『GOODBYE WORLD』は物を作る人、作ろうとした人、生きづらい人に刺さる青春映画のような後味【2022年インディーゲームおすすめ傑作選7】
- 文
- まさん
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電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は2022年に発売された(移植、リメイクなども含む)オススメのインディーゲームを10連続で取り上げる特別企画をお届けします。
作り手がゲーム開発者ということもあるのか、最近では作り手や環境を題材にした作品も多いインディーゲーム。7本目は、ゲーム作りの苦悩と想いを描いた短編映画のような良作。2022年の11月にPC(Steam)とNintendo Switchで配信されたばかりのアドベンチャー『GOODBYE WORLD』です。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
夢はいつしか苦しみとなり、初期の想いは忘れられ……苦悩する2人の結末は?
本作は、リニア進行で進んでいくアドベンチャー。プレイ時間は2時間程度で終わる作品であり、ストーリーやエンディングの分岐もありません。
青春映画を見るようにキャラクターのやり取りを見ていくので、ゲームというよりもインタラクティブなムービーに近い作品。もっとも、まったく操作する場面がないわけではなく、ゲーム中のパズルゲーム『BLOCKS』を遊ぶ場面では、プレイヤーがゲーム内のキャラクターを操作します。
とはいえ、『BLOCKS』でゲームオーバーになっても物語は進みますし、プレイの結果も影響しません。ミニゲームとしては良くできていますが、あくまでも演出の道具。クリアを強制されないので安心してください。
だからと言って、ミニゲームにも手は一切抜いてないコダワリっぷり。ゲーム中のキャラクターがプレイしているゲーム機なのでシールが貼ってあったり、外で遊んでいると『BLOCKS』とは違う環境音が聞こえてきたりするんですよ。とにかく細かいところまでこだわっています。
電車に揺られて体が持っていかれるときの一瞬の動きや、光の表現、作中の世界をリアルに感じさせるために細かい部分までコダワリ抜いて作られているので、そうした点にも注目です。
とても美しいドット絵のグラフィックが目を引きますが、その光景のなかで語られるのはゲーム制作者の苦悩。美しくも、重い。専門学校時代から一緒にゲームを作り続けてきたプログラマーの蟹井(かにい)とグラフィッカーの熊手(くまで)が、インディーゲーム開発者として挫折し、苦悩し、すり減っていく日々は見ていて心が痛みそうに……。
開発者としての苦しみと、社会とうまく折り合いをつけられない孤独感。すれ違っていく蟹井と熊手の友情。そうした心の機微が刺さる。刺さる!
蟹井に共感してしまう人は見ていて辛いかもしれませんが、最後まで遊んで損はありません。
最後の最後まで話が詰まっているので、必ずスタッフロールが終わるまで見届けましょう。映画と違ってスタッフロールの途中で電源を切る人は流石にいないと思いますが……!
モノづくりというだけではなく、人と繋がることの意味。何か夢を持ったときの初期衝動。そうした物へのメッセージを感じる作品です。大切な想いに苦しみ、傷つき、それでも夢を持っている人に遊んで欲しい本作。きっと、遊んだあとに爽やかな感情が呼び起こされると思います。
『GOODBYE WORLD(グッバイワールド)』
ハード:PC(Steam)、Nintendo Switch
ジャンル:アドベンチャー
メーカー:フライハイワークス(開発:YO FUJII)
(C)ISOLATION STUDIO
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