『SAO』ゲームシリーズ振り返り対談その3。『ラスト リコレクション』と『ヴァリアント・ショウダウン』に込められた想い

電撃オンライン
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 『ソードアート・オンライン』という作品にとって大きな意味のある2022年11月6日。この日は、作中でVRMMORPG《ソードアート・オンライン》――キリトたちの人生を大きく動かすことになったデスゲームがスタートしたまさにその日です。

 そんな2022年11月6日に、現実世界ではメモリアルイベント“ソードアート・オンライン -フルダイブ-”が開催され、さらにゲーム新作『ソードアート・オンライン ラスト リコレクション』が発表されるなど、ゲームシリーズのファンにとっても忘れられない日となりました。

 電撃オンラインでは、『SAO』ゲームシリーズのキーマン4人による対談の第3回として、この2つの作品についてもお話を伺いましたので、ぜひご覧ください。

  • ▲川原礫先生
  • ▲三木一馬さん
  • ▲二見鷹介さん
  • ▲竹内智彦さん

『ソードアート・オンライン ラスト リコレクション』はゲーム世界の“区切り”となる作品

――2022年11月6日に新作ゲーム『ソードアート・オンライン ラスト リコレクション』が制作中であることが発表されました。本作の制作が決まったのはいつ頃でしょうか?

  • ▲『ソードアート・オンライン ラスト リコレクション』のキービジュアル

二見P:企画自体は2018年くらいから考えていました。『アリシゼーション リコリス』と同じくらいのタイミングです。ただそれが『ラスト リコレクション』というタイトルになるかどうかは決まっていませんでした。しかしこれまで《アリシゼーション》編までゲーム化することを目指してこの10年やってきましたから、当然アンダーワールド大戦までをゲームで描くことは考えていました。『アリシゼーション リコリス』と分割になったのは、あまりにボリュームが大きくなりすぎて、1作で収めるのは難しかったからです。

――ゲーム10周年を飾るタイトルになるかと思うのですが、そこで本作を制作しようと思った狙いをお聞かせいただけますでしょうか?

二見P:“区切り”という意味が大きいですね。ご存知の方も多いと思いますが、実はゲームの『SAO』は『インフィニティ・モーメント』でアインクラッド75層以上をクリアしたことで、原作小説とは別の世界線の話になっているんです。そこから続くゲーム世界線のキリトの物語は『ラスト リコレクション』でいったん区切りをつけたいと思っています。その先、これからどのような物語が見られるのかは、僕の次の若い担当者次第だと思っています。

――川原先生と三木さんにお伺いします。本作の制作を聞いた時の率直な思いをお聞かせいただけますか?

川原先生:僕はRPGをやっていてマップが広がる瞬間が好きなんですよ。例えば『ファイナルファンタジーVII』でいうとミッドガルから出てワールドマップがどーんと出たときとか。

 『ラスト リコレクション』では《人界》から出て《ダークテリトリー》に行くわけですよね。《人界》だけでもあんなに広かったのに、《ダークテリトリー》のマップはどれくらい広くなるのか、いちプレイヤーとしてすごく楽しみにしています。あとは単純にストーリーも楽しみですね。アニメの『War of Underworld』はガブリエルありきになっていますから、ゲームでは《ダークテリトリー》の話をどう落とし込むか楽しみにしています。

二見P:原作ではアンダーワールド大戦に入ってしまうと、キリトが動けなくなってしまいますが、ゲームでは『アリシゼーション リコリス』の物語を乗り越えて、いつでも一緒に動ける状態です。もしもキリトがあの事態に最初から立ち向かうとしたらどう動いていくのかを描いています。ぜひ楽しみにしてください。

――三木さんにもお話を伺いたいと思います。まず、本作ではどのくらい関わっていらっしゃるのでしょうか?

三木さん:これまでと同じように、主にシナリオ監修で関わっています。

―――ゲーム制作陣にはストーリー面でどのようなオーダーをなさったのでしょうか?

三木さん:《人界大戦》をゲーム世界線で描ききるということと、二見さんが区切りと言ったように、今まで10年やってきた『SAO』ゲームシリーズの集大成であることをあらかじめ説明されていたので、それをうまく再現していただいたり、結びにふさわしい構成や内容にできればいいなと思っていました。

 シナリオはある実力派のライターさんにご担当いただいているので、非常にエモーショナルで感動できるお話になっていると思います。

――本作のオリジナルキャラであるドロシーについて、現時点で話せるところまででいいのでお聞かせいただけますでしょうか?

二見P:ドロシーというキャラクターは特殊な生い立ちをしており、《人界》《ダークテリトリー》のどちらにも受け入れてもらえない忌み子的なキャラクターです。彼女がキリトと出会って自分の居場所をどう見つけていくのか、そして彼女に託された使命が何なのかを楽しんでいただければ。

 あと『ラスト リコレクション』のロゴにはアニメ、ゲームを含めてみんなの武器が表示されているのですが、その中にひとつだけ旗が立ってるんです。それがドロシーにまつわるものなんですけど、みんなが武器なのに、ドロシーだけが旗なのはなぜなのかも考えていただければと思います。もうひとつ、ドロシーの武器は鎌です。

――ドロシーが飛竜に乗っていることも気になります。

二見P:なぜ《人界》と《ダークテリトリー》が戦争しなければいけないのか、最終負荷実験とは何なのかについては『アリシゼーション リコリス』でも語っていて、それを踏まえた上でベクタが来る。そしてその場にキリトがいることで何が起こるのかについてはゲームオリジナルの内容になります。そこも含めて想像していただければと思います(笑)。

『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』が2022年のアニメ10周年でのサービスインを狙ったわけ

――アニメ10周年に合わせ、2022年にサービスインを予定しているアプリ『ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン』ですが、制作開始から現時点までを振り返ってみて、何かコメントをいただけますでしょうか?

竹内P:アニメの10周年記念という冠をつけさせていただき、発表もアニメの10周年の初出のタイミングにしていただいて、そして2022年の10周年期間中にゴールを決めるという、そういうスタートとゴールが決まっているという状況下でお客様に情報展開をしているので、決して引き返せないというプレッシャーと戦いながら開発を進めていました。

 アニメ10周年記念タイトルということでゲームだけでなく原作やアニメの魅力もあわせてお伝えできるように展開してきました。ファンの皆さんももう少しだけお待ちいただければと思っています。

――『ヴァリアント・ショウダウン』の制作にあたって、原作チームとゲーム制作陣とではどんなやり取りがあったのでしょうか?

川原先生:戦闘の楽しさメインのゲームとうかがっているんですけど、スマホって操作系の制限が多いじゃないですか。そこをどうクリアしたものになっているのか楽しみにしています。

三木さん:このタイトルはいろいろなキャラクターが対戦できることが醍醐味でありつつ、シナリオも骨太なものを目指していて、それを描ける人が望ましいというお話を竹内さんから伺いました。ですので、僕とお付き合いのあったライトノベル作家のすえばしけんさんにシナリオをお願いしています。すえばしさんは『SAO』のゲームにも詳しく、本作のシナリオをすべて書いていただいています。お陰で対戦を楽しみつつも、コンシューマ作品にも負けないシナリオになっていますので、それも楽しみにしていただければと思います。

――川原先生が『ヴァリアント・ショウダウン』に望むことはありますか?

川原先生:難しいとは思うんですけど、色々なキャラクターを操作できるといいなと思っています。マイナーなキャラクターもどんどん実装していただけると嬉しいです。

竹内P:頑張ります。実際のところ1体のキャラクターに時間をかけて制作しているので、あれもこれもという感じにはならないかもしれませんが、その分こだわって開発を進められたらと思っています。

――本作の広告展開では、現実世界とゲーム世界をリンクさせるような内容のものが多かったと思います。あのタイミングでこうした広告展開をされたことの狙いをお聞かせください。

竹内P:ここまでにも何度も出てきた2022年11月6日が『SAO』のサービス開始という設定ですが、その日付は今後二度と訪れないんですよね。なので本当に現実世界の時の流れが『SAO』の原作設定に追いついたんだぞ、という『SAO』の世界を実在しているかのように意識してもらいたいという狙いがありました。その上で『ヴァリアント・ショウダウン』とともに11月6日という記念日にむかって気持ちを高めてもらえれば……という思惑もあります。

 加えてもうひとつ。『SAO』そのもののすごさを再度認識してもらうにあたり、どういうアプローチがいいのかといろいろ検討をしました。『SAO』の主要な登場人物は、皆がゲームや仮想世界を大切にしていると感じます。なので、キリトやアスナたちから、その素晴らさを語ってもらう方法はどうだろうか……と考えました。

 『SAO』の世界にいるキャラクターは仮想世界での出来事であっても、現実と同じように真剣に向き合っており、仮想世界も現実の一部として認識していると私たちは解釈しています。ですから“ゲームの世界だってひとつの現実だ”というキャッチコピーを作ったうえで実写CMも制作して、登場人物の感情を表現したり、見る人に共感してもらえればという思いがありました。

――川原先生は『ヴァリアント・ショウダウン』の広告展開を見てどう思われましたか?

川原先生:実写CM、すごく良かったなと思います。『SAO』でああいう感じのCMはなかなか見ないので新鮮でした。あと駅貼り広告も含めて『ヴァリアント・ショウダウン』は広告施策を頑張っておられるなという印象です。

【SAOVS】実写CM「ゲームの世界だってひとつの現実だ」

――今後サービス開始を迎える『ヴァリアント・ショウダウン』ですが、どのようなサービスをプレイヤーに届けていこうと考えていらっしゃいますか?

竹内P:『ヴァリアント・ショウダウン』はキリトが『SAO』にダイブした日に、プレイヤーもダイブすることをイメージして作っています。ゲームの中ではキリトを始めとする様々なキャラクターになりきって対戦をすることができます。自分がキリトのようにゲームで活躍できるという体験は継続していきたいと思っています。プレイヤーの皆さんにも例えばプレイ動画を投稿していただいたりして、ゲームの腕前などをアピールしてもらいたいですね。ゲームのコンテンツもそういったことを促すものを提供し続けていければと思っています。


 というわけで3回にわたってお届けした対談ですがいかがでしたでしょうか? 11月9日発売の『SAOマガジン』では、電撃オンラインとはこの対談の抜粋+『SAOマガジン』独自の質問を掲載していますので、ぜひご覧ください!

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