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思い出がつまったノートは未来への贈り物。のんびり自転車旅が楽しい『SEASON: A letter to the future』レビュー【電撃インディー#386】

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Scavengers Studioが開発するロードトリップ・アドベンチャーゲーム『SEASON: A letter to the future(シーズン 〜未来への手紙〜)』をご紹介します。

 『SEASON: A letter to the future(シーズン ~未来への手紙~)』は、PS4/PS5/PC(Steam/Epic Games Store)向けソフトで、1月31日(Steam版は2月1日)に発売予定。本記事は、Steam版でのレビューとなります。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

ひとつの時代の終わり。思い出を次の時代へ残すため、主人公は旅に出る

 物語は、とある人物が日記を読んでいるところから始まります。日記を書いたのは、本作の主人公であるエステルで、ある使命のために今まさに旅立とうとしているところです。

 本作のゲームプレイは、そんな彼女の旅支度を手伝うところからスタートします。この世界には、“夢の病”という心の病気が広がっており、かかってしまうと突然、永遠の眠りについてしまうという、恐ろしい病でもあります。

 それを防ぐ方法として、エステルの母は“自我のペンダント”を作ることを提案します。ペンダントを作るためには、大事な思い出を代償としてパワーを込めることが必要です。

 ペンダントに込めた思い出は、その人の記憶からは失われてしまいます。大切な家族を守るためとはいえ、なんだか少し寂しい感じがしますね。母は、記憶をなくしてしまう自分の代わりに、あなたが覚えていてほしいとエステルに頼みます。

 ペンダントに込める思い出は、自分で選ぶことが出来ます。家の中を歩き回って、思い出の品を探してみましょう。

 筆者が選んだのは、紙幣、音の出るぬいぐるみ、両親の写真の3つ。そして、母とエステルが一緒に食べる最後の朝食を、思い出としてペンダントに捧げます。

 思い出の品を捧げるたびに、母がそれにまつわるエピソードを話してくれますが、どれもこれも大切な記憶ばかり。忘れてしまう母の代わりに、絶対に覚えていようと大切に心に刻みます。

 完成したペンダントを身につけると、母に別れを告げてエステルは旅立ちます。この世界では、ひとつの季節をひとつの時代として捉えており、季節の終わりは時代の終わりを意味します。

 彼女の使命は、その時代が終わる前に、今の文化や歴史の記録を思い出として残すこと。というわけで本作では、カメラやレコーダーなどの道具を使って、その場所の風景や人々の生活、さまざまな想いを記録していくことになります。

 まずは、音声の記録を残してみましょう。レコーダーを使って、オルゴールの音色を録音してみます。

 すると、オルゴールにまつわる知識や思い出を、エステルが語ってくれました。さらに、この記録をノートに残すことが可能になりました。

 本作の魅力は、何と言ってもこのノートを自由に作ることが出来るところ。現実でも、旅行のチケットや映画の半券を残しておいて、あとでスクラップブックやノートにまとめるのが好きという方がいるかと思いますが、まさにあの感覚で遊ぶことができます。

 撮影した写真や、記録した音声はもちろん、マスキングテープやシール、スタンプを使って、紙面をオシャレに飾ることができます。筆者はこういった作業が好きなので、つい夢中になってしまいました。

  • ▲ペンダント作成に使った思い出の品もしっかり記録。これで忘れることはありません。

 写真などは、それぞれ好きな位置に配置することができ、また角度や大きさもある程度自由に変えられます。どの写真やシールを一番手前に表示するかも選べるので、好きな順に重ねて貼り付けることもできます。

 こうしたノート作りが好きなプレイヤーにとっては、たまらない作品となっています。つい時間を忘れてハマってしまうこと請け合いです。

自転車に乗って世界を見て回ろう。記録を残すのを忘れずに

 エステルの旅には、自転車という相棒が欠かせません。ボタンを交互に押して何度かペダルを漕ぐと、あとはスイスイと進んでくれます。

 坂道を下るのは特に気持ちが良いので、ついついそのまま通り過ぎてしまいそうになりますが、写真を撮るのを忘れてはいけません。使命のために旅へ出たのですから、当然ですね。

 生まれてからずっと、故郷の村の中でしか生活してこなかったエステルには、外の世界のすべてが新鮮です。ちょっとしたことにも驚く彼女の様子が、なんとも微笑ましく感じられます。

 プレイヤーにとっても未知の事柄が多いこの世界では、エステルと同じ気持ちになって驚いたり、色々なことに興味を持ったりと、ワクワクするような出来事がたくさんあります。

 美しい風景を眺めつつ、のんびりと旅をするのがピッタリの作品です。記録を残すという目的のおかげで、建物などの細かい部分までじっくり観察するのも、また楽しく感じます。

 写真を撮るのが好きという方には、特にオススメ。集めた記録をノートにまとめて、後から見返しながら思い出にひたる時間は、心を癒やしてくれます。ぜひ本作で、自転車の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。


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