これは…すごい。新しい考え方が脳を刺激する傑作パズル『Patrick’s Parabox』は絶対に遊んでおくべき【2022年インディーゲームおすすめ傑作選4】

まさん
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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は2022年に発売された(移植、リメイクなども含む)オススメのインディーゲームを10連続で取り上げる特別企画をお届けします。

 4本目は、PC(Steam)で配信中の倉庫番系パズルゲーム『Patrick’s Parabox』。一見すると『倉庫番』タイプのパズルですが、箱の中にもフィールドがあり、自分自身や箱を入れたり出したりできる入れ子のような再帰構造が特徴。これまでにないルールを作り上げた斬新なパズルです。

 あまりにも新しいので難しそうに見えるかもしれませんが、遊んでみると絶妙なバランス。正解に至るまでの手順も少な目で、解けた瞬間の気持ちよさもあります。何度も動かしながら考えていくうちに「あっ!」と気が付ける。その瞬間が気持ち良い作品です。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

箱の中に箱を入れ、さらに外に出して……混乱するけどおもしろい!

 “再帰構造”のパズルと言われても、何がなんだかわからないという人もいそうですよね。要するに、パソコンのフォルダのような構造のことです。

 パソコンのフォルダは入れ子のようになっていて、フォルダのなかに別のフォルダが入りますよね。仮にフォルダAとフォルダBがあるとして、フォルダAの中にフォルダBを入れることも、そこからフォルダBを取り出して逆にフォルダAを入れることもできます。基本は、こういう構造。パソコンのフォルダで考えると、フォルダAのなかに「フォルダAのコピー」を入れることも可能です。

 では、たとえばフォルダAのなかにある“フォルダAのコピー”が、フォルダAの動きと連動していたらどうでしょう。

 フォルダAに入ったファイルを移動させると、同じ場所に“フォルダAのコピー”のなかにあるファイルも移動する。外側と合わせ鏡のようにフォルダが連動している。こんな感じです。いや、もう説明が難しい!

 このパズルゲームは本当にすごいですし、自分もガッツリ遊んでクリアしたのでオススメしたいのですが、正直なところ記事にするのはためらっていました。

 何故かって? 言葉で説明してもご覧の通りややこしいからです。文字で説明するよりも、動画で見るか遊んだほうが一発で伝わります。とりあえず、PVを見てください。

 箱を動かす自分自身ですら、特定の位置にセットしなきゃいけない箱の一部。さらにフィールド自体も動かせる箱の一部。動かせる箱のなかにもパズルがあって、さらに箱の中と箱の外が連動してループしていたり、循環させる順番を間違えると無限ループとなったり、次から次へとよく思いついたなと感心するステージがどんどん出てくるんですよ。

 もともと、Steamにある体験版の時点でとてつもないパズルだと話題になっていたのですが、製品版ではさらにコピーされた構造を利用して謎を解いたり、無限の出口同士を押してパズルを解いたり、もう見ただけだとこんがらがってわからないような追加ルールが登場。でも、これが複雑というわけじゃないんですよ。実際に手を動かして理屈を考えると「なるほど、こういうことか」とわかるのです。

 ただ、それを文字で説明しても「数学の問題か?」と思ってしまって何がなんだか分からなくなると思いますし、しっかり説明しようとすると教科書みたいになってしまうので、もうこればかりは動画を見ていただいて実際に触れてもらうのが一番だと思います。百聞は一見に如かず、というよりも触ったほうが早い。これは本当。

 自分自身も、「こんなに、ややこしそうなパズルできるかな……」と思っていたのですが、やってみると理屈がスッと飲み込めるんですよね。

 これは驚き。基本的な仕組みは『倉庫番』と同じなのですが、箱の形に収まったパズルのなかに、さらにパズルがあって外側とループする。自分自身も箱の中に入れてギミックの一部となる。このアイデアが無限の可能性をもたらしています。

 アイデア自体はどこまでも複雑にできそうなのに、パズルそのものは決して解けないものではありません。新しい考え方を要求されるパズルなのですが、難易度自体も段階的に上がっていって飲み込みやすい。年末年始に一度は触れておくべき傑作パズルです。

『Patrick’s Parabox』
ハード:PC(Steam)
ジャンル:パズル
メーカー:Patrick Traynor
価格:Steam版:2,050円(税込)
※ダウンロード専売


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