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【ウマ娘が1.8倍楽しくなるお話 34】今年も発表されました! JRA賞とウマ娘のお話

柿ヶ瀬
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 あけましておめでとうございます。今年も『ウマ娘』と競馬をよろしくお願いいたします。柿ヶ瀬です。

 2022年後半の競馬も大変盛り上がりました。有馬記念ではキタサンブラックの初年度産駒・イクイノックスが古馬を再び蹴散らし優勝しました。2着も同じ3歳のボルドグフーシュで、ここから世代交代が進むのか、古馬の巻き返しがあるのか。2023年も目が離せません。

 『ウマ娘』好きとしてはとても嬉しいレースもありました。そう、年末のジャンプGI中山大障害です。

 障害競走のスーパースター、オジュウチョウサンの引退レースという見方が強い中、そのオジュウチョウサンを従えての圧勝。次世代のエースに名乗りを上げたのが、このコラムでも過去に取り上げましたセイウンスカイとニシノフラワーのひ孫(アグネスタキオンの孫でもあります)、ニシノデイジーでした。

 コラムで紹介したあともニシノフラワーの育成シナリオで、やはりデイジーの花の話がたくさん出てきたのは皆様もご存知のとおりです。さらに『ウマ娘』のCMニシノフラワー編でも、中山競馬場のゴール板にデイジーの花が……。まるで中山大障害の結果を予見していたかのようだ、と話題になったりもしました。

 スカイ&フラワーとデイジーの花はゲームが始まる以前、うまよんでも(しかもニシノデイジーが出走したダービーの直前!)は取り上げられており、現役馬でもっとも暗にネタにされてきた馬だと言って過言ではないでしょう。そう、『ウマ娘』になったデアリングタクトよりも……。

 さて、今回はそのニシノデイジーが惜しくも逃したJRA賞のお話です。

JRA賞と『ウマ娘』のお話

 JRA賞は1987年から始まりましたが、それ以前も1954年から別の名前で続けられてきた表彰。1年の競馬を振り返って中央競馬で活躍した人や馬を称える賞です。人の表彰は概ねリーディングや勝率など、年末の開催が終わった時に数字で結果が出るものが多いので自動的に決まるものが多いです。

 しかし馬の場合はそのように自動的には決まらないので、いわゆる記者投票で選出されます。2歳、3歳、4歳以上のそれぞれ牡馬と牝馬。短距離馬、ダートホース、障害馬の各最優秀馬。

 そしてJRA賞でももっとも名誉のある賞が、今年1年でもっとも活躍した馬に贈られる“年度代表馬”です。

 2022年の“年度代表馬”は、春クラシックこそ2着2着でしたが、天皇賞秋、そして有馬記念を制したイクイノックスが選出されました。特に大逃げを打ったパンサラッサを最後の最後で差し切った天皇賞秋は、『ウマ娘』から競馬を見るようになった皆さんにも、元々競馬好きだった皆さんにも、鮮烈なインパクトを残したであろうと思います。

 ニシノデイジーは最優秀障害馬の投票でオジュウチョウサンとわずか1票差で受賞を逃しました。1票差は筆者も見たことがないくらいの僅差。しかしニシノデイジーは障害キャリア4戦のみで中山大障害は初めての重賞挑戦でした。オジュウチョウサンのこれまでの活躍、それによる印象などを加味すれば、想像以上に肉薄したとも言えるかもしれません。来年こそ受賞できるように頑張ってほしいと思います。

 さて、『ウマ娘』のモデルの競走馬はさすが名馬の集まり、たくさんJRA賞を受賞しています。年度代表馬だけに絞っても19頭もいます。2回受賞しているのもシンボリルドルフ、シンボリクリスエス、ウオッカ、キタサンブラックと4頭もいますし、1988年のタマモクロスから2000年テイエムオペラオーまで13年連続で年度代表馬が『ウマ娘』になっていたりもします。

 そんなJRA賞の受賞がシナリオに組み込まれている『ウマ娘』を、何頭かご紹介していきましょう。

4年連続の大偉業、メジロドーベル

 メジロドーベルは年度代表馬は1度も受賞していませんが、当時の最優秀3歳牝馬(ジュニア期)、最優秀4歳牝馬(クラシック期)、最優秀5歳以上牝馬(シニア期)を2度と、4年連続で世代別の最優秀牝馬を受賞しています。4年連続のJRA賞受賞は1987年にJRA賞が始まってからは初で、他にはウオッカが受賞しているだけです。ウオッカの受賞もクラシックの年は牝馬でダービーを勝利したことからの特別賞という形での受賞でした(その年の最優秀3歳牝馬はもちろんダイワスカーレット)。

 そんなドーベルは『ウマ娘』の育成において最優秀クイーン『ウマ娘』を3年連続で受賞することが可能です。いかにメジロドーベルの4年連続受賞という記録が素晴らしいものだったのかわかるエピソードです。ジュニア期では人見知りを発症してまともに受賞挨拶ができなかったドーベルが、年を経るごとに立派な受け答えができるようになっていって、成長を感じさせるのがいいんですよねえ。



短距離馬で初めて年度代表馬になったタイキシャトル

 このコラムでも何度か申し上げた通りですが、昭和から平成にかけての日本競馬は中長距離でこそ――という風潮でした。

 今でも中心は中長距離ですが、短距離やマイルの格が今よりも遥かに低かったのは間違いありません。タイキシャトルはまさにそんな風潮に立ち向かい、栄光を掴み取った初めての馬でした。タイキシャトルは4歳でデビューすると春の間にオープンまで3連勝。OP戦2着を挟んで秋はダートのユニコーンS、スワンS、マイルCS、スプリンターズSと4連勝。GIも2つ取っており、混戦模様だったこの年の年度代表馬もあるのではと言われました。しかし選ばれたのは天皇賞秋を牝馬ながら優勝したエアグルーヴでした。牝馬で優勝したこと、そしてやはり中距離路線であることが印象としてはよかったのでしょう。GIの数では勝っていてもタイキシャトルは最優秀短距離馬だけの受賞に留まりました。



 しかし翌年。安田記念、ジャック・ル・マロワ賞、マイルCSと日本と海外で3つのGIを勝利し、ついに短距離中心の競走馬として初の年度代表馬となったのです。『ウマ娘』の育成シナリオでも受賞できなかったクラシック期と受賞したシニア期どちらも描かれており、タイキシャトルが歴史を変えていく足跡をしっかりと描いています。タイキシャトルが稀代のマイラーと呼ばれるのには、こういうところにも理由があるのです。また、2023年からは最優秀短距離馬のカテゴリが最優秀マイラーと最優秀スプリンターに区分されるそうで、競馬も少しずつ変わっていっているわけですね。

ifをもっとも活用したかもしれないナリタブライアン

 ナリタブライアンは三冠馬となった4歳時(現在の3歳)に年度代表馬を受賞しています。『ウマ娘』の育成シナリオにおいて2年目終了までに好成績を残していると、年度代表『ウマ娘』に選ばれ授賞式に参加するか否か? の選択を迫られます。

 ここで授賞式に出席すると、目標レースの対戦相手が変わり難易度がハネ上がります。マックイーン、ブルボン、オグリ、ルドルフと言った面々が登場し、ステータスも高く設定されるのです。

 ブライアンはメインシナリオでは史実通り股関節炎を発症し、かつての強さは取り戻せなくなってしまうのですが、育成シナリオでは故障しなかったブライアンというifを更に越えたifをプレイすることができるのです。

 ここからは筆者のいつもの妄想ですが、もしかしたらブライアン育成ifシナリオは「怪我をしなかったナリタブライアン歴代最強馬説」を採用したのではないか? と感じてしまうのです。ブライアンが故障してなければ、過去のどんな名馬よりも強かった、歴代最強馬だった。決して少なくない人がそう考えていたことを恐らく『ウマ娘』運営は知っているはずです。もしかしたらその説を支持している人もいるかもしれない。筆者はそんなふうにブライアン育成シナリオをプレイしながらニヤニヤしたりしていたのです。

 というわけで今年もJRA賞が発表されました。受賞した競走馬たちを見ると、ああ、今年こんなレースがあったな、この馬強かったな、と思い出せる方も多くなってきたと思います。これを何年も繰り返すことで、記録と記憶は積み重なり、気付けば立派な競馬好きになっているのです。

 今後また新ウマ娘が出る時は、年度代表馬を始めとしたJRA賞を受賞しているか、をチェックしてみるのもおもしろいかもしれませんね。

 また次回もこういった“楽しみ方”を提示していければと思いますのでお時間ありましたらぜひご一読いただきたければ幸いです! それではまた!

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