『鎌倉殿の13人』最終回感想。義時の深さとすべての戦いの終わりを見る

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 毎週日曜20時から放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が、ついに最終回を迎えました。

 この記事では、予想だにしない最後を迎えた『鎌倉殿の13人』第48回の感想をお届けします。

若き息子の成長

 尼将軍の熱い演説を経て、いよいよ朝廷・後鳥羽上皇と北条義時の対決の時——!! というところで、終わった第47回”ある朝敵、ある演説”。

 義時が総大将を務める熱い戦いが繰り広げられるのか⁉ と思っていた(本人もそのつもりだった模様)ところ、周りから止められて息子・泰時が務めることに。

 気が優しい泰時に務まるのだろうか…とドキドキしましたが、そこは武将の息子。

 総大将としての苦渋の決断を迫られると、心を鬼にして戦いへ。

 一皮むけた泰時の姿は、父・義時と重なるところがあります。

 その成長ぶりは嬉しくなってしまいますね。

 一方上皇は、義時たちが総力を挙げて立ち向かってくるとは思っていなかったようで、最後の最後で決断を誤り敗戦。

 思いのほかあっけない終戦でしたが、負けた者の末路はなんとも哀れなものですね…。

女の執念と戦国の世の無情さ

 こうして朝廷との戦いも終わり、ようやく平穏が訪れたように見えたものの、義時の戦いへの想いはとどまることをしりません。

 しかし戦いが終わったあとくらいから、義時の体調がどんどん悪くなっていきます。

 画面上からも伝わるほど弱り切っており、ハラハラしながら見守っていると…毒を盛られたというじゃないですか!

 しかも犯人は彼の妻!!

 自分の息子が家督を継げないのなら夫をも殺める――その狂った感情は、彼女が義時にお前が犯人だなと質問したときの返答にも表れていました。

 「あら、バレちゃった?」

 字面だけ見るとお茶目にも見える言葉ですが、口にしたときの彼女は一切笑っておりません。

 母としての執念、そして歪んだ愛。

 戦国ならではの形にゾッとした瞬間でした。

 そんな彼女が去り際に、さらにもう1つの大きな爆弾。

 「毒を用意してくれたのは、あなたの唯一無二の親友よ」

 まさかの言葉に義時は声が出ません。

 平和を手にしたと思ったら妻にも友にも裏切られた男。

 ただ我武者羅に戦い、駆け抜けた先に待っているのが近しい者たちによる裏切りというのが物悲しいですね…。

 衝撃の事実を知った義時は盟友・三浦義村を呼び出し、2人きりの酒の席を設けます。

 ですが盃に注がれたのは、義村が用意した毒入りの酒…⁉

 しばし押し問答が繰り広げられますが、意を決して酒を口にするとろれつが回らなく――なったのは気のせいで、毒など入っていないという笑い話のような展開。

 長年の親友とはいえ自分の命を奪おうと裏で動いていた者を、そんな悪戯(?)だけで許してしまう義時は懐が深いというか、器がデカい男ですね。

戦い抜いた男を待つもの

 こうして内側の問題を解決した義時。

 その後毒を口にすることはなくなったものの体調は一向に優れません。

 「この世のすべてを地獄へ持っていくつもりです。私の名が汚れる分だけ泰時の名が輝く」

 体に力が入らなくなってもなお、義時はそんなことを言います。

 そんな姿を見た政子は、義時が医者からもらった薬を奪い取って捨ててしまいました。

 床に捨てられた薬を飲もうと苦悶の表情を浮かべながら這いずる義時。

 しがらみから解放したい。

 政子はそう考えたのかもしれません。

 薬を飲めないようにサッと着物でふき取ってしまいました。

 死んでほしくない。だけどもう……という政子の葛藤。

 それを感じ取ったのでしょう。

 義時も恨みの顔ではなく、苦しみながらも最期はどこか安堵にもみたような顔をしていました。

 荒い呼吸がなくなり、静かになった義時。

 彼の最期の言葉は「姉さん」。

 動かなくなった弟のそばで泣き崩れる政子。

 彼女の嗚咽が響き渡る中、そのままとても短いエンディングへ。

 
 『鎌倉殿の13人』は義時の命が尽きるとともに静かに、物悲しく幕を降ろしたのでした。

 明るい未来を予感させる終わりというよりも、激動を駆け抜け、命を燃やし続けた男の1つの人生を見せつけられた本作。

 死は誰にでも訪れる。どんな人間も最期はとてもあっけなく、静かなものなのだと改めて突き付けられた気がしました。

 せめてもの救いは、義時の想いを政子がしっかりと受け止め、看取ってもらえたというところでしょう。

 モヤモヤとする終わりではなかったものの、なんとも物悲しい最終回でした。

 ロスに陥っているみなさま!

 12月29日、31日には総集編が放送されますので、まだまだ『鎌倉殿の13人』の世界に浸れますよ!!
 
 そして次の大河は『どうする家康』

 徳川家康がどう描かれていくのか、楽しみに待ちましょう。


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