重厚な謎解きと探索のスリル、そして癒しの猫…。サイコホラーADV『In Sound Mind』をレビュー!【電撃インディー#395】

Ak
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 PlayStation5/Nintendo Switch版が2023年2月16日に発売するホラーアドベンチャー『In Sound Mind』のレビューをお届けします。

※本レビューではPS5版を使用しています。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

謎解き重視のホラーアドベンチャーゲーム! 謎解きのバリエーションやゲームボリュームがすごい

 本作は、謎解きや探索要素を重視したホラーアクションアドベンチャー。

 とある小さな町で働くセラピストのデズモンドが、自分のオフィスがあるビルの一室で目を覚ます場面からゲームスタート。

 見慣れたはずの空間のはずが、内部は荒れ果てており、周囲には奇妙なガスも発生していて……?

 暗いビルの一室から開始し、なぜここにいるのか、自分が誰なのか、そしてこの場所がどこなのかも一切が不明の状態で物語は進行。

 手探りで進むうちに、じょじょに謎が明らかになっていきます。操作方法も順を追って説明されますが、一般的なFPSアクションなので操作に戸惑うことは少ないはずです。

 序盤はホラー要素が多めで、アクションよりは探索や謎解きがメインになります。敵は出現するものの数は多くないので、基本的には難易度も低め。

 突然敵が現れてビックリさせるよりは、ジワジワとくる怖さが主です。とはいえそこまで怖くはなく、どこかユーモラスな演出も多いのでホラーゲームが苦手でも楽しめます。とくに敵が出現したときはBGMが軽快なので全く怖くないです(笑)。

 探索で重要になるのはテープを見つけること。テープには主人公の患者の音声が記録されており、これをオフィスで再生すると扉が別のゲートとつながり、次のステージへと進むことが可能です。


 ステージはスーパーマーケット、廃工場、森林地帯など、患者の悩みや性格をテーマにしており、バリエーションが豊富。それぞれ特徴的なギミックがあるので、探索していて飽きない作りです。

 各ステージに出現するボスもに出現するボスも、ステージのテーマに沿ったギミックが満載で、攻略法を考えるのが楽しい!

 謎解き要素が多めなので攻略時間には差が出るとは思いますが、各ステージの攻略に平均数時間、全体ではクリアまでに15~20時間程度。3,980円(DL版)という価格を考えると、十分すぎるほどのボリュームが楽しめます。

 初期ステージであり拠点でもあるビルは、序盤では探索できる場所が少ないですが、各ステージで新アイテムを入手するとギミックを突破して先に進めるようになり、探索範囲が広がります。

 ビルでテープを見つけて次のステージへ向かう→各ステージをクリアしてビルに戻る→各ステージで入手した新アイテムを使ってビルを探索→テープを見つけて次のステージに行くというのが、基本的なゲームの流れ。

 1ステージごとに区切りがハッキリしているので、テンポよく攻略していけます。

 探索の自由度はステージにもよりますが、導線がしっかりしており、次の目的地には迷いにくいです。

 方向キー左でいつでも現在の目標を確認できるのも親切。マップはいつでも確認できるわけではないですが、不便を感じない程度にマップの各所に配置されています。

 謎解きの難易度は高めではあるものの、ヒントが豊富で理不尽なものはないので、ていねいに探索して考えれば突破できるバランス。探索と謎解きのバランスも絶妙で、遊んでいてストレスが少ないです。

考察しがいのあるテーマ性に優れたストーリー

 自分がかつて診察し、救えなかった患者たちの悩みが形になったような謎の敵、電話から聞こえてくる謎の男の声、そしてじょじょに明らかになっていくこの世界の謎……。

 謎多きストーリーですが投げっぱなしではなく、ゲームを進めるうちに着実に謎が解き明かされていきます。

 ホラーゲームではよくある、雰囲気を重視するあまりストーリーが難解すぎるということもなく、本筋はしっかり決着するので、クリア後の読後感もよかったです。

 序盤こそ暗い雰囲気ですが、全体的には前向きなテーマが描かれているので、万人にオススメできますね。

 また、大筋は理解しやすいものの明言されない謎もあるので、考察の余地が多く残されています。とくに後半のストーリーはファイルなどで手がかりを集めないと全容が把握できないかもしれないので、しっかり探索することを推奨します。

 各ステージのモデルになった患者の詳細も自室のカルテで確認できるので、自室に帰ったら確認しておくと世界観への理解を深められるでしょう。

 登場キャラクターは多くないものの、主人公や各ステージに登場するボスは誰も魅力的。

 電話で挑発的な言動を繰り返す黒幕らしき男は、どこかユーモラスでヒントもくれるので、嫌いにはなれないです(笑)。ある意味、本作の主役のような印象すらあります。

 自室で主人公を迎えてくれる猫のトーニャも、本作の重要な癒し要素。なでることもできます。

 ネタバレなので詳細は避けますが、トーニャはストーリー上でも重要なキャラクターです。その正体が判明したときは、なかなかの衝撃でしたね。

アクションゲームとしても歯ごたえアリ! 複数のアイテムを組合せて戦う自由度の高い戦闘も魅力的

 序盤はできることが少ないものの、ステージ攻略を進めてアイテムを集めると、アクションゲームとしても幅広い攻略が可能になって、面白さが増していきます。

 敵は弱点に当てないとダメージを与えにくく、とくに中盤以降はタフになるので手ごわいです。

 ただし弾丸などの消費アイテムは比較的豊富に入手できるうえに、敵も基本的にはスルーできるので、いわゆる“詰み”のような状況にはなりにくいので安心。

 アイテムは、ハンドガンやショットガンなど、単純に武器として使用できるものだけではなく、手にもって反射させることで見えないものが見えるようになる“鏡の破片”や敵をおびき寄せたり煙を爆発させたりできる“ルアーピル”など、ユニークな用途に使えるものも。

 “ルアーピル”で多くの敵をおびき寄せてから攻撃範囲の広い“照明弾”で一網打尽にするなど、複数のアイテムを組み合わせることで有効に使えることもあります。ここでは、そんなユニークなアイテムの一部を紹介!

鏡の破片

 序盤で入手できるアイテムで、テープや木片などを破壊して先に進むことができます。

 手に持って反射させると、反射した場所にある重要ポイントを見つけることも可能。弾丸や消費アイテムの場所を強調できるので、探索で役立ちます。

 そのほか、隠されたギミックを見つけることもできるので非常に便利。どこに進むべきか迷ったら、まずは鏡に反射させてみるといいでしょう。

 ちなみに、武器として使うことも一応可能。ダメージ覚悟で突っ込んで敵の弱点を攻撃できれば、弾丸を消費せずに敵を撃破できます。まあ、弾切れのときの最終手段ですね。

ルアーピル

 敵を引き付けられる薬の入ったカプセル。

 見つかっていない状態で投げることで敵を引き付けられるので、敵をやり過ごすのに便利です。また、通路を塞ぐ謎の液体を爆発させることもできます。また、回復アイテムとしても使用可能です。

照明弾

 発射すると暗闇を照らせるアイテム。

 先に進むことができない暗闇を晴らすのが主な使い道ですが、武器としても強力で、ハンドガンやショットガンよりも攻撃範囲が広いので汎用性が高め。

 ただし装弾数が少ないので、ルアーピルなどで敵を引き付けてから使うのがベストです。

 敵の誘導、ギミックの解除、回復と用途が多く、使い道を考えるのが楽しい! 自分の場合は、敵を引き付けてステルスするのが楽しくて、体力が少ない状態でも温存していました。

謎解きの楽しさとスリルに満ちた探索が楽しめる良質ホラーゲーム!

 上記のとおり、ストーリークリアまでにかかる時間は15~20時間ほどですが、やり込み要素やトロフィーの獲得を目指すと本作は30時間程度のボリューム。

 やり込み要素としては各地に隠された薬の収集があります。薬は一定数集めることで体力上限やステルス性能、移動速度などを上昇させることが可能です。

 ただし効果はそれほど劇的ではないので、ストーリーをクリアするだけならそれほど収集を優先させる必要はありません。各ステージはクリア後でも再度探索はできるので、ゲームクリア後に探索するのもアリです。

 歯ごたえのある謎解き、変化に富んだストーリーとステージ、幅広いアクションと、ホラーゲーム好きにとって魅力的な要素をこれでもかと詰め込んだ本作。

 とにかく全体的な完成度が高く、クリアまで進めたときの満足感が高いです。謎解きや探索、そしてサイコホラーな世界観やストーリーが好きな人には、間違いなくオススメできる作品ですね。

序盤の進め方を動画で紹介!

 YouTube“電撃オンラインch”では、物語冒頭の舞台となるビルの進行手順を動画で解説しています。アイテムが見つからない、どこに行ったらいいかわからないといったときは、こちらを参考にしてみてください!

■『In Sound Mind』序盤の進行ガイド

製品概要

作品名:In Sound Mind/In Sound Mind Deluxe Edition
対象機種:PlayStation5、Nintendo Switch
発売日:2023年2月16日(木)
ジャンル:ホラーアドベンチャー
プレイ人数:1人
CERO:B(12歳以上対象)
販売元:株式会社オーイズミ・アミュージオ

【In Sound Mind】
ダウンロード版 3,980円(税込)

※通常版はダウンロード配信のみです

【In Sound Mind Deluxe Edition】
パッケージ版 4,939円(税込)

■PS5パッケージ版

■Nintendo Switchパッケージ版


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