お宝集めだけじゃない。『ドラゴンクエスト トレジャーズ』は集める楽しさに特化したタイトル【冬のレビュー祭】
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- ophion
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Nintendo Switch用ソフト『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』を先行プレイした感想をお届け。
お宝集めだけに限らない、集めることの楽しさが詰まったタイトルです!
なお、電撃オンラインではこの冬に遊びたい注目作に関する特別企画“電撃冬のレビュー祭”を展開中。発売前の新作タイトルや発売済みの名作タイトルなど、注目作品のレビューなら電撃オンラインにおまかせ!
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お宝探しは攻略本のページをめくるかのよう
本作の物語は、バイキングの元で雑用をしていた孤児のカミュとマヤが異世界に迷い込むことから始まります。
カミュとマヤは『DQXI』のキャラクターではありますが、『DQXI』の知識は必要ありません。物語の冒頭でなぜ彼らがバイキングと暮らしているのかを含めたわずかな箇所で「これは『DQXI』を知っている人向けの演出だろう」と感じる程度。
これまでの『DQ』スピンオフ作品同様に、よく知らない少年や少女の冒険譚としても楽しめます。
さて、そんな本作でプレイヤーはモンスターと協力して“お宝”を集めることとなります。
オープニングのイベントをクリアすると、複数の島から好きな場所を選んで冒険へ。どの島も最初に降り立つ駅周辺には、プレイを始めたてでも対処できる低レベルのモンスターが生息しており、島をひとつずつ攻略していくのではなく目的に応じて行き先を変えるような導線になっています。
お宝は大きく分けて“トレジャー”と“ジャンク”の2種類。
フィールド上で“お宝コンパス”というアクションを行うと、近くのトレジャーがある方向をコンパスが指し示してくれます。
そして、ある程度トレジャーの近くまで来ると“モンスタービジョン”というアクションでモンスターの視界から見てどこにトレジャーが埋まっているかが表示。
方向と視界(という名の画面写真)の二段階のヒントでトレジャーを探していきます。
一方のジャンクは、ある程度の距離まで近づくと自動でマップ上にトレジャーの位置が表示。トレジャー、ジャンクともにある程度近づくとモヤのようなエフェクトで、お宝の位置が正確にわかります。
こういったフィールド上のアイテム探しは、本作以外のRPGでもサブコンテンツとしてしばしば見かける要素ですが、本作は『トレジャーズ』の名の通り、お宝探しがメインコンテンツ。
数少ないお宝をていねいに探していくようなゲームではなく、適当に島を歩いていてもいつの間にかいくつかのジャンクがマップに表示されているほど地面にはごろごろとお宝が埋まっています。
シナリオにかかわる重要なトレジャーを探しにいったら、帰るころには所持量の限界までお宝を所持している。そんなことが日常茶飯事です。
と、お宝の入手機会が非常に豊富になっていることが生み出す、小さな目標が確実に達成されていく感覚。
本作は手に入れたトレジャーの合計鑑定額を高めていくことがひとつの目的となっており、一定額に達するごとにさまざまな要素が解禁されていきます。
こういった一定の数値が目標になるものは、達成する過程が作業になるケースがままありますが、前述のとおり道端にはお宝がごろごろ。
とくに意識しなくても、見かけたお宝を持ち帰るだけで目標額に向かって進展がある点に遊びやすさを感じました。
そんなお宝は、歴代『DQ』シリーズをもとにしたものが豊富。
トレジャーは主人公をかたどった像や物語上のキーアイテムといったお宝として説得力のあるものがラインナップ。
一方でジャンクは“ぬののふく”など、トレジャーと比較すると「本当にこれがお宝でいいの?」と思うようなものもちょくちょく見られます。
ただ、ジャンクはトレジャーと比べて妙なアイテムなどが多い分、遊び心もふんだんに盛り込まれています。まさか、アリーナが壊した壁がお宝になっているなんて……。
原作に照らし合わせると、トレジャーの方が重要性が高いものばかりですが、プレイヤー視点でどちらにワクワクできるかは一概には言えませんね。
また、お宝になったことで『DQ』シリーズのさまざまなアイテムなどの3Dモデルが見られるのもポイント。
昨今のシリーズでは、ゲーム中で3Dモデルを閲覧できることもありますが原作でゲーム中にビジュアルが登場しなかったものの3Dモデルが見られるのは本作の魅力でしょう。
あらためて見ると、マーニャってとんでもない格好で旅をしていたんだななど、きっと新しい発見がありますよ。
こういった新しいお宝を見つけたときの感覚は、公式攻略本や設定資料集でアイテムなどのビジュアルを眺めていたときにも似ています。
新しいページをめくっていき、ゲーム内で登場したアイテムのビジュアルを知るワクワク感。どちらかと言えばおっさん向けの話ですが、きっとわかってくれる人はいるはずです(笑)。
集めたくなるのはお宝だけじゃない!
本作でお宝と言えば上記のとおりトレジャーとジャンクですが、プレイヤーにとってはもうひとつ“お宝”を見つける喜びが用意されています。それが、モンスターのスカウトです。
お宝探しの途中に出会うモンスターは、一部の状況を除いてすべてスカウトすることが可能。
倒したモンスターは拠点にやってくることがあり、フィールド上で手に入る素材などの特定のアイテムと引き換えで仲間にすることができます。
この仕組み自体は『DQ』シリーズの仲間モンスターシステムを少しアレンジしたくらいのものですが、重要なのは同じモンスターでも、能力に差があること。
HPの多い少ないくらいの数値の差なら、ある程度妥協したり、そもそもレベルが違ったら単純に比較をしにくいから気にしなかったりするのですが、覚える特技や特性などが変わってくるんです。
どれだけそのモンスターが優れているかの大まかな目安は、拠点での一覧に表示されるモンスターの枠で確認可能。銅<銀<金<虹の順に優れたモンスターとなっています。
さらに、レベルやランクの同じモンスターでも、加入させるのに必要なアイテムは異なります。
本作は、お宝集めがメインになっているためお宝の種類と比べると決して登場するモンスターの種類は多くはありませんが、個体差があるためにモンスター集めは沼のようにズブズブと引きずり込まれるような楽しさがあります。
また、モンスターを倒した際に低確率で“コイン”を入手可能。コインはHPを上昇させたり、特定の攻撃の威力を高めたりする、いうなれば装備です。そして、コインにもまたランクがあり、ランクに応じて強力なものに。
高ランクのモンスターをスカウトして、その過程でコインも集める。さらに運がよければ高ランクのコインも手に入る。
モンスターを倒すことにいくつもの要素が紐づいているので、バトルも見方によってはお宝集めと言えるでしょう。
お宝集めをメインコンテンツにすえつつも、本作はほかにも集めたくなる要素が複数用意されています。
さらに、シナリオを進めたり、モンスターを仲間にしたりするにはフィールド上に点在している素材アイテムも必要。漠然と島に降り立つとなにをしようか迷うほどプレイヤーに目的が提示されています。
あの素材は拾っておこう、このモンスターはスカウトしたことがない、あそこにお宝がある……。
正直なところ「今回はシナリオを進める」、「今回は持てるだけお宝を手に入れたら絶対に帰る」と決めておかないとズルズルと島での探索を続けてしまいます。それがまた楽しいので欠点ではないんですけどね(笑)。
また、モンスターを倒すだけでなくお宝を入手しても経験値を入手できるのも特徴。
お宝さがしとRPG定番のバトルをバランスよく配置するのではなく、お宝さがしでも経験値が手に入るのでゲームを遊んでいれば自然とモンスターが育っていくという構造もまた、つい探索し続けたくなる魅力を後押ししています。
さらに、本作は消費アイテムの“キメラのつばさ”を使うと即座に拠点に帰還できるのですが、キメラのつばさはシナリオ終盤まで遊んだ範囲ではサブシナリオを含めたシナリオの進行で手に入るほか“日課クエスト”という毎日提示されるお題をクリアしたときのみ入手可能。
必然的に徒歩での帰還も増えるのですが、帰り道にお宝やレアなモンスターを見つけることもあり。「帰ろう!」と心に決めていても、その途中でメタルキングを見かけたら倒したくなるのはしょうがないですよね。
お宝、モンスター、そしてフィールド上の素材と島には誘惑がたくさん。
ほぼいつでも区切りを付けて帰還できるので逆にやめどきが見つからない。本作はそんなタイトルになっています。
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