資金や販売経路の確保だけじゃない! インディーゲームパブリッシャーの重要性:SIE吉田修平氏インタビュー連載【電撃インディー#338】

電撃オンライン
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 PlayStationで“インディーゲーム”を推進するインディーズ イニシアチブの代表として、現在さまざまな活動を行っている吉田修平氏。ゲーム好きなら名前を聞いたことがある有名人で、ゲームシーンのいろいろな場所で見かけた方も多いだろう。

 この連載では、そんな吉田氏に電撃ゲームメディア総編集長の西岡美道が、インディーゲームに関するさまざまな質問を行い、吉田氏から見た世界のインディーゲーム事情や、今後“PlayStation”で発売予定の最新インディーゲームなど、ユーザーが気になる疑問やお得な情報を掲載していく予定だ。

 第2回は、吉田氏から見た海外のインディーゲーム市場と、オススメの海外タイトルについてうかがってみた。

  • ▲ソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表の吉田修平氏(文中は敬称略)。

 なお、前回と同様にかなりのボリュームになってしまったので、3つの記事に分けて公開していく。2つ目以降の記事も近日中に公開予定なので、ぜひチェックして欲しい。

PROFILE

吉田修平(よしだ しゅうへい)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
インディーズ イニシアチブ代表

 1986年ソニー株式会社に入社、1993年2月にソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)に参画。

 以降、“PlayStation”プラットフォーム向けに発売された数々のソフトウェアタイトルをプロデュースし、2008年よりゲーム制作部門であるSIE ワールドワイド・スタジオ プレジデントに就任。

 『ゴッド・オブ・ウォー』、『アンチャーテッド』各シリーズの制作などを担当。2016年10月に発売したバーチャルリアリティシステム『PlayStation VR』の開発にも携わる。

 2019年11月よりインディーズゲームを推進するインディーズ イニシアチブ代表に就任。

日本とはまた違った、海外ならではのインディーゲームの魅力

──前回は日本に絞った話について伺いましたが、今回は海外のインディーゲーム事情についてお聞きしたいと思います。まず、日本のインディーゲームと海外のインディーゲームで分けた場合、吉田さんが明確に違うと思うことや、海外ならではの魅力を感じる部分はどこにありますか?

吉田:インディーゲームのブームが海外から起こったということは、それだけたくさんのプロが作っているということですよね。

 独立して、自分たちの会社で自分たちのゲームを作り、ファンディングを得てマーケティングもやる。一連の活動を経験値の高い人たちがプロの仕事としてやっています。

 この流れが2000年代の後半から、ずっと続いているんですよ。

 これはもう、プロのゲームデベロッパーとしてやっていくうえで、1つのオプションになっているのではないでしょうか。

 だから、大手ゲームメーカーに入ってもそこからチームごと独立したり、逆にチームが解散してまた大手に入ったりといった流れもありますね。

 日本のように個人で作られている方もいれば、若手で学校を卒業してから作られるチームもあります。

 今は、いろいろな形でインディーゲームを作る人の数が圧倒的に多くなりました。

 そして数が多いだけではなく、プロフェッショナルとして長く仕事をしてきた人たちが、一緒にゲームを作ってきたチームごと独立してベンチャーキャピタルから投資してもらい、いい感じで作っているものもあります。

 最初からたくさんのお金があるのでマーケティングスタッフもいれば、マーケティング費用もかけられる。

 そういった大手とインディーの間みたいなチームを含めて、非常にクオリティが高くプロダクションバリューも高い。

 インディーと言っても、50人ぐらいのチームで作っている作品もゴロゴロあるのが海外です。

 海外の大きなゲームイベントに行くと、だいたい年間のベストゲームアワードをインディーゲームが取ることが多いんですよ。

 それは何故かというと業界の人が投票するので、新しい目線の作品や斬新な企画の物に投票するからです。

 ベストヒットというよりは、新しい道を切り開いたクリエイティビティを応援する場合が多い。

 そういった面でも、インディーゲームの存在感というのは非常に高いですね。これは2010年代以降の流れですが、最近はますますその傾向が強まっているような感じがします。

──海外でも個人で作る場合とパブリッシャーと組む場合があると思いますが、海外の開発者の方はそれをどうやって決めているのでしょうか?

吉田:自分たちでお金を貯めたり、投資家からお金を借りることが出来ない人たちもいますよね。

 チームや個人も含めて、そういう人たちにも資本は必要です。お金がないと作れません。

 そうした人たちは自分たちの作りたいものをきっちり作り、プロトタイプを作ってパブリッシャーからお金を出してもらう、というのが非常に良い形だと思います。

 作っている人の数や作られているゲームの数に比べると狭き門ではあるのですが、パブリッシャーはお金を出すだけじゃなくて、マーケティングのサポートやプロダクションのサポートなど、いろいろなことをやってくれます。

 大手のAAAタイトルの場合は、あまりにも予算が大きいのでパブリッシャー側がIPを保有するケースが多いのですが、インディーの場合は自分たちで自由に作りたいということもあり、パブリッシャーはサービスを提供する形でIP所有に関してはデベロッパー側にそのまま残す、という契約形態が多いです。

 ファンディングをある程度受けていて、ゲーム自体も問題なく制作できていて、マーケティングやQA、ローカライズといった手間のかかる所をやってもらうためにパブリッシャーと仕事をする場合もありますね。

 インディーパブリッシャーは非常に柔軟なんですよ。契約形態に関しても、各タイトルごとでデベロッパーへ提供するサービスの内容を変えられる場合も多いです。

 もちろん、パブリッシャーなしでセルフパブリッシングもできますし、そうしている人たちもいます。

 パブリッシャーがなくても、自分だけでもデジタルストアでの販売はできますし、QAもローカライズもやろうと思えばできます。

 そうやって発売しているところもたくさんあると思いますが、やはりセルフパブリッシングでの難しさはマーケティング。PRですね。

 最近ではインフルエンサーさんに遊んでもらってプロモーションするのが一般的ですが、なかなかそこまで手が回らないケースが多いのではないかと思います。

──最近は日本でもインディーパブリッシャーが増えていますが、契約に関しては海外と同じような柔軟な形態になっているのでしょうか?

吉田:日本のインディーパブリッシャーも、ほぼ同じような形態でしょう。IP所有に関しては、デベロッパーがそのまま持つ形でやられているところが多いと思いますよ。

──これはゲームの内容にもよりますが、少し前に行われたAnnapurna Interactive Showcase 2022を見ていても海外のインディーゲームは個性を出すのが上手いですよね。これは企画の段階から個性的なのが理由でしょうか。それとも、パブリッシャー側から「こうした方がいい」という意見が出てきて、個性が出るのでしょうか?

吉田:Annapurna Interactiveさんを例に出してしまうのは、極端な例かもしれません。

 なぜなら、彼らはパブリッシャーとしてどういうタイトルをパブリッシュするかに関しての理想がとても高いからです。

 Annapurna Interactiveさんだけではなく、Devolver Digitalさんもそうですが、とても個性的なものを好んで取り上げていますよね。

 Devolver Digitalさんの場合はもっとアクションゲーム寄りですが、この2社のようになると、パブリッシャーとしてブランド化しています。

 ユーザーさんも、ここから発売される物ならクオリティが高いだろうという信頼がありますし、マーケティングなども上手です。

 むしろ、デベロッパーの側からAnnapurna InteractiveさんやDevolver Digitalさんと契約したいという人がたくさんいます。

 こうしたパブリッシャーに話を聞いてみると「とにかく、持ち込みが多い」と言っていますね。

 自分たちで探しに行かなくても持ち込みで来ることが多いのですが、彼らがパブリッシングをしようと決める数自体は非常に少ないのではないでしょうか?

 おそらく、クリエイティビティの高いチームが有望な若い人たちを見つけて育てる感じだと思います。

 昔、SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント※現在のソニー・インタラクティブエンタテインメント)で“ゲームやろうぜ!(ゲームクリエイターの発掘を目的に行っていたオーディション)”という取り組みをしていたのですが、それに近い形ですね。

 そうした関係で良いタイトルを発売できると、そのデベロッパーはパブリッシャーとの関係をとても大事に感じて、そのまま次のタイトルも契約するケースが多いです。

 Annapurna InteractiveさんやDevolver Digitalさんも年間の発売タイトル数は多いのですが、よく見てみると5年前と同じパブリッシャーから出たゲームを作った人たちの新作というケースも多いです。

 だから、新しく持ち込んでピックアップされる、パブリッシングされるケースとなると、そこまで多くないような気はしています。

 そうした意味でも非常に狭き門で、クオリティコントロール……キュレーションと言いますが、Annapurna InteractiveさんやDevolver Digitalさんとしても自分たちは、こういうものをやっていきたい、こんなクリエイターと仕事したい、という傾向があるのではないでしょうか。

 少人数でパブリッシングされているのでクオリティも高いですし、個性も豊かなゲームが揃ってくるのだと思います。

──そうした信頼関係を結べるのが理想ですが、インディーゲームのチームや個人で作っている人たちのなかには、パブリッシャーから何かを言われること自体を嫌がるケースもあるのではないでしょうか。たとえば、イベントで出展して遊んでくれた人たちから何かを言われるのは素直に聞けると思うのですが、自分が作りたいものにパブリッシャーから口を出されると抵抗がある人もいると思います。逆に、海外ではそういう傾向はないのでしょうか?

吉田:もちろん、海外でも残念なケースもあると思います。インディーパブリッシャーと言ってもいろいろです。

 パブリッシュする側の意思が強すぎてデベロッパーにいろいろ意見を押し付けるところがあるかもしれないし、一緒に仕事をしていく上で、相手を信用できなくなってしまう場合もあると思います。

 逆に言えば、名が通って成功しているパブリッシャーは、様々な面できっちりしていますね。

 海外では、デベロッパーとの関係をうまく保てているチームやパブリッシャーが目立つだけだと思います。

 デベロッパーとの関係をうまく作れないところは良いタイトルを出せないですし、あるいは出せても続きません。

 デベロッパーが2度と一緒に仕事をしてくれないので、パブリッシャーとしても長く生き残れないでしょう。

 日本の場合は、インディーパブリッシャーが出てきたのがここ最近です。

 それまでは大手のパブリッシャーしかなかったので、パブリッシャーが作って欲しいものをデベロッパーが作るという関係が強かったのではないかと思います。

 でも、今のインディーパブリッシャーは欧米のような形で、デベロッパーのクリエイティビティを尊重しています。

 もちろん、IPホルダーがデベロッパーであれば、最終決定権は理論的にデベロッパーの側にありますし、そこはまだ歴史が浅いだけ。

 今後は、そういう形が根付いていくのではないでしょうか。

──パブリッシャーがついて最終的にゲームのクオリティが上がるのであれば、デベロッパーにとっても良い話ですよね。

吉田:もちろん、そうですよ。プレイテストもそうですが、デベロッパーだけでは気が付かない部分もたくさんあります。

 基本的にパソコンでゲームを作られると思うのですが、家庭用ゲーム機に移植する際もパブリッシャーと組んだほうがいいです。

 各プラットフォームごとのユーザーや、ハードの特徴の違いといったノウハウがありますから。

 コアとなるゲーム以外の部分ではローカライズもありますし、最近ではアクセシビリティもよく言われますね。しかし、インディーデベロッパーだとスタッフの数が少なく、なかなかオプションを追加できないかもしれません。

 そこに経験値の高いパブリッシャーがいればアドバイス出来ますし、良い関係になれると思います。

投資や買収を経て大手化していく海外のインディーパブリッシャー

──先ほど、日本ではインディーパブリッシャーが出来たのはここ最近とおっしゃっていましたが、よく考えると海外のAnnapurna Interactiveも2016年に出来たばかりの新しいインディーパブリッシャーですよね。それくらいの年数で、もうDevolver Digitalと肩を並べるパブリッシャーになったのは、凄いのでは?

吉田:Annapurna Interactiveさんはパブリッシャーとしては新しいですが、もともと一緒に仕事をしていたパブリッシャーとデベロッパーが、関係性をそのまま持ってスタートした。

 これが、成功の大きなカギだったのではないかと思います。最初のタイトルである『What Remains of Edith Finch(フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと)』(Annapurna Interactive)が、いきなり“The Game Awards 2017”のBest Narrativeを取りましたが、そうなるとパブリッシャーとして認知されます。

 そこから、さきほど言ったようにデベロッパーからも「このゲームをパブリッシュする会社に、自分のゲームも扱ってほしい」と思ってもらえて、ポジティブスパイラルが生まれたのでしょう。

  • ▲フィンチ家の最後の生存者として屋敷を探索し、一族の人々が死に至った日を追体験していく、奇妙で物悲しい作品『What Remains of Edith Finch』

──インディーパブリッシャーが内部で制作を行うケースも出てきていますが、こうした流れは続くのでしょうか?

吉田:インディーパブリッシャーはサービスの面で、プログラマーを抱えているケースが多いんですよ。

 例えば、デベロッパー側がプログラマーの人数が少なく、パソコンでオリジナルバージョンを作っても家庭用のゲーム機に移植できない。

 そうした場合に「じゃあ、パブリッシャー側でやります」という感じでプログラミングチームを抱えています。

 ローカライゼーションやQAと同様に、コーティングやコードのオプティマイゼーション(最適化)のために、プログラマーを抱えるケースが多いです。

 手間のかかることは全部こちらでできます、マルチプラットフォームで同時発売できますという事を、1つのウリにしているパブリッシャーもありますね。

 オリジナルタイトルを内部で作る形があっても、、制作部隊を中に持っているのは、パブリッシングの活動に対してもすごくプラスになると思います。

──そうなると、今は“大手ゲームメーカー”の定義もだいぶ変わるのではないでしょうか。インディーゲームパブリッシャーも、すごく大きな会社になっていますよね。

吉田:変わってきていますね。あと、最近は投資です。ここ2、3年、資金がどんどんゲーム業界に入ってきています。

 買収案件も多かったのですが、そうでなくてもインディーパブリッシャーが上場していますね。

 先にTeam17さんが上場していましたが、最近はイギリスでDevolver Digitalさんも上場しました。

 上場すれば、お金が入ってくる。あるいは、個別に投資家からの投資を受けてお金が入ってくる形で自分たちのチームをケアできますし、あるいはインディーパブリッシャーがデベロッパーを買収するというケースも増えています。

 もちろん、各デベロッパーのアイデンティティはそのままにしているケースが多いですが、やっぱり同じグループ内ということでいろいろな協力関係が生まれます。

 横のつながりで意見交換をしたり、ノウハウの共有をしたり、ほかのデベロッパーさんの手助けをしたりといったことができるようになるんですよ。本当に、そういったケースが多いですね。

 インディーパブリッシャーが投資を受けて、自分たちがほかのインディーデベロッパーに投資をすることで、さらに大きくなる。

 そうなると、今言われたようにインディーだけどかなりの大手になるところも出てきます。

 もちろん、AAAのゲームを作るということは考えていないと思いますが、大手メーカーと言っていいでしょう。

 そうした流れで、海外のインディーゲームは開発予算が大きくなってきています。

 大手のパブリッシャーと話をすると、最近は10億ぐらいの規模のタイトルに投資する例が増えている様です。

 これまでは1億、2億規模のゲームへの投資が主流、あるいは1億未満の数千万規模での投資でした。

 ゲームの内容によってはそこまでお金がいらないという事情もあったのですが、それでも2、30人のチームに投資して制作に3年間かかるとなると、製作費も大きくなってきますよね。

──制作費が大きいものは、いわゆる“スーパーインディー”とでも呼ぶべきタイトルだと思うのですが、欧米ではそういったクラスのインディーに対する呼び名があるのですか?

吉田:いや、それもインディーゲームと言っています。例えば、今年プレイステーションで出てヒットした『Sifu』(SLOCLAP S.A.S)。あれもかなりの中規模ですが、インディーゲームです。

  • ▲敵にやられるたびにキャラクターが年齢を重ね、年を取って性能が変化していく斬新な格闘アクション『Sifu』

 それ以前の作品でも、大ヒットした『Fall Guys』(EPIC GAMES)は開発元のMediatonicさんをEPIC GAMESさんが買収していましたよね。

 最初はDevolver Digitalさんがパブリッシャーだったのですが、最初は40人ぐらいで作っていたはずです。

 逆に同じDevolver Digitalさんがパブリッシュしたものでも、Daniel Mullins Gamesさんの『Inscryption』は1人で作っています。

 これは、小さな規模のゲームを扱っていたところが中規模クラス、4、50人クラスのゲームにもパブリッシングや投資ができるようになってきたということでしょう。

 そうした作品もインディースピリッツで作られているものなので、広い意味ではインディーゲームと呼ばれています。

  • ▲最大60人で勝利を競い合う大規模オンラインパーティーゲーム『Fall Guys』

──基本的には、デベロッパーが作りたいものを作っていることがインディーゲームの定義と考えていいのでしょうか?

吉田:ええ。我々は、そう思っています。

 今は、大手でもインディーゲームのパブリッシングをしていますよね。最近だと、8月にPS4とPS5で出た『ローラードローム』というタイトルがありますが、これはRoll7さんというスケートのゲームを作っていた小さなデベロッパーの作品です。

 Take-TwoさんにはPrivate Divisionというインディーゲームをパブリッシングするブランドがあって、そこから発売される作品です。

 同じように、Electronic Artsさんもインディーゲームを支援していますし、スクウェア・エニックスさんも海外でやられていますね。

 最近はコナミさんもインディーゲームへの支援を始めて、今年の6月にもコナミさんが主催した“Indie Games Connect 2022”に行ってきました。

 このように、大手パブリッシャーがインディーゲームに投資して、パブリッシングをするケースも増えています。

 私は、その場合もインディーゲームと呼んでいいとは思うのですが、大手がパブリッシングしているのでインディーゲームと呼ばない場合もありますね。

 だから、決まった定義はないと思います。

──そうなるとインディーゲームと言う言葉自体、何がインディーで何がインディーではないのかわからなくなってきそうです。

吉田:むしろ、欧米ではインディーゲームに対してのイメージが非常に良い、クオリティの高い印象を持たれています。

 インディーゲームと言っても個人で作っていたり、学生さんが作っている物もたくさんありますが、先ほど言ったようにプロフェッショナルな形で作られていて、ある程度お金もかけたクオリティの高いものが継続的に出てきています。

 インディーゲームと言えばクオリティが高い、独創的である、新しい、という印象を持たれているんですよ。

 我々もいろいろな意識調査をしているのですが、インディーゲームに対してポジティブな印象を持っている一般のユーザーさんはとても多いです。

 日本はインディーゲーム市場の立ち上がり自体が最近なので、まだまだイメージとして「自分たちはインディーじゃない。そう呼ばれたくない」という人もいますね。

 インディーゲームという言葉に対してネガティブに捉えている人も見うけられます。ですが、私はこれも時間の問題だと思っていますよ。

 もっと日本でインディーゲーム市場が根付けば、「インディーゲームはおもしろい物がいっぱいある」というポジティブな感覚が支配的になると思っています。

──インディーは日本でも伸びてきていますが、今は大手とインディーという括りになってしまっていて、これまであった中堅の会社はすごく苦労しているのではないでしょうか。

吉田:欧米でも、大手以外のパブリッシャーはかなり減っています。PS3くらいの時代に、中堅クラス、AAクラスを好んで作っていたパブリッシャーがどんどん無くなっていきました。

 規模の大きなゲームが作れるようになり、大手がガンガン投資してAAAのゲームを出すようになったことで、同じフルプライスでAAクラスの作品をユーザーさんが買う意義が薄れてしまって、人気が落ちてしまったんです。

 その一方で、デジタルのディストリビューションが可能になったことでインディーゲームがたくさん出てきました。

 おもしろくてクオリティーが高い物を安い値段で買えるようになり、お金をかけたフルプライスのAAAか、値段が安くてもいろいろな個性があってバラエティに富んだインディーゲームのどちらかが遊べる。

 両極端に市場が分かれたのが、10年前ぐらいだったと思います。

 それから、徐々にインディーゲームの規模が上がってきました。

 インディーゲームの市場自体も大きくなってきている状態ですが、まだインディーゲームのトップといっても10億くらいで作っていますし、AAAは100億以上かけて作られるのでギャップは大きいですね。

 AAAを作る会社とタイトル数も減っていますから、その差はずっとあり続けるのではないかと思っています。

──逆に、日本では家庭用ゲーム機だとAAAのタイトルか運営型のゲームしか知らないようなゲームファンもいますよね。そうした人たちは、最近だとゲームがあまり出ていないという印象を抱いているのかもしれません。

吉田:同じゲームをずっと遊び続けているユーザーさんもいらっしゃいますね。だからこそ、ぜひインディーゲームに目を向けていただきたいです。

 そうすれば、これまで知らなかったようなおもしろい作品が、ザクザク見つかります。西岡さんがおっしゃられているように、今は運営型ゲームのシェアもどんどん増えています。

 最初はモバイルやパソコンが中心だったのですが、今は家庭用ゲーム機でも『フォートナイト』や『エーペックスレジェンズ』といった運営型ゲームのシェアがすごく増えました。インディーゲームでも、運営型のゲームが増えましたね。

 しかし、運営型のゲームは開発が大変なんですよ。開発が終わらないので、それだけ開発リソースを潤沢に持っていないといけません。

 『Fall Guys』もヒットしましたが、運営型なのでユーザーさんがどんどん新しいコンテンツを求めていきます。しかし、デベロッパーだけでは十分な資金や人材が追いつかないですよね。

 EPIC GAMESさんが買収後にFree-to-playになりコンテンツもすごく増えた様に思います。そういった形で、サービス系のゲームで成功した会社は、どんどん規模を大きくしていく傾向がありますね。

──『Fall Guys』が、Free-to-playで無料化したのには驚きました。

吉田:今は無料になったので、ユーザーさんもたくさん増えましたよ。新しい人がたくさん入っているので、今が一番おもしろい時期だと思います。


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