『機動戦士ガンダム 水星の魔女』8話感想&考察。シャディクを支える5人の少女が登場! そして示されるガンダムの新たな可能性

てけおん
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 11月27日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第8話“彼らの採択”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第8話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

ガンダムの新たな可能性が示された回

 8話では、7話でミオリネがブチ上げた株式会社ガンダムで何をするのか……が語られました。『ガンダム』シリーズで、ガンダムに使われている技術を戦争ではなく医療に向けて活用していく……。このシリーズの目指すところが描かれた回なのかもしれませんね。

 株式会社ガンダムのPVが公開されて、いろいろな意味で話題になっていますね。エアリアルの切り抜きが甘いとか編集が荒いとかはさておいて、GUND技術の結晶であるマシンをスレッタと同サイズに見えるようにして隣に立たせているのって、ミオリネたちが目指しているところをなんとなく表している映像なんだなと思いました。

株式会社ガンダム プロモーションビデオ

 加えて、はからずも8話でプロスペラが言った「皆に教えてあげて。ガンダムは皆のそばにいていいものだって」という言葉を表しているようにも見える気がします。PVはスレッタが編集していたようなので、プロスペラの言葉を字面通りに受け取って、その結果ああいう映像になったのかなとも思います。

 さて、上記以外にも8話はまたいろいろなことを考えさせるエピソードとなっていました。細かく見ていきたいと思います。

 プロスペラとスレッタ&ミオリネの会話でプロスペラは、GUND技術は基礎部分すらわかっていないこと、そして量産は現時点では不可能なことを伝えます。プロローグではガンダム・ルブリスの量産試作モデルが出ており、買い手まで付いているようでしたが……あの時点ではあくまで“試作”と付いていましたし、レイヤー33をクリアできていない=GUNDフォーマットの健全性を確立できていない状態でした。あれでは量産とまでは言えないレベルなのでしょうか?

 「皆に教えてあげて。ガンダムは皆のそばにいていいものだって」という言葉はこの会話で出たものですが、プロスペラが言うとなんだか含みがあるように聞こえてしまいますね。直前に出た「基礎部分すらわかっていない」という言葉も踏まえると……。ミオリネでなくでも疑いたくなってしまいます。

この世界ではかつて戦争があった

 かつて戦争があった。これは8話でわかった大きなことのひとつです。ヌーノが戦争孤児であるということから、ここ10数年の間にあった話だと思われます。

 アリヤの「地球がまた戦場になる」という言葉から、起こった場所はわかりますが、なぜ起こったのか、どれくらいの規模のものだったのか? 誰と誰が戦ったのか ?など、わからないことばかりではありますが……今後語られていくのでしょうか?

なぜ“GUND技術の理想”は限られた層にしか伝わっていないのか?

 GUNDフォーマットを搭載したMSの禁忌化はともかくとして、医療方面での技術として残っていてもおかしくはないと思うのですが、なにやら医療技術としてもGUNDフォーマットは残されていないような雰囲気です。

 兵器としての研究を禁止にするならともかくとして、多くの利益と多くの人に幸せをもたらしそうな技術だと思いますがなぜ医療技術も? という引っ掛かりを覚えました。

 その引っ掛かりがあったせいか、2本の映像がとても気になりました。

 まず1つめは、プロローグ時にデリングが行った演説の映像。これはミオリネがベッドで見ていたものですが、放送されたものをアーカイブ化したものなどではなく、誰か一般人が撮影したものがアップロードされたものだと思われます。なかなかセンセーショナルな話題のように思えますので、正規の映像が残されていそうなものですが、なぜ残っていないのでしょう?

 2つめはカルド・ナボがスペーシアンにあてたメッセージ映像。あの映像を見た地球寮の面々のリアクションから察するに、GUNDフォーマットの発端が医療技術であったことは一般には伝わっていないのでしょう。ミオリネがシャディクに「アンタ知ってた? “GUND技術の理想”ってヤツ」と声をかけたシーンでのやり取りから、“GUND技術の理想”を知っている人はごく一部の人間だけなんだと読み取ることができます。

 これらの映像やGUND技術に関する知識が隠されていることから、モビルスーツ開発評議会がGUND技術を徹底的に闇に葬り去りたかったのは、ガンダムのことだけが理由ではないのでは? と感じました。なぜここまで徹底してGUNDを封印したかったのでしょう? そう考えた時に気になったのが、カルド・ナボのメッセージ映像です。

 この映像によると、GUND技術によって人間は身体の脆弱性を克服し、無重力や真空、宇宙放射線といったものが克服されるとあります。しかし本作の世界では、公式サイトにもあるように、「宇宙産業の発展から両者間の経済格差が広がったことで、スペーシアンとアーシアンの間に分断・衝突が生じている。」という世界です。そのことは、カルド・ナボのメッセージ映像でも触れられています。

 以下については筆者の推察の域を出ませんが、ひょっとするとガンダムよりも“GUND技術の理想”のほう――スペーシアンとアーシアンの分断を埋めかねない技術であること――こそが一部の人間にとっては脅威だったのではないでしょうか? そんな立場からすると、データストームによる身体への悪影響や、オックス・アースによる買収から始まったGUND技術の軍事転用はいい口実になったことだと思います。

7話に続き描かれるシャディクのこと

 7話に続いて、8話でもシャディクのことが掘り下げられていました。彼は父親との会話の後、ガンダムを忌避する父親のことを「せますぎる……視野も思想も」と言います。

 そんな彼は、ミオリネに対して「俺はキミとなら、父さんたちよりもいい未来を描けると思っているよ」と言います。

 またガンダムについては「硬直した軍需産業を盛り返すゲームチェンジャーだ」「ガンダムはグループにも俺にもいずれ必要となる存在だ」と話しています。シャディクの言う“いい未来”がどんなものかはわかりませんが、ガンダムやGUND技術を含めた未来を見ていそうです。

 どこかで下卑た笑いのひとつでも見せてくれたのなら「こいつ悪役だ!」ってわかりやすいんですけど、そういう描き方はなかなかしてくれませんね。

 8話の最後では、株式会社ガンダムの立ち上げに「待った!」をかけたシャディク。彼の元には5人の少女、そして養父・サリウスから授けられたミカエリスと5機のベギルペンデ、さらに対ガンダム兵器まで……。

 第9話ではスレッタVSシャディクという流れになりそうな気がしますが、チーム戦になるのでしょうか? その場合はおもしろいことになりそうな予感が……。そして“あと一歩、キミに踏み出せたなら”というサブタイトルはどういう意味なのか、次回が待ち遠しいですね!

その他気になったこと

●プロスペラの元から去る船の中、ミオリネが言った「どうしてエアリアルに乗ってもスレッタは平気なのか?」は筆者を含め多くの視聴者が気になるところでしょう。そのあたりについてはいずれ明かされると思うので、楽しみにしたいと思います。

●株式会社ガンダムのPVを見たプロスペラは笑い、ベルメリアは微笑みを浮かべていました。プロスペラの笑いについてはどうしてもいい意味には取れない……のですが、まだ真意はわかりません。ベルメリアの微笑みはきっとGUND技術を医療技術としてアピールしていることを好ましく捉えたものなのだと思います。きっと株式会社ガンダムにもいろいろと協力してくれるのではないでしょうか。

●久々にグエルが登場! あいかわらずキャンプ暮らしのようですが、グエルのもとを訪れたシャディクと会話するシーンがありました。どうやらシャディクはグエルとの決闘を避けていたようですが、そのことについて「避けてたのはお前になら任せられると思ったからだよ」とつぶやきます。これってつまり、ホルダーであること=ミオリネと結婚する相手として認めていたとも取れますが……? 

●6話で撃墜されたファラクトですが、修復された姿が映っていましたね! 株式会社ガンダムの受け入れ体制が整い次第ファラクトとペールの開発チームは譲渡されるとのこと。いずれは誰かが操縦することになると思うんですが……はたして誰なんでしょうか?

●カルド・ナボのメッセージ映像が流れた時、2人だけ気になるリアクションをしたキャラクターがいました。1人は言うまでもなくスレッタ。カルドの姿を見たスレッタは「この人、誰ですか?」と問います。ということは……。

 そしてもう1人はオジェロ。メッセージ映像に背を向けてまったく見ようとしなかった彼ですが、ヌーノが「GUND医療……」と口にした時に、ピクリと反応するカットが挿入されていました。このリアクション、彼は“GUNDの理想”を知っているからだと見ることもできるんですよね。となると、ヌーノがオジェロに向けて言った「なんだかんだお坊ちゃんだわ、お前」というセリフも気になってくるところです。考えすぎかもしれませんが。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇/富野由悠季
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
キャラクターデザイン:田頭真理恵/戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
コンセプトアート:林 絢雯
テクニカルディレクター:宮原洋平
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
撮影監督:小寺翔太
編集:重村建吾
音響監督:明田川仁
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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