作曲=縛りプレイのような部分も…?『ガンヴォルト鎖環』BGMに関するこだわりをサウンドチームに聞く
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- sexy隊長
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インティ・クリエイツから発売中のNintendo Switch用タイトル『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス)』の企画記事をお届けします。
今回は『蒼き雷霆 ガンヴォルト鎖環』サウンドチームにインタビューを実施! 総勢7名の方にそれぞれのこだわりや注目点、制作のポイントについてお聞きしました。
※なお、インタビュー中は敬称略となります。
「ハイスピード、ハイテンションなデジロックサウンド」がコンセプト
――まずは簡単な自己紹介をお願いいたします。
山田:サウンドプロデューサー、サウンドデザインの山田です。サウンド全体のプロデュース、初期デザインの効果音、作曲、役者のキャスト、ブッキングを含めた音声プロデュース、録音演出、モルフォなどシリーズ歌姫のプロデュース、作曲、録音監督などを担当しました。
川上:サウンドディレクターの川上です。ガンヴォルトシリーズには第一作目から携わっていまして、作編曲を中心に、データ制作やマスタリングのようなサウンドエンジニアリングも担当しています。
武田:今回、音声収録管理、編集を担当させていただきました武田葵です。ガンヴォルトシリーズは『爪』から参加しています。
佐藤巧:佐藤巧です。『蒼き雷霆ガンヴォルト鎖環』には音楽、効果音で参加させていただいております。モルフォライブではギターを弾いたりもしています。
吉永:サウンドデザイナーの吉永です。自分は『白き鋼鉄のX(イクス)』から本格的にガンヴォルトシリーズに参加させてもらっています。今作では主に効果音制作や作曲、その他音声作業のお手伝いをやらせていただきました!
酒井:酒井祐輔です。効果、音楽等の素材制作を担当しました。本編制作後のアップデートにおいてはサウンドのメインを担当しています。
佐藤裕:サウンドデザイナーの佐藤裕之です。『白き鋼鉄のX(イクス)』からシリーズに携わっています。
――「弐陸府寺院」の和風っぽさ、「密林地帯」の森に迷い込んだようなちょっと不気味な雰囲気など、ステージごとに個性溢れるサウンドが魅力的な作品ですが、本作のサウンドイメージや方向性といったサウンドコンセプトはどのような感じなのでしょうか?
山田:基本的には従来からのガンヴォルトシリーズのコンセプトである「ハイスピード、ハイテンションなデジロックサウンド」をベースにしつつ、ディレクターのイメージにあった「ディテクティヴもの」というキーワードをもとに、少し大人っぽい要素も意識したアレンジになっています。
また新しく加わった、“ATEMS”、“ルクシア”といった新要素を織り込むにあたり、“ATEMS”に関わる曲はオリエンタルな雰囲気をまとわせたものをイメージしています。
●動画:蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス) 挿入歌『気高き暁光(シャムス)』
――サウンドコンセプトはゲーム制作のどの段階で決まるのでしょうか?
山田:企画書を見て、大まかな方針、イメージをディレクターに聞いて、サウンドデザインをします。楽曲に関しては、その時のサウンドメンバーにできることと予算等を見つつ、クオリティマネジメントをします。クードスソングもディレクターの意見を元に、できることを積み上げた結果になります。
川上:クードスソングについては、シリーズを通して用途と方向性が最初から決まっています。「ゲームをプレイしていてテンションが上がるもの」「ぜんぶシングルカットできるようなもの」といったオーダーですね。それをふまえて、まずはサビのメロディを何パターンかラフで作ってみるところから始めます。
その中から、初回PVのバックで流れた時にしっくりくるようなもの、インパクトを与えられそうなもの、といった観点で1つ選んでもらって、その「最初の1曲」を仕上げていくのですが、そうしているうちに自然と、全体のバランスやバリエーションについてのアイディアが広がっていきます。もっと変化球っぽい曲が必要だぞ、とか、初挑戦だけどこんなことをやってみよう、とか。
――基本的なコンセプトはあるものの、試行錯誤を重ねて方向性などが決まっていってるんですね。
山田:川上にはイケそうな曲を自由に作ってもらって、それを見つつ、無いパターンにバランスをとったり、ディレクター要望のあったものを継ぎ足したりとかして、歌曲群を構成していきます。
実は選択式ステージのBGMはぜんぶ違うキー
――サウンドは各々で制作するのでしょうか? それともチームで相談しあって作っていくのでしょうか?
山田:基本的にはチームワークです。ある程度担当は決めつつ、いろんな作業に就いてもらい、相談をしながらリテイク、クオリティアップを図ります。
ただ、シリーズ3作目ともなると、どういうものを作るべきかの標準目標と、ある程度ノウハウもたまってきています。なので、最初の先鞭だけを付け、あとは自由に任せても良い感じのものが上がってくるので、割と安心しています。
――制作するにあたって、意識している点があればお願いします。
川上:音楽のテンポが全部同じ150なので、曲ごとのカラーをどう出していくのかという事をいつも意識しています。メロディをとる音色は、シチュエーションやキャラクターの特徴に合わせて特に念入りに作りこんでいますね。
――プレイしていて、曲の繋がりがシームレスで心地よいなぁと思っていたんですけど、まさか全てBPM150で統一されていたとは……。
川上:あと細かいところでは、選択式ステージのBGMはぜんぶ違う調性(キー)で作るようにしています。
「ハ短調とイ短調はもう使っちゃったから、これから作る曲はそれ以外でお願い!」みたいな。これに関しては早い者勝ちなので、後のほうに作る曲ほど使える調性の選択肢が少なくなっていくんです。テンポの話もそうですけど、ゲームの縛りプレイみたいだなぁと、いつも思います。
佐藤巧:ゲームに没入させることを第一に、鮮烈な体験、感動をユーザーの皆様に残すサウンド表現を常に考えています。
佐藤裕:曲を制作する時は、コード進行やフレーズ等、毎回何かしら自分にとって新しい事を取り入れるように努めています。自分で作曲する事に対して、飽きてしまわないように。
――ステージのサウンドやクードスソング1曲あたりの製作期間は、どのくらいかかるのでしょうか?
山田:なかなか簡単には言えませんが、インスト曲の場合は、作曲、編曲、収録を経て、最後にミックス、ゲーム用のマスタリングといった工程があり、数日~ケースバイケースといったところです。
歌の場合、さらに作詞、歌唱録音などが増えるため、工程が増えた分、スケジュールも長くなります。今作は途中で別作品に移動したこともあって、着手から完成に至るまで、1年半以上もかかった歌もありますね。
――完成したものの、ボツになってしまったサウンドなどあるのでしょうか?
山田:個人の中でも、提出後にリテイクになったものでも、ボツは山ほど発生します。むしろ修正なく音が完成することはほぼ無いと思います。
――サウンドの最終的な決定判断はどなたが行うのでしょうか?
山田:迷った時の最終的な判断は自分がしていますが、判断するにあたって、企画や内容の確認を元に担当者と修正理由を考察し、各自に修正案を出してもらうようにしています。
歌やBGMだけではなく、効果音や環境音にも注目
――思い入れがある、または好きなサウンド・クードスソングがあればお教えください。私は、ステージサウンドではロストコンビナート、クードスソングは「幻想巡夜(エルゴスム)」と「夢路の暇」が好きで、流れるとテンションが上がります。
川上:「幻想巡夜(エルゴスム)」は、自分でも気に入っている曲のひとつなので嬉しいです。
ほかに思い入れが強いのは、ラストの太陽宮ステージの曲ですね。「ドッド ダドド ドッド ダドド」という3連符のリズムをステージ曲に使ったのは、シリーズを通して今回が初めてなんです。その意味で、とてもワクワクしながら作ることができました。
●動画:蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス) 挿入歌『幻想巡夜(エルゴスム)』
佐藤巧:オープニングできりんがバイクを運転するシーンなど、動きのあるデモシーンは2Dでも臨場感を味わえるサウンド制作を意識していますね。
佐藤裕:ルクシアのクードス曲「炎昼さる瞳」は、自分の人生で初めて作った歌物なので思い入れがあります。自分の曲に歌を入れて頂く、自分の曲をアレンジして頂くという、複数人で一つのものを仕上げていく楽しさに気づけました。
●動画:蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス) 挿入歌『炎昼さる瞳』
――このサウンドのここに注目してほしい! ここを聞いてほしい! といった、こだわりの部分を教えていただけますか?
川上:音楽まわりでは、意味のあるメロディ作り、ということを大事にしています。あるキャラとのバトル曲を作る時には、そのキャラのテーマ曲のメロディを必ず引用する、とかですね。そのあたりに気付いて頂けたらとても嬉しいです。
武田:今回はシリーズの中でダントツに音声の数が多く、ライブノベルやトークルームでのキャラの会話が盛りだくさんです。世界観に浸れるのでぜひ音声を再生しながらプレイしていただけると嬉しいです。
また、本編では英語音声も対応しているので、日本語とは一味違った英語でのガンヴォルトも楽しんでみてください。
●動画:Azure Striker GUNVOLT 3 - English Voice Trailer
吉永:ゲームは音楽、効果音、音声、環境音など、色々な要素が折り重なって表現がされています。ゲーム中にどういった効果音や環境音が流れているのか、是非とも! 意識して聞いてみていただきたいです!
――スピーカーで最初プレイしていて、途中イヤホンでプレイをしたら思っていた以上に色々な音が鳴ってる! と驚きました。没入感がグッと高まったので後半はずっとイヤホンでプレイしました。
酒井:ホーネットという、大型飛行メカの効果音制作が印象に残っています。
鳴き声に聞こえる機械音や、画面外の動きに想像で音を付けたりと、他にも機械好きとして色々とこだわりを持って作ったので、効果音にも是非注目していただきたいです。
――使うのが好きだ! という楽器や音がありましたら教えてください。
川上:モルフォのライブでもよく使っている、キラキラした鋭いシンセリードの音色がありまして。電気や光のような雰囲気があってGVのイメージにぴったりなので、1作目の時から多用しています。
あと、今作では“ZEDΩ.(ジエド)”関連の曲でシタール等の民族楽器の音色をたくさん入れているのですが、使っているうちにすっかり虜になってしまいました。デジタルな楽曲の中に民族楽器の音色を混ぜるのはとても楽しいですね。
吉永:アタックのはっきりしたベース音が好きなので、そういうものが適したオーダーが来た場合にはどうしてもこだわってしまう節があります。今作で言うと、シロンのステージ曲などで使われているベース音色などが該当の音になるのかなと思います!
――今後、こういう曲を作ってみたい! というのがあればお聞かせください。
川上:情景を的確に表現しつつ、音楽単体としても面白く記憶に残るもの、それを一層突き詰められればと思います。まぁ、何も考えず、思う存分に泣きメロを盛り込みたいという気持ちもありはしますが(笑)。
佐藤裕:BPMが150という条件の中で、出来る限り最大限に難しい変拍子の曲が作りたいです。
吉永:今作も大人っぽい音楽はありましたが、更にジャジーなものやハードボイルドなものなど大人びたイメージへの憧れがあるので、いつかそういうものを作れたらなぁ……とは思いますね!
佐藤巧:世界のトレンドになる音楽です。
――最後に読者にメッセージをお願いします!
山田:ガンヴォルトシリーズはインティサウンドのフラグシップ的な作品でもあります。サウンドトラックCDやドラマCD、モルフォのBlu-rayなど、たくさんリリースしているので、是非、聴いてほしいと思います。
2023年の1月8日には、モルフォ、ルクシアが出演するライブも予定されています。よろしければ、足を運んでいただけるとありがたいです。我々も演奏家として参加します。ライブ会場にてお待ちしております。
MORPHO SUPER LIVE 2023: LUXAIR RISING
公演タイトル:
MORPHO SUPER LIVE 2023: LUXAIR RISING
公演日時:
2023/01/08 (日) 18:00 -
出演:
モルフォ (櫻川めぐ)
皇神電子交響楽団
B. 山田一法
Key. 川上領
Gt. 青木"Godspeed"征洋
Key. 武田葵
Gt. 佐藤巧
DJ s-don
きりん(篠原侑)
ロメオ(牧野秀紀)
スペシャルゲスト:
ルクシア(佐々木李子)
Coremocha
Vl. 徳島由莉
DJ 安岡翼
会場:
神田明神ホール
東京都千代田区外神田2丁目16−2 神田明神文化交流館2F
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