本日発売『サムライメイデン』レビュー。侍JK×美少女忍者たちが尊くも爽快に戦国乱世を駆ける!【冬のレビュー祭】
- 文
- 原常樹
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ディースリー・パブリッシャーから『SAMURAI MAIDEN -サムライメイデン-』がいよいよ本日12月1日(PC版は12月8日)に発売されました!
同作は、戦国時代の本能寺に“調律の巫女”として召喚された女子高生・玉織 紬(たまおり つむぎ)が、“護影”を務める忍者たちとともに、本能寺地下にある冥界を突き進むという破天荒な設定でも注目を集めているガールズ侍アクションゲームです。
この記事では、そんな本作のレビューをお届けします!
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“護影”の忍びたちは設定の大洪水!
物語は主人公でもある紬(声:夜道 雪)が戦国時代(1582年)にタイムスリップしてきたところからスタートします。焼け落ちる本能寺で彼女が出会ったのは、まさにこの日に明智光秀の謀反によって命を落とすはずだった戦国武将・織田信長(声:黒田崇矢)。また、そこには“調律の巫女の末裔が未来からやってくる”という宣託を受けた3人の忍者たちも集っていました。
とにもかくにも、まずは本能寺にあふれる亡者の成れの果て・戯骸(ぎがい)を駆逐しながら、燃え盛る本堂から脱出することになります。第1話はチュートリアルも兼ねたマップということで、敵の強さも大したことはありません。迫りくる敵の大軍を簡単操作で斬り払っていくという本作の醍醐味をさっそく手軽に味わうことができます。
ただのJKにしては明らかに強すぎる紬ですが、実は幼い頃から道場で一子相伝の剣術を叩き込まれた猛者。そもそもこの剣術自体が“調律の巫女”の舞踊に由来するものだったということがのちのち判明します。本人はダイエット目的で習っていた程度の感覚だったようですが、なんという素質でしょうか……。
紬に同行する“護影”の忍びたちも個性豊かな3人が揃っています。
まず、織田信長に仕える依夜(いよ/声:伊藤美来)。物語の舞台となる戦国時代の人間で、信長に対して強い畏敬の念を抱いています。普段は屈託なく笑う純真な少女という印象ですが、ドジをするたびに爆散したがるほどに自己評価が低いのが欠点。当初は主従関係を意識して距離を置いていましたが、物語が進むと紬を「お姉さま」と慕うようになります。
刃鋼(はがね/声:上坂すみれ)は面倒見のいいお姉さん。しかしその正体は“並行世界”からやってきた忍者で、一部がからくりになっているという(色々な意味で)とんでもないボディの持ち主。彼女の世界では、身体をからくりにするのが当たり前なようです。
そして、刃鋼とは別の“並行世界”からやってきたのが狐美魅(こみみ/声:富田美憂)。自ら天才陰陽師を名乗るように尊大な態度が目立ちますが、実際には細かいところにも気を回せるやさしい女の子です。モフモフの尻尾とツンツンした耳がチャームポイント。
タイムスリップしてきたJKに、並行世界からやってきた忍者たち……とあまりの情報量に「設定の洪水じゃん!」とツッコミたくなりますが、この和洋SFが入り混じったカオスな感じこそが本作の魅力。戦国時代に敵の骸骨を叩き斬ったあとにスマホで仲良く自撮りをする……そんな感覚もしばらくしていくうちに慣れてやみつきになってきます。
ストーリー全体を見ても、本能寺に現れた地下空間・冥界にいる“魔王”をどうにかしないと世界が危機的な状況になるということが明示されているので、展開が迷子になることもありません。非常にわかりやすい印象です。
ちなみにスマホの充電をどうしているのか気になるという方も多そうですが、こちらは刃鋼が(胸で)担当していることが作中で明らかになります。からくりって便利ですね……。
敵との戦闘を重ねて親愛度を高めることによって、“護影”の少女たちそれぞれと思い出のアルバム写真が撮れるようになります。いわゆる個別のキャラクターストーリーといったイメージですが、乙女同士のこの華やかな関係性こそが『サムライメイデン』の特筆すべきポイントだと感じました。もちろん、フルボイスというのもうれしいポイント!
地下冥界では次元の落とし穴ともいえる“泡沫空間(ほうまつくうかん)”に迷い込み、護影とふたりきりになってしまうという展開もありますが、このふたりきりの状況をむしろ楽しもうとする紬たちが印象的です。誰も割って入ることのない乙女たちのイチャイチャ展開というのがまた素晴らしい。
なお、“泡沫空間”は自力でしか脱出できない空間ということですが、メインストーリーとは分離しているのでステージをクリアできなくてもゲームの進行にはなんら支障がありません。ただ、胸の高まるような乙女たちの関係性を味わうためにはしっかり攻略していきたいところ。
イチャイチャすればするほど強くなる!?
『サムライメイデン』の魅力を語る上で外せないのが爽快感たっぷりなアクション。プレイヤーは基本的には紬を操作し、各ステージの最奥をめざすことになります。
紬の攻撃手段は刀によるもので、小攻撃と大攻撃、それにスティックの方向を組み合わせることで多彩なアクションを繰り出すことが可能。前述の“アルバム写真”を撮影することによってさまざまなアクションが追加で解放されていくので、護影の女の子たちとイチャイチャすればするほど強く、扱いやすくなっていくのが特徴です。
追加されるアクションの有無によって戦い方も大きく変わっていきますし、初期の段階では受け身を取るような動作すらも解放されていないという印象。「とにかくイチャイチャを優先すべし!」という熱いメッセージを感じるほどです。
ちなみに紬は敵から攻撃を食らうごとに、服や肌がドンドン傷ついていきます。無理に痛手を負う必要はまったくありませんが、その身ひとつで苦境を切り抜けた女の子の美しさたるや……。勝利の自撮りの際にもなんとも映えるものがあります。
バトルで活躍するのは紬だけではありません。紬が攻撃をヒットさせるたびに護影の少女たちの忍術ゲージがたまっていき、これを消費することで護影の少女たちは固有の忍術アクションを放つことができます。もちろん、紬が攻撃している最中でも護影の少女は個別に動くので、大ぶりな紬の攻撃のスキを消したり、吹き飛ばした敵に追撃をしたり、さまざまな戦術が組めるはず。
忍術を使う際には護影の3人を切り替えて操作する必要がありますが、特定の忍術(初期から覚えている忍術など)はわざわざ切り替えなくてもショートカット操作で撃つことができます。直感的な操作……なんならボタンをガチャガチャ押すだけでも、それっぽい連携になるのはうれしいところ。
護影の少女は敵に攻撃されてもダメージを受けることはありませんが、やられ判定がないわけではありません。忍術を発動する前に攻撃を食らうとキャンセルされてしまうので留意しておきましょう。また、護影を切り替えるとやはり忍術がキャンセルされてしまうので、こちらも注意が必要です。
依夜は複数種の忍び道具を地面に設置しながら戦う忍者。とくに“回復壺”は本作では貴重な回復手段なので、強敵との戦いでは頼りになります。敵を炎上させる忍術を得意とし、初期から使える「燕花火」は炎をまとったクナイを前方に投擲します。攻撃範囲こそ限定的ですが、短いモーションでまとまったダメージを与えられるので強敵相手のダメージソースとして便利。
刃鋼はからくり仕掛けの右腕を使って戦う忍者。敵を感電させる忍術を得意とし、初期から使える「雷拳射出」は右腕をワイヤーのように伸ばしてから高圧の電流を流します。直線範囲に長時間ダメージを与える忍技なので動きの素早い相手には当てづらい部分もあるものの、集団の足止めなどにはもってこい。攻撃時間が長いので敵の攻撃でキャンセルされないような位置取りが大切です。
狐美魅は、陰陽術を使うことができる忍者。ステージにあるモノの重量を変化させ、敵に投げつけることができるのが強み。依夜が設置した爆弾なども例外ではなく、ふたりを組み合わせることで大きな戦果を挙げられます。
敵を氷結させる忍技が得意で、初期から使える「氷突襲撃」は一定範囲にダメージを与えつつ凍らせる技。モーションが素早い上に攻撃範囲も広いのであらゆる局面で使いやすい忍技といえます。
ステージには、固有の忍術を使わなければ進めないような場面も。とくに刃鋼の忍術は地形を移動したり、手の届かない高台にあるアイテムを引き寄せたりと何かと便利です。
華やかな『サムライメイデン』ですが、ゲームの骨格でもあるアクション要素は歯ごたえ十分。各ステージの難易度は“普”、“難”、“魔”の三段階に分かれていますが、初期で選べる“普”でも初見では手ごわいイメージです。和風の華やかな世界観にそぐわないような険しい道のりも多く、少ない足場を飛び跳ねながら進むようなステージもあります。
幸い、本作では足を踏み外してステージ外に落下しても、少量の体力を失うだけでやり直せるのでアクションが苦手な人でも詰まることは少ないはず。
道中で敵を倒すことで手に入る因貨を使って“装備強化”をおこなえばだいぶカバーできるので、しっかりとゲットしておきましょう。なお、護影の初期武器を3段階まで強化することで因貨の入手量をブーストすることができます。難易度が大きく変わってくるのでなるべく早めの強化がオススメ。
道中にはやり込み要素として“記憶の欠片”が隠されています。これを解放することでラフ画など、本作に関わる設定資料が閲覧できるようになるので、コアユーザーであればこれをコンプリートするという楽しみも。
ボス級のキャラクターも個性豊かすぎる!
一部のステージには、門番……つまりはボス級のキャラクターが待ち構えています。
織田信長と並ぶ戦国武将・上杉謙信(声:上間江望)も冥界で紬の行く手を遮ります。素早い動きが特徴で、空中に飛び上がってから瞬時に距離を詰めてくる高速突進にはコテンパンにのされました。
彼女に限ったことではありませんが、敵のキャラクターを観察して予備動作を把握すると攻撃すべきタイミングがわかるのが本作の特徴なので、諦めずに何度かリトライすることで筆者はクリア。上杉謙信の場合は、大技を繰り出すときにご丁寧にも一瞬キラリと輝いてくれるのでいい目印になってくれました。
キャラクターとしても魅力的な上杉謙信。こんなに麗しいビジュアルなのに、こちらの話をなかなか聞いてくれないオチャメな方です……。刃鋼とは人間的にソリが合わないようで何度も衝突を繰り返します。
越後の龍たる上杉謙信がいるのであれば、甲斐の虎として知られる武田信玄(声:斉藤朱夏)も登場。冥界での信玄はなんともちまっこくてかわいらしいビジュアルになっており、狐美魅にもお子様扱いされる始末。しかし、ひたすら力比べを要求してきたり、負けても引き下がらなかったりとその闘志は本物です。
実際の戦闘でも巨大な軍配を振り回しながら、見た目からは想像もつかないような威力の攻撃を繰り出してきます。あまりに重いのか、特定の攻撃後は軍配が地面にめり込んでしまうのもチャーミング。ここでかわいさに見惚れずにカウンターを決めていくことが大事です。
頼りになる護影たちとの道中はなんとも楽しげな感じですが、“魔王”は一筋縄でいくような相手ではありません。
死闘の末に、紬たちも命を懸けた禁断の術に手を出すことになります。それが“口憑けの術”。お互いの手や唇などを重ねることによって、護影が持つ生命エネルギーを紬に分け与えてパワーアップさせるというあらゆる意味で一線を越えた技ですね……。
短時間ではありますが、ゲージを消費することで紬のあらゆるアクションがパワーアップするので、強敵との戦いにはもってこい。
和風の美しい世界観に加えて、骨太なアクション要素。そして、何よりも女の子たちの賑やかで華やかなやりとりや関係性がこれでもかというほど味わえる『サムライメイデン』。
まさに新時代のガールズ剣戟アクションというにふさわしい内容に仕上がっています。可憐な乙女たちのイチャイチャを楽しみつつ、そのテンションのまま冥界を走り抜ける……そんな爽快感を味わってみてください。
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