『グウェント ウィッチャーカードゲーム』のiOS版が配信目前。運よりスキルが重視される硬派さが魅力

梅津爆発
公開日時
最終更新

 CD PROJEKT REDは、10月29日にiOS版『グウェント ウィッチャーカードゲーム』を配信予定です。

 『グウェント ウィッチャーカードゲーム』とは、世界的に大ヒットしたオープンワールドRPG『ウィッチャー3 ワイルドハント』内でプレイできたカードゲームを、対人戦可能なように調整し、さらにさまざまな新要素を盛り込んだデジタルカードゲーム。

 PC版やPS4版、Xbox One版は、約1年半のパブリックベータ期間を経て昨年2018年10月(PS4版、Xbox One版は12月)から正式版が配信されていて、現在までに3種類の拡張セットが実装されています。

 今回はiOS版を正式配信前にプレイさせていただけたので、そのレビューをお届けします。なおこれらのスクリーンショットは開発中のもの。また、Android版は鋭意制作中のようです。

  • ▲ローディング画面ではハイクオリティのイラストと共にTipsが表示されます。

新規のチュートリアルで、ゲームの基本がすぐに身につく

 『グウェント』を開始すると、多くのゲームと同様にチュートリアルが始まります。PC版などではゲラルトやダンディリオンの登場する物語に沿ったチュートリアルでしたが、アプリ版ではゲーム内容と操作方法を学ぶことに重きを置いた内容に変化しました。


  • ▲『グウェント』のルールは独特なので、カードゲームに慣れている人でも一度はチュートリアルを見ておくことをオススメします。

 物語がなくなったのは少々残念ですが、そのぶんチュートリアルの時間がグッと短くなりましたし、スキップすることも可能です。早くゲームを始めたい人でもストレスなく遊ぶことができるでしょう。

戦力値の合計で勝敗を決する個性的なルールを解説

 チュートリアルの画像を用いて、『グウェント』の基本ルールを簡単に説明します。デジタルカードゲームと言えば、コストを支払ってユニットを召喚し、敵ユニットや敵リーダーに攻撃するようなルールが主流ですが、『グウェント』のルールはそれらとは大きく異なります。

勝利条件は“戦力値の合計”が相手より上回ること

 『グウェント』には召喚コストのような数値がないため、手札にあるカードは最初からすべて使用可能です。そしてカードを戦場に出すことで、ユニットカードに記された“戦力値”が自陣営に加算されます。互いに1枚ずつカードを使用していき、両者がパスした段階で戦力値の合計が高い方の勝利となります。

  • ▲画面右には互いの戦力値合計が常に表示されています。これが1点でも相手より上回っていれば勝利できます。

3ラウンド中2ラウンド勝利が最終目標

 『グウェント』で最も重要なルールが“3ラウンド制”です。前述した戦力値合計による勝利を、2つのラウンドで達成できれば対戦に勝つことができます。1、2ラウンド目で使用しなかった手札は次ラウンドに引き継がれるので、「強力なカードを温存するため、敢えて1ラウンド目は負ける」「2ラウンド目は勝利したが、強いカードを使い過ぎたため3ラウンド目は惨敗だった」など、どこのラウンドで強力なカードを使い、どのタイミングでパスをするのかが勝敗を分けます。

  • ▲画面右の数字とパスアイコンの間に暗く表示されている王冠は1ラウンド勝利すると半分手に入ります。2ラウンド勝利すれば王冠が完成してゲームの勝者に。

毎ターンのカードドローはなく、最初に配られる10枚で戦う

 カードゲームの多くは、自分の手番毎に新たなカードを引けることが多いです。しかし『グウェント』では、1ラウンド目開始時に10枚のカードが配られ、2、3ラウンド目開始時に3枚ずつカードが配られる以外のカードドローはありません(特殊効果を除く)。

  • ▲最初に配られた10枚のうち、先攻は3枚まで、後攻は2枚までマリガン(不要なカードをデッキに戻して別のカードを引き直すこと)ができます。

 このルールによって「次にどのカードを引くか?」というカードゲームによくある運の要素がかなり抑えられています。前述した3ラウンド制との相性も抜群で、初期手札10枚によって「強いカードが揃っているから1、2ラウンド目連取を狙おう」「1ラウンド目は弱いカードを整理しつつ負けて、残りのラウンドで勝負しよう」といったような作戦を立てることができます。

各勢力の特徴を掴める5種類のスターターデッキ

 チュートリアルを突破して練習モードで数回勝利すると、5勢力分のスターターデッキがもらえます。スターターと言いつつもデッキの完成度はかなり高く、また各勢力の特徴を生かした内容になっています。簡単に紹介しましょう。

  • ▲最初に使用するスターターデッキを選択しますが、3試合後にはすべてのデッキが手に入るので気軽に選びましょう。
  • ▲スターターデッキ選択時には、各勢力の特徴的なアビリティが動画付きで解説されているので、初心者の方にはかなり参考になると思います。

 なおすべてのスターターデッキには『ウィッチャー』シリーズの主人公であるリヴィアのゲラルトが含まれています。戦力値9以上の敵軍ユニット1体を破壊する強力なカードなので、相手が使ってくることを想定して戦力値はできるだけ8以下を維持するのが序盤のコツです。

仲間同士で喰らいあい、高戦力値に成長する“モンスター”

 自軍ユニットを破壊する代わりに、破壊したユニットの戦力値分のブースト(戦力値が増加すること)を得る“捕食”と、自らが破壊されることで効果を発動する“遺言”のコンボが軸のスターターデッキ。自身よりも高い戦力値の自軍ユニットが出ると1ブーストを得る“成長”や、最高戦力値ユニットが自陣にあると効果が発動する“支配”と相性の良い高戦力値ユニットも豊富。

  • ▲特殊効果がない代わりに高戦力値のオールド・スピアチップ:睡眠。
  • ▲墓地のユニットを捕食してブーストを得るオズレル。前述したオールド・スピアチップを事前に墓地へ送っておき捕食すれば戦力値は10まで上がります。

統率による連携が最大の武器“北方諸国”

 自陣に配置して1ターン経過すれば、好きなタイミングで実行可能な“命令”アビリティの所持ユニットが多い北方諸国。また、毎ターン自軍ユニットをブーストする効果や、“兵士”カテゴリのユニットに挟まれることで効果が発動する“乗組員”などのアビリティもあるため、複数のカードの効果を組み合わせることで真価を発揮するスターターデッキになっています。

  • ▲毎ターン右隣のユニットを1ブーストするアンナ・ストレンガー。さらに自身の戦力値がベース値の4を上回っていれば、左右どちらのユニットにもブーストを与えます。
  • ▲自身がブーストを得るたびに、敵軍ユニット1体を無作為に選んで1ダメージを与えるトライダムの歩兵。アンナで毎ターンブーストを受ければ、そのたびに敵軍を攻撃できます。

奇襲によるゲリラ戦で敵を翻弄する“スコイア=テル”

 カードを裏向きで出し、条件が満たされると自動で表向きになって効果が発動する“伏兵”や、自軍手札の戦力値を強化(対戦相手にはどれが強化されたのかわからない)する効果など、相手に情報を与えない奇襲が得意な勢力。スターターデッキには、手札内の戦力値を強化する効果と組み合わせることで強くなるアビリティが揃っています。

  • ▲カードを戦場へ出した時に、自身の戦力値に等しいダメージを敵軍ユニット1体に与えるシェルドン・スカッグス。つまり手札にある状態でシェルドンの戦力値を上げるほど、戦場へ出した際に敵ユニットへ与えるダメージが増加します。
  • ▲自軍手札のドワーフユニット1体に2ブーストを与えるドワーフの扇動者。扇動者でブーストしてからシェルドンを出せば、敵ユニットへ大ダメージを与えられます。

敵も味方もすべてを傷つける戦闘種族“スケリッジ”

 ダメージを負っている敵ユニットが一定数以上いると効果が発動する“狂騒”や、逆に自身の戦力値が一定値以下になると自動的に発動する“狂戦士”(スターターデッキには未収録)など、敵味方を傷つけることで強力な効果を生み出すスケリッジの面々。スターターデッキにもダメージを与える効果のカードが多数盛り込まれていて、敵ユニットを攻撃しやすくなっています。

  • ▲スヴァンリッジ・テルショックは、敵軍ユニット3体以上がダメージを負っている状態で出すと5ブーストされて戦力値が合計11点になる強力なユニット。
  • ▲ウダルリック・アン・ブロクヴァルは“ユニット1体へ1ダメージ与える”命令アビリティを3回使用できるため、スヴァンリッジのアビリティ条件を満たすのに効果的です。

外交術と謀略で敵勢力を内部から疲弊させる“ニルフガード”

 敵陣にカードを配置する“密偵”や、高性能な“戦術”カードによって敵に干渉するニルフガード。相手勢力のカードを使うのもお手の物で、戦場に敵味方が入り混じる乱戦になることもしばしば。スターターデッキには敵のアビリティを無効化する“封印”効果が3枚含まれていて、敵の行動を阻害しやすくなっています。

 戦力値3以下の敵軍ユニット1体を強奪して自陣に引き入れてしまうスワース。戦力値3のユニットを奪えば相手の戦力値がマイナス3されて自軍の戦力値がプラス6されるので9点分の効果があり、しかも奪ったユニットにアビリティがついていれば、その効果も利用できます。

 敵軍ユニット1体に2ダメージを与えるセリット。手札にオーケスがいると与えるダメージが4に上昇(もちろんスターターデッキに含まれています)。セリットでダメージを与えてからスワースで奪う動きも強力。

 スターターデッキには存在しませんが、上級者向けのシンジケートという6勢力目も存在します。シンジケート勢力だけが扱えるコインを獲得し、それを消費することでアビリティの使用や強化を行うため、コインの管理が重要な勢力です。

 6つの勢力には6種類のリーダーアビリティが存在し、選択したリーダーアビリティによって相性の良いカードも変化するため、さまざまなタイプのデッキを作ることができます。なお以前は条件を満たさなければ使用できないリーダーアビリティもありましたが、現在は最初からすべてのリーダーアビリティが使用可能です。

毎日コツコツ遊ぶだけで、カードがガンガン手に入る

 カードゲームと言えば、気になるのは新たなカードの入手方法ですよね。本作ではトロールのショープが売っているカードタルから5枚のカードが出現する仕様になっています。


 特徴的なのは5枚目のカードがレア以上確定で、さらに3枚から好きな1枚を選べる点。この仕組みによって未所持のカードが集めやすくなっています。

 各カードの下に表示されている“!”マークは、未所持カードの意味です。既に所持済みのカードの場合は枚数が表示されます。

 カードタルは課金によって入手することもできますが、ゲーム内で報酬としてもらえる鉱石を消費して手に入れることも可能です。主な報酬の入手方法は次の通り。

グウェントでもらえる主な報酬

・デイリーボーナス:毎日1回、ログインするだけでもらえる報酬。7日分の報酬をもらうと、新たに7日分の報酬が何度でも追加される
・デイリークラウン:6ラウンド、18ラウンドなど、1日で一定数以上のラウンドに勝利するともらえる報酬。勝利数は毎日リセットされるため、条件を満たせば毎日報酬がもらえる
・クエスト:毎日1つずつ追加されるクエスト。達成することで難易度に応じた報酬が手に入る。クエストは3つまで保存可能で、毎日1つだけクエスト内容を変更可能
・依頼:「オンラインマッチを5回プレイする」「ゲラルトのカードをすべて集める」など、さまざまな条件を満たすことで依頼が達成されて報酬がもらえる。依頼の数は500種類以上
・レベルアップ:勝敗にかかわらず、ゲームをプレイするたびに経験値を獲得できる。経験値が一定値に達するとレベルアップし、報酬がもらえる(レベルの数値自体は、ゲームの勝敗には一切影響しない)
・プレスティージ:レベルが60を超えると、レベル1に戻る代わりに自身のプレスティージが上がり、タルからレアカードが出やすくなるなどの永続的なボーナスを得られる
・シーズン報酬:約1カ月周期で1つのシーズンが終了し、終了時のプレイヤーランクに応じて報酬ポイントが得られる
・グッドゲーム:試合後に相手から“グッドゲーム”を送られると報酬がもらえます

 他にも不定期開催の勢力チャレンジやリーダーチャレンジで報酬がもらえたり、提示されたカードで即席のデッキを組んで3回敗北する前に9勝を目指す“アリーナモード”の報酬などもあり、遊べば遊ぶほど大量の報酬が手に入ります。

 カギのアイコンは報酬ポイント。ポイントを消費してさまざまな報酬ツリーを自由に進めることで、自分が欲しい報酬を優先的に獲得できます。

 紙片を使えば好きなカードを生成できます。また星の粉を使うことで、カードをアニメーションするプレミアム版にアップグレードできます。

 たくさんの報酬が手に入る仕組みが整っているため、毎日軽く遊んでいるだけでもカードがどんどん集まります。そのため「課金しないとカードが足りなくて好きなデッキを組めない!」という状況はかなり少ない印象です。正直、課金しなくても十分に遊べてしまうでしょう。

 アプリ版は他機種版ともマッチングするため、ゲーム内には1年前からプレイしている人たちもたくさんいますが、基本的には自身のランクに応じた実力の近いプレイヤーと対戦が組まれるので安心です。またPC版プレイヤーなら、同じアカウントでアプリ版をプレイすることも可能なので、自宅ならPCで外出中はアプリでと使い分けてもOK(PS4版とアプリ版は、残念ながら別アカウントになってしまいますが)。

 『ウィッチャー』シリーズが好きな方はもちろん、スキル重視のカードゲームで遊んでみたい人にもオススメできるゲームになっていますので、ぜひプレイしてみて下さい。

CD PROJEKTR, The WitcherR, GWENTR are registered trademarks of CD PROJEKT Capital Group. GWENT game c CD PROJEKT S.A. All rights reserved. Developed by CD PROJEKT S.A. GWENT game is set in the universe created by Andrzej Sapkowski. All other copyrights and trademarks are the property of their respective owners.
※画像は開発中のもの。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら