超豪快骨太バトル再来『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』レビュー! 戦闘&物語の密度がスゴイ
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- hororo
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SIEから11月9日に発売予定のPS5/PS4用アクション『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の先行レビューをお届けします。
『ゴッド・オブ・ウォー』は、かつて“神殺し”と呼ばれた男・クレイトスを主人公とした人気シリーズです。その魅力は、神話の神々を交えた壮大な物語と、巨大な怪物たちとの骨太なバトル! 本作においてもその魅力は遺憾なく発揮されており、シリーズ最新作に恥じない完成度となっていました。今回のレビューでは、物語とアクションという2つの柱に加え、さまざまな要素を交えた本作の魅力を紹介します。
クレイトスとアトレウスの分断で新たなドラマが展開!
過去作品でクレイトスとギリシャの神々との死闘を演じてきた『ゴッド・オブ・ウォー』ですが、前作からは舞台を北欧神話の世界に移し、老いたクレイトスと息子のアトレウスの旅が描かれました。
クレイトスとアトレウスは前作の旅を経て少し距離が縮まったかと思いきや、まだまだ壁がある様子……。
前作で語られた予言のなかで、自身がロキと呼ばれていることを知ったアトレウスは、自分の定めを知ろうと知識を求めます。一方で、アトレウスを危険から遠ざけようとするクレイトスは、アトレウスを否定し、戒めようとする立場。
クレイトスは過去に妻と娘を(神の謀略とはいえ)自ら手にかけてしまったため、愛する者を失うことに過敏であり、アトレウスを守ろうとする気持ちが暴走しているような印象を受けます。
一方アトレウスにも、自分が特別であると知り増長した過去があり、一人前だと認めて欲しい承認欲求から自我が肥大化している傾向があります。
それぞれが自分の抱える感情の強さに加え、互いの心のすれ違いも加わり、ともすれば前作よりも溝が深まってしまったようにも感じられました。現に本作ではアトレウスの単独行動が多く、クレイトスだけでなく、アトレウスを操作して進んでいくシーンも多かったです。
しかし、いざというときには阿吽の呼吸を見せたり、離れ離れになっていても相手の身を案じ続けていたりと、心の根っこのところではつながっていると感じるのは、やはり前回の旅路のおかげなのでしょう。このあたりは前作プレイヤーほど、じんと感じてしまうかもしれませんね。
双方の気持ちもわかるからこそ(どちらもやりすぎではありますが……)、二人の冒険を応援したくなりますし、彼らの旅の先に幸せな未来を願わずにはいられない。そんな気持ちにさせてくれる部分は前作から変わらない魅力と言えるでしょう。
さて、本作の見どころのひとつに、オーディンやトールといった北欧神話の有名な神々が登場することがあります。深く神話を知らない人でも、きっと名前は聞いたことはあるのではないでしょうか。
本作に登場する世界や神々、怪物などは北欧神話そのままの関係性ではなく、あくまでも『ゴッド・オブ・ウォー』ナイズされたものですが、彼らがまとう雰囲気はまさにイメージそのもの。
一見すると話がわかる好々爺のようで、耳障りの良い言葉を吐き続けるオーディン。そしてクレイトス以上の巨体を持つ粗野なトールの存在感はすさまじく、作中でも重要な位置を占めています。
特にクレイトスとトールの迫力の戦闘シーンや、オーディンによるアトレウス(ロキ)への接し方は、それぞれの神らしいエッセンスがぎっしり詰まっているので、ぜひ注目してほしいですね!
おもしろいと思ったのが、アトレウスとロキの関係性。神話上でロキはよく嘘をつく神だとされていますが、作中で同一人物とされるアトレウスは素直な子です。
しかし物語を進めていくことで、アトレウスが自分の行動や真意をクレイトスや仲間たちに告げられない問題に直面し、結果的に嘘を付いたり、隠したりといった行動を取ってしまうこと……これによりアトレウスと嘘が結びつくといった構図が秀逸だなと思いました。
また、物語で重要なキーワードになるのが“予言”です。クレイトス親子だけでなく、さまざまな登場人物がこの予言に翻ろうされており、予言(運命)は打ち破れないのか、そもそも予言に従うのは悪いことなのか、といった問が投げかけられます。
予言の行く末、終末の戦争ラグナロクに向けて収束していく物語のなか、クレイトスたちがどのような選択をするのか、ぜひその身で体験してください!
魅せプレイも可能なやりごたえのあるバトルに無我夢中!
ダイナミックに敵を斬り刻み、力任せに吹き飛ばす……そんなパワフルな戦闘は『ゴッド・オブ・ウォー』の醍醐味。
本作では、主にリヴァイアサンとブレイズ・オブ・カオス、そして物語が進むと手に入るドラウプニルを使って戦闘を行います。正確に言えば、武器を収納している状態では拳で戦うこともできますが、基本的にはこの3種がメインウェポンです。
リヴァイアサンは前作から登場した斧で、冷気をまとわせることで強力な一撃を繰り出すことができます。また、投てきすることができるため、遠くにいる敵や空を飛んでいる敵を打ち落とせるのが特徴。
ブレイズ・オブ・カオスは鎖の先に刃が付いた双剣で、クレイトスが第1作目から使い続けている伝統の武器です。鎖を伸ばして攻撃するためリヴァイアサンより間合いが広く、より多くの敵をまきこめるのが特徴。投てきはできませんが、少し離れた敵であれば引き寄せたり、強引に近寄ったりもできます。
ドラウプニルは今回初登場となる槍で、リヴァイアサンと同じように投てきが可能です。異なるのは何度でも手元に生み出すことができるため、手元に呼び戻す必要がないこと。敵に刺さった槍は爆発させることができるほか、特定の地点に刺して足場のように利用するギミックにも活用できます。
攻撃にはライトアタックとヘビーアタックがあり、組み合わせることでさまざまなコンボが可能! さらにボタン長押しや、ステップと組み合わせることで異なるアクションを繰り出すこともでき、状況に合わせてコンボを使い分ける楽しみがあります。
敵の攻撃に対しては、盾を使って防御やパリィをすることが可能です。ただし敵によってはガード不能な攻撃をしてきたり、盾によるバッシュで中断しないと大ダメージを受ける攻撃をしてきたりするため、ガードやパリィだけでなく回避が重要になる場面も。
とにかく攻めかたや敵の崩しかたといった戦術が多彩で、流れるようにコンボを決められたときの爽快感は病みつきになります! アクションの種類も豊富なため、いわゆる“魅せプレイ”を目指すのもモチベーションにつながりますね。
場所によっては、落ちている岩を投げて攻撃したり、木を抱えて力任せに振り抜いたりといった豪快な戦闘もでき、かなり気持ちイイ!
何より、シリーズ初期から続く伝統のトドメ演出は爽快のひとこと! スタン値が溜まった敵に合わせて独自の演出で敵を倒していくクレイトスはまさに鬼神のごとし。顎をつかんで引き裂いたり、力任せに胴を叩き切ったりと、バイオレンスではあるものの『ゴッド・オブ・ウォー』でしか味わえない快感があります!
そして、敵を攻撃すると体力ゲージの下にある赤いゲージが蓄積していき、一定値以上になると“スパルタン・レイジ”が発動可能になります。
怒りに任せて拳で敵をタコ殴りにしつつ回復したり、即座に一定量の体力を回復したりと効果には種類が存在。本作では体力の回復手段が乏しいため、スパルタン・レイジの使いどころはかなり重要!
また前作同様、戦闘中はアトレウスがパートナーとして共に戦ってくれます。何も指示せずとも、アトレウスは敵に攻撃してくれたり、背後から敵を羽交い絞めにしてスキを作ってくれますが、攻撃して欲しい敵を指定することも可能です。
ストーリーの話の際にも少し触れましたが、本作ではアトレウスが離脱して、単独で行動する場面も多くあります。そういった場合、ストーリー進行に合わせてパートナーが変化していくのが新鮮でした。
ブロックやシンドリ、フレイヤといった前作にも登場したキャラクターたちがパートナーとなり、それぞれの個性的な手段でクレイトスやアトレウスの旅路をサポートしてくれます。
なおアトレウスが単独行動をする際は、クレイトスと同じようなアクションが可能。当然ながら武器は弓矢がメインとなるため、厳密には操作感は異なるものの、爽快感はクレイトスに負けず劣らず! 軽快な動きで矢を射るアトレウスのアクションは、クレイトスとは一味違うおもしろさがあります。
プレイスタイルはより幅広く! 謎解きや探索も盛りだくさん!
戦闘にはさまざまなアクションがあると書きましたが、基本的な攻撃アクション以外は、戦闘を重ねて得た経験値を消費してアンロックしていきます。
同じように、クレイトスやアトレウスの装備も、道中で得た資金と素材を使って製作&アップグレードしていく必要があります。装備ごとに上昇するステータスや外見が異なり、何を選ぶのかはプレイヤーしだい。どの装備でもアップグレードを続ければ性能で劣るということはないため、好きな装備を使い続けられるのは嬉しいですね。
とくに装備品で付与される効果は戦術にも大きく影響します。「この効果を生かした戦いかたをしてみたい」という理由から、新しい戦術を発見できることもあり、プレイが一辺倒になりにくいのが魅力。
この装備周りのカスタマイズ性はかなり高く、武器に特殊アクションを追加する“ルーン”や、特殊なスキルを使えるようにする“レリック”、クレイトスの行動にボーナスを付与する“呪力”といった要素が用意されています。
前作では経験値を使ってクレイトスを成長させていくイメージでしたが、本作ではそれに加え、クレイトスの戦い方をより多彩に広げられるようになった印象があり、プレイヤーごとに異なるスタイルのクレイトスが登場するのではないでしょうか。
また、前作から取り入れられた、広大なフィールドを自由に探索できる要素も忘れてはいけません。本作の世界は九界(くかい)と呼ばれる九つの世界に分割されており、それぞれの地がまったく異なる風景を見せてくれます。
物語上で訪れる地には、前作で訪問した場所と同じ地域もありますが、前作から状況が変わったことによって大きく変ぼうしてしまっており、前作プレイヤーからすると、懐かしいやら切ないやら不思議な気持ちに……。
各フィールドにはサブクエストが用意されていたり、強力な敵と対峙するチャレンジがあったりなど、さまざまな要素が散りばめられています。全部スルーしてストーリーを進めるもよし、片っ端から挑戦してから物語に戻るもよし。すべてはプレイヤーしだい。
なお、ストーリーかフィールド探索かは問わず、謎解き要素も多く登場します。謎を解くには、リヴァイアサンやブレイズ・オブ・カオスの能力が必要になることも珍しくありません。
例えばリヴァイアサンは、投てきした先にあるものを凍らせることができます。そのため、引き上げた滑車に斧を突き立てて凍らせて高さを維持させたり、間欠泉を凍らせて足場にするといった活用法があります。
これらの謎解きのセオリーはストーリーを進めるなかで解説されるほか、ギミックに対応する武器に合わせた色で発光しているため、見た目で判断しやすくなっています。
同行キャラクターがいる際はヒントを話してくれるので、それに従えば大抵の場所で何をするかはわかるでしょう。一部難しく感じるところもありましたが……。
中盤以降は謎解きで使う仕掛けの種類も増えていき、少し頭を捻るようなパズルも。しかし戦闘とストーリーの合間に適度に入ってくれるため、いい息抜きとして個人的には好感触でした。
今回久しぶりに『ゴッド・オブ・ウォー』に触れて、改めて世界観の作り込みやキャラクターの魅力、バトルの楽しさを感じ、その水準の高さに舌を巻いています。
ただ一点、個人的な希望を言うのであれば、物語が前作ありきで進むため、未プレイの方はぜひ前作から続けて遊んでみてほしい……そしてこの濃密な『ゴッド・オブ・ウォー』の世界を、存分に楽しんでいただきたいです。前作をすでにプレイしている方は、安心してご購入ください。間違いなくオススメです!
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