『夢現Re:Master』キラ☆ふわガールズラブを描いたシナリオライターが語る、作品に込めた想いと制作秘話
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工画堂スタジオから、6月13日に発売されるPS4/PS Vita/Nintendo Switch(ダウンロード専用)/PC/Steam用ソフト『夢現Re:Master』。本作を手掛けたスタッフへのインタビューを掲載します。
本作は、工画堂スタジオのしまりすさんちーむによる、ゲーム制作会社を描いたアドベンチャーゲーム。帝都東京の都心からほど近い街、“虹園寺(こうえんじ)”にある小さなゲーム開発会社“ユリイカソフト”を舞台に、ゲーム制作者や声優たちの努力と葛藤を描きます。
今回は、シナリオを手掛けた4名のライターとディレクターに同席いただいて行ったクリエイターインタビューをお届け。シナリオを手掛ける際に心掛けたことや、仕事に対しての向き合い方などをたっぷり語っていただきました。
なお、インタビュー中は敬称略。
クリエイター紹介
向坂氷緒さん……本作のメインライターで、共通ルートと“柳谷こころ”ルートを担当。代表作は同社の『白衣性愛情依存症』など。
志水はつみさん……“太刀花なな”ルートを担当。代表作は『FLOWERS』(Innocent Grey)や『クダンノフォークロア』(SukeraSparo)など。
竹内なおゆきさん……“無限堂さき”ルート担当。代表作は同社の『Schwarzschild』シリーズをはじめ、『蒼い海のトリスティア』、『蒼い空のネオスフィア』、『暁のアマネカと蒼い巨神』、『白銀のカルと蒼空の女王』など。
西川真音さん……“マリー・マーラー”ルート担当。代表作は同社の『シンフォニック=レイン』や『追放選挙』(日本一ソフトウェア)など。
みやざーさん……本作のディレクター。代表作は『白衣性恋愛症候群』や『白衣性愛情依存症』、『ソルフェージュ』シリーズなど。
“ゲーム開発会社”というテーマでの苦労
――まずは、ゲーム開発会社モノならではの苦労された点などお聞かせください。
みやざー:サブライターの方々はゲーム会社への勤務経験もあってイメージしやすかったと思いますが、メインライターの向坂さんがゲーム会社の実態を知らなかったので、そういった点での苦労はあったみたいです。
向坂:私よりも詳しい方が周りにいらっしゃるという環境はなかなかのプレッシャーで、最初のころは「うかつなことを書いたら突っ込まれる!」と悩みつつも、途中からは分かる方に助けていただこうという感じで書いていました。逆に、事実とかけ離れたことを書いてしまう前に止めてくれる人がいたのは助かりましたね。
みやざー:作業に入る前に会社見学をしてもらったのですが、やはり表面的に見るのと勤務して体験するのとでは違いますから、ひと月くらいでも働いてもらえばよかったですね(笑)。
志水:私自身、何社かゲーム会社に勤めてきましたが“ゲーム会社だからこうだ”というのはなかなかないように思います。規模の大きいところはきっちりしていて徹夜は許されません。一方で小規模のところではソファをベッドにして、2週間泊まり込みというのも経験しました。
だから、自分の蓄積の中でどこを拾えばいいのか難しかったですね。あまりコアなところまで書くのもはばかられますし。ななというキャラクター自体がゲーム会社で事務員としてお手伝いをしている声優さんと異色キャラなので、うまい具合に回ったのではないかなと思います。
みやざー:なな役の井澤詩織さんが「ななルートって声優さんのこと分かっている人が書いている。むしろ声優がシナリオを書いたんじゃないかというくらいすごい」と言っていました。
志水:今回のお仕事でもロケハンを行って、声優さんから“仕事をするうえで何が一番大事なのか”などお話を聞けたことが描くうえで深みを持たせてくれたのかなと思います。
竹内:私が担当したさきというキャラクターは、自分自身と被る部分がわりと多かったのですが、あまりリアルにし過ぎるとおもしろくないのです。
こうありたいという理想のライター像として、現実風味は3割くらい。お金周りの話とか瞬間的におもしろくても読後感がよろしくないような、あまり酷いことは書かなかったというのがあります。
――シナリオライターだからこその苦労はありましたか?
竹内:決して楽ではなかったのですが、書き難かったり悩んだりすることはなかったです。誰とは言いませんが明確なモデルもいましたし、「まっとうに創作に向き合っていたら、みんなこうなってしまうよね」という最大公約数的なところを拾って書いています。
西川:マリーはグラフィッカーということで、字コンテを書いたり絵コンテを描いたり写真を撮ったりといった、実際に自分がやり取りした工程はほとんど入っています。他にも、隣で仕事をしている絵描きさんに相談がてら話しかけられることで、こちらの手は完全に止まってしまうというのも完全に実体験からくるエピソードですね。
ちなみに、マスターアップ直前の修羅場で、数年越しの誤字が見つかったとかデータが巻き戻ったというのも全部実話です(笑)。今回はスクリプトのデバッグも担当させていただいたのですが、作中で描いたような不具合が出てくるわけですよ。描写はほんわかしつつも元ネタは実話だと思っていただければ、ゲーム会社の実情が見えてくるのではと思います。
(一同笑)
ヒロイン別ルートで大変だったこととは!?
――担当されたルートの中で大変だったことはありますか?
向坂:ゲーム開発のところはフォローしていただいていたので、それほど大変な感じではなかったですね。私は会社勤めの経験がないので、そこはもう想像というか合宿のノリを踏まえて書きました。ですから、夏に海に出かけるといった、ああいうシーンは筆が乗って本領発揮した感じです。
志水:サブライターというのは初体験だったので、このキャラクターはこういう秘密を持っているとか、自分では思いつかないような設定が新鮮でした。一方で、その設定をどう生かせばいいのか、組み立てていく作業は大変でしたね。
あとはたまにキャラクター名とか一人称が迷子になることもあって、それを思い出すのが大変でした。誰に対してはあだ名で呼ぶとか、社長に対しては名字で呼ぶとか、全部メモしてそれを見ながら作業しました。
みやざー:人称表を渡していませんでしたっけ?
志水:いただいていたのですが、少し変わっていたので自分で作り直して、「ここからは仲よくなるので呼び方を変えよう」とかもやりました。
小さなことですけれども、一人称とか話し方をいじりつつ他の方のプロットをそのまま書くと自分の文章ではなくなってしまうので、そこを咀嚼しながら大きく齟齬が出ないように、なおかつ味が出たらいいなという部分では苦労しました。
みやざー:向坂さんの共通ルートと志水さんのななルート、どちらに合わせましょうかという問題もありました。個別ルートで各ライターの文体を生かすと共通ルートの心情描写にも微妙なズレが出てしまいます。その解決策の一つとして、ななルートでは主観視点をななに変えました。
もちろん共通ルートとの調整はしていますが、これなら志水さんが他のライターさんの文体をまねて個性を殺すこともなく、志水さんのシナリオを望んでいる方々の期待にも応えられます。
――わりと唐突に視点が切り替わったので驚きましたが、そういう理由だったのですね。
みやざー:他のルートもそれぞれ視点が交錯したり、第三者視点になったりという感じです。これは前作の『白衣性愛情依存症』で試したかったことでもあるのですが、共通ルートが終わったところでヒロインの視点に切り替えて、今まで主人公を通してみていた女の子がどれだけ魅力的なのかを別視点で描けたらおもしろいかなと。
今回、ライターが複数になった時点で、前作でできなかったことを試してみようという意図もありました。
――話を戻して、竹内さんが大変だったところは?
竹内:ファンタジーや軍事ものだと調べ物が発生して大変なのですが、さきルートについてはシナリオライターとしての経験を組み替えて書くだけだったので、そういった部分での苦労はほとんどなかったですね。強いて挙げるなら、テキストのボリュームに負けそうになったくらいです(笑)。
あとは登場人物が女性しかいない点でファンタジーではあるのですが、ベースとなるのは現実世界なので、リアルとエンターテイメントとのバランスを意識しました。他にも、すでに共通ルートの段階から作業の遅れを責め立てられて切羽詰まっているキャラクターが、どうすればヒロインとの恋愛関係に発展するのかという部分も苦労しました。
みやざー:制作順でいうと、さきルートはわりと後の方だったことと、ゲーム会社モノとしての雰囲気を詰め込んだこともあって、ボリュームが膨らんでいます。むしろこれでも減らしたくらいで。
竹内:初期プロットをちょっと膨らませすぎたというのはあります。他のヒロインに比べて彼女だけがモノ作りに先鋭化しているキャラクターだからたぶんそうなったのでしょうね。あと100キロバイト書いてよければ、もっと書きたかった展開はありますよ(笑)。
西川:私はわりと自分でいろいろ決めたい派なので、マリールートではあらかじめ決まっていることが多くてやりづらさはありました。
そもそも母国での複雑な事情を抱えながらも来日している軍服姿の美女という設定をまとめたうえで、どうやってゲーム会社のグラフィッカーという形に落とし込むかというところはかなり苦労して、若干別のラインのお話になってしまった感はあります。グラフィッカーとして活躍する彼女と、もうひとつの秘められた一面と、どちらも魅力的に見せられたらいいなという感じです。
みやざー:西川さんには作中に登場する同人ゲーム『ニエと魔女と世界の焉わり』(以下、『ニエ魔女』)のプロットもお願いしたので、違った大変さがあったのではないかなと思います。
西川:アレは600キロバイトくらいの小規模同人ゲームを想定して、実際にゲームが作れるレベルでプロットを作りました。ですから、マリーというキャラクターと同じくらい『ニエ魔女』への思い入れも強いですね。詳細は伏せますが、作中に登場する『ニエ魔女』には3種類のバージョンを用意しました。
もしも別のヒロインのルートを書けるとしたら?
――他の方が手掛けられたキャラクターに関して、自分だったらこんな切り口で描いたというのがありましたらお聞かせください。
向坂:当初はさきルートも私が書く予定だったのですが、これは絶対書き応えのあるルートだと思っていました。なんでしたらこころルートの代わりにさきルートを書きたかったくらいです!
みやざー:メインライターが何を言っているのですか(笑)。
志水:私は可能であれば全部やりたいところですけど、逆にこれは難しそうだなと思ったのがマリーですね。彼女は設定がてんこ盛りで、すべてを見せようとするとぼやけてしまうので、どこをフィーチャーすればいいのかが悩みどころです。
皆さんに人気のさきに関しては、やはりライターとして自身のスタンスが出てしまうので難しいと思います。あるあるネタは当然入れるでしょうが、ストイックすぎるキャラにするとおもしろみが少ない、ギャグに寄せるとライターとしての部分が弱くなり“さき”でなくてもよくなってしまう。中庸をとるのが難しいキャラですよね。
あえて他のヒロインのルートをということであれば、やはりマリーです。やりたくないけれどやりたい……歯ごたえがあるからこそのマリールートかなと思います。
竹内:自由に書いてよければ、こころルートですね。やはりメインルートということもあって、みやざーのこだわりや介入度合いもすごくて、端から見ていても絶対に無理。それを書き上げた向坂さんはすごいと思いましたよ。
とはいえ、こころルートは他のおいしいところを全部集約できるポジションではあるので……。
――今話題に上がったこころルートは、やはり大変でしたか?
向坂:そうですね、プロットの段階でもかなり時間をかけて話をして、詰めていきました。みやざーさんのやりたいことはわかるし、今だからこそ世に出す意味のあるテーマだなと思ったので、なんとか食らいついていった感じです。
西川:私はこころルートですね。理由は言えないのですが、別の展開があってもいいと思いました。
それぞれのライター論
――漠然とした質問で恐縮ですが、ライター論や仕事をするうえで譲れないものなどがあればお教えください。
向坂:私の場合は学生からすぐ作家になったこともあって、知識や経験の面で引き出しが多くないと思っています。でも、百合的な心理描写は武器だと思っていて、そこですらいいものを書けなかったら私が書く意味がなくなってしまうので、そこは命がけで書いている部分です。
志水:自分の中ではシナリオライターという大きなくくりの中でのライターだと思っています。だから小説でも脚本でもライターとして執筆してきましたが、もっともこだわりがあるのはゲーム制作ですね。
他のタイトルでの話になりますが、原画家の方が違うエンディングを思いついたからと描いてこられたんですね。普通なら何を勝手なことをとなるところですが、そのイラストがあまりにも素晴らしかったので、それなら私の方で結末を合わせましょうと。互いに切磋琢磨というか、よりいいものを創るために協力し合うというのはゲーム制作ならではの美点ですね。
みやざー:チーム戦というかみんなで作っている感がすごくありますね。
志水:あとは一番大事にしなければいけないのは、社長の鶴の一声でもなければプロデューサーの意地でもなく、創作物としてのゲームだということです。先輩クリエイターの方にも「肩書とかではなくゲームが一番偉いんだから、ゲームがおもしろくなることを考えなさい」と言われました。
どのような立場の人から意見されても、それがゲームとしておもしろさを欠くようであればしっかりと説明して、ユーザーに対して真摯な姿勢を貫けるようにありたいと思っています。
向坂:いい言葉ですね。そう、私が言いたかったのはそれなんですよ。一番偉いのはゲームなんです!
みやざー:遅いよ!!
(一同笑)
竹内:私の場合は好きじゃないとやっていられないところですね。ゲームの種類にもよりますけれども、ことアドベンチャーゲームのようにストーリーが前面に出てくるようなゲームはライターが制作の中心なのですよ。自分が仕事をしなければすべてが止まってしまうパートのわりには、あまり大事に扱われない場合が多い(笑)。
みやざー:作中でもさきがずっとそのようなことを言っていましたね(笑)。
竹内:作業量が膨大なのでスケジュールは基本遅れがちになるのですよね。ようやく終わっても他のパートはそこからのスタートとなってみんな気が立っているので、罵倒こそあれ、そこに労いの言葉なんてありません(笑)。まあ、ディレクターとして責める側の立場にも立ったことがあるので両方の気持ちはわかるのですが。
やはり表に来るのは原画家さんだったり声優さんだったり……別格とも呼べる一部の方を除けば、ライターの名前とかプログラマーの名前に惹かれてゲームを買う人ってあまりいないですよね。
――では、やりがいを感じる場面とか、すごくうれしかったことはありますか?
竹内:自分が書いているシナリオで、「コレはおもしろい」と思った時はやりがいを感じます。書いていてつまらないなと思ったら筆が止まりますし。
みやざー:ゲームを作って世に送り出すのが仕事という部分で、適当に書いて納期にさえ間に合わせればいいというのとはまた違う考え方ですよね。
竹内:もちろん納期に間に合わせられる方が、商業ライターとしては断然立派です。でも世間様の評価はさておき、最初の読者である自分自身がおもしろいと思えないようではダメですよね。
西川:もうほとんどみなさんに言われてしまった感がありますね。付け加えるなら、まず最初に取り掛からなければいけないのがシナリオということでプレッシャーがかかるかもしれませんが、それだけにやりがいがある仕事だと思っています。
執筆するうえでのスタンスは……
――では、シナリオを執筆するうえでのスタンスはいかがですか?
西川:私はスロースターターというか、吐いてからが本番ですね。
みやざー:そこまで自分を追い込む!?(笑)。
西川:例えば4日かかる仕事があったとして、スケジュールは一週間としますよね。すると4日は遊んでしまって、残り3日と追い込まれている時が一番捗ります。締め切り日の日付を跨いだ0時とか、朝の10時には送ろうと思って10時を超えた瞬間からのフルスロットルぶりたるやないですね。
竹内:そこまで追い込む瞬間が気持ちいいとか、締め切りどおりにやるとなにか違うとか、つらいのを好き好んでやっているの?
西川:そんなことはないですよ。
志水:ラスト1カ月とかは普通の3倍くらい力が出ますよね。しかも、勢いで書いたシナリオの方がおもしろかったりというのもありますから。
竹内:締め切りを後生大事に守り過ぎる人は、わりと無難になってしまうこともあるんですよね。もちろん、クオリティが高くて納期に間に合わせてくれる人が最高なのですが、そういう人は業界の最頂点に行っていますから。
みやざー:イラストレーターでもなかなかいないですよね、すごくいいイラストを描けるけど納期も守るという人は。
志水:それは芸術に寄るか、仕事としてやっているかというスタンスの差だと思います。芸術家としてやって納期など知らないというところまで行ってしまうと、それはもうパトロンを見つけて描けばいいわけですから。
私は芸術性までは失いたくはないけれど納期は守る職人派でありたくて、限られた時間でどれだけ自分が持っている技術をぶつけられるかというのが理想です。もちろん、どうしてもうまくいかない時はありますけどね。
――筆が止まってしまった時はどうしているのでしょうか?
竹内:本当にどうしようもないですね、思いつくまでボーっとしているか、誰かに話を聞いてもらうのもいいですね。
西川:私は逆ですね、人には絶対に話さない。部屋の掃除をしたり、普段は絶対に作らないような凝った料理を作ったりしますね。もっともこれはただの逃避行動であって、アイデアを思いつくのは寝ながら考えている時とか、トイレに行った時とかお風呂に入っている時ですね。
志水:私は100%お風呂です。お風呂って他にすることがないから一番集中して考えることができますしね。ネタを忘れないために、すぐ書けるように用意しています。どうしようもない時は過去の自分の作品のラストを読み返すこともあります。参考にしつつも昔の作品は超えていきたいので、粘りに粘ってなんとかという感じですね。
向坂:私はなんとかなりそうな詰まり具合なら、基本は寝て起きてを繰り返します。詰まる時って不必要なことを考えすぎていることが多い。寝て起きて頭がまっさらな瞬間に打開策を思い浮かぶことが多いですね。
2~3時間の睡眠を繰り返してトイレ行ってご飯を食べて、それでもダメな時はもう一度横になって。端から見ると、一日中食っちゃ寝を繰り返しているようにしか見えないですが(笑)。
担当ライターが語るヒロインの魅力と注目ポイント
――それぞれが手掛けられたヒロインの魅力や見どころを教えていただけますか?
西川:マリールートはやはり小指の誓い、指切りのシーンですね。海外のドラマか何かで見た風習なのですがとても印象に残っていて、あれは絶対に入れようと思っていました。
裏設定としてマーラー家には美しい女性を見たら口説きなさいという家訓があるので、ななにちょっかいを出したり、さきやほのかに甘くささやいたりもします。そんな彼女の最大限の愛情表現が、言葉も交わさずにただ小指を絡めてお互いの気持ちを確かめ合う指切りなので、あのシーンからマリーがどのような女性なのかを感じ取っていただければいいなと思います。
竹内:これは設定に対するツッコミにもなってしまうのですが、ユリイカソフトってゲーム作りをするうえでちょっとあり得ない体制ですよね。社長を除けば、まともな業界経験者がさきしかいないという異常なチームの中で“ゲームとはなんぞや?”みたいなことを込めると、偉そうなセリフはすべてさきに回ってしまいます。そこらへんの、自分のことを棚に上げての偉そうな言動をぜひ期待してください(笑)。
あとは元ネタにこそ言及しないものの、作中にはSFやアニメ、映画、海外ドラマといった小ネタを散りばめてあります。そういうのを見つけてニヤニヤしていただければと思います。
志水:ななルートでは、意外と計算高いところもあるキャラクターだなというのが分かると思います。シナリオを書くうえで計算高さってあまりかわいくないので、それをどこまで愛嬌と見せるかのせめぎあいが結構難しかったなというのがあります。計算高い彼女が徐々に主人公に心惹かれて、救われていく過程を見ていただければと思います。
また、これまで私はプラトニック系の百合を書いてきたのですが、今回はもう少し踏み込んだやり取りも入れてみたので、そこは見てもらいたいです。
向坂:こころルートはあいとこころという姉妹の物語になるわけですが、よりを戻すなんて絶対無理という恋愛として書いていた部分もあるので、ドキドキもハラハラもします。あいが思い悩む様や、簡単には実らない百合カップルのよさなど、こういうのもいいよねという要素を詰め込んだつもりです。
おかげでこころがだいぶ冷たくなってしまったとは思いますが、そんな姉妹がどのような運命をたどるのか注目していただければと思います。
(C)KOGADO STUDIO,INC.
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