『機動戦士ガンダム 水星の魔女』10話は話したいことが多すぎ! 新ガンダムは登場するし、グエルはどうなっちゃうの!?【感想&考察】

てけおん
公開日時

 12月11日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第10話“巡る思い”の感想や考察をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第10話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

 10話では、さまざまなキャラクターの思惑が語られるエピソードとなっていました。ちょっと書ききれてないこともありますので、後々追記すると思います。

よりはっきりと見えてきた御三家の考えの違い

 冒頭ではサリウスがデリングに対して不満を抱いていることをむき出しにしていました。監査組織カテドラルに所属するラジャン・ザヒに対して文句をぶつけますが、ラジャンの態度はまったく取り付くしまがありません。ラジャンはデリングの部下ですし、ここで見える限りだとカテドラルおよびドミニコス隊は完全にデリングの意のままだと思えます。

 不満が収まらないサリウスの前にヴィムが登場。デリングの暗殺をほのめかします。グエルがホルダーでないことから、決闘によるベネリットグループの支配をあきらめたようにも見えますね。グラスレーと共闘体制をとることで、グループ内の地位を盤石に固めようという考えなのでしょうか? さらにあわよくば……というところまで目論んでいそうですが。

 一方のサリウスは、そこまでベネリットグループのトップになりたい……という感じではなさそうなんですよね。それよりも心血を注いでいるのはGUND技術を禁止することのように見えます。今回もシャディクとの会話でグループ時期総帥の話が出た時にも「学生なら学生らしく……」「しくじればグラスレーでのポジションを失うことになるぞ」と、どちらかというとシャディクを心配しているような雰囲気でした。義理の息子ということもあるでしょうし、実務的な部分でも失脚してもらっては困るという感じもあるように思えます。

 そして、ペイル・テクノロジーズのニューゲンは、強化人士5号を投入し、絡め手でエアリアルを奪い取ろうとしています。前々からわかっていたことですが、GUND技術をあきらめておらず、むしろ精力的に研究を進めていきたいという感じでしょうか。

 うっすらとわかっていた部分ではありますが、改めてまとめてみました。

御三家トップたちのスタンス

●サリウス・ゼネリ……GUND技術を禁止したい
●ヴィム・ジェターク……グループの次期トップになりたい
●ニューゲンたち4人……GUND技術の研究を進めたい

 ざっくり“GUND技術”と書きましたが、それがどこまでの範囲を指すのかは不明です。サリウスは株式会社ガンダムの設立にも不満を持っているようですので、“医療技術を含めたすべてのGUND技術を禁止にするべし”と思っていそうです。またニューゲンたちは強化人士という存在を生み出したことから見ても、あくまで“軍事方面におけるGUND技術”にしか興味がないようにも思えます。

 また御三家トップとは別に、シャディクの狙いが“ベネリットグループの解体”であることが明らかになりました。サリウスはこのことを知っているのでしょうか?

外側から見たスレッタとエアリアルの価値

 温室の前で会話するスレッタとシャディク。その会話から、スレッタとエアリアルの今の価値を想像することができます。

 シャディクは「(エアリアルが)不在だった2カ月ぶん、(決闘が)溜まっているからね」とスレッタに伝えます。これはスレッタとエアリアルの価値がグループ内で認められたというように思えます。今のスレッタには“御三家を倒した”という実績があります。直接御三家とぶつかるのは避けたいけれど、実力を示したい立場にいるものにとっては、美味しい相手に見えているのかもしれません。勝てなくても試合内容次第でアピールできることはありそうですしね。“決闘が溜まっている”というのは、そういうことなんじゃないかと。

GUNDの理想に向けて動き出す株式会社ガンダム

 10話ではGUND技術を使用した義足の動作試験のシーンがありました。そもそも株式会社ガンダムの目指すところは、会社PVにもあるように“GUND技術の医療事業”。それに向けてしっかりと動いていることが伺えます。

 義足の搭乗時にスレッタは身体を固定するためのグリップを握っていましたが、あれは操縦桿などではなさそうでしたね。ちゃんと“パーメットを利用した身体機能拡張技術”ということなのでしょう。

 株式会社ガンダムまわりのことで言うと、ミオリネとデリングの会話も今回描かれていましたね。会社の業務報告ではありましたが「上出来だ」とデリングに褒められたミオリネは意外そうな表情を浮かべていましたね。そのデリングとのミーティングの後、ティルトに何かを言いかけた時に見せたミオリネの表情は……物語序盤のようにデリングへの敵意に満ちたものではありませんでした。

スレッタのいろんな感情の動きが見どころの回でした

 ミオリネから出張中のトマトの世話を任されて喜んでいるスレッタ。今回はスレッタの感情の動きがとても豊かな回でした。「スレッタ、わすれった」と言ってチュチュたちを笑わせたりするシーンも、地球寮の面々との仲が着実に深まっているところが表れていて、みていてほっこりしましたね。PV撮影の場所探しの際にもオジェロたちに褒められ、とてもうれしそうでした。

 それが後半では……。

 この作品って、トマトが人間関係(特にミオリネ回りの)を描く際の重要なアイテムになっていることが多いなって改めて思いました。1話ではトマトをキッカケにしてスレッタとミオリネが近づく様子を描きました。ミオリネがトマトを大切にしていると知ったがゆえに、スレッタはトマトを台無しにするグエルに決闘を申し込みます。9話でも、シャディクとミオリネの関係を描くにあたって、トマトの剪定シーンがあったのは記憶に新しいところですよね。

 ひるがえって10話では、ミオリネとスレッタのすれ違いを示すものとして使われていました。スレッタは“ミオリネが留守の間に大事にされているものを任された”ことに喜びを感じていますし、まめに世話をしています。

 しかし、出張から帰ってきたミオリネはそっけない態度……。スレッタにお礼こそ言ったものの、目線をあわせることなくエランをテストパイロットに引き入れたことを伝え、「スレッタになんでも頼まなくてよくなるわ」とも言います。でもこれって決してスレッタのことを大切に思っていないからってわけではないんですよね。7話では「あの子の花嫁だからよ!」と啖呵を切って舞台に上がり、嫌っている父に頭を下げてまで株式会社ガンダムを設立したことを考えると、むしろスレッタを大事に想っているからこそやっているわけで……。

 トマトのことを引き合いに出すとすれば、トマトよりもスレッタのほうが大事、と言っていると取れなくもないんですよね。そうだとすると、問題はそれがスレッタにまったく伝わっていないことなんですが。このすれ違いはミオリネとデリングが親子なんだなってことがとてもよく表れていたように思います。

 ミオリネに渡せないままスレッタの手からこぼれ落ちたおそろいのキーホルダー。2人がそれを付ける日が来るのでしょうか? 筆者はぜひ来てほしいのですが……!

新たに存在が明らかになった勢力“宇宙議会連合”

 かつて地球への脱出を目論んでいたミオリネの協力者だったふくよかな女性。第2話で「宇宙には新しいルールが必要」と言っていた彼女――フェン・ジュンが再び登場します。そして“宇宙議会連合”に所属していることが明らかになりました。彼女の部下であるグストン・パーチェと一緒に公式サイトのキャラクターページに追加されています。

 ミオリネがフェン・ジュンの所属を看破した時、フェン・ジュンは隠すそぶりも見せませんでした。隠すメリットがないということかもしれませんね。「今はまだ調査の段階」と言っていたので、下手に正体を隠して距離を置かれるのもよくないと思ったのかもしれませんね。ミオリネは「味方になってもらおうかな」と言っていましたが、ミオリネは付き合いやすい勢力とみなしているように思えました。

地球にも勢力あり。新たなガンダムたちも登場

 10話では、“宇宙議会連合”だけでなく“フォルドの夜明け”と名乗るアーシアンの勢力も登場しました。

 彼らがいるのは地球。“岩倉米店”“5年1組”など日本語があることから、場所は日本だと思われます。線路がボロボロですね。鉄道網はなくなっているのかもしれません。荒れた道を写したカットもありました。元々は小学校だったと思しき場所を拠点としていて、それなりの数のテントや、大型の車もありました。また、拠点の前の道が一瞬映りましたが、そこまで荒れてなさそうで、車などが走れそうにも見えましたがはたしてどうなっているのでしょうか?

 もちろんこの拠点すべてが“フォルドの夜明け”なわけではない可能性だってありますよね。人々が集まって暮らしている居留地の中に彼らがいるだけということも考えられます。

 その後画面には“フォルドの夜明け”のボスと思われる屈強そうな男性が映ります。彼の名はナジ・ゲオル・ビジャ。シャディクはニカを通じてナジに直接連絡し、デリング襲撃を依頼します。ナジは殺しの依頼と解釈していましたが、シャディクは“襲撃”と言っていました。ちょっと違和感の残るやり取りでしたね。

 通話後、シャディクは視線を軽く左にやっていましたが、誰か一緒にいたのでしょうか? 部屋を出る際、シャディクが扉を開くところは映りましたが、その後カメラはニカを映したため、ドアを閉じるところは映らず。これは単に考えすぎな気もしますが。

 Cパートでは、“フォルドの夜明け”がガンダム2機を使い、プラント・クエタへと向かう船を襲撃していました。すでにWebラジオ『機動戦士ガンダム 水星の魔女~アスティカシア高等専門学園 ラジオ委員会~』やプラモデルではその名称も明かされていますね。

ニカはなんでアスティカシアに来たの?

 さて、ニカですが、どういう経緯でアスティカシアに入学したのかが気になりました。スレッタのように編入したのでしょうか? それとも通常の学生のように1年生から入学していたのでしょうか?

 また彼女、もしくは“フォルドの夜明け”の狙いはなんなのでしょう? 入学前からシャディクと通じていたのか、“フォルドの夜明け”にはなにか目的があってニカを入学させたが、その後ニカは何らかの事情があってシャディクの連絡係となったのか……。なんとなく後者の気がしますが、どうなんでしょうね?

グエル、どうなっちゃうの!?

 さて、10話ではグエルが行方不明になったとペトラが口にしてビックリしましたが、その直後、“ボブ”という仮名を使い作業員として働く姿が画面に登場。強い驚きを視聴者にもたらしました。

 9話でヴィムから電話で「うちの子会社にポジションを用意した。そこで俺の仕事を学べ」と言われたグエルですが、そのポストがいち作業員ということはさすがにないでしょう。仮名を使っていること、ラウダたちが行方不明と言っていることから、家を出たのだと思われます。

 「どうなっちゃうんだろう……?」と思っていたらCパートでグエルが乗っている船を2機のガンダムが襲撃するという展開に! えええ、これはどうなるんでしょう? グエルが活躍するような展開があったりしないのでしょうか!? 次回(18日は放送休止で25日放送です)がめっちゃ気になります!!!!

物語の舞台はプラント・クエタへ

 少し話を戻してBパートの最後。プラント・クエタを訪れたデリングをプロスペラが出迎えます。その際プロスペラは「お待ちしておりました。デリング・レンブラン」と声をかけます。普通であれば「デリング総裁」と呼びかけそうなものですが。パッと思いつく理由としては“実はプロスペラとデリングは何らかの形でつながっていた”、“もう敬称を付ける必要がなくなった。つまり……”といったあたりでしょうか。この辺りも次回明らかになると思われます。

 いよいよ物語のスケールが学園を飛び出し、プロローグでも見て取れた地球圏を含んだ話に広がってきました。ここからアクセル全開になりそうですが、分割2クールの1クール目の終わりまであと2回。一体どんな展開が待っているんでしょうか?

【注意】第10話のエンドビジュアルより下で、10話に登場した2機のガンダムタイプのモビルスーツについて言及しています。すでにラジオやプラモデルで名前が出ていますが、劇中ではまだ出ておりません。劇中で初めて名前を知りたい! という人はご覧にならないことをオススメします。

2機のガンダムの出自が気になる!

 ついに本編に姿を現したガンダムルブリスウルとガンダムルブリスソーン。7話から少し変わったOP映像では、デリングの後ろに出ていた機体だったので、「えっ、デリングを襲うほうになるの!?」とちょっと驚きがありました。OPの映像を見ると“実はデリングと通じていました”と言われても驚かないですが(笑)。

 それにしても機体名に“ルブリス”という単語が入っているのがとても気になりますよね。“フォルドの夜明け”またはその背後にオックス・アース、またはヴァナディース機関の生き残りがいたりするのでしょうか? 

©創通・サンライズ・MBS

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