『ダンガンロンパ』フォロワーっぽさはありつつ、オリジナリティが高い良作! 『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』はスチルと演出でグイグイ読める【2022年インディーゲームおすすめ傑作選6】
- 文
- まさん
- 公開日時
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は2022年に発売された(移植、リメイクなども含む)オススメのインディーゲームを10連続で取り上げる特別企画をお届けします。
6本目は、完全な自分の趣味。まだそこまで話題にはなっていないのですが、個人的にとても印象に残った推理アドベンチャー。PC(Steam、DLsite)で配信中の『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』をプッシュしたいと思います。
ゲームのプレイ時間は5、6時間程度。個人製作者・令城鈴さんの作品なのですが、軽く数えただけでも500枚以上のスチル(一枚絵)と、文章の演出力で最後まで走り抜ける作品でした。制作者の尋常じゃない熱量を感じられます。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
超能力を持つ生徒たちとともに、人に取り憑く殺人幽霊“ミラ”を暴け!
本作の舞台は、遺伝子異常によって超能力に目覚めた少年少女が集まる“ウエストウッド中学校”。新入生として希望に胸を膨らませて入学した主人公のミシェルでしたが、そこで待っていたのは人に取り憑いて殺人を行う幽霊の「ミラ」と、ミラによって引き起こされる凄惨な殺人事件だったのです。
見るもの、聞くものすべてを記憶できる“メモライズ”の遺伝子異常を持つミシェルは、その力を使って8人の生徒の誰かに取り憑いたミラを推理。閉じ込められた学校から脱出するため、同級生たちとの“議論”に挑みます。
イラストのタッチや、閉じ込められた学校というクローズドサークルの推理。生徒同士の議論という設定からも『ダンガンロンパ』のフォロワーっぽさはあるのですが、文章も演出も力強くオリジナリティがあります。
「このキャラクターの能力だと、あの方法で殺人に使えるのでは……?」「あれ? 今なんか矛盾したことを話してなかったかな?」とプレイヤーが考えるであろうことにも、物語の流れできちんと触れていくので読んでいて信頼感のあるテキスト。導入から怪しさをうまく演出してくれるので、先が気になって仕方ない!
登場するキャラクターも個性的で、持っている超能力もトンデモないものばかり。毒を生みだす力や静電気を発生させる力を持つ人。他人に変身できる能力を持つ人。そもそも能力を持っていないと主張する人。自分の能力を忘れたと言い張る人。誰もがみんな怪しいし、殺人を犯せそうな設定です。
そこに加えて、あくまでも殺人幽霊のミラが取り憑いて殺人を犯すという前提があり、全員が犯人や被害者になってもおかしくない。そうした緊張感がありつつ、二転三転する物語と新たに提示される謎が絡まり、最後までグイグイ読み進められます。
終盤で明かされる新たな情報が多すぎる点など、少し粗削りに感じそうな展開もありましたが、熱量で押し切っていくシナリオと演出力の勝利。全体としては良く出来ていて、綺麗にオチをつけてくれるので満足感もありました。
まず、最初にキャラクターの超能力を見せたうえで、被害者となるキャラクターの過去を犯行とともに掘り下げる。犯人を当てることで加害者の過去も掘り下げる。各キャラクターの見せ場もしっかり用意されています。
犯行は殺人幽霊のミラが引き起こしたものなので、加害者もある意味で被害者です。だから、全員に感情移入できるんですよね。
終盤は読み進める展開になるビジュアルノベル寄りではあるのですが、本作は推理ゲーム。証拠を提示して犯人を推理していく“議論”パートも存在しています。主人公の能力を使って推理する“議論”では、話の流れから当てはまるメモライズを提示。ミラが取り憑いた犯人を推理して凶行を止めなければなりません。もっとも、ゲームオーバーや選択をミスしたことによるペナルティはないので、誰でも最後まで進められます。
ちなみに、アップデートによってクリア後にスチルを見るモードも追加されました。そこであらためてスチルを見ると、本作の気合の入り方がわかります。ジャンプスケア的なゴア表現もいくつかあるものの絵のタッチで緩和されていると思いますし、この系統の推理ノベルが遊びたい人にオススメです!
『キラキラミラ 8人の遺伝子異常者と血の幽霊』商品概要
ハード:PC(Steam、DLsite)
ジャンル:アドベンチャー
メーカー:令城鈴
価格:Steam版:1,480円[税込]、DLsite版:1,540円[税込]
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