクションが苦手な人や気軽に遊びたい人向けの“カジュアルスタイル”と、昔ながらのヒリヒリとしたアクションを楽しみたい人向けの“ベテランスタイル”、さらなる高みを目指す人向けの“レジェンドハンタースタイル”といった3つのスタイルを用意しています。
ベテランスタイルが本作の標準難易度になるのですが、カジュアルスタイルは、回復アイテムが多く出現したり、ノックバックがなかったりと初心者に配慮された難易度になっているので、話が気になるけどアクションは苦手……という人でも気軽にプレイできると思います。
レジェンドハンタースタイルに関しては、最初から選べないスタイルで敵が追加されていたり、被ダメージが増加していたりと、上級者向けになっています。
――作中に使用できる武器などは増えるのでしょうか?
會津:サブウェポンなどは増えていきます。これは道中探索して見つけて手に入れるのではなく、ボスを撃破してボスから入手していくシステムになっています。弊社がよく開発している某青いキャラクターのタイトルと同じような方向性ですね(笑)。
神園姉妹は海外人気が高い!? 開発状況は……15%?
――YouTubeにアップされたPVに海外の方からのコメントが多く見られました。2Dアクションが注目されているのでしょうか?
會津:実は、『ぎゃる☆がん だぶるぴーす』という作品があるんですが、これが海外で一番売れた弊社の作品になります。そのため、海外における“神園姉妹”の認知は非常に高いため、2Dアクションだけではなく“神園姉妹”のおかげもあると思います。
あとはですね。結果としてここまで反応がよかったのは、実は自分が一番ビビっています(笑)。自分が好きなキャラクターだからで作った作品なので、反応が非常によすぎて「え? いいの?」と思いました。反響が大きかったため、しっかり考えないといけないことに気が付き、今いろいろと考えています。
――やはり海外人気が高いんですね。
會津:先日出展したシアトルの“PAX West”で『ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』と『グリム・ガーディアンズ』を4台ずつ横並びで展示したんですよ。そしたら『鎖環(ギブス)』は既発タイトルだったので空きがある状況でしたが、『グリム・ガーディアンズ』は行列が連日途切れなかったですね。しかもほとんどの人が2人同時プレイをしていたのも印象的でした。
プレイしたほぼ全員が「これはどこで買えるんですか?」と聞いてくれたりと、非常に反響がよかったです。
――開発進捗はどんな感じでしょう。
會津:10%ぐらいですかね……。
小林:いや、15%ぐらいですね!
會津:こういう時に、ディレクターが高い数値を言うのは珍しいですね。
(一同笑)
――こういったアクションゲームはマップから先に開発するのでしょうか?
小林:基本的にはマップよりも先に、ステージギミックだったり、敵やボスであったり、ステージコンセプトを決めてからマップ生成を行っていきます。そのため、最終的にはマップ開発の比重が重くなっています。
――プレイさせていただいたのですが、15%とは思えない完成度でした。
會津:最初にプレイアブルキャラクターの仕様を決めないと、ボスもギミックも決まらないので、基本的なアクションの部分については、完成に近い状態まで仕上げています。完成度15%というのは、その最初の仕様の完成度でもありますね。
そのため、先行プレイをさわられた人は「あれ? もう完成間近なのかな?」と感じたのかもしれません。
――BitSummitや東京ゲームショウなどでプレイされた人の意見などを取り入れて調整されるのでしょうか?
小林:遊びやすさに関する部分の意見については、本当にそれを皆が思っているのかを慎重に考えつつ、意見を見ていきます。
會津:弊社は、人に何かを言われても「いや、自分たちの好きなものを作るよ!」という感じの会社なので、意見が一緒のところは採用するのですが、意見が違うところは採用しないという感じです。
「自分たちの好きなものしか作っていないじゃないか!」と言われることもありますが、まぁそういうことです(笑)。
――まだ15%の進捗状況ですが、開発で苦労している部分は?
伊東:キャラクターデザインを少し描き込んでしまった結果、ゲーム内スチルを描く時の仕事量が増えてしまったという部分ですかね。
僕が描いている『ぎゃる☆がん』シリーズのイラストと比べると線の多い服になっているので時間がかかっています。あとはゴシック・ホラーなので背景の描き込みにも時間がかかってしまいます。
小林:難易度調整が難しいですね。ある程度完成したところで開発内でチェックプレイをするのですが、皆に「難しい」と言われてしまうので難易度調整が難しく、着地点が見えなかったりします。
會津:うちの開発は、誰も教えていないのにゲーム中のすべての行動にリスクとリターンを設定しがちなんですよね。そうすると1つでも間違った行動ができない、すべて正解を引き続けないとノーダメージでクリアできないという状態に陥ってしまう。
そのため、意味のないルートや意味のない敵の配置など……行動の余白、遊びの部分が必要。ここら辺のバランス調整に苦労している感じですね。
小林:「もっと簡単にしてもいいよ」っていうのが意外と難しいですね。
會津:そうですね。理屈で考えて仕様を書くと難しくなってしまい、感性で仕様を書くと難しくはならないけど……おもしろくなくなってしまうかもしれないと思うので、難しいところです。
――簡単という定義自体も難しいですよね。
會津:ベテランになってくると、このように組み立てるとゲームとしては成立するけどあえて成立させない、どっちでもいいという選択をとれるようになっていくのですが、その割合を頭からビシッと入れられる人は、おそらくこの世界に1人もいないと思います。
でき上がってから組み合わせてみて、ここの仕様は落とそう、ここの仕様が生かそうというような取捨選択はどうしても出てくるんですよね。
それがゲームに搭載される要素が増えれば増えるだけ、バリエーションが複雑になっていく。多分小林が捌ききれない速度で物量が増えていっているんだと思いますよ。
小林:そうですね(笑)。
會津:でも一生懸命に捌いていると思いますよ。プレイしておもしろかったと言ってもらっているのがその証拠です。
皆さんに遊んでいただき、いい感覚のまま発売を迎えればと思います。まぁ……発売日はいつなのかという問題がありますけど(笑)。
――発売日はいつになるのでしょうか?
會津:まったく決まっていないですね。
先日シアトル出張に行っていたんですけど、出張に行く前に「ちょっと伸び気味だから、スケジュールを延ばしましょう。」と言って旅立っていきました。一週間ぶりに帰ってきたら延ばしたスケジュールからも、さらに遅れているという報告が上がってきました。
――年内なのか、年明けになるのかも分からない状況でしょうか。
會津:わからないです。開発の進捗がもう少し進むと、「ここまで作るのにこれだけの日程がかかったから、残りはこれぐらいだろう」というようにスケジュールの見積もりが取れるのですが、15%の状態ですからまだなんとも……。
ただ、プレイアブルキャラクターやボス、マップができてきているので、ここから急激に進捗が上がってくるはず。期待しておいてください。
――最後に本作に期待する人へひと言、お願いします。
小林:いろいろと調整している真っ最中ですが、アクションが得意な人も苦手な人も、幅広く楽しめるタイトルになると思うので、ぜひご期待いただければと思います。
伊東:そうですね……これは言っといたほうがいいのか……『ぎゃる☆がん』を楽しんでいただいた人ならば、もしかしたら……より楽しめる内容になると思います。
神園姉妹に関しては、今までと違ってちょっとカッコイイ2人を目指して描いているので、好きな方は何かを感じ取ってもらえたらいいなと。
會津:これだけの人を巻き込んでおいて趣味というのは申し訳ないんですが、神園姉妹が好きだからという、趣味のような理由だけで作り始めて発表してみたところ、国内海外問わず多くの方に興味を持っていただけたのは、すごくうれしかったです。
なるべく早い段階で皆さんにお届けできるように、発破をかけて作っていきたいと思いますので、続報をお待ちください。
――本日はありがとうございました!
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