ガルスタオンライン

【男性目線の『アイナナ』レポ】帰ってきたモンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』の魅力。第12回

原常樹
公開日時

 みなさん、こんにちは! 自称“モンジェネおじさん”ことフリーライターの原 常樹です。
 すっかり『アイドリッシュセブン』にハマってしまったひとりの男性マネージャーが「アイナナはここが素晴らしい!」ととりとめもなく語りつつ、【男性のマネージャー】、また【男性に布教しようとしているマネージャー】を応援するというのがこの連載のコンセプトです。

 少し前になりますが、おじさんは先日、『アイドリッシュセブン in ナンジャタウン~4th Anniversary Festival~君とナンジャで愛なニャイト!』に行ってまいりました(もちろんプライベートです)。
 行ったメンバーはこの連載でもおなじみとなったいつものおじさんたち。みんなでコラボメニューを買いそろえてテーブルに並べたり、アトラクションのミニゲームに挑戦したり、ランダム封入のオリジナルグッズの「開封の儀」で盛り上がったり、配信中のストーリーについてわいやわいやと語ったり……。

 こうやってひとつの作品について気の合う仲間と盛り上がれるというのは素敵なことですね。好きなものは大勢で共有した方が有意義ですし、意見を交換するところで自分にはなかった視野からの発見もあるもの。
 これまではライターとしてニュートラルであるためになるべくこういう楽しみ方は避けてきたんですが、同好の士との交流でアンテナが広がる部分もあるんだなーと認識しました。いやー、ほんと楽しかったなぁ……。
 ただ、テンションが上がりすぎてもしかしたら騒がしかったかもしれません。もし、近くにはしゃぎすぎてるおじさんたちがいたという方がいらっしゃっていたら驚かせてしまって申し訳ありません。

  • ▲ナンジャタウンのスタッフさんにお願いしてお写真を撮っていただきました。楽しそうな顔してるでしょ? ウソみたいですが、アラフォーのおじさんたちです。

 さて、それでは第3部の振り返りを進めていきましょう! 大和さんの物語に一区切りついたところで、ストーリーでは「Re:vale」の過去が描かれます。言うまでもなく、当時のRe:valeのメンバーは万理さんと千さんでした。

 千さんと惹かれ合うようにしてバンドを組んだ万理さん。若かりし日の千さんは今よりも遥かに尖っていましたが、音楽に対する真摯な向き合い方は今も昔も変わりません。むしろ彼のこういったスタンスは昔から一切揺らいでいないということが伝わってきます。
 とはいえひたすら我が道を突き進む千さんの周りではトラブルも絶えません。バンドメンバーたちともケンカ別れをしてばかりの千さんについには万理さんもそれはよくないことだと諭します。それこそ、千さんがのちに大和さんを諭したように……。
 大和さんに対しては本質を突きすぎたせいで逆効果でしたが、あのシーンで千さんがあの言葉を持ち出したということからも当時の万理さんの言葉が千さんにはそれだけ響いたということなのでしょう。

 彼らは音楽の道を模索し続け、ついにはバンド演奏を入れない“アイドル”として活動する道を選びます。


 ここで登場したのが若かりし日の百ちゃん(この連載を読み返すと彼の呼び名は“百くん”だったり“百さん”だったりでブレまくっていますが、ここからは百ちゃんと呼ぶことにします)。
 当時の百ちゃんは若さにあふれており、アイドルのこともよくわかっていません。ひたすらサッカーに打ち込んで、そして怪我により夢破れた普通の少年です。彼は姉に連れられる形でRe:valeのライブへ行くことになり、そこで「未完成な僕ら」のステージを体感。その圧倒的なパフォーマンスに人生を変えるような衝撃を受けました。
 このときの衝撃がとにかく大きかったんでしょうね……。彼が月雲了さんに感動を説明するときの語句を聞けばそれが伝わってきます。また、その言葉の選び方が美しさを感じるぐらいに詩的で、彼の感受性や言語センスがやはりトップアイドルのそれなんだなとうなってしまいます。
 まぁ、どんなに百ちゃんが言葉を尽くしても月雲さんにはまったく響かないんですけど。サイコパスってそういうことなんだよなぁ……。

 ライブに感動した百ちゃんはRe:valeのふたりにすぐにファンレターを贈りました。その真摯な文面に心から喜ぶ万理さん。これまでぶっきらぼうで冷ややかだった千さんも百ちゃんの手紙を読んで涙を流します。
 彼らがほしかったのはお金でも評価でもなく“一生けん命作った歌を真正面から受け止めてもらうこと”だったわけですね。この日を境に、千さんは自分の心の中にある熱を自覚してさらなる飛躍を遂げていきます。

 しかし、Re:valeの道のりは決して平坦なものではありませんでした。とくに大きかったのが、万理さんがステージ上のパフォーマンスよりも裏方としての仕事に興味を持ったこと。
 急に裏方に興味を持つという万理さんの状況は、僕個人にとっても「わかる!」となる部分でした。実は僕も学生時代に役者をめざしていた時期があったんですが、このときにものすごい才能を持った人間と出会い、「自分は無理だ……」と思い知らされたんです。そして、それと同時に「こういったすごい人たちのことを広く世の中に伝えたい」とも考えるようになって。
 千さんのように何千人、何万人にひとりという逸材は少し一緒にいただけでも存在の大きさを感じるし、惚れこんでしまうものなんですよ。これは間違いありません(ちなみに僕が出会った友人もメキメキと頭角を現し、声をスピーカーから聞かない日がないほどの役者に大成しました)。
 自分自身を万理さんと重ねるのはちょっと無理がある気もしますが、裏方にも裏方の楽しさがあるというのもまた事実です。舞台上から見る景色と、舞台袖から見る景色はたしかに同じではありません。でも、どんな立場であろうとも、エンターテインメントの世界を形作る一員であればファンの喜ぶ顔を見ることは各人のやりがいにつながるはず。「ファンが喜んでくれていてうれしい」と笑顔で語る裏方サイドの方たちをインタビューの席で何度も見てきた身としては、そう思えてしまうんです。

 万理さんの中に裏方に回りたいという気持ちが生まれる一方で、そのことを千さんは知りません。このときはまだRe:valeに決定的な亀裂が入ったわけではありませんが、すれ違いは少しずつ大きくなっていくことに……。
 そんな中、運命の出会いとなった「血のイブ」事件が起きます。


 「血のイブ」は千さんに恋人を盗られたと思い込んだ男性がクリスマスライブに乱入してきたという事件。そのときに颯爽とステージに飛び込んでRe:valeを助けたのが狂犬……もとい、百ちゃんでした。身を挺して彼らを守った百ちゃんは、ついにふたりと直接出会います。それまでの暴れっぷりとは裏腹に、憧れのふたりを前に陶酔しきっている彼の姿はなんとも親近感を覚える姿です。あふれんばかりの愛情が漏れ出しているのに推しの前では控えめになってしまう。いやー、あるあるですよね、こういう感じ。

 結成から5年ほど経過して、Re:valeにデビューの話が舞い込みます。プロデュースをするのは九条(鷹匡)さん。しかし、千さんは彼の本質を見抜き、自分たちをゼロの代わりにしようとする姿勢を「キモい」、「無理」と切り捨てます。
 話は一旦はなかったことになりますが、しばらくして彼は今度は万理さんに接触してきます。そして、お前は二流だから(千さんの)足を引っ張るなと警告を発するのです。裏方としての仕事に目が向いていた万理さんはその言葉にどこか納得しつつも、千さんを九条さんに預けるということには納得しませんでした。一方でふたりはライブ前に声をかけてきた岡崎事務所の岡崎凛人(当時22歳)のまっすぐな誘いに興味を示します。

 しかし、その日のライブで「未完成な僕ら」を歌った瞬間、万理さんの上に照明が落下してくるという凄惨な事件が起きてしまいました。万理さんは顔にけがをしたまま行方不明になり、“最初のRe:vale”は事実上の解散という形になってしまいます。

 この事故の裏に九条さんの影があることを疑う余地がありません。さらに、万理さんが姿をくらましたのはケガをした自分をエサに九条さんが千さんを言いなりにしようとするのを防ぐため。万理さんの興味も裏方で働くことに移っていましたし、彼にとっては“当時のRe:valeを終わらせること”が最善の選択だったわけです。
 当然、千さんは多大なショックを受けます。そのことで音楽をやめてしまう可能性もあったわけですが、万理さんはそれだけはないと確信を持っていました。
 はたして、千さんは音楽をやめることはありませんでした。もちろん、彼を説得したのは百ちゃん。1カ月間にも及ぶ説得の甲斐もあって、ふたりは新生Re:valeとして歩み始めます。当初は「万理さんのスペアでもかまわない」という百ちゃんでしたが、彼には文字どおりたった5年でトップアイドルになってしまうという才能がありました。


 万理さんが終わらせ、百ちゃんが想いを伝え、千さんが決断したからこそ、今のRe:valeがあるわけで。やっぱり万理さんってものすごい慧眼の持ち主なんですよね。考え方によっては「自分のポジションを奪われた」という嫉妬心があってもおかしくはないのですが、万理さんはすべての状況を客観的に見つめて“ひとつの道を終わらせたこと”に納得している。そして、それが今の3人の明るい未来にもつながっているわけです。
 こういう過去があるからこそこの3人の関係性は素敵なんだろうなぁ……。最近は彼らのやりとりを見るだけでほっこりしてしまいます。

  • ▲小鳥遊社長もそんな彼の才能をしっかりと見抜いているようで、新たな夢に向かって進む彼の背中を押していました。

 Re:valeの過去の話を聞いたことで、IDOLiSH7のメンバーたちの気持ちも動きます。陸くんと一織くんは“IDOLiSH7の終わり”について話しますが、肯定的な終わり方もあると考える陸くんに対して、一織くんは終わり自体を認められないというスタンス……。
 終わり方も様々。紆余曲折ありながらもきれいに終わることができたかつてのRe:valeとは対照的に、ゼロが終わったことで哀れな亡霊となり果てた九条さんのような人間もいます。一織くんは九条さんと重なるような描写が多いだけに不安になりますよね……。

 と、『アイドリッシュセブン』らしくきれいなだけでは終わらない不安な感じもにじませつつストーリーは進んでいきますが、今回の連載はここまで!
 また次回お会いしましょう。

(C)アイドリッシュセブン

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アイドリッシュセブン

  • メーカー: バンダイナムコオンライン
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2015年8月20日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

アイドリッシュセブン

  • メーカー: バンダイナムコオンライン
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2015年8月20日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

関連する記事一覧はこちら