【ウマ娘が1.8倍楽しくなるお話 32】ウマ娘にない要素を好きになってもいいよねってお話【馬主編】
- 文
- 柿ヶ瀬
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皆さんこんにちは。柿ヶ瀬です。
先日、森中蕃さんという馬主さんが亡くなられました。“シゲル”の冠名で有名で、毎年何十頭も所持し、年ごとに“シゲルブリ”“シゲルロウニンアジ”などの魚シリーズ、“シゲルカチョウ”“シゲルジュウヤク”など役職シリーズ、“シゲルピーマン”“シゲルサツマイモ”などの野菜シリーズなどでも注目され、近年ではシゲルピンクダイヤ、シゲルピンクルビーの姉妹が重賞戦線を賑わせていたことも知られているのではないかと思います。筆者は競馬を始めた頃に活躍したアングロアラブ(かつて競馬場で走っていた馬の種類です)のシゲルホームランの印象が強いですね。
ウマ娘はもちろん競馬がモチーフとされているのは言うまでもありませんが、ウマ娘となることで実際の競馬からはなくなっている要素というものもたくさんあります。
例えば騎手。武豊騎手がプロモーターをやっていただいていたり、最近ではルメール騎手もCMやインタビューで登場してもらったり。それからゲーム本編、アニメ、ライブでも登場頂いている細江純子さんも元騎手ですが、『ウマ娘』に騎手の要素はありません。ウマ娘は人間と同じように走りますから当然です。
他にもウマ娘はそれぞれの家庭で生まれているので生産牧場の概念もありません。そして何より、本来の競馬ゲームであればもっとも重要であるはずの馬主の要素も『ウマ娘』には存在しません。これって地味にすごいことだなあって筆者は思っています。
というわけで今回はそんな馬主さんの話をしていこうかと思います。ちなみに“ばぬし”と読むか“うまぬし”と読むかですが、JRAとしては“うまぬし”で統一されています。
ウマ娘のモチーフになっている競走馬の馬主さん、現役の方もそうでない方も跡を継がれてる方も色々いらっしゃるのですが、今回は個人馬主として長く競馬界を多数の所有馬で支えていらっしゃるお二方をご紹介したいと思います。
メイショウドトウの馬主、松本好雄氏
メイショウの冠名でおなじみ松本氏。もはや冠名で“メイショウさん”と呼ぶ方も多いくらい、メイショウの冠名は競馬界に長く浸透しています。現役所持馬は130頭くらい!
筆者が競馬を見始めたときにはすでに馬主として活躍していましたが、長くGIには縁がありませんでした。そんなメイショウさんに馬主生活28年目にして初めてのGIをもたらしたのが、メイショウドトウだったのです。テイエムオペラオーとのライバル関係の印象が強いであろうメイショウドトウですが、視線を少しずらせば馬主に悲願をもたらした神の使いのような馬でもあったのです。
28年掛かったメイショウさんのGIはドトウがその扉をこじ開けた途端、続けてメイショウボーラーのフェブラリーSや、メイショウサムソンで皐月賞・ダービーのクラシック、そして天皇賞春・秋制覇という素晴らしい名馬が続出しました。近年でも障害で大活躍のメイショウダッサイや、今年の帝王賞を勝ったメイショウハリオなどは皆様も名前を聞いたのではないでしょうか。
テイエムオペラオーの馬主、竹園正継氏(継は旧字体)
ドトウと来たらオペラオーも。というわけではないのですが、こちらも“テイエム”の冠名でおなじみ竹園氏です。現役所持馬は50頭ちょっと。松本氏と比べると少なく感じるかもしれませんが、どう考えても大馬主です。
竹園氏のすごさは何よりも相馬眼です。 馬主は大体調教師や競馬評論家などの意見を聞いて馬を選ぶのですが、竹園氏は自分で見て、しかも安くても走る馬を探すのが上手いと言われています。お馴染み世紀末覇王と呼ばれたテイエムオペラオーはセリで1,000万のワンビット(競り掛ける相手もなし)。そして稼いだ賞金は18億以上というすさまじさ。他にも我々のようなオタクがみんな注目した、他にもテイエムプリキュア(当時4歳の娘さんが名付け親)はセリ価格250万でしたが阪神JFや日経新春杯を勝ち、エリザベス女王杯で大穴を開けるなどして2億円を稼ぐなどしています。
そんな竹園氏はその相馬眼を活かすため自分の牧場も作って生産をするようになりました。北海道だけでなく生まれ故郷の九州にもあるテイエム牧場で、九州の馬産も支えておられます。
推しの馬主を探すのもおもしろい
『ウマ娘』に登場する競走馬の血統を探して競馬を楽しんでいる方も多いと思います。同じ感じで『ウマ娘』に登場する競走馬の馬主さんを探して競馬を楽しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。すでに亡くなられていたり馬主引退されたりしている方もいらっしゃいますが、現役の馬主である方も多くいらっしゃいます。Twitterやブログなどがよく注目されるセイウン・ニシノの冠名でお馴染み西山茂行氏を応援しているという方も多く見受けられます。
もちろん『ウマ娘』に登場していない馬主の方に注目するのもおもしろいでしょう。大物馬主さんは高齢化されておることもあり、若手(と言っても4、50代ですが……)の馬主さんには競馬界も期待されています。
その筆頭は言うまでもなく、Cygamesの親会社、サイバーエージェント社長の藤田晋氏でしょう。今年2世代目ですが、早くもチャンスザローゼスやフェイトなどクラシックも狙えそうな馬がたくさんいます。
ここでウマ娘のモデル競走馬は持っていないけれど、人気が出つつある馬主さんを何人か紹介します。今後ウマ娘になる競走馬も出てくるかもしれせんよ。
まずは岡浩二オーナー。昨年エリザベス女王杯で幸英明騎手と運命を紡いだアカイイトや、熊本産馬として初の重賞勝利を成し遂げたヨカヨカ、そして三津谷隼人騎手の引退レースとなった障害重賞京都ハイジャンプで初重賞をプレゼントしたマーニなどが活躍。今年の2歳も既にJBC2歳優駿をゴライコウ、京王杯2歳Sをオオバンブルマイが勝ち、勢いに乗っている馬主さんです。
お気付きになられた方も多いでしょうが、名前の付け方がユニークです。ユニークな馬名をつける馬主さんは他にもたくさんいますので、チェックしてみるのも楽しいですよ。
もうお1人紹介するのは今年所持馬がデビューしたばかりのピッカピカの新規馬主、先日カンナSを勝ったウメムスビの細川陽介オーナーです。ウメムスビってまた珍名か? と思ったかもしれませんが、しかしこの名前にはちゃんとした理由があるのです。
細川オーナーのお仕事はなんと梅干し製造業。また勝負服も白地に赤の玉霰、そして袖に黒の一本輪と、まるで梅おにぎりのようなデザインになっています。ウメムスビの次走は朝日杯FS。初年度からいきなりのGI出走となる新人馬主さんの奮闘はTwitterで発信されておられるので、気になった方はウメムスビともどもチェックしてみるのもいいのではないでしょうか。梅干しを通販で購入する競馬ファンもすでに散見されています。
というわけで今回は『ウマ娘』では存在しない要素の1つである“馬主”についてお話してきました。
馬主界ではクラブ法人という、いわゆる我々庶民でも所有できる一口馬主クラブが隆盛しています。しかしやはり個人馬主の人たちの支えあってこそ、競馬は成り立っています。
名物馬主と呼ばれる方もたくさんおられますので、『ウマ娘』から競馬を楽しむようになられた皆様にはぜひ、騎手や調教師、生産牧場の他にも、馬主さんに注目して見てもらえたらいいなと思います。
また次回もこういった“楽しみ方”を提示していければと思いますのでお時間ありましたらぜひご一読いただきたければ幸いです!
それではまた!
“まとめページ”でこのコラムをチェック!
連載コラム“ウマ娘が1.8倍楽しくなるお話”のまとめページはこちらです。過去に掲載してきたコラムをここで一気に読むことができます。いろいろな驚きや発見があると思いますので、ぜひチェックしてくださいね!!
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