『劇場版 SAO プログレッシブ 冥き夕闇のスケルツォ』井澤詩織さんにとってアルゴはまさに適役!? 演じる際のこだわりを聞いてみた
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10月22日から公開される映画『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』。本作にアルゴ役として出演する声優・井澤詩織さんのインタビューをお届けします。
『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ-』は『ソードアート・オンライン』の《アインクラッド》編を新たに描いた小説『ソードアート・オンライン プログレッシブ』シリーズを映像化した作品です。2作目となる『冥き夕闇のスケルツォ』では、TVシリーズでは描かれていない第5層の物語が描かれます。
井澤詩織さんには、『冥き夕闇のスケルツォ』で活躍するアルゴを演じる際に意識したことや、井澤さんから見た収録時のエピソードなどをお伺いしました。アルゴがどんなキャラクターなのか。見どころはどこなのか。ぜひ映画を見る前にぜひご覧ください。
――アルゴを演じるにあたり、収録に臨んだ際の意気込みをお聞かせください。
台本をいただいたときは「満を持しての登場だ!!」と思って台本を開きましたね。前作『星なき夜のアリア』の最後にちょこっとだけアルゴが登場したので「おっ、これからアスナとキリトと関わっていくのか」と思っていた方も多いかなと思いますが、『冥き夕闇のスケルツォ』ではすでに仲よくなった状態から物語が始まるということで驚く方もいるかもしれませんね。その間に何があったのかはぜひ原作などで補完してください!(笑)
――ていねいなフォロー、どうもありがとうございます。実際に本作でアルゴを演じてみての感想はいかがでしたか?
アルゴはTVシリーズでは、第1期の3話で少し登場したきりでしたが、バンダイナムコエンターテインメントから出ているゲームやアプリではずっと演じ続けさせてもらっていました。そこで演じていたアルゴとキリトの距離感は『冥き夕闇のスケルツォ』でも基本的にはそんなに違いはありませんでしたので演じやすく、役作りで特別悩むことはありませんでした。
――ちなみに、アルゴを演じる際に意識していることはありますか?
アルゴはキリトとアスナに対して、お姉さんのような感覚で接しているので、2人と同じ目線で悩むわけではなく、どっしりと構えています。それを表現するために、ちょっと余裕のある感じを意識しています。あるシーンでは、私も知らなかったアルゴの新情報が出てくるので、そこも注目してほしいですね。
――ゲームなどと今回の『冥き夕闇のスケルツォ』とで、アルゴを演じるにあたって違いなどは感じましたか?
お芝居そのものを変えることはほとんどなかったですね。違いとしては、尺の使い方くらいでしょうか。ゲームは自分のペースで収録できるのですが、アニメはセリフの言う尺が決まっています。アルゴは少しとぼけたような感じのあるキャラクターなので、それを表現しつつ尺に収まるようにするために最初は少し気を使いました。ゲームで好き勝手していた影響かもしれませんね……(笑)。
――アフレコの様子はいかがでしたか?
前作のときは、私は誰とも絡むシーンがなかったので、1人でスタジオに入って、テストをして、本番をして、そして1人で帰るという収録だったのを覚えています。それに対して、今回はアスナ、キリト、アルゴの3人で朝から収録に入りました。アルゴとして直接のやり取りのある収録は久しぶりだったのですが、驚くほどスムーズに収録が進みました。
その日の収録は後から水瀬いのりちゃんが来る日だったのですが、いのりちゃんが来る2時間前くらいには3人のパートは終わってしまいましたね。みんな10年間演じているキャラクターですからスムーズだし、私もすごく演じやすくて……。ここまでスルッと行くことがあるのか……と驚いたくらいです。
――空いた時間に何か皆さんとお話はされましたか?
空いた時間は雑談していることが多かったですね。主に戸松ちゃんと後輩の子たちの話をしたのを覚えています。松岡君は相変わらず目を合わせてくれませんでしたが……(笑)。
――『SAO』で他の声優さんと対面しての収録は久しぶりだったのではないでしょうか?
そうですね。特にアスナとはこれまで同じ場面で演じる機会がなかったので、本作が初めての対面での掛け合いになったのですが、それでも特に難しさは感じませんでしたね。
――アルゴは情報屋ですが、今回は戦闘にも参加しますよね。
戦闘シーンの収録はめちゃめちゃテンション上がりましたね。『SAO』の特徴として、戦闘中に「スイッチ!」と言うじゃないですか。あれがすごくカッコよくて憧れていたのですが「ついに私もあのバトルに参加できた!!」と感動しましたね。
戦闘シーンの印象的なアルゴのセリフで「頭を下げロ!」というのがあるのですが、そこは自分でもカッコいい!! と思ったところなので、ぜひ注目してほしいなと思います。
――「頭を下げロ!」が注目してほしいとのことですが、その他にも本編中で井澤さんがお気に入りのアルゴのセリフはありますか?
戦闘中にキリトがボスに対して愚痴を言うのですが、それに対してアルゴが「当たり前だロ!」的なセリフを言うシーンがあります。『SAO』はメインキャラクターにツッコミ不在のイメージがあって、みんな真面目にボケているような印象です。なので、アルゴがそういうセリフを言うシーンを見て、意外にも数少ないツッコミ役だったのかと驚きました。
――そういう意味でも、アルゴは他のキャラクターとは少し異なる雰囲気がありますよね。
キリト君は作品を通して強いポジションじゃないですか。それでも、アルゴはそのキリト君に対して対等かそれ以上な感じで、余裕を持って会話しています。そこが意外と彼女らしい重要なところなのかなと思います。
――アルゴはしゃべり方も特徴的ですよね。
そうですね。アルゴは驚くときも「おーびっくりした」くらいのノリで、ワーキャー言うタイプではないと言いますか、ちょっと特殊なタイプだと思います。
その他、演じ方ともかかわる部分として、私は原作の先生があえて指定しているセリフは文字通りに読みたいと思っているので、声がしっかりその文字通りになるように意識しています。アルゴで言うなら……例えば笑い方ですね。彼女は「ニャハハハ」と笑うのですが、笑い方には注意して演じています。
――小説などで言うと、アルゴは語尾も特徴的だと思います。収録の際に、ディレクションされることはありましたか?
語尾については、初めてTVシリーズで演じたときに、特徴的な「~ナ」とか「~カ」とかはアクセントを変えるべきか確認をしました。そうしたら「井澤さんは元々の声質が変わっているので、そのままで大丈夫です」と言ってもらえました(笑)。でもおかげさまで語尾に関しては問題なく演じさせてもらっています。
――まさに適役ということですね。
今回のアフレコを終えてから聞いた話なのですが、私がスタジオ入りしたときに、度々お世話になっている音響監督の岩浪さんが「やったー! 変な声の人だ!!」と喜んでいたそうです(笑)。
浪さんはたくさんの作品を担当されていて、いろいろな声優さんを見てきている方で、その中にはもっと特徴的な声の方もいると思うのですが、私のことを「トップクラスで変な声の人」と仰ってくださっています。スタッフさんから「井澤さんが入ってきたとき、岩浪さんがとても喜んでいたよ」と聞かされて、アルゴとして参加できてよかったなと思いました。
――続いて、本作でのキリト、アスナの印象についてもお聞かせいただけますか?
今回のアスナはとても女の子な一面を見せてくれます。TVシリーズで見ている大人っぽいしっかりしたアスナではなく、少女らしい涙も見せるような一面もあって、元々はこんなに年相応な子なんだなと感じました。
キリト君も、まだコミュニケーションが苦手なところがありますよね。その完成していない人物像を松岡君と戸松ちゃんが演じていて「さすが『SAO』のベテランだな」と思いながら見ていました。私もその世界観の中に入って違和感のないように馴染みたいと思いながらアフレコしていました。
――アルゴとして2人と関わる際に不安や緊張はありませんでしたか?
最初は少しだけ緊張しました。特に今回はアルゴの登場の仕方が2人と仲よくなってからの状態からのスタートでしたが、それでも会話をする形での参加は初めてだったので、異物感が出ないようにしようと意識していたんです。キャラクターとしてのキリト君のことは把握しているつもりでしたが、いざ会話をする相手になるとちょっと違う感じがしましたね。
――本作での印象的なシーンを教えてください。
やはりボス戦ですね。“これぞまさにゲーム”という感じのギミックがある敵で、原作の川原先生もお気に入りのボスと仰っていました。ゲームらしいワクワクする戦闘シーンになっています。
――川原先生とお話しする機会があったんですね。
niconicoで配信されている生放送“礫チャン”にお邪魔してそのお話しをしたのですが、作品の裏話を見たくて個人的に先生のTwitterもチェックしています。
――戦闘と言えば、本作ではボスとのバトルだけでなく人間同士のPKも描かれます。
ピンチになった際に、人のために動けるのか、それとも悪い方向に動いてしまうのか、リアルな人間描写が『SAO』にはありますよね。こういう物語を見ると、嫌な人間も描ける先生はすごいなと思います。私はその思考回路の方向に回らないので……。「確かにそういう人も出てくるよなぁ」と思いながらお話を見ています。
――個人的に注目しているキャラクターは居ますか?
やはりミトが気になります。皆さんも本作でのミトはどんな描かれ方をするのか気になると思いますので、ぜひ彼女には引き続き注目して欲しいですね。
――アルゴも初登場はアニメ序盤で約10年前になりますが、改めてアニメで演じることになって懐かしさなどはありますか?
『SAO』はずっとゲームなど何かしらのコンテンツでずっと動き続けているので、懐かし感じはあまりしませんね。10年と聞くと「そんなに経ったかぁ」となりますが、感慨深いというよりは、積み重ねてきた感じがします。
――井澤さんはシリカの使い魔であるピナも演じていますよね。
そうですね。アルゴを演じたあとに「できる?」と聞かれて演じることになったことを覚えています。
結構小動物を演じる機会があるので、犬・猫・鳥といろいろやってきましたが、竜の鳴き声を出すのは初めてでしたね。私は声質に特徴があるので、他の作品では兼ね役はあまりないのですが、そういう意味では『SAO』は出させていただいてラッキーでした。
――本作ではキバオウやジョーなどの活躍もありますが、井澤さんから見て彼らの印象はいかがですか?
実は、私キバオウさんは嫌いです!(笑)
――そうなのですか……! その理由とは?
キリト君に対する態度が完全に逆恨みに見えてしまうんですよね。キバオウさんは元ベータテスターを憎んでいますけど、その理由が共感できないんです。アルゴたちがその情報を提供することで、彼らに協力しているのに、それは当たり前みたいな言い方をしますよね。
――確かに。それでもファンの中では愛されキャラクターだったり、公式でも出番があったり、恵まれたキャラクターですよね。
ゲーマー目線で共感できるキャラクターだからでしょうか? それとも演じている関智一さんのお力でしょうか?(笑) でも確かに、今作でも後半でちょっとツンデレな一面が見られるシーンがありました。
――他に見どころポイントがあればお教えください。
個人的な見どころとして、TVシリーズの頃から大好きだったパンに塗るクリームが再登場します。あの世界の中で、美味しい食べ物を食べられたときの感動って他に変えて表現できないものだと思うので印象的です。あのクリーム乗せのパンは何回見ても食べてみたいと思っているので、何かコラボメニューになってくれないかとずっと待っています。
――アスナにとって特別な食べ物ですよね。確かに美味しそうで印象に残っている人も多いと思います
あのクリームを集めて売りさばく仕事とかしてみたいですね……。もし私が《アインクラッド》にいたとしたら、そんな仕事をしているかもしれません(笑)。
――最後に作品を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
『SAO』はTVシリーズだけでなく、これまで公開された劇場版もすごくおもしろいので、それだけに本作もとても期待値が上がっていると思います。その期待通り、満足してもらえる仕上がりになっているので、楽しみにしてください!
今回はキャラクターがたくさん登場して、見どころがたくさんある映画になっています。もしかすると1回じゃ全部チェックしきれないかもしれません。私はあまり「何回も見てくださいね!」と言うタイプではないのですが、本作は見るたびに新しい発見がある内容なので、ぜひ何度も楽しんでもらいたいです。
アルゴは男子にも女子にも好かれるキャラクターじゃないかなと思うので、彼女の活躍ぶりもしっかり見て応援してもらえたら嬉しいです。
――ありがとうございました。
『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』
10月22日(土)より全国公開
【スタッフ】
原作・ストーリー原案:川原 礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
アクションディレクター・モンスターデザイン:甲斐泰之
ボスモンスター・ステージデザイン:石垣 純哉
サブキャラクターデザイン:秋月 彩・渡邊敬介
プロップデザイン:東島久志
美術監督:伊藤友沙
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:中野尚美
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:織田健吾
モニターグラフィックス:宮原洋平・関 香織
編集:廣瀬清志
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
プロデュース:EGG FIRM・ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
製作:SAO-P Project
配給:アニプレックス
【キャスト】
アスナ:戸松 遥
キリト:松岡禎丞
ミト:水瀬いのり
アルゴ:井澤詩織
エギル:安元洋貴
キバオウ:関 智一
リーテン:本渡 楓
シヴァタ:永野由祐
リンド:大塚剛央
ヤマタ:高橋伸也
ウルフギャング:阿座上洋平
ローバッカ:玉井勇輝
ナイジャン:関 幸司
ジョー :逢坂良太
モルテ:小林裕介
■『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』Blu-ray
©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
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