最強の敵や最凶の曲も聞いてきた。『シアトリズム ファイナルバーライン』はRPG要素も対戦も進化して…これぞ集大成!
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スクウェア・エニックスから2月16日に発売予定のNintendo Switch/PlayStation 4用シアターリズムアクション『シアトリズム ファイナルバーライン(シアトリズム FBL)』。そのインタビュー後編をお届けします。
本作は、3DS用『シアトリズム ファイナルファンタジー(シアトリズム FF)』から続く、『シアトリズム』シリーズ最新作。『FF』シリーズの歴代楽曲を使った、爽快なリズムアクションが楽しめます。
インタビューのお相手は、スクウェア・エニックスの間一朗プロデューサーとインディーズゼロの鈴井匡伸ディレクター。後編では、ゲーム部分について深くお話を掘り下げていきます!
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RPG要素は『シアトリズム FF カーテンコール』以上に奥深いものに!
――外伝作品やスマホ作品も含め、収録曲は本編内だけで385曲と膨大ですが、登場作品や収録曲はどのようにチョイスしていきましたか?
鈴井匡伸氏(以下、敬称略):僕たちも管理に困るぐらい膨大な楽曲の候補リストをまず作成したうえで、そこから取捨選択を繰り返してきました。
ゲーム発売当時から人気が高い曲、リズムアクションに向いている曲、コンサートのセットリストに使われる頻度が高い曲、CMなどで流れていてその作品を代表するフレーズが入っている曲などなど。
あと、アーケード版の運営時にシアトリズマーから強い要望があった曲や、アンケート的データがあればそれも参考にして、あらゆる視点から候補曲を絞り込んでいきました。曲のチョイスは、スクウェア・エニックスさんとも何度も議論を重ねて行っていきましたね。
間一朗氏(以下、敬称略):音楽を中心に取り扱う作品だけに、大人の事情や権利的な課題があったのも事実です。泣く泣く収録できなかった楽曲もたくさんありましたが、かなりディープでマニアックな作品も候補に挙がっていました。
――ゲーム中では楽曲をどのように解放していくのでしょうか?
鈴井:楽曲の解放は“シリーズクエスト”を中心に行います。過去作の経験やお客様の声も考慮して、楽曲解放の手間はできる限りない方向に、でも少しずつ楽曲が増えていく楽しさも味わえる仕組みというものを目指しました。
基本的には“シリーズクエスト”でまとまった単位の曲を解放できます。また、リザルトで表示される“レコメンド”から遊んだ楽曲もそのまま解放される形になっています。自分は未解放だけどマルチバトルで遊んだという曲も解放されますし、スコアもきちんと記録されますよ。
楽曲を解放すれば、その曲の難易度はすべて最初から選択できるようになっていて、なるべく二度手間にならないよう設計しています。“シリーズクエスト”を最後まで遊ぶと解放されるEMS楽曲や、スタッフクレジット後に解放される“エンドレスワールド”というモードもありますが、どれも特殊な条件というほどではありません。
ゲームを遊んでいれば、さまざまな要素が自然と解放されていくイメージです。
――EMS(イベントミュージックステージ)は3DS版の遊び方と違って、画面奥から手前にトリガーが流れてくる形式に変わりましたね。
鈴井:EMSに関しては、『シアトリズム』シリーズで毎回微妙に異なるシステムに改善されているミュージックステージとなります。
過去作では指揮者のように流れていくジャストサークルの動きに合わせて入力するスタイルでしたが、区間ごとの距離によってジャストサークルの移動速度が変わる点に不満の声もありました。
『シアトリズム ドラゴンクエスト』や『KH メロディ オブ メモリー』のときの試行錯誤も生かし、今回はよりリズムに乗りやすく遊びやすいデザインにしようと従来から変更しました。画面奥から手前にトリガーが流れる形にした結果、今回のEMSはペアプレイでも遊ぶことができます。
――リズムゲーム要素だけでなくRPG要素も作りこまれている『シアトリズム』シリーズですが、本作のRPG要素でとくに注目してほしいポイントはありますか?
鈴井:『FF』といえばバトルの盛り上がりも大事な要素ですので、RPG部分もしっかりパワーアップさせています。『シアトリズム FBL』では火属性や氷属性といった属性要素を追加して、モンスターの弱点や耐性に合わせたアビリティ選択が重要になっています。
全キャラクターに専用アビリティもありますので、パーティ編成のバリエーションも増えていると思います。全体的に『シアトリズム FF カーテンコール』以上に奥深いバトルや編成が楽しめるかと。
FMS(フィールドミュージックステージ)では、移動中にバトルが発生するようになったのが大きいですね。これまでのFMSでは移動に関するアビリティが大事でしたが、今回はバトルも考慮したメンバー選定やアビリティ装備も選択肢に入ってきます。
間:今回は譜面とは別の意味で歯ごたえがある敵もいるので、いろいろと攻略しがいがあると思います。譜面自体はクリアできても撃破が非常に難しい敵もいますので。
なかでも『FFXII』の隠しボスのヤズマットは……かなり覚悟してください(苦笑)。
鈴井:属性を含めて、きちんと対応策を考えて攻略しないといけないという意味では、これまでのシリーズ作以上にRPG的な楽しみ方をできると思います。
――パーティメンバー4人それぞれの育成やアビリティの付け替えだけでも楽しめそうですね。
鈴井:はい。あと地味な改善点ですが、本作ではパーティメンバーが4人必須ではありません。1~4人のなかで好きに選べるので、シチュエーションに合わせて原作再現できます。
開発するうえでは4人必須のほうが作りやすいのですが、現場スタッフの猛烈な要望で導入することになりました。「このダンジョンでこの敵と戦うなら、この人数のこのパーティにしたいです!」「ここは1対1で戦わないとダメなんです!」と(苦笑)。
バトルには状態異常も実装していて、敵の攻撃でメンバーがトード(カエル)状態になることもあります。各ボスもかなりこだわって作っていて、なかでも『FFXII』のヤズマットは相当強いです。リズムゲーム自体には関係ない要素ですが、慣れてきたら自慢のパーティを組んでぜひ討伐を狙ってみてください!
名曲との出会いのきっかけにもなる“レコメンド”機能
――3DS版ではすれちがい通信によるプロフィカの交換もおもしろい要素でしたが、本作にもそのようなシステムはありますか?
鈴井:プロフィカ交換だけでなく、プレイヤー同士の新たな交流要素として“召喚石”というシステムを追加しました。召喚石は召喚獣を呼び出せることに加え、“ダメージ上昇”や“ダメージ上昇”や“獲得経験値アップ”などさまざまな効果がランダムで付くアイテムで、オンラインのマルチバトルをするとほかのプレイヤーに自分の召喚石のコピーを渡せます。
レアな召喚石を手に入れたら、マルチバトルでほかのプレイヤーに渡すことでよろこびを共有できるかと。マルチバトル用のパスワード付きルームを立てることもできるので、“召喚石交換会”のようなものを開催することもできます。
――ゲーム内で設定をかなり細かくカスタマイズできることに驚きました。ライブインフォなど、配信を意識した機能も見受けられますが、オプションの充実は重視して取り組んだ点だったのでしょうか?
鈴井:オプションまわりは、今作ではすごく念入りに意識して取り組みました。あれこれ設定を変えなくても誰でも違和感なく遊べるのが理想の形だとは思いますが、リズムアクションは遊ぶ人のスキル幅が違いますし、個々人の環境や目的もバラバラです。
ひたすらハイスコアを目指す人、派手にリズムアクションを楽しみたい人など、幅広いニーズに対応できることも大切だと感じたので、オプションの充実はできる限り行いました。
各種データが表示されるライブインフォは、ゲーム配信者に限らず、家族や友だちと一緒に遊んでいるときや、RPG部分の細かい理解にも役立つかと思います。あと、入力成功判定にFAST/SLOWを表示する機能もあって、自分の入力のクセを把握することもできます。ほかにもトリガースピード変更、各種音量調節、背景にマスクをかける機能など豊富に用意しています。
――とくに変わった機能やイチオシの機能などはありますか?
鈴井:変わった機能といえば、ペアプレイを1人で遊べるコントローラ設定でしょうか。これは、アーケード版でペアプレイを1人で遊ぶプレイスタイルの方がけっこういて、そうした遊びも『シアトリズム』を盛り上げる要因かなと思って採用しました。
設定以外の部分だと“レコメンド”機能が個人的にイチオシです! 今作では385曲もありますので、どれを遊ぶか迷う人もいると思いますし、好きな楽曲だけを選ぶ人もいると思います。そんな方々に、できるだけいろいろな曲を体験してほしいという思いがあって、間さんの提案でレコメンド機能を入れました。
間:イメージとしては、カラオケで1曲歌ったりYouTubeで動画を見たあとに表示されるオススメ欄ですね。自分が遊んだ曲と関連性がある曲を紹介してくれる機能です。
鈴井:いくつかのテーマに沿って、遊んだ曲に対して関連性があるものがチョイスされます。レコメンド欄はリロードして別の曲を表示することもできますし、レコメンドでプレイしたらその楽曲は解放されます。
間:自分の好きな曲だけ遊ぶのももちろんありなんですけど、それだともったいないという気持ちはありましたよね。今回はとくに楽曲数が膨大ですし。
とはいえ、ゲーム音楽ってユーザーさんが曲名と結びつけてしっかり覚えていることは少なくて、ほかの曲を知る取っ掛かりに乏しいというのもあると思います。“バトル2”といわれてもどの作品のどの曲よ、みたいな(笑)。
そんなときに、レコメンド機能みたいなのがあれば知らない名曲に出会うチャンスも広がるかなと思いました。あくまでお客さんに“気づきの場所”を用意するぐらいの心構えで。
鈴井:よく間さんと2人で歩いてるときに、そういう要望をポツリと言いますよね(笑)。
間:そうそう(笑)。レコメンドに関しては、自分自身も情報に追いつくために欲しい機能だったので、実装されて本当にありがたかったです。
上級シアトリズマーに向けた“超絶”難易度の譜面も!!
――『シアトリズム FBL』では最大4人でマルチバトルできるのも目玉要素ですね。
鈴井:これは大きなチャレンジでした。当初はアーケード版のような共闘やレイドバトルのような形も考えました。でも、『シアトリズム FF カーテンコール』から続く進化系となると、やはり純粋にスコアを競うスタイルのほうがおもしろいかなという結論になりました。
間:『シアトリズム FF カーテンコール』では1対1だったのでバーサスバトルという名称でしたが、今回はマルチバトルです。ただ、最大4人で遊べるというだけで、2人でも対戦できますよ。
鈴井:今作のマルチバトルでは2つのおジャマ効果が重なるので、パーティゲームのようなワチャワチャ感も味わえます。4位の人が最後まで逆転を狙えるように、かつ1位の人があまりにも理不尽に感じないようおジャマ効果は調整しています。
対戦後には、順位に応じてコレカをゲットできる要素もちゃんとあります。連戦することで手に入るコレカのレア度が上がりますし、ルーム自体も派手な装飾に進化していきます。
――『シアトリズム』といえば背景グラフィックやモンスターなどに小ネタを仕込んでいる印象がありますが、本作ではいかがでしょうか?
鈴井:今作では、すべての『FF』シリーズ作品に必ず1種類は専用背景を用意しています。印象的なボス戦やラスボス戦楽曲の背景は、3DS版からリメイクしたものや新規で作成したものを用いて、より一層忠実な再現を目指しています。
『FF』の原作と比較すると限られたモンスター数ではありますが、背景と合わせてなるべく原作シチュエーションを再現しているのが感じられるかなと思います。
小ネタという意味では『FFオリジン』の“Jack's Theme”は最後のトリガーを入力し終わった後の背景の空模様に注目していただきたいです。プレイヤーにとって、グッとくる演出になっていると思います。
また、『FFVII』の“更に闘う者たち”と『FFVIIR』の“FFVII REMAKE:エアバスター”は、背景は同シチュエーションではありますが、雰囲気をそれぞれ原作の見た目に寄せ、色見などに細かくこだわっていますので、ぜひ見比べてみてください。
そして『FFXIV』の蛮神戦の楽曲背景は、光の戦士にとって、より思い入れが強いであろう“極”をベースに作成しました。『FF零式』の“戦-白の兵器”では、楽曲の終盤に天候の変化もありますので、お見逃しなく。
ほかにも、FMSの背景にはよく見ると隠れサボテンダーが潜んでいたりします。
また、デジタルデラックス、およびプレミアムデジタルデラックスで追加される特別な楽曲では、特別の名にふさわしいよう、背景にも特別な小ネタをたっぷりと仕込んでおりますので、ぜひこちらもお楽しみいただきたいです。
間:プレイ中はなかなか背景まで見る余裕がないと思うので、終わったあとのリプレイなどでじっくり眺めてみてください。
――難易度も幅広く用意されていますが、なかでもとくに難しい“開発者からの挑戦状”的な譜面があれば教えていただけますか?
鈴井:最高難易度となる“超絶”の譜面はどれも難しく、とくに難易度14~16の譜面は別格です!
なかでも“ビッグブリッヂの死闘”はアレンジを入れて6曲(DXでさらに+2曲)あり、難易度のバリエーションもありますので、ご自身にあった挑戦しがいがある譜面を見つけていただきたいです。
ちなみに超絶譜面の難しい楽曲は、アーケード版でEDM風アレンジがされた“シアトリズムFFAC arrange”と曲名についているシリーズになります。コントローラ操作に合わせてアーケード版からややマイルドにチューニングされていますが、それでも普通の人は即ゲームオーバーになるほどの高難易度です。
アーケード版で上位ランクだったようなシアトリズマーの方は、『FFVII』メドレーの“FFVII Special Arrange Medley -シアトリズム FBL Arrange- from FFVII”という曲の超絶に挑んでみてください。開発内でうまいプレイヤー複数で調整した曲で、きっと(理不尽ではない範囲で)ギリギリ挑戦しがいのある難易度に仕上がっていると思います。
これらの曲は意図して難しくしているので、クリアできなかったからといって自信をなくさないでください! それが普通ですので!
――ちなみに推し曲はありますか?
鈴井:あえて選ぶなら、今作のオリジナルアレンジとなる2曲ですね。
1つは先ほどの高難易度譜面でもご紹介した『FFVII』メドレーの“FFVII Special Arrange Medley -シアトリズム FBL Arrange- from FFVII”で、こちらはこれまでの『シアトリズム』シリーズでも楽曲のアレンジにご協力いただいてきたTTSプロダクツの弘田さんが担当しています。
もう1つは『FFI』~『XV』までのバトル曲をメドレーにした“THEATRHYTHM FINAL BAR LINE Special Battle Arrange Medley”で、こちらはスクウェア・エニックスのサウンド部さんにアレンジいただきました。
――ファンに向けてメッセージをお願いします。
鈴井:みなさまの応援のおかげで『シアトリズム』シリーズはここまで長く続き、僕自身も12年間ほど『シアトリズム』のことを考えながら日々生きてきました。世界中のシアトリズマーの熱量が、そのままゲーム開発の原動力となっています。
今作の『シアトリズムFBL』は、『FF』シリーズやスクエニタイトルの素晴らしい楽曲をお預かりして、ゲーム音楽を楽しむコミュニケーションツールの1つとなれるようスタッフ一同制作しました。いろいろな角度や深さのお客様を考慮しながら作り上げましたので、自分の好きなスタイルで思う存分楽しんでいただけたら幸いです!
間:リズムゲームとしての楽しさを味わってもらうのはもちろん、このゲームを通じて好きな曲を見つけたり、知らない作品に興味を持ってもらえたりすると我々はとてもうれしいです。
今回は『FF』シリーズだけでなく、多数のスクエニタイトルの楽曲も収録されているので、本作を機にぜひ未プレイの作品にも手を出してもらえればと。あと、実際に未プレイのゲームを遊ぶきっかけになったら、僕とどこかでお会いしたときにその話をしてください。めちゃくちゃよろこびますので(笑)。
スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。
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