『ぼっち・ざ・ろっく!(ぼざろ)』は最高のバンドアニメだ! 陰キャすぎる主人公・後藤ひとりと“結束バンド”の活躍に釘付け

小林白菜
公開日時

 話題作目白押しの2022年秋アニメ。その中でも放送前の期待を上回るおもしろさで急激にファン層を拡大している作品の筆頭といえば、『ぼっち・ざ・ろっく!(ぼざろ)』です!

 この記事では、本作がなぜここまでの人気を獲得しているのか、その魅力をひとつひとつ紐解いていこうと思います。

『ぼっち・ざ・ろっく!』はこんな作品

 原作は芳文社『まんがタイムきららMAX』にて連載中の、はまじあきによる4コマ漫画。

 他人とうまく喋れない、極度の人見知りで陰キャの後藤ひとりは中学生時代、「バンドを組めば自分も輝けるかも」とギターの練習を始めます。しかし自分から人に話しかけることすらできないため、誰ともバンドを組むことができずに高校1年生になってしまうのでした。

 高校に入ってからも相変わらずで、ひきこもり一歩手前になっていたひとりですが、ある日、ギターを担いだまま意気消沈していたところをバンドのヘルプに誘われたのを切っ掛けに、ひとりぼっちだった日常が変わっていくことに。

 ひとりと、ひとりを誘った伊地知虹夏に、山田リョウ、のちに加入することになる喜多郁代の4人は、バンド“結束バンド”として、苦楽を共にしたり、共にしなかったりするのでした。

 中学の3年間、自分の部屋でギターを練習し続け、演奏動画をネットに投稿し続けてきたひとりの演奏はかなりの腕前。けれど、誰かと一緒に演奏したことなどなく、観客がいる状況も未経験で緊張しまくってしまうひとりは、自室で演奏しているときの実力をバンドでは発揮できません。

 けれども、バンドメンバーたちに支えられたり、それに応えてひとり自身もちょっと頑張ったりしながら、ひとりと結束バンドは、少しずつ変わったり、変わらなかったりしていくのです。

きららアニメの主人公らしからぬ、ぼっち(後藤ひとり)の個性がたまらない!

 なんといっても『ぼっち・ざ・ろっく!』というアニメのアイデンティティは主人公の“ぼっち”こと後藤ひとりのキャラクターにあります(どんなふうにひとりが“ぼっち”というあだ名を付けられるのかは、第1話を見て確かめてください!)。

 極度の人見知り、けれど人によく見られたい、見栄を張りたい欲求が強いぼっち。“ギターを弾いている、ひと味違う女の子”に見られたくてギターを背負って登校してみるも、普段から誰とも会話をしないので、その日も誰とも会話をしないまま下校することに。こういったエピソードが至るところで登場します。

 それでいて“かっこよく見られようとして失敗するのはイタい”という意識は人一倍強いので、こうした失敗をするたびに心の中でもんどり打つぼっち。視聴者の中にも、共感したり、古傷をえぐられる人は多いかもしれません。

 そしてときには錯乱状態に陥ったぼっちが、それを行動に出してしまうことも……。私たち視聴者は、ぼっちのままならなさに苦悩する心の声を聞いているからその気持ちに寄り添えますが、彼女の周りの人たちにとっては“急に変な行動を取り出す、ちょっと(いや、かなり)ヤバい女の子”に見えているはず。

 そんな彼女を受け入れてくれる結束バンドのメンバーたちに出会えたことが、ぼっちにとってとても幸運だったというのは、間違いないでしょう。

 かなり癖が強い子であるのは間違いないぼっちですが、青山吉能さんの絶妙な演技によって、時折かわいらしく感じられ、これから先の変化を温かく見守っていきたいと思えるのも、本作の心地よさの大きな部分を担っているような気がします。

“結束バンド”はぼっち以外も個性派メンバーぞろい!

 ぼっち以外のメンバーたちも、かなりの個性派ぞろいな結束バンド。

 ドラム担当の虹香は元気で明るいバンドのまとめ役。ぼっちの極度の陰キャぶりに驚かされたりしながらも、なんだかんだで助けたり、頼りにしてくれている優しさが、視聴者の心にも染みます……。

 ベース担当の山田リョウは、クールでちょっと浮世離れした女の子。変人扱いされると喜びます。友だちが虹香しかいませんが気にしていない様子で、友だちがほしいけど作れずにいるぼっちとはまたぜんぜん違うタイプです。

 ベースの腕前もかなりのもの。たまにぼっちにとって金言と言える素敵なアドバイスをしてくれるものの、頼れる相手と言えるかといえばまた別の話だったり……。ちなみに虹香とリョウは高校二年生で、ぼっちたちのひとつ上の先輩にあたります。

 最後にギターボーカルの喜多郁代(通称キタちゃん)は人と関わるのが大好きで、映える写真のSNSへの投稿が趣味の陽キャという、ぼっちとはいろいろな面で正反対のタイプ。リョウのことが好き。ギターの腕前はからっきしで、ぼっちが演奏を教えることになります。

 バラバラな個性を持った4人ですが、それぞれの違いを否定したりせず、サポートし合ったり、それをおもしろがり合ったりしながら活動していくところに彼女たちの掛け合いの魅力があります。

 みんな違うからおもしろいし、楽しい。『ぼっち・ざ・ろっく!』を観ていると素直にそう思えます。

次々に登場する斬新な演出に釘付け! そして決めるときは決めるからグッとくる

 そんな4人とその物語の魅力をいっそう大きなものにしているのが、毎回あっと驚かせてくれる映像演出の数々。

 ぼっちの対人コミュニケーションでの苦悩にともなう百面相は、「そんな顔をさせていいんだ!?」というくらいバリエーション豊か。顔だけに留まらず、ときにはぼっちが人間の形を保てなくなることすらあります。

 現実逃避グセがあるぼっちは会話の途中でさえ自分の世界に入ってしまったりするのですが、このときの表現もすごい……!

 ドット絵によるアニメーションが使われたり、実写映像が紛れ込んだり……先日などは粘土で作られたぼっち人形を使った立体ゾートロープ(ゾートロープ:装置を回転させることで絵や物体をアニメーションさせる、アニメーション黎明期に考案された装置)でぼっちの逃避感を表現していて、驚かされました。

 大袈裟にも感じられるこれらの表現ですが、ぼっちのコミュニケーションへの苦手意識がいかに大きなものであるかを多くの視聴者に納得させる上で、物語上でもしっかりと効果を発揮しています。それでいて、作り手の皆さんがいかにぼっちたちを表現しようと、楽しみながら試行錯誤しているかが伝わってくるんですよね。

 そしてこうした奇抜な表現が浮かないのは、通常時のアニメーションのクオリティが非常に高く、彼女たちに確かな実在性を感じられるからに他ならないと思います。

 七転八倒したぼっちたちが、それでも仲間のために一歩踏み出してみる勇気を見せてくれたときの嬉しさ、そうした感情を確かな手応えへと変えてくれる、臨場感溢れるライブシーンがもたらす興奮は、ここまでに書いてきた『ぼっち・ざ・ろっく!』の魅力のうち、どれが欠けてもこれほど大きなものにはならなかったことでしょう。

 ここまで記事を読んで、このライブシーンの映像に感じ入るものがあった方は、ぜひアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』を視聴してみてください。

アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』

【放送情報】
TOKYO MX……10/8(土)24:00~
BS11……10/8(土)24:00~
群馬テレビ……10/8(土)24:00~
とちぎテレビ……10/8(土)24:00~
MBS……10/8(土)27:08~
RKB毎日放送……10/13(木)27:00~
MRT宮崎放送……10/8(土)25:28~
AT-X……10/10(月)22:30~

【配信情報】
ABEMA……10/8(土)毎週土曜日24:00~
Netflix……10/11(火)毎週火曜日12:00~
dアニメストア……10/11(火)毎週火曜日12:00~
dアニメストア for Prime Video……10/11(火)毎週火曜日12:00~
dアニメストア ニコニコ支店……10/11(火)毎週火曜日12:00~
U-NEXT……10/11(火)毎週火曜日12:00~
アニメ放題……10/11(火)毎週火曜日12:00~
Amazon Prime Video……10/11(火)毎週火曜日12:00~
バンダイチャンネル……10/11(火)毎週火曜日12:00~
Hulu……10/11(火)毎週火曜日12:00~
ひかりTV……10/11(火)毎週火曜日12:00~
FOD……10/11(火)毎週火曜日12:00~
GYAO!……10/11(火)毎週火曜日12:00~
ニコニコチャンネル……10/11(火)毎週火曜日12:00~
ニコニコ生放送……10/11(火)毎週火曜日22:30?
WOWOWオンデマンド……10/11(火)毎週火曜日12:00~
TELASA……10/11(火)毎週火曜日24:00~
JCOM:オンデマンド……10/11(火)毎週火曜日24:00~
みるプラス-見放題パック……10/11(火)毎週火曜日24:00~
auスマートパスプレミアム……10/11(火)毎週火曜日24:00~
Video Market……10/11(火)毎週火曜日12:00~
music.jp……10/11(火)毎週火曜日12:00~
GYAO!ストア……10/11(火)毎週火曜日12:00~

【出演声優】(※敬称略)
後藤ひとり:青山吉能
伊地知虹夏:鈴代紗弓
山田リョウ:水野朔
喜多郁代:長谷川育美

【スタッフ】(※敬称略)
原作:はまじあき(芳文社「まんがタイムきららMAX」連載中)
監督:斎藤圭一郎
シリーズ構成・脚本:吉田恵里香
キャラクターデザイン・総作画監督:けろりら
副監督:山本ゆうすけ
ライブディレクター:川上雄介
ライブアニメーター:伊藤優希
プロップデザイン:永木歩実
2Dワークス:梅木葵
色彩設計:横田明日香
美術監督:守安靖尚
美術設定:taracod
撮影監督:金森つばさ
CGディレクター:宮地克明
ライブCGディレクター:内田博明
編集:平木大輔
音楽:菊谷知樹
音響監督:藤田亜紀子
音響効果:八十正太
制作:CloverWorks

漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』はこちら

(C)はまじあき/芳文社・アニプレックス

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