グロくて不気味…でもこの恐怖感が堪らない。『SIGNALIS』はサバイバルホラー好きを刺激する【電撃インディー#346】
- 文
- セスタス原川
- 公開日時
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、PLAYISMから配信中のPS4/Nintendo Switch/PC用サバイバルホラー『SIGNALIS』を紹介します。
本作は、ヒントを集めながら謎と解き明かしていくサバイバルホラーゲーム。謎解き要素だけでなく、精神が混濁するようなコズミックホラー要素や、襲い掛かる敵を倒すシューティング要素などを取り入れた作品です。
ホラーゲームらしく恐ろしさはもちろんありますが、その恐怖の種類が直接的ではなく、雰囲気でじわじわと心を蝕むような恐怖を感じられます。グロテスクな表現もありますが、こうした形の見えないような不気味な恐ろしさを好むホラー好きにはオススメです。
なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
アンドロイドが廃棄施設で見たモノとは?
舞台となる世界は、人類が太陽系の植民地化に成功した未来。人類は人型アンドロイドを開発して共存しています。主人公となるエルスターは、壊れた宇宙船でコールドスリープから目覚めました。
宇宙船が墜落したのは極寒の惑星。その先には謎の洞穴があり、そこにある書物“黄衣ノ王”を手にすると、彼女は幻覚に飲まれて倒れてしまいます。
その後、彼女は気が付くと廃墟となった施設に居ました。何もわからない状態から、世界や自分自身に何が起きているのかなど、謎を解明するために進んできます。
彼女が手に取った“黄衣ノ王”は実在する書籍であり、ゴシックホラー小説です。この書物はクトゥルフ神話とも深い関係性があり、冒頭のシーンで本作がコズミックホラーの要素を含むことを匂わせてきます。
ストーリーシーンの各所では、画面の暗転や赤く染まった画面など、見ているとドキッとするような演出が盛りだくさん。プレイヤーの精神までも大きく乱してきます。
本作は解釈をプレイヤーに委ねている部分が多くあるので、そうでない方も「今何が起きているのか」を考察しながら楽しむことができます。筆者はそこまで知見はないのですが、TRPGなどでクトゥルフ神話にも精通している方であれば、より考察の面白さも倍増するのではないでしょうか?
常に漂い続ける不気味な雰囲気
本作は、あえて解像度を荒くしたドット絵調のデザインが特徴です。ドット絵と空中から上を見た俯瞰視点によって緩和されていますが、エリアの各所にはバラバラになったアンドロイドの死体とその体液が散らばっています。
これがもしリアルな描写だったら……と考えると、少しゾッとしてしまいますね。こういった過激な表現ができることも考慮しての、この魅せ方なのでしょう。
逆に、普通の人が目を背けたくなってしまうようなショッキングな描写が好きという、やや偏った趣向を持つ方には刺さること間違いなしでしょう……。
ホラーゲームとしての魅力は上記のようなダイレクトな演出だけではありません。画面の端からいつ何が出てきてもおかしくないような様子が常にしている……のに何も来ないという、絶妙な恐怖感を常にプレイヤーに感じさせるような雰囲気を生み出しています。
何か来てくれればもう楽になるのに、逆にいつまで経っても何も起きないので「いつくるんだ……今か!?……いや来ないのかい!」と、プレイ中は気を抜く場面が全く訪れませんでした。
手がかりを集めて真実に近づいていく
謎解きの要素も含む本作は、施設内の至るところに落ちているアイテムを集めて先に進んでいきます。
最初は扉に鍵がかかっているなどで探索できる範囲は狭いですが、アイテムを得ることに探索エリアが広がっていき、さらに先に進むためのアイテムを獲得できます。
アイテムはただ拾ったものを使うだけでなく、2つのアイテムを組み合わせたり、アイテムを回転させて隠されたヒントを見つけたり、柔軟な思考が大切になります。
また、道中で閲覧できるメモ書きや手記には“ここで何が起きたのか”が断片に記されており、ゲームを進めるごとにストーリーが解き明かされていきます。
全ての記録を見られるかどうかはプレイヤーの探索の努力次第です。中には書記の中に先に進むためのヒントが隠されていることもあるので、ゲームを円滑に進めるためにも調べられる場所はとことん調べていきましょう。
サバイバルホラーゲームとして作られた本作は、謎解きをベースとしつつ、常にプレイヤーを不安にさせる演出が至るところに仕込まれています。
作中で精神に関するテーマが取り入れられているせいか、プレイヤー自身の精神も乱される気分です。プレイしている最中は、最初は恐ろしさに驚いていたのに、常にその恐ろしさに刺された結果、どこかフワフワした気分になってしまいました。
極限の恐怖に陥った人が笑ってしまうという演出はフィクション作品で何度も見てきましたが、あれはこの感覚の延長なのでしょうか……? 筆者は本作のプレイで“恐怖で歪む”という、これまで味わったことのない新たな体験をできました。
そんなプレイヤーを不思議な世界へと誘う『SIGNALIS』。グロテスク&ホラーな作品のため人は選びますが、耐性がある方はぜひ一度手に取っていただき、恐怖と不気味さに晒され続ける体験をしてみてはいかがでしょうか?
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