アニメを見る感覚で遊べる『Lost in Play』をレビュー。かわいい見た目とは裏腹に歯ごたえのある謎解きがポイント!【電撃インディー#336】

柏又
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Joystick Venturesより発売中のPC(Steam)版『Lost in Play』のレビューをお届けします。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

とにかくキャラクターがよく動く! アニメーションを見ているようなプレイ感覚

 まずは以下のトレーラーをご覧ください。

 これらの映像は、すべてゲームプレイ中のものなんです。キャラクターが表情豊かにアニメーションするのが本作最大の特徴といえます。

 表情の変化だけではなく、リアクションや背景の動きなどアニメーション部分が非常に凝っていて、本当にTVアニメを見ているような感覚でゲームが遊べます。

現実と幻想が重なり合う独特の世界観が素晴らしい!

 本作の主人公は、どこにでもいるような兄妹。ある朝起きた2人は、妹のなにげないいたずらから家の外へ飛び出していきますが、その瞬間に世界は一変、熊やカエル、ゴブリンのような怪物が人と同じように暮らすファンタジー世界に迷い込んでしまったのです。


 本作は、突如ファンタジー世界へ飛び出してしまった主人公たちが、もとの家に帰るまでを描く物語です。

 主人公が冒険する世界は、人ならざる生き物たちが暮らすファンタジーと普通の家やお店などがある現実世界が混ざりあったような独特のアートワークで描かれています。

 劇中に登場するクリーチャーや主人公たちが乗るドラゴンの頭が付いた飛行機など、独特のデザインがとてもステキで初見プレイがとにかく楽しいです。

 ストーリーの序盤で主人公たちは家からはるか遠くまで飛ばされてしまうため、移動にともなう場面転換もバリエーションが豊富で途中で飽きることなく最後まで遊べるでしょう。

 開発陣は『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』や『ヒルダの冒険』、『オーバー・ザ・ガーデンウォール』といったカートゥーンアニメからインスピレーションを受けているとのことで、“なるほど”という感じの世界観になっていると思いました。

ほどよく歯ごたえのある謎解き要素が興味深い!

 かわいいキャラクターと世界観についてここまで語ってきましたが、そんな見た目とはうらはらに本作のゲーム性はかなり本格的です。

 ゲームシステムとしては、画面上のオブジェクトを調べてギミックを動かしたりアイテムを入手しつつ仕掛けを解いたりしていく、いわゆる“ポイントアンドクリック”タイプのアドベンチャーゲームです。

 この手のアドベンチャーはとにかく調べられるポイントを総当たりすれば解けると思うかもしれません。しかしたとえば、あるキャラクターの気をよそにそらしているうちにアイテムをくすねようとしたら、背負った子供が泣きだして失敗、みたいに一筋縄ではいかない仕掛けも多くていい感じに頭を悩ませてくれます。

 また、ゲームの随所に住人たちとミニゲームで勝負する場面もあります。

 これらのミニゲームはパズル要素もあって難しいものもあるのですが、それだけに勝ったときの達成感はひとしおです。

 筆者のお気に入りは4人で対戦するカードゲームですね。最初に10個渡される瓶のキャップを通貨としてトランプカードを競り落とし、獲得したカードの数字の合計が30以上になった人の勝利、というルールですが、場に出されたカードの数字にキャップをいくら払うかという駆け引きが深くてこれだけ遊んでいたい気持ちになりました。

 なお、次に何をすればいいかわからなかったり、ミニゲームで勝てなかったりするときは、プレイヤーを導くようなヒントを一枚絵で見ることもできます。

絵柄が気になったら即買いで間違いなし! ナラティブ部分は言葉不要で誰でも楽しめる

 ここまで紹介してきた『Lost in Play』。欠点をあげるとするならば、ヒントを見ながら大体5時間(筆者はクリア時のプレイ時間が4時間半でした。)程度でクリアできてしまい、実績開放目的以外のリプレイ性がないことでしょうか。ただし、プレイしている間は非常に楽しく、充実した時間が過ごせることは間違いないでしょう。

 カートゥーンアニメな絵柄でピンときた人なら絶対気に入る内容だと思いますし、頭を使わせる謎解きを求める人にもうってつけだと思います。

 Steamのストアページから結構ガッツリ遊べるデモ版が無料で遊べるので、まずはそこから手を出してはいかがでしょうか。

 なお、本作は開発がイスラエルのHappy Juice Gamesというスタジオが手がけていて公式サイトも英語だったりします。

 しかし、ゲームのストーリーを語る、いわゆるナラティブ部分は言語不要のスタイルとなっていて誰でも楽しめるので翻訳を気にする必要がないのもいいですね。ちなみにメニュー部分は日本語化されています。

 プレイ時間を除けばキャラクターは魅力的でアニメーションも素晴らしく、謎解き要素もかなり本格的で頭を使わせてくれる、ステキな良作アドベンチャーとなっているので気になる方は挑戦してはいかがでしょうか。


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