アニメ『リヴィジョンズ』谷口悟朗監督と白組 井出和哉Pが新作ゲームアプリについて赤裸々トーク!

ライターM
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 10月23日に、ネクソンのメディア向け事業説明会“NEXON Mobile Media Day”が開催されました。

 “NEXON Mobile Media Day”は、スマートフォンアプリの市場状況や自社タイトルの売り上げなど、ネクソンのモバイルメディア事業の現状と今後を総括したメディア向けの説明会です。

 前半でネクソンの主要タイトルの近況を、後半では年内配信予定の注目タイトル『revisions next stage(リヴィジョンズ ネクストステージ)』をフィーチャーしたトークセッションが行われました。

▲今年4月に配信がスタートした『メイプルストーリーM』が好調のネクソン。リリースから1週間で100万ダウンロードを突破した人気タイトルで、この影響もあり2019年度はQ3時点で過去最高の売上を更新したとのこと。

 『リヴィジョンズ ネクストステージ』のプロジェクトマネージャーを務める加藤友秀さんによるアプリの概要と見どころ解説に続いて、TVアニメ『リヴィジョンズ』を手がけた谷口悟朗監督と白組の井出和哉プロデューサーによる対談が催されました。今回は、その模様を抜粋してお届けします。

――アニメシリーズにおいて苦労された点やこだわりポイントは?

谷口悟朗監督(以下、谷口):渋谷の街がまるごと吹き飛んでしまうというのをどのような形で表現していけばよいかが大きなポイントでした。結果、渋谷の街のCGデータを元に大きなあたりをつけて、どこで戦闘が起きるかといったロケーションを組んでいったりというのもありました。

 また、あのとき白組さんがご自身のスタジオでTVシリーズを全部やるのは初めてということもありましたから、オーバーキャパになってしまうような形ではお任せできない。とはいえ、それなりのものを仕上げないと視聴者に届けられないというので、そこらへんの駆け引きですね。

 中でもよくやっていただけたと自負しているのが、手描きアニメでは絶対に不可能だったストリング・パペット(※1)の表現ですね。パイロットの顔の正面に半透明のキャノピー(風防)があって、そこにリアルタイムで情報が映し出されるという仕様になっています。

 カメラが外にあってキャラクターの顔を写すと、細かな情報も入ってきてしまうんですよね。こういった演出は、手描きアニメではほぼ不可能なんですよ。CGじゃないと表現不可能というところで情報を増やして行くにはどのような形にしていけばいいのかというところでチャレンジして、それに対して白組さんも持てる限りの技術を発揮していただいたというのを憶えています。

※1……作中に登場する、主人公たちが登場するロボット。

――CGならではというところで、白組さんはいかがでしたか?

井出和哉プロデューサー(以下、井出):ストリング・パペットはすごく苦労した部分ですね。キャラクターが見えていてロボットも見えていて情報も重なるので。

 本作は群像劇といいますか人間ドラマをしっかり描いていこうというのがありまして、最初に谷口監督と話したのが「ロボットアニメではないよね」というのがありました。CGでちょっと弱いとされている表情をしっかりアニメとして出していこうということで、不安や驚きの表情といったものも苦労しながらも、表現はできたのではないかなと思っています。

谷口:フェイシャル、表情付けのお話で補足しておくと、この作品は話数が進むに従って被写界深度をかなりシビアに取っているところで、徐々にスタッフの方々も頑張ってくれた作品でもあります。

 具体的にいうと、カメラの進入角度に対して当然、キャラクターの顔の奥の方はボケているわけですよね。そこの部分は手描きのアニメでやろうとしている作品もいくつかありますけれども、かなり細かいレベルまで持って行こうとすると限界があるわけです。

 それがCGのアニメだとライトのセットアップだったり被写界深度の設定もしやすくなって、結果的にカメラの選定が容易だったのもよかったところだし、それに対してチャレンジしてくれた白組さんには感謝しています。

――CGアニメというところで、関係者や視聴者の方々からの反応・反響はいかがでしたか?

谷口:CGアニメでそこまでの表現だったりとか同じクオリティを保ちながら、それをどうやったらTVシリーズとして毎週放映できるようになったんだという、制作システムに対する質問は多かったですね。どういう体制であの作品を撮っていたのかとか。

 劇場作品のようなスペシャルなものだけでなく、CGでそこまでできることが日常になったということですから、それがどのような形でこれからのアニメ業界に広がっていくのかという質問は多かったです。

井出:CGで作る作画アニメ、セルルックなどと呼ばれていたりもしますが、作品数は多くなってきたものの、まだまだ反応は賛否あるなということを改めて感じました。

 CGで作られたアニメは少し苦手だなという人もいらっしゃれば、ここまで表現できるようになったんだという意見もありますし、そういった声はすごく参考になりました。あとは、同業者の方に「よくできてたよね」と言われるのがすごくうれしかったりします(笑)。

――ゲームアプリ『リヴィジョンズ ネクストステージ』について、おふたりはどのような形で関わられたのかお聞かせください。

谷口:ゲームのほうはTVアニメ終了後の世界でやっていきたいという意向でしたから、それに関して世界観やキャラクターの立ち位置がどうなっているのか、あり得るとしたらこういう形ではないでしょうかというものをいくつか提出して、監修させていただきました。

井出:白組の方はTVアニメ本編と同様に、OP制作に携わらせていただきました。

――あり得るとしたらという“ifの形”は、具体的にどのようなものになるのでしょうか?

谷口:設定自体はノベライズやゲーム制作のために用意したものなのですが、渋谷が街ごと転移した後、戻ってきてみればそこには巨大な未知の生物の痕跡がある。すると必然、「日本が妙な兵器を開発していたのではないか?」などと各国から外圧がかかってそれを査察させろとなるだろうと。

 当初のプランニングでは日本、アメリカ、中国の3カ国による合同査察チームができるという考えだったんですよ。で、合同本部がたまたま六本木の在日米軍基地に置かれて、渋谷の方は時空災害汚染地域と認定されて研究材料になっていたりとか。

 採用されなていない案もいくつかあって、東京都のど真ん中が消失しているため、政府は新東京として復興させようという動きに出る。それに対して千葉県知事と埼玉県知事が猛反発した上で、埼玉県と千葉県が歴史的な和解をするという。

 そうすることで外環共同構想というのが持ち上がって、外環道に沿って新たな都市を造るという、ふざけたというかなかなか採用しづらい設定とかも作ったりしていました(笑)。

――OPやPVのこだわり、コンセプトなどについてお聞かせください。

井出:アニメ本編は渋谷全体がすっ飛んで行ってどうなるんだという群像劇だったんですけれども、最初にゲームのプロットを読ませていただいて、主人公のコウとツカサの関係を軸に描いていくというのがありましたので、ヒーローとヒロインの映像をちゃんと出せるようにしていこうということでああいった映像になっています。

 アニメとゲームが一連のプロジェクトということでもありますので、シビリアンとか(※2)のデザインも変わらず使っています。ストリング・パペットはキャラクターが見えていない状態なんですけれども、それは本編で言う一話から十二話に戻ってきた後の時点でのパペットを作るという話になっているので、技術力も影響してああいった外観になっています。

※2……敵キャラクター・リビジョンズの一種。

――おふたりが本作でお気に入りのキャラクターは?

井出:個人的には“響みか”ですね。アニメ本編だと何もわからないまま未来に飛ばされて全員テンパった状態で動くので、人間性の素の部分は描ききれなかったんですね。

 ゲームだとリビジョンズがどういうものかわかって訓練を受けている子たちなので、素の部分が出てくる。とくに、みかがコメディタッチなところを担っていてすごくいいキャラだなと思いました。

  • ▲響みか

谷口:私は皆川純子さんが演じられた進藤和希を早く使いたくて忙しい合間を縫ってゲームを進めていたのですが、そこにたどり着く前に本日の発表会になってしまいました(笑)。それを踏まえて、やっぱり主人公“法月コウ”は使いやすいですね。女性陣も遠くからサポートしてくれるし。

 でも、私がプレイしていてすぐ戦闘不能になるのが“中村英知”。人によって遊び方が違うと思いますけど、私の戦い方だと中村さんすぐやられてしまうんですよ(笑)。まあ開発中のバージョンだったので、正式版で遊ぶときはちゃんと強化して活躍させたいなと。

  • ▲中村英知

――主人公の“法月コウ”が使いやすいということでしたが、彼のキャラクター設定についてお伺いしたいと思います。彼のキャラクターは、特に望んでいる未来もなく厭世的。ある事件を境に感情を表に出さないようになったが、本来は明るい性格だった。かなりの負けず嫌いで、やられたら必ずやり返すという設定になっています。ビジュアルもやや暗めですが、アニメ版の主人公“堂嶋大介”と比べていかがでしょうか?

谷口:いい意味で、違うタイプでうまく割り振っていただいたなというのがあります。大介と比べてコウのほうがリア充ですし。そこは花江夏樹くんの声だったりするところも影響していると思うんですよ。この作品、各声優さんの声だったりとかもきちんと収録していただいているので、そういった部分を楽しむこともできると思うんですよね。

  • ▲法月コウ

――最後に、これからゲームをプレイしようと思っている方と、TVアニメ版をご覧になった方へメッセージをお願いします。

谷口:TVアニメとして始めたプロジェクトが今回、このようなゲームとしてみなさんのお手元に届けることが出来るようになったのはうれしいことです。これから先のアニメの、もしかするとビジネスをひっくるめた在り方を、業界全体を挙げて試行錯誤しているところなんですよね。

 その中の1つの在り方、答えとしてみなさまにお届けできる、もしくは楽しんでいただける機会をいただけたのはありがたいことだなと思っています。どちらから入っていただいても大丈夫ですので、できればアニメとゲーム両方楽しんでいただけるとうれしいです。よろしくお願い致します。

井出:今回の『リヴィジョンズ ネクストステージ』はオリジナル作品として作っていますので、昨今の原作ありきではないものとして仕掛けていっているところでもあります。小説にもなっていますし、コミカライズもされているプロジェクトですので、どこから入っても楽しめる作品になっているので、ぜひゲームともども『リヴィジョンズ』全体を楽しんでいただけたらと思っています。

  • ▲谷口悟朗監督(左)、加藤友秀さん(中央)、井出和哉プロデューサー(右)。

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©リヴィジョンズ製作委員会

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revisions next stage(リヴィジョンズ ネクストステージ)

  • メーカー: ネクソン
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年10月30日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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  • メーカー: ネクソン
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年10月30日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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