インディーゲームは定義があいまい? そんな疑問にお答えする裏ガイド!!【まさんの電撃インディーゲームガイド#0_1】
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- まさん
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ゲーム雑誌・電撃PlayStation(以下、電撃PS)初のインディーゲーム紹介ページ“DENGEKI INDIE”のコーナーを担当し、家庭用機のインディーゲームからPC。スマートフォンにいたるまで、さまざまな作品を紹介してきた担当ライター・まさん。
インディーゲームの名のもとに、なんでもアリなページを作り続けたライターによる、ちょっと変わったインディーゲームガイドがスタート!
まさんが個人的に注目しているインディーゲームから、今ホットなイベント。あまり大きな声では言えないような話まで、インディーゲームのアレコレに迫っていきます。
今回は本格連載を始める前に、そもそも“インディーゲームの定義”とは何か。そして、これからインディーゲームに触れたい人は、まず何をどうやって探せばいいのかについて、前後編の2記事で語っていきましょう。
なお、電撃オンラインは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
今でも定義はあやふや!? 実はあいまいなインディーゲーム
皆さん、こんにちは。電撃オンラインのインデイーゲーム担当ライター・まさんです。今やPCやスマホはもちろん、家庭用機で誰でも当たり前のように買っているインディーゲーム。
NHKでも『ゲームゲノム』という番組で『天穂のサクナヒメ』や『This War of Mine』を取り上げる時代になりました。実は、過去に電撃PSでも『This War of Mine』を取り上げたことがありました。その時から考えても、インディーゲームが公共放送で取り上げられるようになったことは大きな時代の変化を感じます。
それくらい、日本でも当たり前になったインディーゲーム。たとえゲーマーではなくても、インディーゲームと聞いて頭に浮かぶ作品が1つはあるのではないでしょうか?
しかし、ここで1つ疑問に思うかもしれません。「自分が知っているあのゲームはインディーゲームなの? そもそも、インディーゲームの定義って何? どこから、どこまでがインディーゲームなの?」と。
この疑問に対して、明確に答えられる人はいるのでしょうか。たとえば、試しに“インディゲーム 定義”で検索してみてください。……あれ? あれれ? WikiでもTwitterでも、その定義に関してみんな頭を悩ませていますよね。これだけ、インディーゲームに関して押されている今の時代に、肝心なインディーゲームの定義がわからない。
そうなのです。現代におけるインディーゲームの定義は割とあやふや! 同人ゲームや個人制作、フリーゲームや小規模開発による作品くらいのイメージだったものから、最大手のAAA以外はインディー扱いされることもある……くらい定義があいまいなのです。
今でもたびたび論争になるほど、インディーゲームの定義は年々広くなっています。多くの人がイメージするものを定義だとするならば“独立系ゲーム”。少人数や個人で作られたゲームを指すことが多いのですが、今は大手がパブリッシャーとして着く場合もありますよね?
そもそも、メーカーが作っていても“社内インディー”なんて言葉があります。テストプレイや翻訳などで、中小企業の作品より制作にかかわる人数が多い作品もあります。それでもインディーゲーム。パブリッシャーがついていてもインディーですし、大手の出資を受けていたとしてもインディー。もう、本当に“大手のAAAではないもの”くらいに使われています。
同人やフリーゲームがインディーゲームとして含まれる一方で、日本一ソフトウェアの『夜廻』やUBIの『Grow Home』といった、企業が“社内インディー”という取り組みで出していたゲームも広義ではインディーに含まれます。
過去には、PSのストアでもインディーとして取り扱われていました。また、有名なクリエイターが作っていたとしても、独立して起業した作品をインディーズとするなら小島秀夫監督の『DEATH STRANDING』もインディーゲーム。
バンダイナムコスタジオがインディーゲームレーベルとして設立した“GYAAR Studio”の作品『Survival Quiz CITY(サバイバルクイズシティ)』もインディーゲーム。大手が作っていても小規模チームの作品なのでインディー扱いとして売られ、そうした作品がインディーゲームとしてストアに並ぶこともあるのです。
あのスクウェア・エニックスですらも、インディータイトルとして『THE QUIET MAN』というゲームを出していました。もう訳が分からない? 私もです。
では、試しにPS5のストアを見てみましょう。“PLAYSTATION INDIES”のコーナーを価格順にソートしてみると、コンパイルハートの『超次元ゲイム ネプテューヌ Sisters vs Sisters』や、スパイク・チュンソフトの『AI ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』がインディーゲームとして取り扱われています。
もはや、日本の中小サードは全部インディーゲームになるのではないかという勢いですね。サードのなかでも、インディーゲームとそうじゃないものを分けている境目もよくわからない部分があります。
他にも、昔のメーカー製ゲームが復刻した時にインディーゲームとして取り上げられることもあります。
あくまでも事例として挙げたので、こうした事例の良し悪しやサードの作品をインディーとして扱うことに関しては今回取り上げません。これはこれでいろいろとあるのですが、それはまた別の話。
ただ、インディーゲームとひと口に言ってもコレくらい混沌としてしまっている、ということはわかっていただけたのではないでしょうか。
乱暴なことを言ってしまえば、作った側がインディーゲームと言えばインディーゲームになるくらいふわっとしています。
だからと言って、ユーザーがそれをインディーゲームだと受け取るのかはまた違いますよね。メーカーや開発による定義と、ユーザー側が「これはインディーだろう」と受け入れる定義が一致しなければ、個人的にはインディーゲームと言いにくいのではないかと思っています。
ふわっとしてはいるのですが、そこがなんとなくの分水嶺。作り手もユーザーもインディーゲームだと納得するかどうかがカギなのではないかと思っています。
メーカー製の後ろ盾がある作品と個人製作を同列の“インディー”として扱うのもいささか乱暴な話ですし、本当はそろそろどこかで明確な線引きが必要なのかもしれません。
しかし、逆に言えばそうしたあやふやさも魅力であり、必要ではあるのかも? 定義がふわっとしていることもインディーゲームという概念を自由にしているものではあります。
作り手も遊び手も「これはインディーゲーム」だと思えるなら、それはインディーゲームと言っていいはず。どんなにメーカーがインディーゲームだと主張しても、ユーザーが「これは違うでしょ」と思ったら、それはやはりインディーゲームとして受け入れられません。そういう意味では、ふわっとしていながらも線引き自体はあるようにも見えます。
自分は紙媒体の電撃PSで連載を持っていたときに、インディーとして掲載するものに対する基準がありました。それは“インディースピリットを感じるゲーム”。
もともとは、自分も担当として参加していたグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏によるコーナー“キテル51インディーズ”で須田氏が定義した概念なのですが、インディーゲームの魂があると思えるならインディーという定義です。
近いものでいえば、オンラインのインディーゲーム番組“INDIE LIVE EXPO”が提唱する“独立不羈(どくりつふき)※の精神”。Indie Live Expoでは、アワード憲章として自らの表現したいことをプレイヤーに届けることを貫く“独立不羈”を定義として掲げています。
自分は、現在こうした定義にプラスして“ユーザー側がインディーゲームだと思えるなら、それはインディー”という定義を取ることにしました。個人的な定義を考えれば、“作り手と受け手の双方がインディーだと認められるもの”が一番納得がいくのではないかと思うからです。
※他者に縛られることなく、自分の考えで行動すること。
そんなわけで前置きが長くなってしまいましたが、インディーゲームの定義は現在でもあいまい。それが良いコトなのか、悪いコトなのか。それはいつかしっかり取り上げるべき議題ではありますが、現状ではあいまいという認識でいいと思います。
とはいえ、なんとなく皆さんがインディーゲームだと認める線引きや感覚があるのは、ここまで話した通りです。このコーナーでは、そうした広くて深いインディーゲームの世界やニュースを探りつつ、皆さんが遊びたいインディーゲームを一緒に探していければと考えています。
もちろん、作品だけに留まりません。ツールやインディー関連のイベントなど、インディーに関するものであれば、なんでもアリ。多岐にわたる内容をお届けできればと考えています。
というわけで、次回から本格的な連載を始めていきたいと思っているのですが……その前に! まずは第0回として、インディーゲームに関する情報の集め方やストアの見方について教えましょう!
Indie WorldやIndie Live Expoなどのインディーゲーム情報番組を見よう!
さて、いざインディーゲームの存在を知って遊ぼうと思ったとき、どうやっておもしろいゲームの情報を得ればいいのでしょうか。
皆さん、困ったことはありませんか? あまりにも多く、あまりにも膨大。そして、あまりにも広大。ゲーム自体の数も情報も多すぎる!
そんなとき、役立つのがオンラインのインディーゲーム情報番組です。番組自体は無数にあるのですが、初めてインディーゲームを遊びたい人が見ておくといい番組を紹介しておきましょう。
Indie World(インディーワールド)
任天堂のインディー担当が注目するインディーゲームを紹介する動画番組“Indie World”。任天堂のゲーム配信番組は、どんなゲームでも魅力をバシッと端的に伝えてくれてわかりやすく、インディーゲームの番組に関しても例外ではありません。
Indie Worldで紹介されるものはPCで話題になったものや安定して楽しめるものが多く、はじめてゲームを遊ぶ人にも安心してオススメできます。
もちろん、いきなりニンテンドーeショップやPS Storeに乗り込んで安いゲームや変わったインディーゲームに手を出すのも、それはそれで楽しいもの。
しかし、最初にガッカリするものを遊んでしまって、インディーゲーム自体のイメージが悪くなることは悲しいですし避けたいですよね。
だからこそ、最初はIndie Worldなどの動画番組を見て遊びたいと思ったものを買うといいでしょう。なお、家庭用機のインディーゲームに関する番組や動画は、他にもいろいろあります。中には“インディーの夜”なんていう変わった企画も。
PSやXboxでもゲームの紹介番組でインディーを取り上げるので、ハードを持っている人はそちらも注目……と言っても、急に放映されても困っちゃいますよね。
やはり、初心者がすぐにインディーゲームの情報に飛びつくのは難しいと思います。オフラインイベントやTwitterの口コミなども有効ではあるのですが、ハードルは少々高い。そこでオススメなのが“Indie Live Expo”。個人的には、今もっとも注目の番組。インディーゲームを遊びたい人が見て損はない番組がコレです。
Indie Live Expoは2日にわたって行われており、1日目が発売中のタイトルから注目作品をフォーカス。2日目がこれから発売予定のタイトルとなっています。今すぐ良さそうなゲームを買って遊びたい人は1日目。これから出るインディーゲームにワクワクしたい人は2日目を中心に見るといいかも。え? 毎回、5時間も6時間も続く番組をそこまで見ていられない?
う~ん、もったいない。2日間とも魅力的なコンテンツが満載なので、じっくり見たほうが楽しめるのに……。最近では、応援放送も一気に増えました。
自分が好きなゲーム実況者の放送で一緒に見ると、ライブ感でより楽しめると思います。とはいえ、人によって自由になる時間は千差万別。無理強いはいけませんね。貴重な時間を割いてインディーの情報を手に入れたい。そんなあなたには、動画のアーカイブ。
公式サイトから飛べる動画のアーカイブで、気になる情報だけつまみ食いしちゃうのもアリです。
ゲームの新作情報をたくさん知りたいという人はIndie Wavesがいいですね。オススメの物だけをとりあえず遊びたいという人は、タイトルピックアップやパブリッシャーセレクションをつまみ食いしていくといいでしょう。
ただ、個人的には2日目に行われる“世界のインディスタジオ”は必ず見て欲しい! ゲームジャーナリストの徳岡正肇さんが世界各国のインディーシーンやスタジオの情報を教えてくれるこの番組は、純粋にためになります。見ていておもしろい。徳岡正肇さんは、ゲームジャーナリストを名乗れるだけの資格がある稀有な方ですね。
もちろん、動画のなかから気になった、目についた情報をつまみ食いするだけでも十分楽しめますし、ざっと見るだけでも気になるタイトルが見つかるはず。Indie Wavesだけでも、飛ばし飛ばしで一気に見るだけですごい情報量が得られます。
こうした情報番組などでインディーゲームに手を出し、興味が出てきたらBitsummitやぜんためなどのオフラインイベント、Twitterの口コミなど、自分で情報を収集してくのもインディーゲームを探す楽しみの1つ。そこら辺は、また別の機会に!
後編ではインディーゲームが遊べる機種に関して紹介していくので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね!
©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.
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