ゲーム開発者と大喧嘩!? 杉田智和の配役も◎。メタ満載の『tERRORbane(テラーベイン)』は、あふれるゲーム愛が素晴らしい【2022年インディーゲームおすすめ傑作選5】
- 文
- まさん
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は2022年に発売された(移植、リメイクなども含む)オススメのインディーゲームを10連続で取り上げる特別企画をお届けします。
5本目は、インディーゲームらしくメタ的な要素が詰まったRPG風のアドベンチャー。Nintendo SwitchとPC(Steam)で配信中の『tERRORbane(テラーベイン)』です。
個人的にも、今年遊んだなかで忘れられない1作となったタイトル。開発者と一緒にバグだらけのゲームをデバッグするという内容なのですが、とにかくバカバカしくて笑えます。そして、ただ笑えるだけのゲームじゃない。そこに、ゲームへの愛があるのです。
ちなみに、日本語版では無料アップデートで声優の杉田智和さんが吹き替えを担当。自信満々な開発者を演じられています。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
自信満々なゲーム開発者とプレイヤーが喧嘩しながらデバッグするうちに……?
『tERRORbane(テラーベイン)』は、バグだらけのゲームを作ったけど何故か偉そうな開発者と、意地でもバグを見つけようとするプレイヤーが二人三脚でデバッグしていくRPG風のアドベンチャー。
ゲーム開始時からブルースクリーンだったり、オープニングを飛ばすと説教されたり、かと思いきやちゃんとオープニングを見るとそれはそれでバグっていたりと、とにかくボロッボロのゲームです。だけど、開発者は自信満々。
あまりにも傲慢な開発者にイラっときたプレイヤーは、バグリストを埋めて開発者に突きつけてやろうと決心します。作る側と遊ぶ側、正反対な立場の2人が時に協力し、時に喧嘩を繰り返しながらゲームをデバッグしていく、奇妙なゲームとなっています。
開発者が口を挟むたびにおかしなことになるので、開発者が出てくるとうれしくなっちゃうかも。それでいて、ただのおふざけではありません。ゲームに対しての真摯な姿勢と熱いメッセージも込められた作品です。
普通のゲームの場合、第四の壁を超えることやメタフィクションの有無はネタバレを避けるうえで書かないのですが、このゲームの場合はもう最初から全開。メタというよりもメタメタな世界観です。
間違って最初からラスボスが出てきた挙句、開発者がプレイヤーに文句をつけてきた……かと思えばラスボスが開発者に抗議し始め、第四の壁もぐっちゃぐちゃ。
NPCが当たり前のようにプレイヤーを認識しているし、ゲームであることも理解しています。このムチャクチャさも魅力ですね。宿屋ですらも、自分が喋ったことを開発者が気に食わなかったと愚痴をこぼすし、ラスボスは開発者に文句を言いまくり。どういう世界なんだ、これは!
このゲームで好きなところは、そんな開発者とプレイヤー、そしてゲームキャラクターの立場が対等に描かれていることですね。
傲慢で偉そうな開発者はプレイヤーのやることなすことケチをつけてくるし、プレイヤーはプレイヤーで開発者の苦労をよそに滅茶苦茶な方法でバグを見つけてひっかきまわす。
ゲームのキャラクターも、プレイヤーじゃなくて開発者に文句をつける。ゲーム側がプレイヤーに「お前のせいだ!」と言わないんですよ。もう、途中からはバグというよりも「そういう仕様なのでは?」と思えるくらい、次から次へとヘンテコな展開が発生しますし、それがおもしろい。開発者はデバッグしなくてもいいのでは……?
気が抜けるようなゲームパロディも多く、そこも含めて自由なインディーの魂を感じます。ソウルライクなゲームオーバー画面やら、入るたびに名前が変わってどこかで見たようなタイトルになっていく孤児院などなど、ゲームネタがジャンルを問わずに詰め込まれているので笑っちゃう。おふざけも全力でやっています。
でも、その根底にあるのは確かなゲーム愛。おバカなイベントばかり起きて笑えるゲームなのも確かですが、バグリストを埋めて条件を満たすと発生するラストバトルと真のエンディングには、本作を遊ぶ意義が込められています。遊ぶなら、必ず真のエンディングまで見て欲しい作品です。
『tERRORbane(テラーベイン)』商品概要
ハード:PC(Steam)、Nintendo Switch
ジャンル:アドベンチャー
メーカー:WhisperGames(開発:BitNine Studio)
価格:各1640円[税込]
※ダウンロード専売
tERRORbane is developed by BitNine Studio and published by Whisper Interactive (Xiamen) Co., Ltd. (C)All Rights Reserved.
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