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『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロローグ&1話感想。ガンダムの性能を存分に見せつける決闘シーンは必見

hororo
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 本日10月2日より、ガンダムシリーズの最新アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下、『水星の魔女』)』が放映されましたが、皆さんご覧になりましたでしょうか?。

 事前に配信された前日譚『機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE』(以下、『プロローグ』)からどのように物語が展開されていくのか、気になっていたファンも多いかと思います。

 放送に先駆け、『プロローグ』&『水星の魔女』1話のメディア向け試写会が行われましたので、その感想や今後の展開への期待などを語っていきたいと思います。

シリアスなものの、世界観の土台を感じられる『プロローグ』

 まず視聴したのは、本編から約10年ほど前を描いたであろう『プロローグ』。『水星の魔女』の主人公はスレッタ・マーキュリーと呼ばれる少女ですが、『プロローグ』の時点ではエリクト・サマヤと呼ばれています。

 『プロローグ』では彼女とその母親、エルノラ・サマヤ(エリー)が中心となり、物語が展開。偽名を名乗るにいたった経緯が想像できるストーリーとなっていました。

 全体を通してみると、重要な要素として本作の世界観を理解するための単語や要素が散りばめられていた印象です。

 特に深く関わってくるのはGUND(ガンド)フォーマットと呼ばれる技術。『プロローグ』冒頭の説明によると、GUNDは宇宙環境内で生じる身体的な機能障害の補助を目的とした医療技術だったものだそうです。

 映像を見た限りでは、宇宙線の影響などで肉体に障害が出た際に、障害部位を機械化することで処置したり、そもそも事前に機械化しておくことで宇宙線の影響から逃れる技術、といった印象でした。

 作中でもエルノラが自身の義手を外し、バッテリーを入れ替えるシーンが登場します。これが本来の医療用のGUNDなのでしょう。

 しかし、この研究を行っていたヴァナディース機関を、オックス・アース・コーポレーションが買収。軍事転用したことで世論に波紋が広がっている状態のようです。

 というのも、GUNDを搭載したモビルスーツ(以下、MS)は、機体側からのフィードバックがあるようで、それにより精神に異常をきたしてしまう人間が続出したとのこと。そのため、GUND搭載型MSは非人道的であるとして非難の的になっているようでした。

 ちなみに本作におけるガンダムとは、GUND-ARM(ガンド-アーム)の略称。本来は医療用の研究だったことを考えると、GUNDにより拡張された腕、という意味だったのかもしれませんが、MSとして兵器転用されることで、GUNDの武器という意味も付与されたダブルミーニングになっているわけですね。

 そういえば従来のガンダムシリーズでは、基本的に地球と宇宙の戦争や、国家同士の争いなどが多かったのですが、『水星の魔女』の世界はある程度安定化している印象を受けました。アーシアンとスペーシアンという、アースノイドとスペースノイドのような精神的な断絶はあるようですが……。

 そういった社会のなかで強力な影響力を持つ企業や団体……特にMS開発協議会と呼ばれる組織が、敵役として描かれています。彼らは『プロローグ』の最後で、非人道的な研究であるGUNDを排除し、MS開発の倫理を守るという名目で監査組織“カテドラル”を設立しましたが、セリフから推察するに本来の目的はカテドラルの設立のほうで、GUND研究は体よく利用されたようにも見えました。

 MS同士の戦闘シーンの見どころは、やはりエルノラとエリーが搭乗するガンダム・ルブリス。ガンビットと呼ばれる群体兵器システムが搭載されており、いわゆる宇宙世紀作品でいうところのファンネルに近い挙動で敵MSを撃破しています。アニメシリーズの初手から無線誘導兵器を使って戦うのは新鮮ですね。

 とくにガンビットの主導権を得ていたエリーが「ひとつ、ふたつ、みっつ!」と無邪気に敵MSを撃破していくシーンはかなり印象的。ろうそくみたいと称した光の球がきらめくたび、人の命が消えていることなど知りもしないであろう無邪気さが悲惨な戦場とミスマッチで、とても鮮烈なイメージとなって残っています。

 しかもエリーはルブリスと接続されていても苦痛はなく、GUNDフォーマットへの耐性(適応性?)が高そう。

 また、エリーに応えてルブリスが起動したり、エリーの指示(本人は指示しているつもりはないでしょうが)に従ってガンビットを操ったりと、ルブリス自身の意志のようなものが垣間見えます。

 この、一方からは“倫理から逸脱した非人道的な研究”、もう一方からは“未来を救うための技術”とされるGUNDフォーマットとは、いったい何なのかという部分は、今後の物語でもカギとなってくるかもしれませんね。

 しかしいきなり対GUND兵装を搭載したMSが登場し、ルブリスを無力化するとは思いませんでした。考えてみれば、もとからヴァナディース機関を襲う気だったようですし、準備をしてくるのは当然なのですが、パイロットの腕の差とかではなく、完全に兵器の運用として有利に立っていて、そこもまた新しさを覚えました。 

本編で学園ものが始まり、明るめの描写になるかと思いきや……

 『プロローグ』では、ヴァナディース機関の壊滅という重たい話が描かれました。

 本編では、生き延びたエリーがスレッタ・マーキュリーと名を変えて、アスティカシア高等専門学園に編入するところから始まります。エリーは『プロローグ』時で4歳だったので、約10年ちょっとが経過したくらいでしょうか。

 ここからは学園ものの明るめムードになるかと思いきや、ちょっと様子がおかしい。

 いや、確かに戦争まっただなか的な重さはないのですが、この学校、MSを使った決闘によってすべてを決めるという、カースト制バリバリの学校でした。

 なんというか、宇宙進出を果たしてMSという巨大兵器を作れるほどの技術力と、決闘制度が混在するギャップがものすごい……!(笑)

 例をあげると、スレッタが編入直前に宇宙港付近で救助した(実際は漂流していたわけではないけれど)ミオリネ・レンブランという女性。

 彼女の親はこの学園の理事長でもあり、『プロローグ』でカテドラルを創設したデリング・レンブランなのですが、彼女の婚約者が学園の決闘によって決められているという始末。

 ひとまず1話では人死にが出ることはなかったものの、自分の人生が他人によって左右されるという別種の重さがあり、それはこの学園において自然なことであるという空気感。

 他方、水星から来たスレッタ視点ではその価値観は異常で、その支配から逃れようとするミオリネを後押しします。

 現代の視点から見ると、決闘行為こそ時代遅れ感がありますが、作中は逆。むしろ水星が田舎呼ばわりされていて、我々が生きる現実世界の現代と価値観が異なる構造は興味深いです。

 振り返れば、ミオリネの父・デリングはカテドラル創設の際、武器の在り方についての価値観を説いていました。この物事の捉え方も、本作の重要なファクターになるのかもしれません。

 MSによる決闘シーンでは、決闘のルールも説明されていました。いわく、相手の機体の頭部にある飾り角を落としたほうが勝者となるとのこと。

 なのですが、試合自体は割と実践そのもの。学園内で一騎打ちを行うので、周囲の被害などにどう対処するか気になっていたのですが、壁面にはビーム兵器を弾くコーティングがしてあり、問題なさそうでした。

 ルブリスのシールドもビームを弾いていましたし、この世界はビームに対する防御技術は発達しているのかもしれません。となれば、実践になると『鉄血のオルフェンズ』などのような実弾兵器が台頭するのかも……? このように世界設定を考察するのもまた楽しいですね。

 少々脱線しましたが、1話の見どころであるガンダム・エアリアルとディランザの決闘。どんなものになるだろうとワクワクしていたのですが、蓋を開けてみればエアリアルの圧勝……! 華々しいデビュー戦はガンダム伝統ですものね!

 しかしガンビットでディランザをバラバラにして、そのあとに角飾りを切り取っていたことについては、「あ、それでもいいんだ」という気持ちに(笑)。まあ角飾りを取ったほうが勝ちとしか言ってないですし……!

 そしてセンセーショナルな初戦を飾ってしまったばかりに、早くもエアリアルがガンダムだと感づく人物が出てきてしまいます。公式サイトの紹介ページによれば、この人物もまたガンダムの名を冠するMSのパイロットのようです。やはりMS開発協議会は、ヴァナディースの技術を奪ったのでしょうか?

 と、まだ1話でありながらも、いろいろ考察しがいのある要素が随所に散りばめられています。登場するキャラクターたちも個性的ですし、これから学園生活も描かれるとなると、各キャラクターの掘り下げも行われるでしょう。

 まだ学生である少年少女たちが、今後どのように成長し、どのような道を歩んでいくのか、今から楽しみでなりません!

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』予告PV第二弾

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇/富野由悠季
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
キャラクターデザイン:田頭真理恵/戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
コンセプトアート:林絢?
テクニカルディレクター:宮原洋平
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
撮影監督:小寺翔太
編集:重村建吾
音響監督:明田川仁
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉


©創通・サンライズ・MBS

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