『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』プレイレビュー。当時の魅力そのままに、遊びやすさがアップした名作
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Forever Entertainmentより好評発売中のSwitch版『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』。ここでは、本作の魅力をお届けします。
なお、本作はダウンロード版のみの発売で、パッケージ版は2023年春に発売予定です。
『フロントミッション』の歴史
『フロントミッション』はシミュレーションRPGで、28年前の1995年にスーパーファミコン用のタイトルとして登場しました。ヴァンツァーのカッコよさ、シミュレーションRPGとしてのおもしろさ、そして衝撃のストーリーが当時話題になりました。シリーズを重ねつつも、その後、さまざまな要素が追加された『フロントミッション ザ・ファースト』が2003年にPlayStation、2007年にニンテンドーDSで発売。本作はそのニンテンドーDS版をもとにリメイクされています。
スーパーファミコン版のみプレイしたという方もいるかと思いますが、そんな人にこそ遊んで欲しいのが『フロントミッション ザ・ファースト:リメイク』なんです。
ストーリー
本作の最大の魅力といってもいいのが重厚な物語です。舞台となるハフマン島は、本作の世界における2大勢力であるO.C.U.(オシアナ共同連合)とU.S.N.(ニューコンチネント合衆国)が国境を接する唯一の陸地。主人公であるO.C.U.軍特務偵察隊の隊長・ロイドは、U.S.N.軍の施設を偵察に行く任務に赴きます。その地で敵軍に攻撃を受け、ともに偵察に向かった婚約者でもあるカレンが行方不明に。その地の出来事がきっかけとなり第2次ハフマン紛争が勃発します。
その後、除隊されたロイドは闘技場で戦う日々を過ごしますが、そこでO.C.U.のオルソン大佐に軍へ復帰するように声をかけられます。渋るロイドですが、恋人のカレンの行方を探すために軍へ復帰することを決意。ここから物語は大きく動き出すことになります。
その後は多くの仲間との出会いや戦いを繰り返し、紛争の真実にたどり着きますが……。ここからは実際にプレイをしてほしいところです。当時プレイをしていて、かなりの衝撃を受けましたからね。そして、今あらためて物語を進めて、当時の気持ちを思い出しながら、感傷に浸ってしまいました。
また、『フロントミッション フィフス』に登場したキャラクターが追加されているのも、オリジナルにはなかった点です。これはニンテンドーDS版での追加要素で、O.C.U.編ではグレンが登場。とある影響により、記憶が徐々に失われていく姿が、ロイドとのやり取りで確認できます。
なお、『フロントミッション ザ・ファースト』にはU.S.N.視点での物語が展開する“U.S.N.編”が追加されています。こちらはU.S.N陸軍部隊“ブラックハウンド”の隊長・ケビンが主人公となり、ロイドたちO.C.U.側の視点ではなく、U.S.N側の視点での物語が展開します。
O.C.U側の視点だけで物語をプレイすると、どうしても敵軍であるU.S.N側が悪に見えがちですが、両軍の視点をとおしてプレイすることで、決してそうではないことがわかります。また、O.C.U.編で登場したU.S.N.の最強部隊である第64機動戦隊、通称“地獄の壁”は、O.C.U.編では主に序盤の敵役として登場しただけですが、U.S.N.編でも登場することで、彼らのキャラクター性に深みが出ています。
ヴァンツァー&システム
本作のもう1つの魅力がヴァンツァーの存在。俗にいうロボットですが、非常に重厚感のある動きが特徴。ほかのゲームに登場するロボットではハイスピードで空中を飛びまわったりする動きがよく見られますが、ヴァンツァーはそういった動きはしません。むしろ、ゆっくりと歩みを進めるケースも多く、そこにリアリティを感じたりもしました。そんな重厚感あふれるヴァンツァーがローラーダッシュによる高速移動をするのですが、それもカッコいいんですよ。
ヴァンツァーはボディ、アーム(左右)、レッグで構成されており、自由にカスタマイズできるのが大きな特徴です。シリーズ一式でそろえれば統一感が出ますし、性能重視で選ぶのも攻略するうえでは重要です。ハンガーにこもってセットアップのみを楽しむといった遊び方も大いにアリ。カラーリングも多数用意されたなかから自由に選べるため、全員統一して自分だけの部隊を演出するといった楽しみ方もあります。
なお、各パーツにはそれぞれ役割があって、HPも個別に設定されています。ボディは破壊されると戦闘不能になってしまう重要なパーツで、機体ごとに特徴が大きく異なります。HPは高いものの積載出力が低いもの、またその逆など、役割に応じて選択することが重要となります。
アームは命中率が設定されており、この数値が高いほど攻撃が当たる確率が高まります。序盤はミスが多いので、とくに気にしておきたい数値です。なお、アームを破壊されてしまうとそのアームに装備していた武器は使用不可となるため、命中率とあわせてHPも考慮する必要があります。
また、アームによっては武器が内蔵されたタイプも存在。このアームには肩武器が装備できないデメリットはありますが、男心をくすぐる魅力が詰まっています。
レッグは移動力が設定されており、数値が高いほど一気に進軍できます。スタンダードな二脚タイプはもちろん、四脚、ホバーなど、さまざまな種類が存在。それぞれに得意不得意があるため、戦闘するフィールドにあわせた選択が重要に。ちなみに、破壊されると移動力が大きく低下します。
武器もさまざまなカテゴリーが存在。マシンガンやショットガン、ライフルといった近距離武器、ミサイルやロケットといった遠距離武器、そしてトンファやロッドといった近接武器から自由に選んで装備できます。パイロットごとに適性が異なるので、長所が活かせる武器を装備させるのが王道となるでしょう。
そのほか、ヴァンツァーの性能をアップするコンピュータ、出力の上昇やアイテムスロット数を増やせるバックパックも存在します。
なお、パイロットはスキルを習得することができ、近距離、遠距離、格闘ごとにいくつかのスキルが用意されています。スキルは便利なものがそろっており、あるとないとではバトルの難易度が大きく変化。そのため、スキルを習得していない序盤のほうが、バトルの難度が高く感じられるかもしれません。
ちなみに、リメイクとはいえ基本的なシステムやターン制のシミュレーションRPGであることに変更はありません。プレイ感はいい意味でそのままであり、かつ攻略法などもとくに変わっていません。そのため、当時のプレイヤーはなつかしさも感じつつ、ある意味すごく安心してプレイできるでしょう。とはいえ、そこまで古臭さを感じさせることもないため、今から新規でプレイしても十分楽しめるはず。O.C.U編、U.S.N.編と2本の作品を楽しめるようなものですし、ボリュームは約束されていますからね!
リメイク版での追加要素
リメイク版ではゲームモードが2種類用意されています。“クラシック”は『フロントミッション ザ・ファースト』を忠実に再現、“モダン”では雰囲気は損なわずに、カメラを自由に動かせたり、出現中の部隊メンバーのボディHPが表示できたりなど、より遊びやすくなっています。
また、移動やバトルの高速化に加え、バトルや移動の簡略化も可能。そのため、戦闘のテンポはかなりよいです。もちろん、ヴァンツァーの移動や戦闘を楽しみたいなら、しっかりと見ることができますのでご安心を。また、サウンドもリマスターされたものが流れます。
サウンドテスト
本作はBGMも素晴らしいものがそろっています。やはり戦闘中の聴ける曲に思い入れがあり、『Take the Offensive』や『The Evils of War』が流れるとテンションが上がってきます。また、これらのBGMはオリジナル版とリマスター版が収録されており、アレンジ違いの2曲が聴けるのもポイント。
なお、これらの曲はタイトル画面の“SOUND TEST”にて自由に聴くことができます。スーパーファミコン版やPlayStation版、ニンテンドーDS版では隠しコマンドやクリア後で解放される要素だったところ、今回のリメイク版では最初から聴くことが可能! これはうれしいですね。
プレイするうえでのワンポイント
最後に、プレイする際に覚えておきたい攻略情報を3つまとめます。
①チャフグレネードを使いこなす
遠くから一方的に攻撃できる遠距離武器。これにより、接敵中に相手からミサイルなどで攻撃を受けることが多く、まともに食らってしまうとあっという間に撃破されます。それを回避するのに役立つのが“チャフグレネード”です。味方に使用すると遠距離攻撃の回避率がアップするため、安全に接敵できます。消費アイテムではありますが、しっかりと購入して使用することで、被害を最小限に抑えられます。
この“チャフグレネード”は敵が使用することも多いです。効果が発動している敵には遠距離攻撃がかなり命中しづらくなるので、しっかり効果が発動しているかを確認しましょう。
②“デュエル”と“ガイド”で特定のパーツを狙い撃つ
遠距離攻撃スキルの“デュエル”、近距離攻撃スキルの“ガイド”は、選択したパーツを狙い撃ちできます。ボディを狙って一気に倒したり、左右のアームを破壊して敵の攻撃手段を奪ったりと、一気に戦闘がラクになります。
③隠しアイテムを入手
フィールドにはさまざまなアイテムが隠されています。どのミッションにでもあるわけではありませんが、なかには非常に強力な武器が隠されていることも。その1つがツィーゲライフルです。威力と命中が非常に高く、かつ獲得経験値も膨大で、育成にも役立ちます。O.C.U.編ミッション15のマップ上部で入手できるため、忘れずに獲得しましょう!
28年前のゲームがベースの作品ですが、今遊んでも十分おもしろい本作。戦闘のスピード感(テンポのよさ)は最も高いですし、当時の雰囲気を損なわずに、遊びやすさも増していますから、プレイ済みの人も未プレイの人もぜひ遊んでみてください!
なお、先日実施されたアップデートで、ショップでアイテムを購入した際に聞ける「センキュー」というなつかしのボイスも追加されましたので、さらに当時の雰囲気を味わえますよ!
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