『機動戦士ガンダム 水星の魔女』4話感想。ミオリネの叱咤激励にグッときた!

てけおん
公開日時
最終更新

 10月23日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第4話“みえない地雷”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

 第4話“みえない地雷”では、スペーシアンとアーシアン――この世界における差別問題の根幹にかかわる部分が描かれました。

 第4話は、スレッタが実習テストで不合格になるところから始まります。地中に埋まった模擬地雷を回避してMSを進めさせ、武装変更をするこのテスト。しかし、地雷を観測するスポッターも兵装変更をするメカニックもいないスレッタは、テストを受けることすらできずに再試験を受けることになってしまいました。

 スレッタは再試験のためにメカニックとスポッターを探すのですが……4話では、それを軸に“スペーシアン(宇宙居住者)”と“アーシアン(地球居住者)”を巡る、この世界の差別問題が浮き彫りになっていきます。

 スレッタと同じくチュチュも不合格になってしまいますが、彼女の場合はスポッターもメカニックもいたものの、スペーシアンの生徒2人による妨害工作によって不合格となってしまいます。“学校は社会の縮図”という表現があるように、アスティカシア高等専門学園にもスペーシアンによるアーシアンへの差別は存在していることがわかります。振り返ってみると、第2話でもニカへの差別という形で、この世界における差別問題の一端が描かれていましたね。

 『水星の魔女』の世界は、宇宙産業の発展からスペーシアンとアーシアンの間の経済格差が広がったことで、分断・衝突が生じているという設定になっています。4話で流れたニュース映像では、経済搾取をやめろとデモを行うアーシアンに対して、MSを持ち出して鎮圧する様子が描かれていました。

 こうした差別問題というものは過去の『ガンダム』シリーズでも取り扱われてきたテーマのひとつです。この問題が本作でどう描かれていくのでしょうか? 気になります……。

明かされるスレッタの夢と、表情が写らないミオリネ

 第4話では、スペーシアンとアーシアンの問題の他にもミオリネとスレッタの関係についても描かれました。

 夜遅くまで勉強するスレッタにその理由を聞くシーンでは、スレッタがこの学園に来た理由――彼女の夢が語られます。

 スレッタの夢は、水星に学校を作ること。それを通じて若い人が水星に来るようになることでした。スレッタがこうした夢を抱くようになった経緯については、大河内一楼さんによる小説『ゆりかごの星』を読むと理解が深まるかもしれません。読んでいない人はぜひチェックしてみてください。

 スレッタが故郷の人たちの期待を背負って学園に来たことを知ったミオリネは、「重た……」と言いつつも「偉いねアンタ」と言ってベッドに戻ります。その際、立ち上がったミオリネの表情は画面に写されることはありませんでした。はたしてどんな表情だったのでしょうか? この後の再試験のやり取りを見るに、きっと本音の言葉だったんだろうと思いますが、彼女がどんな表情を浮かべていたのか想像するのも楽しみ方のひとつなんじゃないでしょうか。

ミオリネの叱咤激励が動かしたのはスレッタだけでなく……

 その後の再試験でも、そんなミオリネの能力の高さや性格などが表れていたように思います。

 スレッタの再試験でスポッターとメカニックを1人でやると言い出したミオリネ。これまでのエピソードでも行動力の高さが示されていましたが、マニュアルをサクッと暗記し、実際にスポッターとメカニックをこなしてみせました。さらに幾度目かのリトライでは手が足りないと見るや、脇に立っていたヌーノまで引っ張りこもうとします。

 第2話でも地球に行くためにどこかの組織とコネクションを築いているっぽいことが示されていましたが、やはり優秀なんだな~と改めて思わされます。

 再試験では、チュチュを邪魔した2人による妨害がスレッタにも行われます。幸いなことに再試験は何度でもリトライが可能で、妨害にめげずに2人はリトライし続けます……が、ついにスレッタは泣き出してしまいます。「帰りたい」と弱音を吐くスレッタを叱咤激励したのはミオリネでした。その前の夜の会話で「偉いねアンタ」という言葉を聞いた後だったので、この叱咤激励はグッときました。

 確かにミオリネにとってスレッタは、地球に行くまで他の生徒を寄せ付けないための取引相手です。しかし、あの叱咤激励はスレッタの夢を聞いて、彼女を認めたがゆえのものだったと思うのですよね。そんなミオリネの言葉に押されて、泣きながらもスタート位置に戻ろうとするスレッタが何とも健気でした。


【追記】スレッタの泣き方とミオリネの叱咤激励の演技について

 ラジオ『機動戦士ガンダム 水星の魔女~アスティカシア高等専門学園 ラジオ委員会~』の10/23更新回によると、スレッタの泣き方の演技についてテストなどではスレッタの年齢に見合った泣き方の演技をされていたようですが、本番の際には「子どもっぽさをどんどん出していいです」と指示されていたとのこと。加えてミオリネの演技には「子どもを叱る公園のお母さんのように」という指示があったそうです。こちらのエピソードを聞くと、上にも書いた「泣きながらもスタート位置に戻ろうとするスレッタ」の姿がより健気に思えてきます……。

 該当するトーク部分17:30ごろから。気になる人はぜひ聞いてみてください。


 そんなミオリネの叱咤激励は、チュチュをも動かしてしまいます。それまでコックピットで腕を組んで目をつぶっていたチュチュですが、ミオリネの「水星のみんなが送り出してくれて……」というスレッタへの言葉が聞こえたところでふっと顔を上げ、目を開けるんですよね。第3話ラストのグエルの表情変化もとても良かったですが、この目の見せ方もとても良かったと思います。

 さて、4話サブタイトルの“みえない地雷”について、妨害によって本当に見えない状況だったのもそうですが、スペーシアンとアーシアンとの間にある深い溝にもまだまだ見えない地雷が潜んでいそうです。今後のストーリーのどこかでそれが炸裂してしまうのでしょうか?

その他今回気になった点など

・第3話での決闘後のプロポーズ、リアルタイムで配信されていたんですね! その後ミオリネにしっかり謝罪し、スレッタには「勘違いするなよ。俺はお前のことなんて全然好きじゃないんだからな!」と、古式ゆかしいツンデレっぷりまで披露してくれたグエル。とてもいいキャラになってきた気がします。

・ミオリネの部屋。ゴミがいっぱいのいわゆる汚部屋でした。でも、温室や元理事長室の作物スペースを見るに、整理整頓ができないってわけでもなさそうです。

 カップ麺のようなものを食べていたと思われる形跡もありましたし、学園にくる前の生活では掃除や食事の準備といった“家事をする”必要がなかったがゆえなんだろうなと思います。もしくは不必要と断じたものについては意識を向けない性格的なものなのか。はたまたまったく別の理由なのか……。それはわかりませんが、ミオリネがどういうキャラなのかの一端が表れているように思います。

・妨害の質の違いについて。第3話ではヴィム・ジェタークが水散布でエアリアルのライフル攻撃を封じる工作を行っていました。でもそれはあくまで“勝つための手段”でした。

 それに比べると第4話の妨害は“差別してもいい相手、格下だと認識した相手には何をしてもいいだろう”という陰湿で幼稚な動機のもの。筆者は後者のほうがより根深い問題を抱えているとは思いますが……どちらにしたってやられるほうにとっては、たまったものではありませんね。

・ミオリネの叱咤激励を聞いて、チュチュもスレッタのことをある程度認める流れになるかなと思ったら、妨害した生徒たちへ鉄拳まで繰り出すとは……。しかしちゃんとMSを降りて対等(2対1なんでむしろチュチュのほうが不利)な立場でケンカを吹っかけるあたりにチュチュらしさが現れていたように思います。

・困ったときのエラン・ケレス。今回もスレッタが困っていたところに偶然(?)登場し、救いの手を差し伸べようとしていました。結果的に、それがきっかけでミオリネがスレッタを助ける形になりました。第5話ではエランにスポットが当たりそうな気がしますが、どうなるでしょうか? 来週が待ち遠しいです!

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇/富野由悠季
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
キャラクターデザイン:田頭真理恵/戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
コンセプトアート:林絢?
テクニカルディレクター:宮原洋平
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
撮影監督:小寺翔太
編集:重村建吾
音響監督:明田川仁
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

見放題配信

毎週日曜18時更新

バンダイチャンネル
ガンダムファンクラブ
Hulu
ABEMA
U-NEXT
dアニメストア
Disney+

毎週木曜18時更新

TELASA
J:COMオンデマンドメガパック
milplus
WOWOWオンデマンド
Prime Video
ひかりTV
アニメ放題
ふらっと動画

都度課金配信

毎週日曜18時更新

バンダイチャンネル

毎週木曜18時更新

TELASA
J:COMオンデマンドメガパック
milplus
Prime Video
ひかりTV
dTV
FOD
Google Play
ビデオマーケット
GYAO!ストア
music.jp
RakutenTV
HAPPY!動画
ムービーフルPlus
ニコニコチャンネル

広告付き無料配信

毎週木曜18時更新

ABEMA
Tver
MBS動画イズム
GYAO!

毎週木曜23時更新

ニコニコ生放送


©創通・サンライズ・MBS

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら